- 最近注目されているジョブ・クラフティングについて詳しく知りたい
- ジョブ・クラフティングの具体的なやり方を知りたい
本記事では、上記のニーズに応えています。
ジョブ・クラフティングを自分や自社の業務に取り入れたいと思うものの、詳しい情報や具体的なやり方が分からないという方も多いのではないでしょうか。
ジョブ・クラフティングの概要や、具体的なやり方を詳しく解説しているので、参考にしてください。
また、個人がジョブ・クラフティングを行う具体的な方法と、企業がジョブ・クラフティングを導入する具体的な方法を分けて解説しているのが本記事の特徴です。
ジョブ・クラフティングについて理解を深め、実際の行動に移すことができるようになるでしょう。
ジョブクラフティングとは

ジョブ・クラフティングとは、自分の認知や行動を変化させることにより、業務にやりがいや面白みを感じられるよう工夫する過程を示した言葉です。
日々の業務にやりがいを持てず、モチベーションが低下してしまう問題を抱えている方は多いのではないでしょうか。
ジョブ・クラフティングが、上記のようなお悩みの突破口となる可能性があります。
ジョブクラフティングの定義
ジョブ・クラフティングは、アメリカのイェール大学経営大学院教授であるエイミー・レズネスキー准教授と、ミシガン大学のジェーン・E・ダットン教授によって2001年に提唱されました。
両者によるジョブ・クラフティングの正式な定義を以下に記載します。
個人が自らの仕事のタスク(業務境界)もしくは関係性境界においてなす物理的及び認知的変化
引用:「ジョブ・クラフティング」で始めよう 働きがい改革・自分発!〜自分で仕事にひと匙、仕事の再創造が働きがいに〜 東京都立大学大学院経営学研究科経営学専攻教授 高尾義昭著
上記の定義はやや専門的と言えますが、分かりやすく言うと、以下のようになります。
- 個人が主体的に行う
- 今現在の業務に対して変化を加える
- 「行動」または「認知(考え方)」を変化させる
ジョブ・クラフティングにおいてとくに重要なのは、自分が手動で「やりたい」と思ってやる点にあります。
会社側から言われて渋々行う場合は、ジョブ・クラフティングとは言えないわけですね。
ジョブクラフティングの効果【個人編】

ジョブ・クラフティングを自身の業務に取り入れることで、会社に勤める個人にとっては以下のような効果を見込めます。
- モチベーションが上がる
- 精神的ストレスの低減
- スキルアップにつながる
1つ1つ、詳しく解説していきますね。
モチベーションが上がる
日々の業務の中で、モチベーションが上がらない理由の1つに「やらされ感」があるのではないでしょうか。
ジョブ・クラフティングで主体的に、自分がやりがいを持てる形に業務を構築していくことで、ポジティブ感情が高まり、モチベーションが上がるわけですね。
同じ作業でも「より効率的なやり方」「よりやりがいを感じられるアイデア」を自分なりに構築していく過程そのものが楽しくなってくるのです。
精神的ストレスの低減
ジョブ・クラフティングを実践することにより、仕事中に感じるストレスを低減してくれる効果が望めます。
- 「作業をしっかり行えず怒られたらどうしよう・・」
- 「この仕事をより楽しみながら行うにはどうしたら良いだろう?」
同じ作業を行うとしても、上記のうちどちらの認識を持って取り組むかによって感じるストレスは変わってきますよね。
業務の中に主体的に「ひと工夫」加えるプロセスはポジティブ感情を増強させ、不安や怒り、憂鬱などのネガティブ感情を打ち消してくれる効果があるのです。
ジョブ・クラフティングとポジティブ感情には密接な関係があるのですが、ポジティブ心理学について学ぶことで理解しやすくなるのではないかと思います。
ポジティブ心理学についての記事も過去に書いているので、参考にしてみてください。
スキルアップにつながる
ジョブ・クラフティングは自発的な取り組みなので、自らより効率的な業務の進め方を考えたり、専門性や知識を高めるために学んだりするようになります。
結果として、自分自身の業務遂行能力を高めていけるわけですね。
また、ジョブ・クラフティングを行ううえで重要なのは自らの「強み」を業務の中で活かせるようにしていく過程です。
強みが活かせるようになることでスキルアップが加速し、自然と結果が出るようになると言えるでしょう。
ジョブ・クラフティングの効果【組織編】

