仕事のミスが気になりすぎてしまうのは不安障害が原因?臨床心理士が対処法を解説!

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  • 不安障害があり、仕事のミスを気にしすぎてしまう
  • 仕事のミスを気にしすぎてしまうことから、自分は不安障害なのではないかと気になっている
  • 不安が強すぎて、かえってミスが増えてしまっている

上記のお悩みを持つ方に向けて、臨床心理士が不安障害と仕事のミスの関係、また対処法について詳しく解説しています。

不安障害の傾向があると、仕事でミスをしてしまうのではないかと気になり、肝心な業務に集中しづらくなってしまうケースがあります。

不安障害の種類や、不安障害と仕事のミスの関係、そして対処法について解説しているので、記事を読むことで自分の不安をうまくコントロールしながら業務に臨めるようになるでしょう。

不安障害とは?種類についても解説

不安障害は、強い不安感が長期にわたって持続し、その結果日常生活に支障が出てしまうことを特徴とする精神疾患です。

不安障害には、以下に示すような種類があります。

  • 全般不安症(全般性不安障害)
  • 社交不安症(社交不安障害)
  • 強迫症(強迫性障害)
  • パニック発作およびパニック症(パニック障害)

※診断名は、最新の精神疾患の診断・統計マニュアルであるDSM-5-TRに基づいて記載しています。

不安障害の種類によって症状や対処法も異なるため、以下に詳しく解説しますね。

全般不安症(全般性不安障害)

全般不安症の特徴は、日常生活の中で様々な出来事に対する強い不安感が6ヶ月以上の間持続することです。

特定の出来事への不安ではなく、不特定多数の事柄への強い不安を感じるのがポイントですね。

以下の項目のうち、3つ以上当てはまる場合、全般性不安障害の傾向がある可能性があります。

  • 落ち着きのなさ,緊張感,または感情の高ぶり
  • 疲れやすい
  • 集中困難
  • 易怒性
  • 筋肉の緊張
  • 睡眠障害

全般不安症の治療としては、抗うつ薬や抗不安薬、また認知行動療法をはじめとした精神療法が用いられることが多いです。

引用:MSDマニュアルプロフェッショナル版

社交不安症(社交不安障害)

社交不安症の特徴は、人から注目を集めるような場面や、社交的な場面を過度に恐れ、それらを回避してしまうことです。

人から注目を集めたり、人と接することへの過度な不安は、現実に基づかない極端な思考により維持されていることが多く、以下のような治療が用いられます。

  • 精神療法(認知行動療法)
  • 暴露療法
  • 薬物療法

上記のうち「暴露療法」は、あえて不安を感じる場面に身を置くことで、自然と不安が減っていく感覚を掴めるようにする技法です。

社交不安障害は、不安を感じる場面を「回避」してしまうことにより症状が維持されると考えるため、専門家の指導のもと、あえて不安を回避せず、向き合うことで自然と不安感が軽減するよう働きかけていくわけですね。

引用:MSDマニュアルプロフェッショナル版

強迫症(強迫性障害)

強迫症は、自分で非合理と分かっていながらも頭に浮かんでくる強迫的な思考(=強迫観念)と、強迫観念を解消するために繰り返し行う儀式的な行動である強迫行為によって特徴づけられる不安障害です。

例えば、一度確認をしたにも関わらず「職場の鍵をちゃんとかけただろうか?もしかかっていなかったら大変なことになる」と考え(強迫観念)、繰り返し施錠確認することに多くの時間を使う(強迫行為)場合などが該当するでしょう。

施錠確認をきちんと行うこと自体はむしろ必要なことですが、強迫症の場合は一度確認をしたにも関わらず「やっていなかったかもしれない」と思ったり、施錠確認に多くの時間を費やしたりする「非合理性」が見られます。

強迫症の治療には、認知行動療法や暴露反応妨害法、薬物療法が用いられます。

※暴露反応妨害法は、治療者とともに不安を感じる場面をあえて再現し、少しずつ不安に自分を慣らしていけるようにする治療法です。

引用:MSDマニュアルプロフェッショナル版

パニック発作およびパニック症(パニック障害)

パニック発作は、突然強い不安感や恐怖感に襲われ、動機・めまい・息苦しさなどの身体症状が生じることを示します。

パニック発作を経験した多くの方は自分が重大な身体疾患に罹ってしまったのではないかと思い受診するものの、精神的な不安感などが原因であるため、身体的に医学的な異常は見つかりません。

例えば電車に乗っているときにパニック発作が起きた場合、「また発作が起きるのではないか」と思うようになってしまうことを「予期不安」と呼びます。

予期不安によって不安を感じる状況を避けてしまうようになることで、パニック症が維持されてしまうわけですね。

パニック発作およびパニック症の治療には、薬物療法や精神療法(認知行動療法)が用いられています。

引用:MSDマニュアルプロフェッショナル版

仕事のミスが過度に不安になってしまう自分は不安障害なの?

