- 仕事で何度もネガティブなフィードバックを受けて落ち込んでいる
- メンタルが限界で、無力感を抱いている
そんな悩みを抱くあなたに向けて、臨床心理士が愛を込めて仕事で感じる無力感への対処法をお伝えします。
周りはうまくやっているように見えるのに、自分だけが空回りしている。努力しても評価されず、自信を持てない。
でも、大丈夫。
無力感は、あなたが仕事に「真剣に向き合ってきた証」です。
それは怠けでも弱さでもなく、心が「もう限界」と知らせてくれているサインなのです。
この記事では、そんなあなたの心に寄り添いながら、なぜ無力感に陥ってしまうのか、そしてそこから少しずつ抜け出すヒントをお伝えします。
読むだけで、少し呼吸がしやすくなる。そんな言葉を届けられたらと思っています。
仕事で感じる無力感の正体は「学習性無力感」

あなたは「学習性無力感」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
心理学では「抑うつ状態」を維持させてしまう要因として注目されてきた概念です。
仕事で無力感を感じている場合はこの「学習性無力感」に陥ってしまっている可能性が高いので、まずはメカニズムを理解していきましょう。
学習性無力感とは?
学習性無力感とは、何度がんばってもうまくいかない経験をくり返すことで、「どうせ何をやってもムダだ」と感じて、やる気をなくしてしまう心の状態のことです。
「自分は無力だ」ということを「学習」してしまうわけですね。
学習性無力感を発見したのはマーティン・セリグマンというアメリカで有名な心理学者。以下のような実験で、人を含めた動物は「無力を学習してしまうこと」を立証しました。
<犬を用いた実験>
- 犬A→電気が流れたら逃げられる
- 犬B→何をしても逃げられない
- 犬C→電気ショックなし
上記の実験の結果、どうなったと思いますか?
犬Bのみ、実験後に少し移動すれば電気ショックを避けられる状況に置かれても、何もせずにただただうずくまっていたのです…。

「がんばってもダメだ」と学んでしまうと、行動次第でどうにかできる状況に変化しても改善のための行動を起こさなくなってしまうわけですね。
人間も学習性無力感に陥る
動物実験から端を発し、学習性無力感は人間の「抑うつ状態」を説明できるメカニズムであると注目されるようになりました。
先ほどご紹介した「犬の実験」を、人間の「会社」で例えてみましょう。
- Aさん→上司から厳しく叱られるが、改善すればプラスのフィードバックをもらえる
- Bさん→何をやっても必ず上司から叱られる
- Cさん→上司から叱られることはない

いかがでしょうか。
どう考えても、無力感に陥ってしまうのはBさんですよね。
Bさんは「何をやっても上手くいかない」と考えるようになります。そして、努力を続けたり、周囲の人に助けを求めることもしなくなってしまうでしょう。
ここで私が伝えたいのは、「学習性無力感に陥ってしまうのは自分のせいではない」ということなんです。
自分ができないから、能力がないから、頑張っていないから無力感に陥るのではありません。
状況がそうさせているのです。
学習性無力感に陥ってしまう理由

学習性無力感に陥ってしまう理由は、「何度頑張っても上手くいかない環境」にあります。
ただ、「個人」に注目してみると、「学習性無力感に陥りやすい人」「陥りにくい人」がいることも確かなようです。
以下には、学習性無力感に陥りやすい方の特徴や習慣を解説しました。
完璧主義
完璧主義とは、「何事も完璧にこなさなければならない」と考える思考の傾向のことです。
心理学では完璧主義と落ち込みやすさの関係について研究が行われており、自分に課す基準が高すぎることで無力感を感じやすくなることが分かっています。
- 「すべての仕事を完璧にこなさなければならない」
- 「決してミスがあってはならない」
例えば、上記のような思考を持つ方が新しい職場で失敗続きになってしまったらどうなるでしょうか。
「自分には価値がないんだ」「自分は仕事ができないんだ」と思ってしまうようになりますよね。
その結果、学習性無旅感に陥ってしまうのです。
生活リズムが乱れている