社員に対して「ジョブ・クラフティングのきっかけづくり」を行うことで、組織側にとっては以下のような効果を見込めます。
- 生産性の向上
- 社内の人間関係が良好になる
- 就労定着率の向上
それぞれについて、詳しく解説していきますね。
生産性の向上
社員が自発的にジョブ・クラフティングを実践することで業務遂行へのモチベーションが高まり、結果として組織には以下のようなフィードバックが返ってきます。
- 社員の職務遂行能力が高まることで生産性が向上する
- これまでにはなかったような革新的アイデアが生まれやすくなる
- 自主的・前向きな空気感が職場内に広がりやすくなり、売り上げ等が向上する
社員の自主性が高まることで個人のスキルアップにつながるだけでなく、周囲にも前向きな仕事への向き合い方が伝染します。
結果として、会社全体の生産性が高まるわけですね。
社内の人間関係が良好になる
ジョブ・クラフティングを実践し、働く従業員一人ひとりが自主性を向上させることで、より良い業務のあり方等についてのコミュニケーションが活発になります。
また、ジョブ・クラフティングを実践している際にはポジティブ感情が醸成されやすく、社員の業務遂行時の安心感も向上するわけですね。
一人ひとりが安心して業務に取り組める環境が構築されることで、自然と人間関係も良好になり、職場の雰囲気が良くなる効果が期待できます。
就労定着率の向上
就労定着率とは、社員が離職してしまうことなく就労を継続できている率のことを示しています。
そして、離職率が高い職場の多くは、主に以下のような問題を抱えているのではないでしょうか。
- 人間関係が殺伐としており、社員の心理的安全感が低い。
- 業務過多や残業過多により社員が疲弊している。
ジョブ・クラフティングを実践することで社員一人ひとりの心理的安心感が高まり、それに伴って組織全体の安心感が醸成されていきます。
仕事にもやりがいを感じやすくなるため、結果として就労定着率の向上が望めるわけですね。
ジョブ・クラフティングが注目されている背景

ジョブ・クラフティングは、時代的背景の影響を強く受け、2010年頃からビジネスの世界で注目されるようになりました。
具体的には、以下の影響が考えられるでしょう。
- VUCA(ブーカ)時代の到来
- メンタルヘルス問題の深刻化
それぞれについて、詳しく解説します。
VUCA(ブーカ)時代の到来
VUCA(ブーカ)とは、先行きが不透明で、今後世の中がどのように変化していくのか予測がつかない時代背景を示した言葉です。
具体的には、以下の単語の頭文字を取ってできています。
- Volatility:変動性
- Uncertainty:不確実性
- Complexity:複雑性
- Ambiguity:曖昧性
今の世の中は、以下のような予測困難な事態が多数発生していますよね。
- 新型コロナウイルスの蔓延
- 地球温暖化による気候変動
- ロシアによるウクライナ侵攻
- AIの台頭
先行きが予測できない世の中だからこそ、個人が自主性を発揮し、どのような事態が発生したとしても自ら考え、行動する力が求められているのです。
ジョブ・クラフティングの実践により、社員が自主的に考える力を発揮できるようになることが期待されているわけですね。
メンタルヘルス問題の深刻化
令和4年に行われた厚生労働省による「労働安全衛生調査(実態調査)」では、以下のような結果が示されています。
過去1年間にメンタルヘルス不調により、連続1ヶ月以上休業した労働者がいた事業所の割合は10.6%(令和3年調査8.8%)、退職した労働者がいた事業所の割合は5.9%(同4.1%)
厚生労働省|令和4年労働安全衛生調査(実態調査)
10社のうち1社でメンタルヘルス不調による休職者が出ている割合であり、令和3年度の調査と比較すると、その割合が上がっていることも分かりますね。
ジョブ・クラフティングは社員一人ひとりのやりがいを醸成し、結果としてメンタルヘルスの改善にもつながります。
ジョブ・デザインとの違い