仕事のミスが過度に不安になってしまう方の中には「自分は不安障害なのではないか?」と疑問を抱いている方も多いのではないかと思います。

以下には、自分が不安障害なのか否かをチェックする方法を記載したので、参考にしてみてください。

精神科や心療内科を受診する

不安障害が疑われる場合、最初に行う必要があるのが精神科や心療内科の受診です。

不安障害は精神疾患の1つであるため、きちんと医師による診断を受ける必要があるわけですね。

医師は、症状やご本人の状態についての情報を診断基準や精神医学的観点をもとに集約し、最終的に診断へとつなげます。

不安障害の中でもどのような症状が出ているかによって治療法が異なり、治療に関してもエビデンスに基づいた内容を専門家により行われる必要があるのです。

上記の理由により、不安障害が疑われる場合は自己判断せず、精神科や心療内科を受診しましょう。

ポイントは、仕事や生活に支障が出ているか否か

不安障害の有無を確かめるためには精神科や心療内科の受診が必要であることはお伝えしましたが、受診のハードルが高いと感じている方もいると思います。

精神科や心療内科を受診するか否かの判断枠として重要なのは、強い不安感によって生活に支障が出ているか否かです。

例えば、仕事上で強い不安を感じているものの、業務自体には問題なく取り組むことができていたり、仕事には安定的に行けている場合は、まずは自分で不安をコントロールする方法を学んでみるのも1つかもしれません。

しかし、不安が強いことが原因で業務自体に支障が出てたり、仕事に行くことが難しくなっている場合は、「不安が生活を障害している」と捉えることができ、「不安障害」の治療が必要となってきます。

「不安により生活に支障が出ているか否か」を受診の判断枠にしてみるのもおすすめです。

不安障害が仕事に与える影響

不安障害の傾向があることにより、仕事上で様々な悪影響が生じてきます。

以下には、不安障害による仕事への代表的な悪影響を記載したので、参考にしてみてください。

仕事のミスが増える

不安障害の傾向があることにより、仕事のミスを過度に恐れるだけでなく、実際にミスが増えてしまうことがあります。

不安感が強くなっている間、その背後には必ず「不安を作り出す考え」があります。

とくに、ネガティブなことを繰り返しグルグルと考え続けることを心理学では「反すう思考」と呼んでいるのですが、仕事中に反すう思考が止まらなくなってしまうことがあるのです。

反すう思考が止まらなくなっている間、自分の注意は「思考」へと向いています。

人が一度に注意を向けられる配分は限られているので、反すう思考に注意が向いている間、業務の見落としなどが増えてしまうわけですね。

結果として、実際にミスが増えてしまうことにつながるのです。

パフォーマンスが低下して仕事への自信がなくなる

不安障害の傾向があることにより、多くの時間がネガティブな思考に占められてしまうようになります。

本当は仕事に活用されるはずの認知機能がネガティブ思考に持っていかれることになってしまい、本来のパフォーマンスが発揮できなくなってしまうわけですね。

実際に仕事で成果を出しづらくなってしまい、「やっぱり自分はダメなんだな」と更に自信を失ってしまう悪循環へとはまってしまうのです。

確認行動によりかえって業務効率が悪くなってしまう

不安障害の中でも、強迫症の傾向がある場合は、業務のミスがないかについての確認行動が過度になってしまうことがあります。

  • 「またミスをしてしまったらどうしよう」
  • 「もしかしたら見落としがあるかもしれない」
  • 「もしミスがあったら、職場の人たちの信用を失うだろう」

上記のような思考が強くなり、不合理なほどに確認行動が増えてしまうわけですね。

正確な業務のために確認は必要なことですが、何度も確認をしないといけなくなると、かえって業務効率が悪くなってしまうことがあるのです。

また、職場の人々にも異常なほど何度も確認を求めるようになると、人間関係にも悪影響が生じることがあります。

成長の機会を自ら遠ざけてしまう

不安障害の中でも、例えば社交不安症の傾向がある場合、人と交流することや、人から注目されることを恐れ、自らそういった機会を回避してしまうことがあります。

例えば、上司から新たなプロジェクトへの参加を提案されたものの、大勢の前で成果を発表しなければならない機会があることを理由に、断ってしまうケースなどが考えられるでしょう。

