- 就労定着支援は「いつから」開始されるサービスなのか明確に知りたい
- 就労定着支援の利用期間、利用料金、手続きの流れなどについて詳しく知りたい
本記事では、上記のお悩みに120%応えます。
就労定着支援は、障害をお持ちの方の長期就労のサポートを目的として2018年に開始された障害福祉サービスです。
ですが、「就職・復職後にサービスが開始されるタイミングが分かりづらい」と感じている方もいるのではないでしょうか?
現役の就労支援員であり、就労定着支援も行っている筆者が上記について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
就労定着支援自体の概要についても解説しており、後半では就労定着支援事業を行っているおすすめの就労移行支援事業所についてもお伝えしています。
この記事を読めば、就労定着支援について明確に理解でき、確実に次の行動につながるでしょう。
就労定着支援はいつから始まるサービス?
まずは、就労移行支援がどのタイミングから始まるサービスなのか、明確にお伝えしていきたいと思います。
下記に示した「就労定着支援」「就労定着支援事業」の違いを知ることによって、より分かりやすくなるでしょう。
就労定着支援の開始時期がわかりづらい理由
就労定着支援の開始時期がわかりづらい理由として、障害福祉サービスについてくる「就労定着支援」、新たに利用申請を行う必要がある「就労定着支援事業」という2つの就労定着支援の形態があることが挙げられます。
それぞれについて以下の表に詳しく記載しました。
就労定着支援 | 就労移行支援、就労継続支援、自立訓練、生活介護などの障害福祉サービスを利用して就職・復職した後、6ヶ月間は無償で受けられるサービス。 |
---|---|
就労定着支援事業 | 就職・復職後6ヶ月以降も就労定着支援サービスを継続したい場合に、新たに利用申請を行うことで最長3年間に渡り受けられるようになる障害福祉サービス。 |
「就労定着支援」に関しては上記に示したような障害福祉サービスを利用して就職した方であれば、どなたでも無条件に利用できるのに対し、「就労定着支援事業」に関しては新たに役所に利用申請を行う必要があるという違いがあるわけですね。
そして、「就労定着支援」と「就労定着支援事業」では開始時期が異なります。
「就労定着支援」の利用開始は就労1ヶ月目から!
「就労定着支援」に関しては、就労移行支援、就労継続支援、自立訓練、生活介護などの障害福祉サービスを利用して就労・復職した後、1ヶ月目から6ヶ月目までの間に受けることができます。
サービスの利用料は無料であり、上記に示した障害福祉サービスを利用して就職・復職した場合、原則「就労定着支援」を受ける必要があります。
また、「就労定着支援」は各種障害福祉サービスについてくるものなので、特別な利用申請などは必要ありません。
「就労定着支援事業」の開始は就労7ヶ月目から!
就労移行支援、就労継続支援、自立訓練、生活介護などの障害福祉サービスを利用して就労(復職)した後、6ヶ月以降も就労定着支援を継続して受けたい場合、「就労定着支援事業」への申し込みを行う必要があります。
「就労定着支援事業」を利用するかどうかは任意ですが、長期就労を目指す場合は利用しておくメリットが大きいと言えるでしょう。
就職・復職後7ヶ月目から、最長3年間に渡って就労定着に関する支援を受けることができます(1年ごとに契約更新の必要あり)。
就労定着支援事業を利用する場合は役所に利用申請を行う必要があり、利用料も1割負担で発生することになります。
また、「就労定着支援」と支援内容は同様であり、多くの場合、もともと利用していた福祉施設の支援員が「就労定着支援事業」も継続して担当することになります。
まとめると、「就労定着支援」は就職・復職後1ヶ月目から開始され、6ヶ月以降も継続したい場合、「就労定着支援事業」の利用申請を行う必要がある、と覚えておきましょう。
そもそも就労定着支援とは?
就労定着支援は、障害をお持ちの方が就労移行支援等の福祉サービスを利用して就職・復職した後も、長期就労を果たせるようにサポートすることを目的として創設された障害福祉サービスです。
就労定着支援の創設が検討されるようになった背景として、「障害者の職場定着率の低さ」が課題となっていたことが挙げられます。
以下に、2016年に厚生労働省が発表した障害ごとの「1年後職場定着率」を記載しました。
- 発達障害者:71.5%
- 知的障害者:68.0%
- 身体障害者:60.8%
- 精神障害者:49.3%
上記の結果を見ると、とくに精神障害者に関しては、就職した1年後には半数以上の方が離職してしまっていることが分かりますね。
上記のような課題に対応するため、2018年の障害者総合支援法改定に伴い新たに創設されたのが、「就労定着支援事業」です。
就労定着支援で受けられる主なサービス内容
就労定着支援は、以下に示すようなニーズを持つ方に適したサービスです。
- 就労移行支援等の福祉サービスを利用して就職・復職したが、また体調を崩してしまうのではないかと不安。
- 仕事がなかなか覚えられず、ミスを連発してしまう。
- 職場の上司や同僚とのコミュニケーションが不足しており働きづらい。
- 生活リズムが崩れており、遅刻や欠勤を繰り返してしまう。
- お金の管理が難しく、散財してしまう。
上記のような問題は放置してしまうと症状の悪化へとつながり、離職する確率が高まってしまいます。
そのような事態を予防するため、就労定着支援では経験豊富な就労支援員が以下のようなサポートを行ってくれます。
就労支援員との定期的な個別面談
就労定着支援の担当者となるのは、通っていた就労移行支援事業所等で担当してくれていた支援員であることが多いです。
最低月に1回のペースで2者面談を行い、会社での悩み事や生活習慣、プライベートでのストレスの有無などについて、丁寧に話を聞いてくれます。
その上で、現在の問題に対処するためのアドバイスや提案を専門的な立場から行ってくれます。
- 勤務時間後や休日に、通っていた就労移行支援事業所等に足を運んで面談を行う