ジョブ・クラフティングとよく似た言葉として「ジョブ・デザイン」があります。
しかし、ジョブ・デザインは社員が仕事にやりがいを見出し生産性を高められるよう、組織の経営層や上司が従業員に働きかける色合いが強いのが特徴です。
従業員が主体的に業務に工夫を加えるジョブ・クラフティングとは「主体」が異なっているわけですね。
分かりやすいよう、両者の違いを表にまとめました。
| 主体となる人 | 目的 | |
| ジョブ・クラフティング | 従業員自身 | 従業員自身のやりがいや職務満足度を高める |
| ジョブ・デザイン | 経営層やマネージャーなど | 組織の生産性や業績アップ |
ジョブ・クラフティングを行うことで従業員の業務への取り組み姿勢に変化が生じ、結果として会社全体の生産性や業績アップにつながる可能性はあります。
しかし、上記はあくまで副産物的なものであり、ジョブ・クラフティングの場合は従業員一人ひとりの「主観的充実度」に重きを置いているのが分かるのではないでしょうか。
ジョブ・クラフティングの3つの視点

ここからは、ジョブ・クラフティングのより具体的な内容について解説していきます。
ジョブ・クラフティングには以下に示す「3つの視点」があり、それぞれについて理解を深めておくことが、実践に役立つでしょう。
- 作業クラフティング
- 人間関係クラフティング
- 認知クラフティング
以下にて、それぞれについて詳しく解説します。
作業クラフティング
作業クラフティングは、具体的な業務内容を工夫することで効率性を高めたり、自分の強みを現在の業務に活かせるようにしたりする過程のことを示しています。
例えば、以下のような実践例が考えられるでしょう。
- 業務の手順に変更を加える
- 自分の強みを活かせる形に業務をアレンジする
- To Doリストを活用する
- より効率的に業務を進められるようツールを作成する
- 自分のスキルアップにつながる業務を取り入れる
- 業務の優先順位をつけ、不要な業務に関しては削除の有効性を上司に提案する
作業クラフティングにおいては「ムリ・ムダ・ムラ」をなくすために具体的な方法を考えたり、新たな視点を業務に取り入れることが主な取り組み内容です。
大切なのは、上記のプロセスを主体的に楽しみながら実践していくマインドと言えます。
人間関係クラフティング
人間関係クラフティングは、主体的に職場の人々との関わり方に変化を持たせる方法です。
具体的には、以下のような取り組みが考えられるでしょう。
- 上司や同僚と共通の話題などを通して仲を深める
- 普段は交流のない他部署の人とコミュニケーションを積極的に取る
- お客様との会話において「会話を楽しむこと」を意識する
- 新たなプロジェクトを一緒に進行するよう提案してみる
上記のような取り組みの他に、「相手の目を見て笑顔で挨拶してみる」「ランチに誘ってみる」など、より気軽に行える取り組みを実践してみるのも良いでしょう。
人間関係クラフティングは他者を巻き込むジョブ・クラフティングであることも関係し、職場環境にも良い影響が及びやすい側面を持ち合わせています。
認知クラフティング
認知クラフティングとは、仕事への捉え方(=認知)や自分の仕事が社会に対して与える意義などを見直すことを示しています。
具体的には、以下のような取り組みが考えられるでしょう。
- 自分の仕事が世の中に与えている意義について考えてみる
- 自分の会社が掲げているビジョンの中でもより共感できる部分を見つけ、ビジョンをもとに行動してみる
- 自分がお客さんに対してどのような価値を提供しているのか考えてみる
認知クラフティングを行うことで、業務を「やらされている」という受動的な姿勢から、「自分に何ができるだろうか」という主体的な姿勢へと変化させることができます。
結果として、仕事に対してモチベーションを感じやすくなるわけですね。
ジョブ・クラフティングの具体的なやり方【個人編】

