- 「仕事でミスをすると、いつまでも引きずってしまって辛い…」
- 「自分を責めてしまい、仕事へ行きたくない…」
上記のようなお悩みを持つ方は、実はとても多いのではないでしょうか。
頭では落ち込んでも仕方ないと思いつつも、仕事でミスをするとつい自分を責めてしまうことってありますよね。
本記事では、仕事でミスをしてしまったときの具体的な対処法を、臨床心理士が7つに厳選してお伝えしています。
対処法は人によって向き不向きがあるので、あえて複数紹介しています。
1つずつ試してみて、しっくりきたものを自分の対処法にしてみていただけますと幸いです。
仕事のミスを引きずってしまう人の特徴

まずは、仕事でミスをすると引きずってしまう人の特徴を3つに分けて解説してみました。
特徴を知っておくことで、対策を立てやすくなるでしょう。
自分へのハードルが高い
自分に対して課しているハードルが高いと、ミスを引きずり、自信を失いやすくなります。
例えば、仕事において自分に課すハードルが高い方は以下のような考え方をしている方が多いでしょう。
- ミスは許されないもの。1つもあってはならない。
- 自分はいつでも臨機応変に、完璧な対応をしなければならない。
- 仕事において高い成果をおさめないなら、働いていても意味がない。
自分に対して、高いハードルを課すことが努力につながることもあります。
ただ、「〜すべき」「〜すべきではない」というメッセージを自分に投げかけ続けるのは苦しいですし、ミスを引きずってしまってかえって良くない結果を招いてしまうこともあるのです。
1つの失敗を「自分全体」の解釈につなげる
ネガティブな1つの出来事を全体としてとらえてしまうことを、認知行動療法という心理療法の中では「過度の一般化」と呼びます。
例えば、仕事で1つのミスをしてしまったときに、以下のように考えたことはないでしょうか?
- 「自分はいつもミスばかりしている。仕事ができない人だ。」
1つのミスで、「仕事ができない」という全体的な解釈につなげてしまっているのです。
また、「仕事ができない」にとどまらず、「自分は能力が低い」とまで一般化してしまうこともあります。
上記のように、自分を「ネガティブに」「一般化して」とらえる傾向の強い人は落ち込みやすく、うつ病等のメンタル疾患にも陥りやすいと言われています。
思考を切り替える習慣を持っていない
仕事のミスを引きずりやすい人の多くは、「思考を切り替える」という技術を習得していないことがとても多いです。
逆に、切り替えが早い人は、無意識であれ、意識的であれ、「切り替える」という作業を行っているのです。
例えば、切り替えには以下のような「思考」や「行動」が考えられるでしょう。
- 頭の中で「よし、次!」とつぶやく
- 「ドンマイ!次がんばればOKだよ!」とつぶやく
- 一度トイレに行って切り替える
- 同僚に話して発散する
ミスを引きずってしまう方の多くは、上記のような「切り替え」ではなく、むしろミスについて頭の中でグルグルと考え続ける「反すう思考」が癖になってしまっていることが多いのです。
仕事のミスを引きずってしまうデメリット

仕事のミスを引きずってしまうことをやめられない理由の1つに、「ミスを引きずる=反省している」という認識があります。
無意識に、「きちんとミスを引きずって、反省しないといけない」と思っているわけですね。
しかし、「ミスを引きずること(自分を責めること)」と「対応策を考えること」は別ものであり、前者には数々のデメリットがあります。
以下に、ミスを引きずってしまうデメリットをまとめてみました。
更なるミスを生んでしまう
仕事のミスをして落ち込んでいるとき、頭の中では以下のような思考が巡っているのではないでしょうか。
- 「なぜミスをしてしまったんだろうか…」
- 「やっぱりこの仕事向いていないんじゃないか。転職しようかな…」
- 「自分はいつもこんな失敗ばかり。これからどうしていけば…」
上記のように考えている間、「注意」のほとんどは自分の思考に向けられてしまっています。
人間は一度に複数のことに注意を向けることが難しいため、ネガティブなことをグルグルと考えている間、外の情報はインプットされずらくなってしまうわけですね。
結果として、目の前の仕事が頭に入ってこなくなり、更なるミスが増え、作業能率も落ちてしまいます。
不安を感じながら過ごすことが多くなる
仕事のミスを引きずってしまう方の多くは、「またミスをしたらどうしよう…」「同僚や上司からよく思われていないだろうな…」などと考え、仕事中も気が休まらないのではないでしょうか。
不安な状態、交感神経が優位な状態、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が増えている状態ですね。
ただ、冷静に考えてみると、1週間のうちほとんどの時間を占めている仕事の間、ずっと不安な気持ちでいるのは、良い人生でしょうか?