寝不足や不規則な生活が続いていると、脳のパフォーマンスが低下してしまいます。
その結果仕事で思うように成果がでなくなり、学習性無力感に陥ってしまうわけですね。
- 寝不足で能力を発揮できない→成果が出ない→自分を責めてしまう
上記の悪循環が続くことで、「何をやってもダメなんだ」と思ってしまうようになるわけです。
また、睡眠不足の状態が続いていると、思考もネガティブになりやすくなります。
パフォーマンスが下がり、思考もネガティブになれば、「学習性無力感に陥るための条件がそろっている」と言えますね。
自己肯定感の低さ
自己肯定感とは、あるがままの自分を認められる心の状態のことです。
たとえ仕事で上手くいっていなかったとしても、「そんな自分も嫌いではないな」と思えるのが自己肯定感です。
逆に、自己肯定感が低いと、一度失敗しただけで「やっぱり自分はダメなんだな」と「全自分」を否定してしまいやすくなるわけですね。
自己肯定感には、過去にどのような教育を受けてきたかが大きく影響します。
- テストで良い点をとれないと褒めてもらえなかった
- いつも頑張ることを要求されてきた
上記のような場合、自分自身の価値に対しても「条件つき」の見方をするようになってしまうわけですね。
まずは自分の自己肯定感について理解を深め、少しずつ「あるがままの自分」を認める習慣を新たに身につけていくことが重要です。
職場環境の影響
職場の雰囲気として否定的な空気感が強まっていると、学習性無力感に陥りやすくなってしまいます。
例えば、新しいアイデアを出しても「前例がないからダメだ」と言われ続けると、やる気がなくなってしまいますよね。
また、頑張って成果を出してもそれを褒められたり認められたりする機会が少ないと「どうせやっても意味がない」と思ってしまうようになるのです。
さらに、「パワハラ」「モラハラ」という言葉があるように上司や同僚からの嫌な言葉や態度が続くと学習性無力感に陥るだけでなく心が傷ついてしまいます。
入社して間もない
新入社員として入社したばかりの場合、学習性無力感に陥りやすくなります。
新しい仕事を始めたばかりの人は、「自分はまだ何もできていない」と感じることが多いのです。
しかし、考えて見れば入社したばかりなので分からないことやできないことが多くて当然なはずですよね。
ただ、自分としては「自分には能力がないんだな」「この状態がずっと続くのかな」と思って無力感に陥ってしまうわけですね。
今すぐにすべてができるようになろうと考えるのではなく、長い目で仕事を覚えていこうと少し気楽に考えることが重要です。
学習性無力感を克服する具体的な方法

ここからは、仕事で学習性無力感に陥ってしまったときの具体的な対処法を解説していきます。
続きを読んで、「できそうだな」と思ったものからぜひ実践してみてください。
環境を整える・変える

仕事で学習性無力感に陥っている場合、環境が自分をそうさせている可能性が非常に高いです。
セリグマンは、成功しやすい環境に変えることでやる気が戻ることも実験で証明しています。
例えば、以下のような状況では学習性無力感を抱きやすくなるでしょう。
- 職場の雰囲気が緊迫していて、安心して作業に集中できない
- 何をしても上司からネガティブなフィードバックばかりを受ける
- 新しいアイデアを提案しても無条件に却下されてしまう
まずは、安心して成功体験を積める環境に移ることを検討してみるのがおすすめです。
- 部署異動を希望する
- 上司を変えてもらえるよう人事にかけあってみる
- 転職する
上記のように、思い切って環境を変えることで、一気に学習性無力感から解き放たれ、やる気が回復する可能性は大いにあります。
周囲の人に相談する
さきほどは環境を変えることで学習性無力感を克服できる可能性が高いとお伝えしました。
しかし、異動を希望したり、上司を変えてもらうようお願いしたりするのには勇気がいりますよね。
新入社員である場合、なおさら自分の希望を伝えることに抵抗感を覚える方は多いと思います。
そこでおすすめなのが、「とにかく職場の人に相談してみる」ということです。
以下には、職場の人に相談する際の2つのポイントを記載しました。
<職場の人に相談する際の2つのポイント>
- 信頼している人に相談する
- とにかく「困っていること」を伝える