いよいよ、ジョブ・クラフティングの具体的なやり方を解説します。
まずは、個人(従業員自身)が行えるジョブ・クラフティングから紹介していきますね。
具体的には、以下4つのステップになります。
- 業務の棚卸し
- 自分の強み・価値観の棚卸し
- 業務と強み・価値観のマッチング
- アクションプラン
詳細を、1つ1つ解説していきます。
ステップ①:業務の棚卸し
ジョブ・クラフティングの実践で最初に行うのは、業務の棚卸しです。
現在の仕事の中で自分が取り組んでいる業務を、紙に箇条書きで細かく書き出していきましょう。
例えば、以下のようになります。
- 朝礼の進行
- 取引先からのメールの確認
- 取引先からのメールの返信
- 会議室のアポイント
- 会議を行うメンバーへの事前周知
- 会議の進行
- 会議の議事録作成 ..etc..
ポイントは、よりエネルギーを使う重要度の高い業務から、すぐに終わる細やかな業務まで、網羅的に業務内容を書き出すことです。
一通り書き出したら、それぞれの業務に要している時間やエネルギーなどについて考えてみましょう。
付箋に1つずつ業務を書き出し、要しているエネルギーや重要度順に業務を並べかえてみるのもおすすめです。
ステップ②:自分の強み・価値観の棚卸し
次に、自己分析を通して自分自身の強みや価値観の棚卸しを行います。
以下のような点に着目して考えてみると良いでしょう。
- 強み:自分が得意な業務はどんな業務か?その業務を行っている時、自分のどのような強みが活かされているか?
- 価値観:仕事を行ううえで、自分はどのような考え方を大切にしていきたいと考えているか?
強みや価値観に関してはある程度抽象化し、最終的に3〜7つ程度に絞るのがおすすめです。
例えば、以下のようになるでしょう。
<強み>
・新たな知識を学ぶことが好き
・丁寧に他者と関わることができる
・文章を書くことが得意
・ユーモアセンスがあると言われる
<価値観>
・何かを「創り出す」ことに価値を感じる
・相手を尊重すること
・誰にでも優しくありたい
自分の強みの見つけ方については以下の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。
ステップ③:業務と強み・価値観のマッチング
いよいよ、ここからは最もジョブ・クラフティングらしい取り組みを行っていきます。
「①業務の棚卸し」「②自分の強み・価値観の棚卸し」で書き出した内容をそれぞれ対応させて、どの業務に、自分のどのような強みや価値観を活かしていくかを考えていきましょう。
例えば、以下のように考えられます。
- 朝礼の進行(ユーモアセンス)
→朝礼で一言「最近の面白かったこと」を話し、職場の雰囲気を和らげる。
- 取引先からのメールの確認(丁寧に他者と関わることができる)
- 取引先からのメールの返信(文章を書くのが得意)
→返信をする際に、相手を労う一言や挨拶を加えて信頼関係構築につなげる。
- 会議室のアポイント(丁寧に他者と関わることができる)
- 会議を行うメンバーへの事前周知(誰にでも優しくありたい)
→会議の周知を行う際には皆にメールを送り、リマインドを行う。
- 会議の進行(丁寧に他者と関わることができる・文章を書くのが得意)
→会議の進行案を事前に作っておき、それを見ながら効率的に会議を行えるようにする。
- 会議の議事録作成(文章を書くのが好き・何かを創り出すことに価値を感じる)
→会議の議事録をとった後、議事録を読んでみて思ったことや、アイデアなども追記してみる。(次の会議の新たな切り口になるかもしれない)
上記の黒字が業務内容、緑字が自分の強みや価値観、そして赤字がジョブ・クラフティングの一例です。
このような作業を行う際に重要なのは、自分自身の強みや価値観を活用して、自分が少しワクワクしてくるような感覚になることです。
また、業務の優先順位を変えてみたり、新たな業務を追加してみたり、逆に不要と感じた業務は削除できないか検討してみるのも良いでしょう。
ステップ④:アクションプラン
最後に行うのが、アクションプランです。
アクションプランとは、実際に行動を起こすことを示しています。
具体的には、以下の項目に沿ってアクションプランを立ててみると良いでしょう。
- 具体的なアクションを「いつ」「どこで」「どのように」行うのか
例)水曜日の定例会議にて、事前に進行表を作成してメンバーに配布する。
- アクションを起こす障害となり得るものはどんなものか?
例)いきなり進行表を配布したら、メンバーが驚いてしまうかもしれない。
- 障害に対してどのような対策を施せるか?
例)事前に上司に進行表を見せ、了承をもらう。メンバーにはあくまで試作的な取り組みであることを伝え、進行に変更点はないか事前に配布し確認しておく。
そして、アクションを起こした後には必ず自分の中でフィードバックを行い、今回の改善点や次回のアイデアへとつなげることが重要です。
周囲にも自分の取り組みついての感想を聞いてみることで、周囲と調和しつつジョブ・クラフティングを実践できるようになります。
ジョブ・クラフティングの具体的なやり方【組織編】

