レジリエンスとは?言葉の意味や高め方について解説します!

ポジティブ心理学

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どうも!臨床心理士のにっしーです!今日は、ポジティブ心理学から生まれた概念であり、近年ビジネスの世界でも注目されているレジリエンスについてご紹介します。レジリエンスは、とくに働く人にとって必要不可欠な能力と考えられているんです。

ポジティブ心理学に関する過去の記事はこちら!

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しかし、レジリエンスという言葉の意味や高め方について詳しく知る人は意外と少ないのではないでしょうか。

そこで本記事では、レジリエンスの意味や構成する要素高め方などについて詳しく解説します。この記事を読むことで、レジリエンスを理解して生き生きと働けるようになるためのきっかけを掴めるでしょう。

1. レジリエンスという言葉の意味

レジリエンスは、困難な状況を経験した際の精神的な回復力を示す言葉です。レジリエンス(resilience)を和訳すると「回復力」や「復元力」となるのですが、もともと物理学の中で使われていた言葉であり、外圧(ストレス)に対する抵抗力として用いられていたものが、心理学の文脈の中でも使われるようになったのです。

・仕事でミスをしてしまった

・上司から叱責されてしまった

・自分の仕事に自信を持てない

・新たな職場に馴染めない

上記のように、とくに社会人は仕事の面で精神的なストレスを抱えてしまうことが多く、ビジネスにおける「レジリエンス」の向上がとても注目されているんです。

ただ、注意していただきたいのが、レジリエンスはストレスに負けないような「鋼の心」を意味しているのではないということ。レジリエンスの全体像を理解する上でおすすめの本として「マンガでやさしく分かるレジリエンス」という書籍があるのですが、この本の著者はレジリエンスのことを「心の筋肉」と表現していました。

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筋肉というのは、ただ硬いだけでなく、「しなやかさ」や「柔軟性」が大切ですよね。実は、心の健康を保つうえでは、鋼のような強靭さよりも、筋肉のようなしなやかさが重要なのです。

2. なぜレジリエンスが注目されているのか

レジリエンスという言葉が注目されるきっかけとなったのは、1970年代・第二次世界大戦中に行われたユダヤ人大虐殺行為「ホロコースト」です。親を失った孤児たちの研究の中で、

・トラウマが原因となり生きる気力を失った人たち

・辛い経験を乗り越え、前向きに生きていく人たち

の両者がいることが分かり、両者を分ける要因として「柔軟な思考の有無」や「サポートしてくれる人の存在の有無」があることが分かり、そこからレジリエンスという概念が発展していったのです。

そして、現代社会のビジネスにおいても、「パワーハラスメント」「業務過多」「過酷な労働環境」などの課題は山積みです。また、過度なストレスにより精神疾患に陥るリスクは増え続けています。

そのような状況の中で、個人や集団のレジリエンス(=心理的柔軟性や社会的サポート)を高めていくことは、予防的観点から見ても、非常に重要と言えるのです。

3. レジリエンスとストレス耐性の違い

レジリエンスと似た言葉に「ストレス耐性」という言葉があるのですが、これらは似て非なるものです。

ストレス耐性・・自分にとって不快な刺激や環境の変化に耐える力の強さ。

レジリエンス・・問題に対して柔軟に対処し、ストレスを受け流すことも含めて、環境に適応していくこと。

両者の違いは、単に耐え忍ぶのか、上手に対処するのかの違いです。耐えることは受動的な行為ですが、レジリエンスの文脈の中で重要視されている「柔軟な思考」や「周囲のサポートを活用していくこと」は、能動的な要素が強くなっているのです。

4. レジリエンスの高め方

ここでは、レジリエンスの高め方について紹介していきたいと思います。その為には、まずはレジリエンスの構成要素について見ていく必要があります。

4-1. レジリエンスの構成要素

レジリエンスの構成要素として、主なものに以下の6つがあります。これらを高めていくことが、レジリエンスの向上に繋がるのです。

①自己認識

これは、自分自身の思考や価値観への理解を高めることです。とくに、思考がネガティブに偏ってしまっていると、落ち込んだり不安になってしまうことが増えてしまいます。まずはそういった自分の考え方の癖に気づくことで、そこから抜け出すための策を練ることができるようになるのです。

自分の思考の癖に気づく為には、認知行動療法という心理療法の中で使われている「コラム法」を使うことがおすすめです。書き方について詳しく説明している記事があるのでどうぞ(*^^*)

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②自己コントロール

嫌なことがあった時にやけ食いをした場合と、あえて身体を動かすことを選んだ場合、どちらが後の気分が良くなるでしょうか。きっと、前者は自己嫌悪に陥り、後者は気分がすっきりして夜もよく眠れるようになる確率が高まるのではないでしょうか。長期的な結果を考慮して、今の自分の行動を選択することはレジリエンスの向上につながります。