仮に緊張したとしても、失敗してしまったとしても、挑戦の先には何かしら学べることがあるはずです。

周囲の人たちからは「せっかくのチャンスなのになぜ断るんだろう?」と疑問に思われるものの、本人の中では「人から注目されること」が本当の不安の理由であり、その「真の理由」を他者から知られてはいけないと思い込んでしまっていることも多いです。

気分が落ち込むことが多くなる

不安障害は、うつ病を併発しやすい精神疾患であり、その理由は以下の3点です。

  • 不安障害の根本である「ネガティブな思考」は抑うつ気分にも影響を与える
  • 不安を感じながら送る日々は心身を疲弊させる
  • 不安が頭の中を占めることで、業務に集中できなくなりミスが増える

まず、不安障害を維持させる根本的な原因は「ネガティブな思考」にあり、ネガティブな思考は不安だけでなく気分の落ち込みや自尊心の低下を招くわけですね。

また、不安が強くなっている場合は特定の目標に向けて前向きに取り組むというより、「失敗しないために追われるようにして日々を送る」というパターンになりがちです。

その結果、心身が疲弊し、うつ病の発症リスクが高まってしまうわけですね。

また、いつも不安が頭の中を占めているため、「業務に集中できなくなる→ミスが増える→気分が落ち込む」という悪循環に走ってしまうのです。

職場の人間関係で悩むことが多くなる

不安障害の傾向がある場合、人間関係において「他者からどう思われているかが気になってしまう」「他者が自分を悪く思っている気がする」といった思考回路が強くなってしまうことがあります。

上記の結果、職場の人間関係においても他者の言動や行動についてネガティブに受け取ってしまうことが多くなってしまい、人間関係について悩むことが多くなります。

  • 「自分は周囲からできない人だと思われているに違いない」
  • 「あの人は自分のことを嫌っているだろう」

上記のように、根拠のないまま自分の中で悩んでしまうことが多くなり、ストレスを感じてしまいやすくなります。

疲労感が強くなる

不安障害の傾向があることにより、通常であればさほど気にならない周囲の変化が気になったり、自分自身の行動や言動に対して繰り返しネガティブに考えてしまうことが多くなります。