次に、経営者やマネージャーなど、組織側の方が従業員に向けてどのようにジョブ・クラフティングを促していくのか解説します。
具体的には、研修を行うことにより従業員がジョブ・クラフティングを行う「きっかけ」を作っていくことがおすすめです。
以下には、研修例を記載しました。
ジョブ・クラフティングの研修ステップ①:座学で理解を深めてもらう
まずは、プロジェクター等を用いて、ジョブ・クラフティングの概要や、ジョブ・クラフティングに取り組むメリットなどを座学形式で学んでもらいます。
とくに、以下に示すジョブ・クラフティングの3つの視点を理解してもらうと良いでしょう。
- 作業クラフティング
- 人間関係クラフティング
- 認知クラフティング
研修に参加するメンバーは、中堅層なら中堅層同士、新人なら新人同士で構成するのがおすすめです。
ジョブ・クラフティングの研修ステップ②:グループワーク
一通りジョブ・クラフティングについての理解を深めてもらったら、今後は架空事例をもとにグループワークを行ってもらうと良いでしょう。
1グループは4名ほどで構成し、例えば以下のような事例を活用するのがおすすめです。
- 「中堅社員のAさんは、取引先との会話を行った後記録を記入する作業をとても憂鬱であると思っており、なかなか作業に集中できずにいます」
従業員にとってしっくりとくる例題は職種や会社によって異なるため、より自分の会社の従業員がしっくりとくるような例題を考えてみると良いでしょう。
上記のような例題に対して、「作業クラフティング」「人間関係クラフティング」「認知クラフティング」を行うとしたらどのような取り組みが考えられるかを検討してもらい、グループ内で共有してもらうのがおすすめです。
ジョブ・クラフティングの研修ステップ③:業務内容と自分の強み・価値観の紐づけ
最後は個人での取り組みとなります。
具体的には、本記事の「ジョブ・クラフティングの具体的なやり方【個人編】」にて紹介したワークを、研修参加者に行ってもらいましょう。
- 業務の棚卸し
- 自分の強み・価値観の棚卸し
- 業務と強み・価値観のマッチング
- アクションプラン
上記の4ステップでしたね。
アクションプランまで考えてもらったら、内容をグループワークにて共有し合うのも良いでしょう。
お互いの発表の良いと思ったところを話し合うなど、肯定的な場となるよう留意することが大切です。
ジョブ・クラフティングの研修ステップ④:フィードバック
1回研修を行っただけで、ジョブ・クラフティングを従業員に根付かせてもらうことは困難です。
日々の業務の中でジョブ・クラフティングのPDCAを回していく中で、徐々に主体的に業務をアレンジしていくマインドが育つわけですね。
研修終了後、期間を空けて研修実施者や上長とのフィードバックの時間を作ると良いでしょう。
以下の項目について話し合うのがおすすめです。
- アクションプランを実践する中で気づいたことはあるか
- 課題点や、今後に活かせそうなポイントはあるか
- ジョブ・クラフティングを実践する中でどのような気持ちを経験したか
フィードバックをきちんと行うことで、研修で学んだことを次に活かすことができるようになるでしょう。
ジョブ・クラフティングとメンタルヘルスの関係