大事な部分なので、詳しく解説していきます。
信頼している人に相談する
「誰に相談するのか」はとても重要です。
相談する人を誤ってしまうと、「そんなのあなたの甘えでしょ」などと突き返され、かえって傷を深めてしまうリスクもあります。
日頃から関わっていて「親身に話しを聞いてくれそうだな」と感じる人に相談しましょう。
また、ある程度「決定力」を持っている方だと望ましいです。
例えば、信頼している上司などがベストですね。自分の部署に信頼している上司がいなければ、他部署の上司でもOKです。
信頼している上司に相談することで、部署異動や直属の上司の変更など、具体的な環境改善につながる可能性が高くなるわけですね。
とにかく「困っていること」を伝える
職場の人に相談することを阻む思考として、以下のようなものがあります。
- 「自分の中で答えがないのに相談しても、かえって面倒なことになるのではないか」
- 「周囲に迷惑をかけるだけなのではないか」
しかし、実際は「誰かに悩みを話す」ということ自体が心を軽くしてくれます。
自分の中だけで無限ループにはまっていた状態から、「自分が困っていることを他の人が知っている」という状態に変化したときの安心感はとても大きなものなのです。
自分の中で思考がまとまっていなくても良いので、とにかく困っている「状況」と今の自分の「状態」を説明しましょう。
以下に例文を記載しました。
実は今、とても困っているんです。会議で必要な資料を何度作成しても、毎回上司の〇〇さんから叱責されてしまっていて…。自分に課題があることは承知しているのですが、毎日ダメ出しが続くことで無力感に陥っているんです。
上記のように、今の状況をただただ伝えてみましょう。
相談する相手を間違えなければ、少なくとも気持ちの安定にはつながるはずです。
場合によっては、部署移動や上司の変更など、具体的な環境改善につながる可能性もあるでしょう。
小さな成功を積み重ねる
仕事の学習性無力感を自分の力で克服する場合は、小さな成功を積み重ねるのが有効です。
2つのポイントを以下に記載しました。
- 自分の中だけで完結する小さな目標を立てる
- 目標を達成したら自分を褒める
それぞれについて、詳しく解説しますね。
自分の中だけで完結する小さな目標を立てる
例えば、「上司から褒められること」を目標にしてしまうと、上司の機嫌や人間性によって「目標達成or未達成」が左右されてしまいます。
「昇給」なども同じですね。自分を評価する人の考え方や、会社の業績などに左右されてしまうのです。
そうではなく、自分の努力次第で達成できるような目標を「小さく」立ててみましょう。
例えば、以下のような目標です。
- 「今日は資料を〜ページまでつくろう」
- 「上司に質問をしてみよう」
- 「電話対応で毎回確認を入れて、ミスがないようにしよう」
上記であれば、自分の努力次第で達成できますよね。
できれば、仕事がはじまる前に「今日の小さな目標」をスマホのメモなどに書いておくのがおすすめです。
目標を達成したら自分を褒める
仕事が終わったら、そっとスマホのメモを開きましょう。
そして、仕事がはじまる前に立てた「小さな目標」を見返してみてください。
もし達成していたら、心の中でガッツポーズをして「自分えらい!」と思いきり褒めてあげましょう。
おすすめなのは、目標を書いたスマホのメモに自分が好きな絵文字などを添えてあげることです。
毎回「小さな目標」を達成するたびに絵文字が増えていくことが、ポジティブな感情や自信へとつながっていきますよ。
ちなみに筆者は、仕事の前に「小さな目標」を立て、それが達成するたびに「さくら」の絵文字が増えていくようにしています。
周囲に左右されず、自分の中で揺るぎない「小さな達成」を積み重ねていく過程が、学習性無力感をやっつける大きな力になるのです。
自分のできている部分を評価する
仕事で無力感が強まっているときは、自分ができていないことばかりに目が向きがちです。
しかし、実際は小さなことであるにしろ、できていることもちゃんとあるはず。
「できていること」に目を向けることで、無力感にストップをかけることができます。
以下のように、小さなことで良いのです。
- 今日も朝起きて出社している
- 忘れずに出勤の打刻ができた
- 午前中にメールの返信ができた
- 上司に叱られても態度に出さず落ち着いて対応できた
おすすめなのは、「スリー・グッド・シングス」というポジティブ心理学で注目されているワークをやることです。
やり方は簡単で、1日の終わりに「できた」と思うことを3つ書き出すだけ。
ポジティブ感情を自ら作り出し、仕事で感じる無力感を予防できます。
スリー・グッド・シングスについては過去の記事でも解説しているので、ぜひ読んでみてください。
ネガティブな思考に「反論」する

