- 就労移行支援の利用を検討しているが、ネガティブな書き込みが目立っていて心配
- 就労移行支援には意味があるという裏付けがほしい
上記のようなお悩みを持った方に向けて記事を書きました。
働くことに障がいを持つ方が就労準備をするサービスとして就労移行支援がありますが、時間の無駄であるなら最初から利用したくないですよね。
本記事では、実際に現場で支援を行う就労移行支援員が、就労移行支援が時間の無駄と言われてしまう理由、実際は無駄ではない理由、そして効果的に就労移行支援を利用するポイントを解説しました。
就労移行支援の利用に迷っている方は、ぜひ読んでみてください。
就労移行支援が時間の無駄と言われる理由

まずは、なぜ就労移行支援が時間の無駄と言われてしまうのか、理由を解説していきます。
個人的に就労移行支援は働きたいという意欲を持つものの、精神疾患やその他の疾患により困難を抱えている方にとって優れたサービスだと思います。
しかし、確かに「課題点」はあるので、ポイントに絞って解説していきますね。
事業所によっては就労実績が低いから
世の中には数多くの就労移行支援事業所があり、中には就労実績が低い事業所も存在します。
就労実績が低いということは、訓練を通して就労に結びつき、「働き続ける」という目的を達成できていないことを意味します。
つまり、プログラム内容や支援の質に課題があることが考えられ、時間の無駄と感じてしまうリスクが高まってしまう現状があるのです。
求人紹介が目的ではないから
就労移行支援の主な目的は「働く準備をすること」です。
つまり、求人自体を紹介してくれるわけではなく、長期的に安定して働くためのスキルを身につけられるわけですね。
就労移行支援で身につけられる主なスキルを以下に記載しました。
- 体調管理スキル
- ビジネスマナー
- PCスキル
- コミュニケーションスキル
- ストレスマネジメントスキル
上記は長期的に働くうえで特に重要度の高いスキルですよね。
逆に、基本的なビジネススキルがすでに身についており、生活習慣もすでに身についている方にとって、就労移行支援は少し物足りないと感じてしまうかもしれません。
訓練を行う必要はないものの、一般就労ではなく障害者雇用枠での就労を希望している方は、最初から「障害者雇用特化型の転職エージェント」に登録して転職活動をはじめてしまうのも1つでしょう。
おすすめの障害者雇用特化型転職エージェントに関しては、過去の記事をご覧になってください。
キャリアアップが目的ではないから
転職をして給料を上げるなど、キャリアアップを目指している方には就労移行支援は「時間の無駄」と感じてしまうかもしれません。
なぜなら、就労移行支援の目的はあくまで「長期安定就労」にあるからですね。
うつ病や適応障害、不安障害、発達障害、身体障害、知的障害などの障がいを抱えながらも、安定的に長く働き続けたいという希望を持った方にこそ向いているサービスなのです。
キャリアアップを目指したい方は、一般的な転職エージェントを活用し、より待遇の良い会社への就職を目指すのがおすすめです。
キャリアアップを目指したい方に向いている、業界大手の転職エージェントを紹介した記事もあるので、興味がある方は読んでみてください。
事業所によって支援員の質や雰囲気が異なるから
「社会保障審議会障害者部会(第134回)議事録」によると、2023年現在の全国にある就労移行支援事業所の数は3,056事業所にも上るとされています。
それだけ多くの就労移行支援事業所があれば、就労支援員にも色々なタイプの方がおり、事業所の雰囲気もまちまちであることが想像できるでしょう。
支援員や事業所が自分に合っているかどうかは、就労に向けた活動へのモチベーションに大きく影響します。毎日顔を合わせるわけですからね。
もし、自分とは合わないなと感じる事業所に通ってしまった場合、「時間の無駄」という気持ちが強くなってしまうケースもありえるでしょう。
引用:2023年1月23日社会保障審議会障害者部会(第134回)議事録|厚生労働省