ジョブ・クラフティングを行うことは業務に対する主体的な姿勢を育み、最終的には生産性を高めることにつながります。
しかし、ジョブ・クラフティングを行うことのメリットは生産性の向上だけでなく、個人のメンタルヘルス向上にも貢献してくれるのです。
具体的には、以下の構図が考えられます。
- ジョブ・クラフティングを実践→ポジティブ感情の醸成→メンタルヘルス改善
ジョブ・クラフティングを行いつつ、自身の思考や感情の変化を記録していける媒体としておすすめなのが、
【Awarefy】と呼ばれる認知行動療法をもとにしたアプリです。
ジョブ・クラフティングを行いながら、自身のものの捉え方(=認知)や行動の変化を感じやすくなるでしょう。
認知行動療法を自分で行えるアプリの活用はとてもおすすめなので、以下の記事も読んでみてください。
ジョブ・クラフティングの実践例

ジョブ・クラフティングを実際に企業が実践している例として、東京ディズニーリゾートによる「カストーディアルアート」をご紹介したいと思います。
東京ディズニーシーでは清掃やゲストの案内を行うスタッフとして「カストーディアルキャスト」が配置されています。
彼らの役割はもちろんパーク内の清掃やパークに訪れた人々への道案内ですが、「より多くの人に楽しんでもらいたい」「良い思い出を作ってもらいたい」という思いから、ほうきを筆がわりに、水を絵具がわりにしてパーク内にディズニーキャラクターの絵を描く取り組みを行っているのです。
カストーディアルアートは東京ディズニーリゾートが公式に行っている取り組みではなく、あくまでカストーディアルキャストが自発的に行っている取り組みであることは、注目に値します。
まさに、ジョブ・クラフティングの実践例と言えますね。
引用:東京ディズニーシーでしか見ることができない、水で描くサプライズ☆|東京ディズニーリゾート
ジョブ・クラフティングを行う際の注意点

ジョブ・クラフティング実践の際には、いくつか注意点があります。
以下に詳しく解説するので、参考にしてみてください。
上からの押しつけにならないよう気をつける
ジョブ・クラフティングはあくまで従業員自身が主体的に行う取り組みであり、目的も従業員自身の主観的満足感の向上にあります。
上記の点を履き違えてしまい、上司が従業員にジョブ・クラフティングの実践を押しつけてしまうと、逆に従業員のモチベーションが下がってしまうこともあるので注意しましょう。
また、従業員が自発的にジョブ・クラフティングを実践している際は、より実践をしやすいようサポート役に徹する視点が重要です。
「従業員は自ら成長していけるんだ」というマインドを持ち、見守る姿勢を保つことが重要と言えます。
業務の属人化に注意する
業務の属人化とは、特定の個人にしかできないような業務が増えていってしまう状況を示しています。
ジョブ・クラフティングは従業員一人ひとりが主体的に自らの業務内容をアレンジしていく取り組みであるため、業務の属人化と隣り合わせである側面があるのです。
ジョブ・クラフティングで実践したことを周囲の職員同士で共有し合う場を設けることで、業務の属人化を防ぐことができるでしょう。
チームワークを必要とする業務には向かないこともある
ジョブ・クラフティングは基本的には個人で行う取り組みなので、チームワークを必要とする業務の中で行う場合、全体的な取り組みとの不協和を生んでしまうリスクがあります。
チームで行う場合は標準的な手順を行うことがより効率的な業務の進め方につながることもあるので、「チームで行う標準的な業務」「ジョブ・クラフティングの実践が有効な業務」の2つを分けて考えることが重要と言えます。
一度やってみて終わりにならないよう気をつける
ジョブ・クラフティングは、P(Plan)→D(Do)→C(Check)→A(Action)を繰り返していく過程の中で、徐々に身につけていけます。
一度ジョブ・クラフティングを実践してみただけで満足し、取り組みをやめてしまうと、長期的なジョブ・クラフティングの恩恵を受けることにはつながりにくくなってしまいます。
長期的な視点を持ち、繰り返し「ジョブ・クラフティングの実践→フィードバック」の手順を行っていく姿勢が重要です。
ジョブ・クラフティングに関するよくある質問