仕事における無力感は、以下に記載する2つの要素が絡み合って形成されます。
- 何度頑張っても報われない状況
- 「自分にはできないんだ」という思考
状況だけでなく、自分のネガティブな思考がさらに学習性無力感を加速させてしまうわけですね。
ネガティブな思考に反論してみることで、学習性無力感に歯止めをかけることができます。
- ネガティブな思考:「自分には能力がないから、いくら頑張っても無駄だ」
- 反論:「入社して1年も経っていない。できることも少しずつだけど増えている」
上記のように、「ネガティブな思考が浮かぶ→それに反論する」という流れをセットにして、習慣化していきましょう。
これは、ほかでもなく「楽観性」のトレーニングになるんです。
一時的に学習性無力感に対応できるだけでなく、長期的にネガティブな思考を克服することにもつながります。
「コラム法」と呼ばれるワークを行うことでネガティブな思考に反論する習慣を身につけやすくなります。
過去の記事ではコラム法を習慣化するのにおすすめなアプリを紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。
従業員の学習性無力感に対応する具体的な方法

次に、「従業員が仕事で無力感に陥っている」という悩みを持つ経営者や管理的な立場にある方に向けて具体的な対処法を解説します。
職場の学習性無力感を防ぐには、従業員が自分の力を信じられる環境を作ることが大切です。
ポイントは以下の5つになります。
- 相談しやすい仕組みを作る
- ポジティブな声かけとフィードバック
- 小さな成功体験を積めるよう促す
- 行動と結果を結びつける
- 意見を受け入れる風土を作る
1つずつ解説していきますね。
相談しやすい仕組みをつくる
相談しやすい仕組みを作ることで、従業員が自分の問題や不安を早期に解決できるようになります。
「心理的安全性」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これは、自分が間違えたり困ったりしても、周囲の人が助けてくれるという安心感がある状態のことです。
調査によると、心理的安全性が高い職場では、従業員が積極的に問題を共有し、解決策を見つけやすくなると言われています。
ただ、従業員が自ら悩みを打ち明けるのは勇気がいるものですよね。
そこでおすすめなのが、「相談しやすい仕組みを日頃から作っておく」ということです。
例えば、月に1回部下と2人きりで話す時間を設けることで、従業員は悩みを相談しやすくなるでしょう。
また、従業員のことをよく観察するのも重要です。
元気がなさそうな従業員がいたら、「何か悩んでる?」と廊下ですれ違ったときに聞いてみるのも有効ですね。
ポジティブな声かけとフィードバック
ポジティブな声かけやフィードバックを意識的に行うことで、従業員は「自分の努力を認めてもらえている」と感じます。結果として、学習性無力感を予防できるわけですね。
研究によると、肯定的なフィードバックはモチベーションを高め、仕事に対する満足感を向上させることがわかっています。
逆に、否定的なフィードバックばかりでは、従業員は「何をしても無駄だ」と感じやすくなってしまうのです。
野球にあまり興味がない方には申し訳ないのですが、ワールドベースボールクラッシック(WBC)で過去に日本を優勝に導いた3人の監督を例に挙げてみます。
- 王貞治監督
- 原辰徳監督
- 栗山英樹監督
個人的に、上記3名の監督は選手に対していつも笑顔でポジティブなフィードバックを与えている印象がありました。
ネット上で「〇〇監督 指導の特徴」と検索し、AIによる回答を見てみました。結果を以下に記載します。
- 「王貞治監督 指導の特徴」
王貞治監督の指導の特徴は、選手をよく観察し、個々の長所を伸ばすことを重視し、気づきを与えることで、選手自らが考え行動することを促す点にあります。
Generative AI Overviewより
- 「原辰徳監督 指導の特徴」
原辰徳監督の指導の特徴は、選手個々の気持ちを尊重しつつ、組織としての勝利を追求する点にあります。選手を鼓舞する熱い指導と、冷静な采配を使い分けるバランス感覚が特徴です。
Generative AI Overviewより
- 「栗山英樹監督 指導の特徴」
栗山英樹監督の指導の特徴は、選手とのコミュニケーションを重視し、個々の能力を最大限に引き出すことを目指す点です。
Generative AI Overviewより
いかがでしょうか。3名の偉大な監督の特徴として「長所を伸ばす」「気持ちを尊重する」「コミュニケーションを重視する」「個々の能力を最大限に引き出す」などが目立っていましたね。
上記から、「人は肯定によって力を発揮する」という真理が見えてきます。
意見を受け入れる風土づくり
意見を受け入れる風土を作ることで、従業員は自分のことを尊重されていると感じます。
結果として、従業員の学習性無力感を予防することにつながるわけですね。
近年、ビジネスの世界では「エンゲージメント」という言葉が注目されています。
これは、企業と従業員の間の「結びつきの強さ」を表す言葉で、エンゲージメントが高いほど仕事へのモチベーションが高くなると言われているのです。
従業員の意見が尊重され、積極的にアイデアが業務に取り入れられる風土がつくられることでエンゲージメントが高まり、学習性無力感も予防できます。
学習性無力感を克服する際のポイント