給料が発生しないから
就労移行支援事業所の目的は長期就労に向けて働く準備をすることなので、位置付けとしては「訓練」であり、労働ではありません。
よって、就労移行支援事業所に通っている間は給料も発生しませんし、アルバイトも原則禁止です。
今すぐにお金が必要で稼がなければならないという方にとって、就労移行支援事業所は時間の無駄と思えてしまうかもしれません。
しかし、長期的に就労するための訓練であるので、就労を果たしてから長期的に就労できる確率が上がることを考えると、目先のお金よりも価値があるという捉え方もできるでしょう。
就労移行支援が時間の無駄ではない理由

就労移行支援が時間の無駄であると感じてしまうケースは確かにあるようです。
しかし、実際は時間の無駄ではなく、きちんとメリットがあるのも事実なので、詳細を以下に記載していきますね。
利用実績を就職先にアピールできる
就労移行支援事業所は週5日間、毎日決まった時間に通所することが奨励されています。
例えば、月曜日から金曜日まで、朝9時くらいからお昼の3時くらいまでの訓練であることが多いですね。
毎日休まず就労移行支援に通えた場合、それは就職活動を行う際にとても根拠のある実績になるのです。
とくに、障害者雇用枠での就労を目指す場合は、「休まずに勤務できるか否か」を最も重視している企業が多いです。
就労支援員にお願いして報告書を作成してもらうこともできるので、就職活動を行う際に非常に有利になります。
就労移行支援の就労実績は年々高まっている
就労移行支援事業所の中には就労実績が高くない事業所も存在しますが、報酬体系の変化により就労実績が低い事業所は淘汰されていく時代に突入しました。
というのも、就労実績が高い事業所に関しては国から事業所に支給される1日あたりの利用料の額が増えていくのに対し、就労実績が低い事業所は支給額が少なくなってしまうシステムへと移行したのです。
結果として、就労実績を維持している事業所のみが生き残るようになっているので、利用者さんにとっては就労実績が低い事業所を選んでしまうリスクが少なくなっています。
就労定着支援を受けられる
就労定着支援とは、就労移行支援事業所を利用して就職を果たした後、最長3年半に渡って就労後も支援を受けられるサービスです。
就職先で業務がストレスになってしまった際や人間関係での悩みが生じた際に、定期的に就労支援員が面談を行い、相談に乗ってくれるので安心ですね。
また、職場の関係者との意見調整等も就労支援員が行ってくれるケースがあるので、長期就労においてとても強い味方になります。
就労移行支援を利用することで就労定着率が上がる理由の一つに就労定着支援サービスがあると言っても過言ではないでしょう。
色々なタイプの就労移行支援がある
就労移行支援には、大きく分けて3つのタイプがあります。
- 総合型:ビジネスマナーやPCスキルなど、事務職等に向いたスキルを幅広く習得できる。
- 障害特化型:うつ病、統合失調症、発達障害、身体障害など、各障害についての理解を深め、就職先に説明するスキルが身につく。
- スキル特化型:プログラミングやWebデザインなど、IT系の専門スキルを身につけられる。
例えば、働くうえで基本的なスキルを身につけられる総合型が自分には物足りないと感じた方は、スキル特化型の就労移行支援を利用してIT業界への転職を目指す方向なども考えられます。
3つある就労移行支援のタイプから、自分に合ったものを選択できるのです。
就職に備えて他者と過ごすことに慣れておける
就労移行支援事業所には自分と同じく働くうえで何らかの障がいを抱えた方が集まります。
プログラムの中でグループワーク等があることも多く、他者と関わる経験を積めるのは大きなメリットと言えるでしょう。
とくに、就労していない期間では人と会うことが減ってしまうケースも多いと思いますが、いざ就労をはじめると他者とのコミュニケーションは避けては通れません。