その結果、脳を必要以上に使うことになってしまい、業務中や業務後の疲労感がとても強くなってしまうわけですね。

疲労感が強くなることで生活に余裕がなくなり、自分が好きなことや趣味を楽しむ余裕がなくなってしまうこともあります。

身体症状や不眠に悩まされる

不安障害の傾向は、精神的な苦痛だけでなく、身体症状としても表れることがあります。

  • 肩こり
  • 頭痛
  • 腹痛
  • 不眠

不安が強くなることにより筋肉が緊張し、頭痛が生じてしまうことなども多いです。

また、メンタルと腸の機能には密接な関係があり、不安が強くなることで過敏性腸症候群などを併発することもあります。

不安感が高まることで入眠困難になったり、眠りが浅くなったりすることもあります。

睡眠不足の状態で勤務が続けば仕事のパフォーマンスも低下し、更に気分が落ち込んでしまうという悪循環を招いてしまうので、注意が必要と言えますね。

不安障害とうまく付き合うには認知行動療法の活用がおすすめ

不安障害の治療としてスタンダードなのが、薬物療法と精神療法(=認知行動療法)であるとされています。

そして、より根本的な改善につながるのが認知行動療法です。

認知行動療法では、不安のもととなっている「ネガティブな思考」についてカウンセラーと一緒に再考し、より現実的で柔軟な思考を見つけていきます。

不安のもとになっている思考(=考え方)が柔軟になることで、自然と不安を感じることが少なくなっていくわけですね。

認知行動療法では、繰り返し自分のネガティブな思考を言語化し、それをより柔軟な思考へと変えていく過程を重視します。

精神科や心療内科にて臨床心理士や公認心理士が認知行動療法を実施していたり、民間のカウンセリングオフィスにて実施されていることが多いです。

しかし、認知行動療法などのカウンセリングは保険適用外であることが多く、料金の相場は1回あたり6,000円〜10,000円ほどと、安価とは言えません。

認知行動療法の専門家が監修しているアプリである【Awarefy】を活用することで、よりリーズナブルに、本格的な認知行動療法をまずは自分で実践することが可能です。

  • いきなり精神科や心療内科を受診するのはハードルが高い
  • あまりお金をかけたくない
  • まずは、自分で不安と上手く向き合う方法を学びたい

上記のニーズをお持ちの方は、アプリを活用してみるのも1つでしょう。

認知行動療法のアプリについて、詳しくは過去の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。

不安障害の傾向がある方がミスへの不安を克服する方法

不安障害の傾向がある場合、仕事でミスをしてしまうことへの不安が強くなってしまったり、ネガティブな思考が頭の中を占めてしまったりするようになり、注意散漫になって実際にミスが増えてしまうことがあります。

上記のような悪循環を防ぎ、少しずつ不安と上手く付き合っていけるようになる方法を解説するので、参考にしてみてください。

柔軟に考える練習をする

不安障害は、どの種類の不安障害であっても「ネガティブな思考」が根本にあることが多いです。

つまり、「柔軟に考える練習」が改善にとって非常に大切なわけですね。

例えば、職場で電話応対をした際、「相手側の電話番号を聞き忘れる」というミスをしてしまったとします。

ネガティブに考えると、例えば以下のようになるのではないかと思います。

  • 「電話番号を聞き忘れるなんて、自分はなんてポンコツなんだろう」
  • 「上司に報告したら、きっと愛想を尽かされるだろう」
  • 「また失敗してしまったらどうしよう」

上記の思考には、自分を過度に苦しめてしまう特徴があります。

ネガティブに考えた結果良い方向へ行くのであればまだ良いのですが、実際はネガティブに考えた結果、必要以上に萎縮してしまい、更なる失敗を招いてしまうことも多いのです。

大切なのは、以下のように「他のより柔軟な考え方」を見つけてみることです。

  • 「電話応対では不安が高まりやすくなり、聞き逃しが増えるんだよな。何か対策を考えてみよう」
  • 「よし。電話応対で聞くべき内容のチェックリストを作り、電話がかかってきたらチェックリストを見ながら先方と話すようにしよう」
  • 「対策を考え、実施できている自分はえらい!」

いかがでしょうか。上記の思考は、現実に基づいて具体的な対策を考えているとともに、自分にとって優しい捉え方を意識しているのが分かりますね。

上記のように考えたほうが、実際に良い方向へ向かっていくことも多いのです。

アプリなどを活用し、ぜひ「現実に基づいた柔軟な思考」の練習をしてみてください。

生活習慣を整える

不安障害傾向の改善には「思考の柔軟性を高めること」が重要であることを前提としながらも、やはり生活習慣の改善は重要です。

とくに、睡眠・食事・運動の3点を改善することで脳内の神経伝達物質の働きが正常化し、安定した気分で過ごせることが多くなります。

睡眠

睡眠は「1日7時間睡眠」を基本とし、夜寝て朝起きるという正常な生活リズムを意識しましょう。

ポイントは「朝起きたら日の光を浴びること」です。朝日を浴びることで、脳内でセロトニンという神経伝達物質の分泌が促され、夜になると眠気を促すメラトニンが生成されることにつながります。

また、就寝の90分前に湯船に浸かることで、深部体温と皮膚温度の差が縮まり、深く質の良い睡眠を得られやすくなります。

寝る前にスマホなどのブルーライトを目にすることで眠りの質が阻害されるため、「本を読む」「音楽を聴く」などの行動で代用するのもおすすめです。

食事

食事は、朝・昼・夜となるべく一定の時間に摂るようにしましょう。

また、食事の内容は以下の5大栄養素をバランスよく摂るのが重要です。

  • 炭水化物(糖質):お米、パン、ジャガイモなど
  • 脂質:青魚の脂質、オリーブオイル、サラダ油、バターなど
  • たんぱく質:肉、魚、卵、チーズなど
  • ビタミン:緑黄色野菜、果物など
  • ミネラル:海藻、納豆、あさり、ししゃも、牛乳など