仕事における学習性無力感を克服する際に意識しておくとよいポイントを以下に記載しました。
具体的な対処法を実践する際には、以下の点を意識してみてください。
- 結果より過程を重視する
- 過去の成功体験を振り返る
- 運動と睡眠の優先順位を上げる
それぞれについて、詳しく解説していきますね。
結果より過程を重視する
学習性無力感と無縁の生活を送るには、うまくいったかどうかよりも「がんばったこと」に注目する姿勢が重要です。
結果だけを見ると、失敗したときに「自分はダメだ」と全否定してしまいますよね。
しかし、頑張ったことや工夫したことは、次の成功につながる大切な力になるのです。
あなたは、「グッドルーザー(Good Loser)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは、勝負事に負けた際や失敗してしまった際に自分の至らない点を潔く認め、課題点を冷静に分析して次に活かそうとする人のことを示しています。
「どうしたらもっとよくなるか」を長い目で考えていく姿勢が、最終的には良い結果を生むのです。
過去の成功体験を振り返る

落ち込んでいるときほど、「前にうまくいったこと」を思い出すと、「またできるかも」と思えるようになります。
「気分一致効果」によると、人はそのときの感情に一致した情報を記憶しやすいことが知られています。
例えば、気分が落ち込んでいるときほど嫌なことばかりを記憶しやすくなってしまうわけですね。
また、過去の嫌だったことも芋づる式に思い出しやすくなってしまいます。
そんなときこそ、過去に「できたこと」をあえて思い出すようにしましょう。
「ネガティブの連鎖」をストップし、前を向くための原動力になってくれるはずです。
運動と睡眠の優先順位を上げる
心が疲れたときは、体を動かしたり、しっかり休んだりすることが重要です。
あまりに基本的なことなので「物足りない情報」と思った方もいるかもしれませんが、やはり基本は大事なんですよね。
- 毎日軽い運動をすること
- 1日最低7時間は睡眠をとること
上記2つを実践するだけで、人生が好転し無力感との距離がどんどん開いていきます。
大切なのは、「少しだけ」やってみることです。
- 職場に向かうとき、家に帰るときに早歩きをしてみる
- 駅でエレベーターを使わず、階段を使う
- 1日10回だけスクワットをする

運動に関しては、上記のようなイメージでできるところからはじめてみましょう。睡眠に関しても、今の睡眠時間が5時間なら、まずは「5時間半睡眠」を達成することからはじめるのもOKです!
数字は「化け物」なんです。
「今日だけならいいかな」と思って先延ばしした「洗い物」や「洗濯」も、あっという間にたまっていきませんか?
それと同じで、ポジティブな変化も「ちょっとだけ」の繰り返しが大きな結果を生みます。
「ちょっとだけ」を合言葉に、ぜひ運動と睡眠の優先順位を上げてみてください。
仕事の学習性無力感に関するよくある質問