就労移行支援事業所で他者とのコミュニケーションに「リハビリ」だと思って慣れておけば、就労後に「通っておいて良かった!」と思う瞬間が必ず来るでしょう。
時間の無駄にならない就労移行支援事業所を選ぶポイント

就労移行支援事業所が時間の無駄である理由、時間の無駄ではない理由を考慮すると、「事業所が自分に合っているか」が大切であることが分かると思います。
つまり、どの就労移行支援事業所を選ぶかが重要であるわけですね。
以下には、事業所選びをする際のポイントについて記載しました。
就労実績が高い事業所を選ぶ
事業所によって就労実績は異なり、就労実績が高い事業所ほど、サービスの質も高い傾向にあります。
また、どれくらいの割合の方が就職しているのかという「就職率」に加え、就職した後どのくらいの割合の方が働き続けているのかを示す「定着率」にも注目しましょう。
なぜなら、どんなに就職率が高くても、すぐに離職してしまっているのであれば意味がないからです。
就職率・定着率ともに高い水準をキープしている事業所は優れた支援を行っていると言えるので、各事業所のWebサイトにて就職率・定着率を確認してみるのがおすすめです。
サイト上に記載されていない場合は、見学をした際に直接支援員や現場の管理者に聞いてみると良いでしょう。
見学・体験で支援員との相性や雰囲気を確かめる
支援員との相性や事業所の雰囲気と合わない場合は通うのが苦痛になってしまい、結果として通所が滞り、就労が遠ざかる悪循環に入ってしまいます。
人との相性は実際に会ってみなければ分からないので、就労移行支援事業所選びをする際は必ず気になる事業所を中心に見学・体験を行ってください。
Webサイト上に「雰囲気が悪いです」と記載する事業所はまずありませんよね。
実際に会話し、場の雰囲気を感じ取ることによってのみ、支援員との相性や事業所の雰囲気は把握できるものなのです。
自分の目的に沿った事業所を選ぶ
就労移行支援事業所にはタイプがあるので、自分の目的とは異なる事業所に通ってしまうと、何のための時間なのかが分からなくなってしまいます。
以下に就労移行支援事業所を利用する目的と合っている事業所のパターンを記載したので、参考にしてみてください。
- 基本的な働くスキルを身につけ、事務職を目指したい
総合型の就労移行支援事業所が合っています。例えば、以下のような就労移行支援事業所が合っているでしょう。
- 発達障害があり、自分の特性について理解を深め、特性の理解を得ながら働ける環境を目指したい。
発達障害に特化した障害特化型の就労移行支援事業所が合っている。例えば、以下のような就労移行支援事業所がおすすめです。
- これまで仕事が続かず、転職を繰り返してきた。しかし、デザインや絵を描くことがずっと好きで、本当はWebデザイナーになりたい。
スキル特化型の就労移行支援でWebデザイナーになるためのスキルを身につけるべき。例えば、以下のような就労移行支援事業所がおすすめです。
上記は一例ですが、ぜひ自分が本当にやりたいこと・ありたい姿に近づける事業所を選んでくださいね。
模擬就労や企業実習に力を入れている事業所を選ぶ
就労移行支援事業所によっては、実際の職場での業務を模した環境下で、ともに訓練を受けている仲間とともに模擬的な就労を経験できる「模擬就労」に力を入れています。
とくに、事務職や軽作業系の模擬就労が行われていることが多く、就労に向けての課題点を明確にしたうえで、実践的なトレーニングを積めるメリットがあるのです。
また、就労前に自分の適性がある作業を見定める判断材料にもなるでしょう。
同様に、企業に実際に足を運び、実習生として働く体験ができるプログラムを提供している事業所もあります。
例えば、
【LITALICOワークス】やパーソルチャレンジ・ミラトレ、【atGPジョブトレ】では模擬就労や職場実習を強みとしているので、チェックしてみると良いでしょう。
就労移行支援事業所を利用する手順

自分にとって時間の無駄になることのない、目的に沿った就労移行支援を見つける際には、以下に示す利用する手順を把握しておくとスムーズでしょう。