食事バランスが整うことで、メンタル面も安定しやすくなります。

運動

適度な運動習慣を習慣化することで、睡眠リズムが正常化しやすくなったり、自律神経が整ったりといったメリットがあります。

具体的には、以下のような運動を意識しましょう。

  • リズム運動:ジョギングなど。1日8,000歩以上が望ましい
  • 中強度運動:早歩き、ジョギングなどの軽く息が切れる運動を1日20分程度行えると望ましい。

上記の運動を、週3日以上行うことにより、メンタル面にも良い影響が生じてきます。

不安への対処法をストックしておく

仕事上で不安が高まってしまったときの対処法をストックしておくことで、いざストレス状況に陥った際に、落ち着いた対応ができるようになります。

心理学では、ストレスフルな状況に陥った際の対処法のことを「ストレスコーピング」と呼ぶのですが、ストレスコーピングを日頃からストックしておくことで、ストレスに対する反応を軽減させられると考えられています。

例えば、仕事で不安を感じたときの対処法として以下のようなものがあるでしょう。

  • 深呼吸をする
  • 水を飲む
  • 窓の外を眺める
  • お手洗いに行き気持ちを落ち着ける
  • お菓子を食べる
  • 音楽を聴く

ストレス理論によると、人がストレスを感じるまでには以下のような過程があると考えられています。

  • ストレスを引き起こす出来事→認知的評価→ストレス反応

上記図式のうち、「認知的評価」とは「ストレスに対してどのような判断をするか」を示しています。

つまり、ストレスを引き起こす出来事に対して「ストレスフルだな」と感じればストレス反応が生じますが、「大してストレスでもない」と感じればストレス反応は生じないわけですね。

「ストレスコーピング」を日頃から用意しておくことで、認知的評価にて「ストレスコーピングがあるから大丈夫」と思え、ストレス反応を減らすことができます。

業務内容を調整する

仕事で不安を感じることが多かったとしても、すべての業務に対して不安を感じるわけではなく、「不安を感じやすい業務」「あまり不安を感じない業務」の2つがあるのではないでしょうか。

例えば、「不安を感じやすい業務」として以下のような内容があったとしましょう。

  • 電話対応
  • 外部とのやりとり
  • 会議でのプレゼン

とくに、社交不安症の傾向がある場合などには、人から注目されることに対して強い不安を感じやすくなります。

上記のような場合、上司などに不安により業務に困難さが生じていることを説明し、不安が強くなる業務をなくし、その代わりに不安を感じにくい業務量を増やすなどの交渉をしてみるのも1つでしょう。

「わがままと思われるのではないか…」と不安に感じてしまう方もいるかもしれませんが、仕事に行くのがつらくなってしまうほどに特定の業務が理由で不安が強まっているのであれば、相談することで事態が改善する可能性もあるでしょう。

不安を「受け入れる」のも1つ

「不安をなくそう」と考えるのではなく、「不安を受け入れる」と考えることで気持ちが楽になり、かえって不安との付き合い方が上手になるケースもあります。

心理学でも、不安などのネガティブな感情をどうにかしようとするのではなく、受け入れることを重視した「アクセプタンス&コミットセラピー(ACT)」という心理療法が注目を集めているのです。

ACTでは、不安などのネガティブ感情を受け入れたうえで、自分の価値観に基づいた行動にコミットしていくことを目指します。

例えば、大切な友人から結婚式に招待されたものの、不安障害の傾向により、人が多く集まる場所へ行くことへの不安感が強まってしまったとしましょう。

ACTの考えに従えば、そのときに感じる不安感に関しては、「そりゃ不安に感じるよね」とあるがままに受け入れます。

その上で、自分の価値観として「友人を大切にしたい」「後悔したくない」というものがあるのだとすれば、「結婚式に出席し、友人を祝福する」という行動を遂行することにのみコミットするのです。