「不安な気持ちで過ごす時間が長い」こと自体が、実はデメリットなのです。
うつ病や適応障害などメンタル疾患や、心疾患や脳梗塞などの将来的なリスクも高めてしまいます。
ストレス過多の中仕事をしたとして、最後に被害を受けるのは自分の心と体なのです。
自尊心の低下
仕事のミスを引きずってしまう方の多くは、「仕事でミスをする=自分には価値がない」ととらえてしまう傾向になります。
実際は「自分」を構成している要素は様々であり、仕事、プライベートなど、もっと全体的なものですよね。
仕事一つとっても、得意な作業もあれば苦手な作業もあるでしょう。
自尊心が低下してしまうと気分は落ち込んだ状態で過ごすことが多くなり、今日を過ごす活力を失ってしまいます。
「仕事でミスをした」という事実と、「自分自身の価値」を紐付けてしまうのは危険な考えです。
仕事のミスを引きずってしまったときの対処法7選

それでは、仕事のミスを引きずってしまったときの対処法を7つご紹介したいと思います。
今回ご紹介している対処法は、以下の観点を大切にしています。
- 気分の改善を図る心理療法である「認知行動療法」に基づいている
- 思考と距離を置くタイプの対処法、思考と向き合うタイプの対処法どちらもご紹介
まず、認知行動療法の専門的裏付けをもとにしています。
さらに、嫌な気分への対処法には「思考と距離を置くパターン」と「思考と向き合うパターン」の両方があるのですが、どちらも盛り込まれています。
順番通りでなくても大丈夫なので、自分に合いそうなものから実践してみて、とっておきの対処法を見つけていただけると嬉しいです。
仕事のミスを引きずったときの対処法①:自分へのハードルを下げる
仕事のミスを引きずってしまう方の多くは、自分に対して高いハードルを課しています。
- 「完璧な仕事をしなければならない」
上記のように考えるからこそ、少しのミスで自分を責めてしまうわけですね。
おすすめなのは、自分に対するハードルを以下のように下げてみることです。
- 「だいたい60%くらいできていればOK!」
そもそも、仕事を「できる」「できない」と2分してしまう考えに無理があるのです。
実際は「0点〜100点」のどこかにあることが多いですし、その数字は変動するでしょう。
もし今の自分の点数が低いのなら、毎日1点ずつ上げていけば良いのです。
仕事のミスを引きずったときの対処法②:気晴らし行動
自分のミスについてグルグルと考えてしまったとき、一番手っ取り早いのは気分を切り替えられるような「気晴らし行動」を意識的に取り入れてみることです。
- 「ミスのことは考えないようにしよう・・!」
上記のように意識しても、つい考えてしまうのが我々人間のサガじゃないですか。
「考えないようにする」は難しいので、何か気晴らしになる行動を取り入れて、思考と上手に距離を取りましょう。
また、「仕事中にできる気晴らし行動」を考えるのがおすすめです。
- 深呼吸する
- 甘いものを口に入れる
- 窓の外を眺める
- トイレに行って切り替える
例えば、上記のような行動が考えられますね。
大切なのは、仕事の失敗による落ち込みを家に持ち帰らないことです。
仕事で失敗してしまったら仕事中に気晴らし行動をして、その場で発散し、切り替えましょう。
これができるようになると、「更なるミス」という悪循環を断ち切ることにもつながります。
仕事のミスを引きずったときの対処法③:マインドフルネスの習得
マインドフルネスは、もともと仏教や禅の考え方であり、以下のような「心の状態」を表しています。
- 価値判断することなく、今この瞬間に意識を向けている状態
マインドフルネス の状態にあるとき、「良い」「悪い」といった価値判断はせず、ただただ今この瞬間に意識を向けた状態、とても心が落ち着いた状態になっています。
仕事のミスをして落ち込んでいるとき、頭の中にはグルグルとネガティブな思考が渦巻いているのではないでしょうか。
- 「またやってしまった・・周囲からもよく思われていないだろう」
- 「自分は本当にダメだな。いつになればまともに働けるようになるんだ」
上記は自分に対するネガティブな価値判断でいっぱいの状態です。
日頃から「マインドフルネス瞑想」を習慣化することで、上記のような「マインドレス(雑念でいっぱいな状態)」からマインドフルネス な状態へとすぐに移行できるようになる可能性があります。
興味がある方は、マインドフルネス 瞑想について学んでみると良いでしょう。
仕事のミスを引きずったときの対処法④:失敗の「とらえ方」を変えてみる
仕事のミスを引きずってしまったとき、「失敗すること」のとらえ方を少し変えてみましょう。
例えば、以下のように考えることはできないでしょうか?