最後に、ジョブ・クラフティングに関するよくある質問と回答をまとめてみたので、参考にしてください。
ジョブ・クラフティングを行ってもあまり効果を感じません
ジョブ・クラフティングを一度実践してみても、業務へのやりがいやパフォーマンスが高まっていると感じにくい場合もあるでしょう。
ジョブ・クラフティングは長期的な視点でPDCAを回し、「主体的に業務に取り組んでいるんだ」というマインドを自分の中に根付かせていくことが重要です。
焦らず、「変化を楽しむ気持ち」を大切にしながら取り組んでいくのがおすすめです。
必要性の感じられない業務を減らしたり、ストレスになっている人間関係から距離を置くことはジョブ・クラフティングに含まれますか?
日本におけるジョブ・クラフティングの第一人者である高尾義昭教授による書籍では、以下2つのジョブ・クラフティングが紹介されています。
- 拡張的クラフティング:業務や人間関係を拡げていくタイプのジョブ・クラフティング。
- 収縮的クラフティング:業務や人間関係を収縮させるタイプのジョブ・クラフティング。
上記を見ると、業務内容や人間関係を減らすのは「収縮的クラフティング」に該当し、立派なジョブ・クラフティングであることが分かりますね。
業務や人間関係を減らすことでより効率が高まったり、モチベーションの向上につながったりする場合は、収縮的クラフティングに取り組んでみるのも1つでしょう。
引用:「ジョブ・クラフティング」で始めよう 働きがい改革・自分発!〜自分で仕事にひと匙、仕事の再創造が働きがいに〜 東京都立大学大学院経営学研究科経営学専攻教授 高尾義昭著
ジョブ・クラフティングは個人が主体的に行うものなのに、組織から促されるのは矛盾ではないですか?
確かに、ジョブ・クラフティングは従業員一人ひとりが主体的に「やりたい」と思ってやることが重要なので、組織側から促されること自体が矛盾であると言えますね。
ただ、ジョブ・クラフティングという言葉自体が従業員にあまり知れ渡っていないのも事実ではないでしょうか。
筆者としては、個人がもっと「ジョブ・クラフティング」という言葉に接触できるようになると良いと感じます。
組織側に求められる姿勢は、個人の主体性と成長を尊重し、ジョブ・クラフティングを行う「きっかけづくり」に徹することであると言えるでしょう。
まとめ:ジョブクラフティングのやり方を理解し、とにかくやってみよう!

今回の記事では、近年注目されているジョブ・クラフティングの概要や効果、具体的なやり方について解説してきました。
- 個人がジョブ・クラフティングを実践する方法
- 組織がジョブ・クラフティングを従業員に促す方法
上記を分けて解説したので、個人・企業の双方にとってメリットのある記事になったのではないでしょうか。
ジョブ・クラフティングについて詳しく解説してきましたが、やはり大切なのは「アクション」を起こしてみることです。
上手くいくか否かは置いておき、まずは1つ、ジョブ・クラフティング実践のための具体的なアクションを起こしてみることがおすすめです。