不安を感じても良いので、「自分の価値観にとって重要な行動」をただただ遂行していくことが重要と言えますね。

ACTに関しては過去の記事でも解説しているので、ご興味のある方は読んでみてください。

不安障害の傾向がある方が転職活動を行う際のポイント

不安障害の傾向がある方の中には、現在の仕事の中で不安感が高まりすぎてしまい、転職を考えている方もいるのではないかと思います。

不安障害の傾向がある方が転職活動を行う際のポイントは、以下の3つです。

  • 専門家に相談する
  • 不安を感じやすい場面を分析する
  • 不安障害の特徴にマッチした仕事を選ぶ

それぞれについて、詳しく解説していきますね。

専門家に相談する

不安障害の傾向がある場合、専門家に相談しながら就職活動を行うことで、自分に合った働き方を見つけやすくなります。

専門家に相談しながら就職活動を行えるサービスを表にしてみたので、以下の表を参考にしてみてください。

就労移行支援事業所・不安障害を含む精神疾患の診断を医療機関にて受けている18歳〜65歳未満の人が利用できる。
・行政による助成を受けられるため、無料または経済的負担を減らした利用が可能。
・就職活動のサポートに加え、就労スキル訓練やメンタル不調と上手く付き合うためのスキルなどを学べる。
ハローワーク・特定のスキルを身につける職業訓練を原則無料で利用できる。
・障害者雇用枠に特化した求人窓口も設置されている。
転職エージェント・キャリアアドバイザーに相談しながら就職活動を行える。
・求人紹介に加え、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策なども無料で受けられる。
・障害者雇用枠への転職に特化した転職エージェントもある。
地域障害者職業センター・精神疾患などの障害をお持ちの方に対する職業リハビリテーションを行っている。
・職業相談、職業評価をもとに、職業リハビリテーション計画を策定
・職場定着支援やジョブコーチ支援なども行っている。
障害者就業・生活支援センター・職業相談に加えて、金銭面などの生活課題の相談にも応じてくれる。
・ハローワークや地域障害者職業センターとも連携しながら安定就労に向けた支援を行っている。

上記のうち、とくに就労移行支援事業所は、行政の助成を受けながら通所できることに加え、メンタルヘルスを目的としたプログラムを受講し、メンタル面のセルフケアを行うスキルを身につけたうえで就労を目指せるのでとてもおすすめです。

就労移行支援事業所についてご興味のある方は、過去の記事も参考にしてみてください。

不安を感じやすい場面を分析する

不安障害の傾向をお持ちの方が転職を検討する場合、最初に自己分析を行うことを強くおすすめします。

とくに、「自分は業務においてどのような状況下で不安を感じやすいのか」ということについて理解を深めておくと、転職先を選ぶ際の重要なヒントになります。

  • 人前で話すことに不安を感じやすい
  • マルチタスクに不安を感じやすい
  • 臨機応変さが求められる場面で不安を感じやすい

上記のように、自分が不安を感じやすい場面を特定しておくことで、「不安を感じやすい場面が少ない職場」を選択することにつながるわけですね。

不安障害の特徴にマッチした仕事を選ぶ

不安障害と一言で言っても、不安障害の種類や個人によって「どのような仕事がマッチしやすいか」は変わってきます。

ただ、不安障害という精神疾患の特徴から考えた場合、以下のような仕事が、無理なく就労継続することにつながりやすいと言えるでしょう。

業務をルーティン化しやすい

不安障害の特徴として、「変化や不確実性に対して不安を感じやすい」というものがあります。

つまり、業務内容が日によって変わったり、就業環境が短期的に変わったりすることが多い場合、より不安を感じやすいわけですね。

業務がルーティン化されていることにより、「今日1日どのような業務を行うか」の予測が容易になり、安心感を抱きながら作業に集中することにつながる可能性があります。

マニュアルが整備されている

「他の職員の業務を見て学ぶ」といったように、業務における「正解」が曖昧であると、自分がやっていることが本当に合っているのか不安になってしまうリスクがあります。

マニュアルが整備されている会社であれば、マニュアルの通りに業務を遂行していくことができるので、安心感につながるでしょう。

作業スピードが求められる比重が少ない

どのような業務であっても作業スピードが早いに越したことはないかもしれませんが、職業によって「どの程度スピードが求められるか」は異なってきます。

不安障害の傾向がある場合、スピードを求められる比重が高いとプレッシャーを感じやすくなり、ミスが増えてしまうリスクがあります。

ミスが増えれば気分の落ち込みが強くなり、悪循環を招いてしまうでしょう。

ある程度時間に余裕を持って取り組める職業を選ぶのも1つです。

社内にメンタルヘルスの相談窓口が設置されている

社内にメンタルヘルスの相談窓口が設置されている企業を選ぶことで、仕事で不安が高まってしまった際に気軽に相談できるようになります。

匿名であるだけでなく、メンタルヘルスの相談窓口では臨床心理士や公認心理士、産業カウンセラーなどの専門家が対応してくれることも多く、重要な提案をもらえることもあるでしょう。

