今回の記事では、親とすぐ喧嘩してしまい、関係に悩んでいる方に向けて、心理学的な解決策をいくつかご紹介したいと思います。家族は親しい存在であるが故に、つい相手に多くを求めすぎてしまい、不満を感じやすくなってしまう存在でもあります。しかし、心の奥底では、「もっと大人になりたい」「良い関係を築きたい」と思っている自分もいたりします。今回の記事のテーマは、「永遠のテーマ」といえるかもしれませんが、心理学的に有効と思われる手段を、いくつかご紹介したいと思います。
1. 物理的な距離を置く
親との関係が上手くいかず、苛立ちが爆発しそうになっている場合、まずは物理的な距離を置くことが有効です。「家を出て、一人暮らしをする」ということも有効な手段だとは思いますが、必ずしもそれだけが物理的な距離を取る方法ではないと思います。
30分~1時間ほど、家の外に出かけて近所を散歩するだけでも良いのです。そうしているうちに、冷静に自分の気持ちを眺められるようになります。自分の良くなかった点、それでもやはり、親に苛立っている点など、それぞれの感情を客観的に眺められるようになります。客観的に眺めることで、次の行動が明確になります。
2. 親と会う前に、自分の中で作戦会議をする
これは、親と会う前に行うことができるテクニックです。一人暮らしをしているなら帰省の前に、同居しているなら帰宅の前に、「今日はどのようなスタンスで親と会おうかな」と決めておくのです。例えば、将来のことについての説教が始まったら、「ありがとう!」と笑顔で言い、「でも、今はじっくりと考えを整理したいと思っているから、考えがまとまったらこっちから話すね」と返すことを決めておくのです。
この時大切なのは、親に感謝を伝えることです。「分かってるよ!うるせぇな!」などと返すと、親はかえって心配になってしまい、「どうにかしなくては」と思ってしまうわけです。「ありがとう!」と一言付け加えることで、親は安心し、「自分で考えたい」という意見を尊重してくれやすくなります。
3. 自分の感情を率直に伝える
これは、親に限らず、全てのコミュニケーションに応用できる考えです。人間関係においていざこざがある時は、自分の感情を率直に相手に伝え、どうしてほしいかを具体的に話すのが一番なのです。
これと逆の概念が、「消極的攻撃性」です。
・「別に怒ってねぇよ」と言いながら、ぶっきらぼうな態度をとる
・気分を害した時、黙ってその場を立ち去ってしまう
上記のような例が、消極的攻撃性にあたります。直接的に相手に自分の感情をぶつけることなく、間接的に、態度で怒りを示していますよね。感情を直接表現することのほうがリスキーかようにも思えますが、消極的攻撃性は問題を先送りしてしまうだけでなく、かえってコミュニケーションをこじらせてしまいます。
そんな時は、「私はとても腹が立っている」「僕はイライラしている」と、感情をそのまま言葉に出してみてください。自分も自分の感情を客観的に考えることができるようになりますし、相手も自分の本当の気持ちを理解しようとしてくれるようになります。
4. 思考と感情に共感する
思考に共感するというのは、相手が考えていることを想像し、それを言語化して伝えるということです。
「お父さんは、私の将来がどうなるのかと不安だから、大変な思いをしないようにと公務員を勧めてくれているんだよね?」
といった具合です。
次に、感情の共感をします。感情の共感は、相手がどのように感じているかを想像し、言語化して伝えることです。
「お父さんは、私が歌手を目指すと聞いて動揺しているし、怒りも感じているんだよね」
といった具合です。
このように、相手の思考と感情に共感することで、相手は「自分のことを理解してくれた」と感じるようになります。そして、人は相手が自分を理解してくれたと感じると、「今度は自分も相手を理解したい」と思うようになるのです。まず自分から理解することに徹することで、相手もきっと、心の扉を開いてくれるようになります。
5. メールで思いを伝える
面と向かって話すことも大切ですが、時に、メールで話すことが有効である場合があります。とくに、親が寡黙で、なかなか思いを話してくれない場合などには、特にこれが有効です。
親も人間なので、自分の気持ちを整理して話すことが難しかったり、つい感情的になってしまったりすることがあります。とくに、自分の考えを整理して話すことに苦手意識がある親の場合、その傾向はより強くなります。
親は「話してくれない」のではなく、どのようにしてその気持ちを表現すれば良いのか「分からない」のです。そこで、メールが大活躍してくれます。メールで自分の気持ちを表現し、親の気持ちを話すよう促すと、びっくりするくらいちゃんと返信をくれ、今まで思ってもみなかった感情に触れることができることがあります。
6. 親が「人間」であり、「灰色」であることを認める。
親は「人間」です。そして、全ての人間は「灰色」です。つまり、完璧な善人もいなければ、極悪人もいないということです。親も人間である限りは、間違ったこともたくさんするわけです。そんな完璧じゃない、「灰色」である親を認め、同じく「灰色」である自分を認めることができれば、違った世界が見えてくるかもしれません。「完璧じゃないけど、親も頑張って生きてるんだな」と思うと、不思議と感謝の気持ちが湧いてくることがあります。
7. 「愛と言う名の鎖」を抜け出すのは自分
いかがでしたでしょうか。今回の記事では、親と喧嘩してしまい、悩んでいるあなたに向けて心理学的に有効な考え方をいくつかご紹介しました。今回ご紹介した方法を実践してみて、一つでもしっくりとくるものがあれば幸いです。
最後に、「愛と言う名の鎖」という僕が考えた言葉をご紹介します。これは、親が子を愛す故に、しばりつけてしまう構図を示した言葉です。親は子を愛すゆえに鎖で縛っていますが、自分が鎖であるという自覚はありません。それに、結果的に「鎖」になってしまってはいるものの、それが「愛」であることは事実なのです。
では、この「悲劇」を抜け出すのは親と子どちらでしょうか。僕は「子」だと思います。「ありがとう」と心の中で呟きつつ、するりと「愛と言う名の鎖」をかわし、自分の目標に向かって突っ走りましょう。そうすることで、「悲劇」は結果的に「喜劇」になります。