- 「失敗した分、学ぶことができた」
- 「失敗したからこそ、周囲から助けてもらえて、周囲の優しさを実感できた」
失敗は、本当に悪いものでしょうか?
実は大切なのは「失敗してからの行動」であり、失敗を通じてそれを学びに変えることができたなら、「成長のきっかけ」ととらえることもできるでしょう。
「失敗は絶対にしてはいけないもの」というとらえ方から、「失敗はその後の”成長行動”のきっかけをくれるもの」と考えてみるのは非常におすすめです。
仕事のミスを引きずったときの対処法⑤:良いこと3行日記
仕事のミスを引きずってしまったとき、そのことを「考えないようにする」のはとても難しいことです。
代わりに、「良かったこと」を考えるようにしてみましょう。
とくにおすすめなのが、「良いこと3行日記」と呼ばれるワークです。
やり方は簡単で、その日にあった良かったことを3つ、書き出すだけ。
例えば、以下のように書きます。
- なんとか会議の資料を完成できた
- ランチに食べたカツ丼が美味しかった
- 同僚との雑談に癒された
良いこと3行日記は「ポジティブ心理学」と呼ばれる心理学の一分野の中で実際に効果が認められているワークで、「ポジティブ感情」を高めることができると言われています。
ポジティブ感情が高まると心に余裕ができるので、実際にパフォーマンスが上がったり、何かに挑戦する気力が生まれたりと、非常に良いことがたくさんあります。
個人的にかなりおすすめなワークなので、ぜひ試してみてください!
仕事のミスを引きずったときの対処法⑥:過去の自分と比較する
仕事のミスを引きずっているとき、「誰か」と比較していることが多いのではないでしょうか。
先輩や同僚など、ミスが少なく、「できる人」と自分を比較して、落ち込んでしまっていることはないですか?
しかし、その方と自分を比較する必要は本当にあるのでしょうか?
他者と自分を比較することは、「終わりのないグルグル思考」の入り口です。
他者と自分を比較する代わりに、過去の自分と今の自分を比較してみましょう。
すると、成長を実感しやすくなります。
- 去年の今ごろは取引先との会話でおどおどしていたけど、今は落ち着いて話せている!
- 以前は納期ギリギリだったけど、今は計画的に仕事を進められている!