何より、「相談できる人が職場にいる」というのはメンタルヘルスを維持しながら働くうえでとても重要な要素です。

在宅勤務制度がある

不安障害の特徴として、「環境により不安が左右される」というものがあります。

周囲に人がいる中で作業することで「自分がどう思われているのか」気になってしまったり、機嫌が悪い同僚がいると萎縮してしまったりすることが多くなります。

在宅勤務を推奨している企業に就職すれば、自宅で作業を行えるため、環境に左右されず、業務に集中できるようになるでしょう。

不安障害の傾向がある方におすすめの働き方【パターン別に解説】

不安障害の傾向と上手く付き合いながら安定的に働いていくためのパターンを解説します。

具体的には、以下の3パターンが考えられるでしょう。

  • セルフケアを実践しながら現在の職場で働く
  • 障害者雇用枠にて就職し、配慮を受けながら働く
  • 自分に合う働き方について一度立ち止まって考える

それぞれについて、詳しく以下に解説していきますね。

セルフケアを実践しながら現在の職場で働く

不安障害の傾向がありながらも、セルフケアを実践することで現在の職場で安定的に働いていける可能性があります。

具体的には、以下の点を意識すると良いでしょう。

  • 生活習慣をより良くする
  • 柔軟な思考を実践する
  • ストレスへの対処法を意識的に実践する

まず、睡眠・食事・運動の3点を改善することにより、メンタルが安定しやすくなります。

そして柔軟なのが「柔軟な思考」です。

不安は「ネガティブな思考」により高まるため、柔軟に考える練習をしていくことで気分状態も安定してくるわけですね。

また、ストレスへの対処法(=ストレスコーピング)を意識的に取り入れることで、不安が高まる事態に遭遇しても、落ち着いて対処できるようになります。

【Awarefy】という認知行動療法をもとにしたメンタルヘルスアプリであれば、睡眠記録や柔軟な思考の練習ができる「コラム法」、ストレスコーピングのリストを作っておける機能など、不安障害の傾向をお持ちの方がセルフケアを実践しながら勤務継続していく機能が充実しています。

詳しくは、過去の記事も参考にしてみてください。

障害者雇用枠にて就職し、配慮を受けながら働く

従業員が40人以上いる民間企業であれば、「障害者雇用枠」にて社員を募集することが義務付けられています。

障害者雇用枠では、障害をお持ちの方に対して業務上の合理的配慮を行うことが義務づけられているので、配慮を受けながら働くことが可能です。

また、自分の障害をオープンにして働くため、周囲からの理解を得られやすいメリットもあります。

以下には、障害者雇用枠で働く主なメリットを記載しました。

  • 障害に合わせて業務内容を調整してもらえる
  • 周囲からの理解を得られやすい
  • 通院を目的とした有給の取得なども得られやすい

障害者雇用枠で働くには、不安障害の場合「精神障害者保健福祉手帳」を取得する必要があります。

また、障害者雇用枠での就職を目指す場合、以下のような「障害者雇用枠に特化した転職エージェント」があるので、活用してみると良いでしょう。

障害者雇用枠に特化した転職エージェントでは、不安障害などの精神疾患に関する知識が豊富なキャリアアドバイザーに相談しながら無料で就職活動をサポートしてもらえます。

また、障害者雇用枠への就職に対応した履歴書・職務経歴書の作成レクチャー、就職後のサポートも受けられるので、非常にメリットが大きいです。

自分に合う働き方について一度立ち止まって考える

不安障害の傾向がありながらも安定的に働いていくうえで「どのような働き方」が合っているのかは人により異なります。

例えば、他者と直接やりとりする機会が少ない在宅での仕事が合っている方もいれば、近くに相談できる人がいる出社形式の仕事が合っている方もいるでしょう。

重要なのは、自分がどのような場面で不安を感じやすく、どのような工夫が有効なのかを把握しておくことです。

一度まとまった時間を作り、自己分析を行ってみるのも1つかもしれません。

休職や離職中である場合は、就労移行支援事業所を利用することで支援員が一緒に自己分析を行ってくれるのでとてもおすすめです。

おすすめの就労移行支援事業所に関しては、過去の記事でも解説しているので参考にしてみてください。

不安障害と仕事のミスに関するよくある質問

最後に、不安障害の傾向と仕事のミスに関するよくある質問と回答をまとめてみたので、参考にしてみてください。

発達障害の傾向があると言われたことがあるのですが、仕事のミスがないか確認しすぎてしまうのは不安障害が理由でしょうか?