最後に、仕事の学習性無力感に関するよくある質問に対する回答をまとめてみました。
疑問と回答を見て、明日から仕事で無力感に上手く対処するためのヒントにしていただけたなら幸いです。
学習性無力感は誰にでも起こることですか?
はい、どんな人にも起こる可能性があります。
学習性無力感は、「何をやってもうまくいかない」という経験が重なることで起きる心の反応です。
性格や能力に関係なく、誰でもそういう状況に置かれれば、無力感を感じてしまいます。
ただ、「思考のクセ」が学習性無力感を加速させるのは確かです。
前向きに考えるAさんは一度は落ち込んでもすぐに立ち直るのに対して、ネガティブに考えることが多いBさんは、一度の失敗で長期間無力な気持ちになってしまうわけですね。
「ネガティブに考える癖があるな…」と感じる方は、アプリなどを活用して「柔軟に考える練習」を続けるのがおすすめです。
過去の記事では思考を柔軟にする「認知行動療法」に基づいたアプリを解説しているので、参考にしてみてください。
パワハラが原因で学習性無力感になっている場合はどうしたら良いですか?
パワハラが原因で学習性無力感に陥っている場合、通常の対処法とは別のアプローチが必要です。
そもそもパワハラが起きている環境は「通常の状態」ではないんです。「非常事態」には、それに適した対処が必要なわけですね。
まずは、安全な場所で話せる相手を見つけましょう。そして、必要ならば専門機関や労働相談窓口に相談することが大切です。
パワハラは我慢し続けると、精神疾患のリスクが高まってしまいます。
まずは、安心して話せる場所にアクセスしましょう。
そもそも自己肯定感が低い場合はどうしたら良いですか?
自己肯定感が低い場合、「無条件」を自分に向けられるようになることが重要です。
- テストで良い点をとったら褒められる
- 言うことを聞いたら怒られない
上記のように、生育環境で常に「条件」を突きつけられてきた場合は、何かを達成しないと自分を愛せなくなってしまうことがあるのです。
大人になってからも、心の奥底には「傷ついた子どもの自分」がずっと根を下ろしているものですよね。
大人としての「冷静な自分」を活用して、少しずつ「無条件の肯定」を自分に向けていく必要があります。
自己肯定感が高い人は、「自信満々」なのではなく、「自分ってけっこういいかも」と思えている人です。
おすすめなのは、ネガティブな経験の後に「まぁ」をつけてみることです。
- 「職場で怒られた。まぁ、そんな自分も嫌いじゃないけどね」
- 「ミスをしてしまった。まぁ、そんなもんさ」
上記のようなイメージです。
自分を愛するのは簡単なことではないかもしれませんが、毎日植物に少しずつ水を与えるイメージで、育てていきましょう。
学習性無力感により気分の落ち込みが続いています。どのような専門家の力を借りるのがおすすめですか?
まずは、心の専門家である「臨床心理士」や「公認心理師」、または「精神科医」に相談しましょう。
気分の落ち込みが長引いている場合、単なる疲れではなく、うつ病や適応障害といった症状の可能性もあります。
専門家は、今の心の状態をしっかり見極め、必要なサポートを提供してくれます。
風邪をこじらせたら病院に行くように、心の風邪も放っておかず、きちんと診てもらうことが大切です。
ひとりで抱えこまず、安心して相談できる専門家のところへ行きましょう。
少し勇気がいるかもしれませんが、それは「助かりたい」と思っている自分の大事な声です。
筆者も「心理相談室Happy Feeling」というカウンセリングオフィスを運営しているので、もしよければご相談をお待ちしております。
まとめ:学習性無力感は心のSOS。自分を大切にするチャンスです。

仕事における無力感は、「怠け」や「甘え」ではなく、心と体が「今の状態ではもう限界だ」と伝えてくれている、重要なサインです。
臨床心理学の視点から見ると、無力感の背景には、過剰な自己期待、評価への不安、過労、そして孤立感などが複雑に絡み合っています。
この感情を「感じてはいけないもの」と抑え込むほど、心はどんどん疲弊していきます。
大切なのは、無力感を否定せずに見つめること。
そして、自分に少しでも優しい選択肢を与えることです。
たとえば、信頼できる人に話すこと、タスクの優先順位を見直すこと、時には専門家に相談することも、有効な手立てになります。
あなたが今感じているしんどさは、決してあなただけのものではありません。
そして、そこから立ち上がる力も、必ずあなたの中にあります。
どうか、焦らず、自分のペースで進んでください。
「無力だ」と感じたその日こそ、自分を大切にする一歩を踏み出すチャンスなのです。