上記のように考えれば、成長を実感しながら、さらにステップアップしていきやすくなりそうですね。
仕事のミスを引きずったときの対処法⑦:再発予防策を立て、実行・検証する
仕事のミスを引きずってしまったときは、自分自身を責めることはせず、具体的な再発予防策を立てるようにしてみましょう。
- 「またミスをしてしまった。自分は本当にダメなやつだなぁ・・」
上記のように考える代わりに、具体的な再発予防策を考えてみましょう。
仕事専用のノートを作り、実際に書き出すのがおすすめです。
例えば、以下のように書き出してみましょう。
- 出来事:取引先の担当者名を聞くのを忘れてしまった
- 再発予防策:電話の受話器に付箋で「担当者名」と書いて貼っておく
失敗を、自分の能力や人格のせいにするのはナンセンスです。
「事象」としてのみとらえ、次は良い結果になるよう具体的な策を講じましょう。
そして、策を実行してみることで、結果を検証し、うまくいかないようであれば、新たな策を考えるのです。
上記のプロセスを踏むことで、もはや「失敗」という概念はなくなり、より良い仕事をするための「素材」となります。
仕事のミスを減らすためのアイデア

今回の記事では仕事のミスで落ち込んでしまったときの対処法について解説していますが、「実際にミスを減らしたい・・!」というニーズを持つ方も多いのではないでしょうか。
仕事のミスで落ち込むことはナンセンスですが、ミスを減らすためのアイデアを考えて実行することは、とても効果的です。
以下に具体的な方法を記載してみたので、参考にしてみてください。
仕事の「手順書」を作る
仕事のミスは、手順が曖昧であるときに生じやすくなります。
例えば、「セミナーの準備をする」という作業があり、毎回参加者に配布する資料などに抜けがあったとしましょう。
具体的な手順書を予め作っておくことにより、ミスの確率を極限まで下げることができるのです。
また、作業効率が上がる、脳の疲労度を下げられるといったメリットもあります。
例えば、以下のように手順書を作ってみましょう。
【セミナー の準備をする】
- 配布する資料を書き出し、全て印刷する(参加者の人数+予備の3枚)
- ホチキス止めをする
- 机の上に事前に置いておく
- パソコンにパワポのスライドを表示
- プロジェクターとつないで大画面に映す
- スライドに問題がないか確認する
- 上司に抜けがないかダブルチェックを依頼
上記のような手順書があれば、手順書の通りに作業すればミスを防ぐことができますし、自分も余計に脳を使う必要がないので楽ですよね。
手順書を作る工程が面倒に思えても、一回作ってしまえばずっと役に立ちますし、後輩に教えるときにも手順書を渡して伝えれば効率的です。
ゲーム感覚で楽しんで上記のような作業を行うことで、仕事中のポジティブ感情が高まり、安心して作業にあたれるようになります。
ミスが少ない人の真似をする
「学ぶ」という言葉は、「真似る」という言葉から派生しています。
ミスが少ない人や要領が良いと感じる人の行動を観察し、真似て自分自身に取り入れるのは、非常に良い方法です。
心理学にも「モデリング」という概念があり、対象とする人物の行動を真似て習得する方法はとても効率的であるとされています。
周囲の「できる人」は比較の対象ではなく、「モデリングの対象」と考え、とことん真似をしてみると良いでしょう。
どうしても合わない場合は転職も1つ
今回の記事でご紹介した内容を実践してもなおミスが減らない場合、根本的に以下のような問題を抱えている可能性があります。
- そもそもその仕事に興味がないので、ミスを減らすモチベーションがない
- 著しくその仕事と自分の適性が合っておらず、本来の能力が発揮できていない
上記に該当する場合、転職して環境そのものを変えるのがおすすめです。
自分の強みや興味を再認識したうえで、より合った環境を探すところからはじめましょう。
職場でのメンタルヘルスには認知行動療法のアプリがおすすめ

今回の記事でご紹介している、仕事のミスを引きずってしまったときの対処法ですが、大部分は認知行動療法という気分の改善を図る心理療法からヒントを得ています。
そして、最近では認知行動療法を自分で行えるアプリが開発されているので、活用をおすすめします。
とくにおすすめなのは早稲田大学との共同研究で作られた【Awarefy】というアプリで、今回の記事でも紹介している以下のようなワークをアプリ内で完結できます。
- とらえ方(認知)を変えるためのワーク(コラム法)
- 良いこと3行日記(スリー・グッド・シングス)
- マインドフルネス 瞑想(音声案内)
アプリ内には認知行動療法の学習コースも用意されているため、この機会に自身のメンタルヘルスをしっかり見直してみたい方にもおすすめです。
過去の記事では、心理士である私がAwarefyを実際に使ってみての感想についても紹介しているので、もしよければ参考にしてみてください。
まとめ:仕事のミスを引きずってしまうあなたへ。少しずつ取り組みましょう!

今回の記事では、仕事のミスを引きずってしまったときの効果的な対処法を、心理士の視点から解説させていただきました。
本記事で紹介している7つの対処法は、どれからやってみてもOKです。
実際に対処法を実践してみる中で、自身に合った対処法を確立していけると良いですね。
さらに、認知行動療法のアプリを活用することで、より効果的に職場でのメンタルヘルスを追求していくことができるでしょう。