発達障害の中でも、自閉スペクトラム症(ASD)の場合は確認行動などの「こだわり行動」が見られることがあります。

しかし、不安障害の強迫症とは意味が異なってくるので注意が必要です。

発達障害の場合は「こだわり」という特性が理由で確認行動を繰り返しますが、不安障害の場合は不安という精神症状が理由で確認行動を繰り返す特徴があります。

発達障害の「こだわり」が理由で確認行為を繰り返す場合は、強迫性障害の治療というよりは、発達障害の特性理解と、対処策を検討する必要があります。

また、発達障害の中でも注意欠如・多動症(ADHD)の場合は、とくに不注意傾向が強い場合にミスが増えてしまうことがあります。

障害特性が根本にあり、ミスによる叱責などから不安障害を二次的に併発してしまうケースがあるわけですね。

上記の場合も、基本は発達特性の理解と、ミスを防ぐための工夫、周囲の配慮が重要になります。

不安障害の治療に取り組むのも重要ですが、対処策の実施と周囲の理解によりミスが減り、精神面は安定してくるケースもあります。

不安障害がある場合は障害者雇用枠を検討したほうが良いですか?

障害者雇用枠で働くことで、周囲からの理解・配慮を受けながら就労継続できるメリットがあります。

ただ、不安障害の診断を受けたからといって、必ずしも障害者雇用枠一択になるとも言えません。

重要なのは、自分がどのような場面で不安を感じやすく、どのような対処をするかを考えていくことと言えるでしょう。

今回の記事でもご紹介したアプリである【Awarefy】には、不安と上手く付き合っていくための「学習コース」なども搭載されているので、活用しながら不安との上手な付き合い方を学んでいくのもおすすめです。

不安障害とまではいかないものの、仕事中の不安が強いと感じています。受診したほうが良いですか?

仕事中の不安が強い期間が長期間続いている場合、業務に何かしらの支障が生じてしまっている可能性があります。

自身の状態を専門家に判断してもらうという意味でも、一度受診をしてみるのは有効と言えるでしょう。

精神科や心療内科では不安障害の診断を行っているので、自身の症状について医師に相談してみるのがおすすめです。

医療機関によっては認知行動療法などのカウンセリングを実施しているケースもあります。

東京都内にある、認知行動療法を実施している医療機関を過去の記事でまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

自分は管理者で、職場で不安障害があるのではないかと感じる方がいます。どのように対応するのが良いですか?

自身が管理的な立場にあり、職場に不安障害の傾向があると思われる方がいる場合、まずはご本人と面談の機会を設け、仕事のどのような点で困っているのかヒヤリングを行うのがおすすめです。

ヒヤリングを行う際のポイントとしては、「どのような業務内容で不安が高まっているのか」を聞いてみることです。

不安が高まっている業務内容を他の業務で代替することができるようであれば、話し合いの後に業務調整を行うのも1つでしょう。

また、精神科や心療内科を受診していない場合、受診を提案してみるのも重要です。

不安感が強いが故に自ら相談することが難しいケースもあるため、「1ヶ月に1回」など定期的にご本人の困りごとに関してヒヤリングする時間を設けるのもおすすめです。

まとめ:不安障害は「上手く付き合っていく工夫」が大切

今回の記事では、不安障害により仕事のミスが気になってしまうというお悩みをお持ちの方に向けて、具体的な対処法を解説しました。

不安は本来、人にとって必要な感情なので、無理になくそうと思う必要はありません。

ただ、不安が強まりすぎてしまい、生活に支障が出ることで「不安障害」という疾患名がつくわけですね。

重要なのは「上手く付き合っていく工夫」であり、今回の記事でもご紹介した「柔軟な思考の練習」や「意識的なストレスコーピング」を生活の中に取り入れてみていただけると嬉しいです。