③現実的な楽観性

必要以上に、今の自分を悲観的に見てしまうことってありますよね。でも、実際は出来ていることもたくさんあるし、未来はそう悪くならないことの方が多いわけです。今自分が出来ていることをきちんと認識し、「きっと上手くいく」と考える癖をつけることで楽観性が養われ、それがレジリエンスの向上にも影響を及ぼします。

④精神的柔軟性

「失敗は絶対に許されない」「いつも完璧でいなくてはならない」「人に嫌われてはいけない」などと考えることで、自分を追い詰めてしまいます。もう少し広い視点で見て、「失敗することもあるけど、それも成長の機会になる」などと考えることで自分の気持ちも楽になりますし、実際はそのほうが上手くいくことも多いのです。

⑤自己の強みの発揮

自分の課題や弱みについてはすぐに出てきますが、強みに関しては意識しないことも多いですよね。しかし、実際は強みを活かすことで毎日がより楽しく、そして生産的なものになります。強みを活かすことは、何より自分に自信をくれるので、レジリエンスも高まりやすくなります。

自分の「強み」の見つけ方については、過去の記事でも解説しています!

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⑥人とのつながり

何か辛いことがあったとしても、自分にとって大切な人との繋がりがあれば、互いに相談し合って元気を取り戻すことができます。心理学では「ソーシャルサポートの緩衝効果」と言って、ストレスフルな出来事に遭遇したとしても、周囲に支えになってくれる人がいれば精神疾患に罹るリスクを減らすことができると言われてます。

5. レジリエンス・トレーニング

レジリエンスを高めていく為の方法として、「レジリエンス・トレーニング」というものがあります。以下に代表的なものをご紹介しますね。

ABC分析で自問自答!

私たちは、嬉しい気持ちになったり悲しい気持ちになったりなどの特定の感情を経験している時に、以下のような手順を踏んで「感情」が作り出されてきます。

A(出来事)

その感情が生じるきっかけとなった特定の出来事。

例) 仕事でミスをした

B(信念)

その出来事をどう解釈したか。

例) 何度もミスをする自分には能力がないんだ。

C(結果)

解釈の結果、生じる感情や行動。

例) 無力感に襲われ、家から出なくなる。

ここで大切なのは、B(信念)に反論することです。レジリエンスが低い人というのは、実はこの信念の部分が悲観的である人とも言えるのです。

嫌な気分になった時には即座にこのABC分析を行い、今の自分のネガティブなB(信念)に反論するようにしてみましょう。それを繰り返すことで、少しずつ柔軟な思考が育っていき、しなやかで丈夫な心が出来ていくのです。

問題解決技法

上手く行っていない時には、視野が狭くなってしまうことが多く、出来ないこと、出来ていないことにばかり目が行ってしまいがちになります。そのような時は、「変えられるもの」に目を向け、変えられるものを改善するための方法を具体的に紙に書き出してみましょう。

例えば、仕事をたくさん抱えて手がつけられなくなってしまっている時は一度落ち着いて、今の問題を打開する為の方法を紙に書き出してみるのです。

すると、「他の人に一部頼ってみる」という新たな視点が生まれるかもしれません。

ポジティブイメージ法

こちらは、どちらかと言うと即効性のあるスキルです。仕事などで嫌な気分になってしまった時、自分が好きな物な景色などを頭の中で想像してみましょう。実は、人間というのは自分が好きなものを想像するだけで、それを目の当たりにした時と同じような感情状態を脳の中で作り出すことができるのです。普段からお気に入りの写真をスマートフォンなどに保存しておき、落ち込んだ時に見るようにするのも1つかもしれません。

マインドフルネス瞑想

マインドフルネスとは、今この瞬間に意識を向け、価値判断しない心の姿勢のことを言います。これを瞑想に応用したものを「マインドフルネス瞑想」と呼ぶのですが、やり方は簡単で、楽な姿勢で腰掛け、軽く目を閉じ、自分の呼吸に意識を向けるだけでOKです。呼吸という「今この瞬間」に意識を向けるため、未来への不安や過去への執着から抜け出すことができるわけですね。これも即効性のあるスキルです。

6. まとめ

今回は、レジリエンスの概要や、高めるための方法について解説してみました。最後にお伝えしたいポイントは、「レジリエンスは誰でも、後天的に身につけることが出来る!」ということです。そもそも、自分というものは変化し続けるもの。今はネガティブに考えてしまいレジリエンスとは程遠いように感じてしまっている方でも大丈夫。少しずつ思考を柔軟にし、レジリエンスに近づけていきましょう!