ステップ①:自分に合いそうな就労移行支援事業所を見つける
まずは、この記事でご紹介している内容をもとに自分に合いそうな就労移行事業所を見つけましょう。
就労移行支援事業所を見つけるには、以下のような方法があります。
- インターネットで調べる
- 通院先の主治医から紹介してもらう
- お住まいの地域の役所に問い合わせる
過去の記事では安心して通うことのできるおすすめの就労支援事業所をまとめているので、ぜひ下記の記事も参考にしてみてください。
ステップ②:見学・体験に行く
気になる就労移行支援事業所をいくつかピックアップし、各事業所のホームページにあるお問い合わせフォームや電話連絡にて見学をしたい旨を伝えましょう。
見学と体験の違いを以下に記載しました。
- 見学:事業所内の雰囲気を見せてもらうとともに、担当者と面談にて現状の確認やプログラム内容等についての情報共有を行う。
- 体験:実際に利用者の1人として、プログラムに参加してみる。
多くの場合は見学をした際に体験の案内も受けるので、見学をした際にスタッフの対応や事業所の雰囲気が自分に合いそうだなと思ったら、体験に申し込んでみましょう。
見学・体験は無料で行ってくれます。
ステップ③:役所に利用申請を行う
体験の日数は就労移行支援事業所によって異なりますが、多くの事業所では3日ほど体験した後、利用の意志についてスタッフから聞かれることが多いです。
体験してみた結果「この事業所に通いたいな」と思ったら、お住まいの地域の役所に利用申請の手続きを行います。
就労移行支援の利用には「障害福祉サービス受給者証」が必要であり、受給者証を発行してもらうには役所による「認定調査」を受ける必要があるのです。
認定調査では、役所の障害福祉課の方と面談を行い、就労移行支援事業所の利用が適しているかの確認を行います。
医療機関の通院をしている場合は診断書や、持っている場合は自立支援医療の受給証明書を用意しておく必要があるので、覚えておきましょう。
また、障害者手帳を持っている方は、障害者手帳も提出する必要があります。
手続きが大変に感じるかもしれませんが、多くの就労移行支援事業所では利用申請の手順についてスタッフが丁寧に案内してくれるので安心してくださいね。
ステップ④:事業所で契約手続きを行う
最初に見学をしてから認定調査が終わり、正式に利用開始ができるようになったら、自分が通う就労移行支援事業所の責任者から契約手続きの案内があります。
初日として利用する日に、契約書や重要事項説明書などの説明を受け、サイン・印をすれば正式に利用が開始します。
認定調査が終わるまでの間は利用できないのかというとそうではなく、「実習」という扱いで訓練には参加できることも多いので安心してくださいね。
就労移行支援が時間の無駄と感じる場合は事業所変更も1つ

一度就労移行支援事業所に通ってみて、今の事業所が自分には合わないと感じた場合は事業所を変更するのも1つです。
就労移行支援の利用期限は「一生に2年間」と決められており、期間が限られているからこそ、意味のある時間を過ごしたいですよね。
プログラムの内容や事業所の雰囲気が自分とはマッチしていないと感じた場合は、早い段階で事業所を変更したほうが、限りある時間を有効に使えるでしょう。
事業所の変更を考えている方は、過去の記事でおすすめの就労移行支援事業所をまとめているので参考にしてみてください。
まとめ:就労移行支援が時間の無駄になるかどうかの鍵を握るのは事業所選び!

本記事では、就労移行支援が時間の無駄になってしまう理由、また時間の無駄ではない理由について解説したうえで、自分に合った就労移行支援事業所を選ぶポイントについても解説してきました。
一番重要なのは、自分の中で就労移行支援事業所に通う目的を明確にし、目的に沿った事業所を選ぶことです。
見学や体験は無料なので積極的に足を運び、自分に合った事業所を慎重に選ぶようにしてみてくださいね。