- 自分が働いている会社に就労支援員が来てくれて、個室等で面談を行う
上記のいずれか、希望に応じて対応してくれることが多いので、相談しやすいタイミング、場所を就労支援員に伝えるのがおすすめです。
就労先企業の方との間に入ってくれる
ご本人と就労支援員で面談を行うだけでは解決せず、職場の人に対して直接介入する必要があるケースも考えられますよね。
例えば、以下のようなケースが考えられるでしょう。
- 今いる部署の人間関係が悪化しており、部署変更をお願いしたい。
- 現在の仕事内容が自分とマッチしておらず、他の働き方を模索したい。
- 職場の方々とのコミュニケーションが不足してしまい業務に支障をきたしている。
上記のような場合、相談者の希望に応じて、就労支援員が企業側に働きかけを行い、より働きやすい環境となるよう調整に入ってくれます。
「一方的にこちらの希望を伝える」というよりは、支援員自身が企業関係者との信頼関係を築き、お互いが働きやすくなるよう「調整」してくれるイメージですね。
私自身が就労定着支援を行ってきた中で、企業との調整が「長期就労」に与える影響は非常に大きいと思っています。
ご家族、医療機関や各種関係機関との連携を行ってくれる
就労定着支援では、必要に応じてご家族、通院先の医療機関、その他関係機関との連携も行ってくれます。
ご家族は家庭内での様子や利用者さんの幼少期から続く性格等についてよく知っており、医療機関の主治医は医学的な見地からの意見を持っています。
各関係機関の考え方・支援方針を就労定着支援員が聞き取ることで、総合的な判断ができるようになるわけですね。
上記に示した3つの支援内容自体は、就労後1ヶ月〜6ヶ月までの「就労定着支援」と、7ヶ月目から最長3年間続く「就労定着支援事業」で違いがあるわけではありません。
就職・復職後1ヶ月目から無償で行われる就労定着支援を半年以上継続する場合、福祉サービスの枠組み内で行われる「就労定着支援事業」になると認識を明確にしておきましょう。
就労移行支援・就労定着支援・就労継続支援の違い
今回の記事では「就労定着支援(事業)」を中心に解説していますが、「就労移行支援」や「就労継続支援」との違いがよく分からない方も多いのではないでしょうか。
上記3つの違いを認識していると障害福祉サービスを選びやすくなるので、ここで少し理解を深めておきましょう。
就労移行支援・就労定着支援・就労継続支援(A型・B型)の目的、利用対象者、利用期間を以下の表に記載しました。
目的 | 利用対象者 | 利用期間 | |
就労移行支援 | 一般就労(障害者雇用枠を含む)への就職を目指して訓練を行う。 | 障害をお持ちで、障害者雇用枠を含む一般就労を目指す18歳から65歳までの方。 | 原則最長2年 ※必要性が認められた場合は最長1年間の延長可能。 |
就労定着支援(事業) | 一般就労(障害者雇用枠を含む)を果たした利用者さんの長期就労をサポート。 | 就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)、生活介護等の障害福祉サービスを利用して就職した方。 | 就職7ヶ月目〜最長3年間 ※福祉サービスについている就労定着支援があるので、実質就職1ヶ月目から3年6ヶ月まで。 |
就労継続支援(A型・B型) | 作業所をはじめとした「福祉就労」を通して、利用者さんに働く機会を提供。 | 一般就労が困難と思われる障害をお持ちの方。 | 利用期間の制限なし |
就労定着支援は、就労移行支援を中心とした障害福祉サービスを利用して就職した方の職場定着を目的としたサービスであるわけですね。
就労移行支援は一般就労を目指して「就職」や「復職」を目指して訓練をするサービス、就労継続支援は一般就労が難しいと思われる方が「福祉就労の機会を得られる」サービスです。
就労定着支援の利用対象者
「自分は就労定着支援の利用対象者なのだろうか?」と気になりますよね。
以下に就労定着支援の利用対象者を記載したので、参考にしてみてください。
- 障害福祉サービスである就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)・自立訓練・生活介護を利用して一般就労を果たした障害をお持ちの方。
上記に記載されている障害福祉サービスを利用して就職した方であれば、基本的に就労定着支援を利用することができます。
更に言うと、就労定着支援を利用する方で最もオーソドックスなのが、「就労移行支援を利用して就職した方」です。
なぜなら、就労移行支援の目的は「一般就労」であり、「就労定着支援の利用対象者を輩出している事業」とも言えるからですね。
就労定着支援事業の利用料金
就労定着支援事業の利用料金は、就労移行支援と同様に自己負担が1割、9割は国が負担してくれるシステムになっています。
また、自己負担上限額に関しても就労移行支援と同様であり、前年度の世帯年収により異なります。
自己負担上限額の一覧表を以下に記載しました。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(世帯収入が概ね300万円以下) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(世帯収入が概ね670万円以下) | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
上記に記載の通り、生活保護受給世帯や前年度の世帯収入が300万円以下である場合、利用料金はかかりません。
就労定着支援を受ける場合、多くの場合前年度の年収は300万円以下になるので、最初の1年は0円、次の年度から、前年度の所得に応じて自己負担上限額が決まることになるでしょう。
利用料金に関しては、お住まいの地域の自治体によって変わることがあるので、利用の際には必ず市役所や区役所にて確認してください。
※障害福祉サービスを利用して就職・復職後1ヶ月目から6ヶ月までの間に行われる福祉サービスに付随している「就労定着支援」に関しては、利用料は一律かかりません!上記の金額は、あくまで就職・復職後7ヶ月目からの「就労定着支援事業」の料金です。
就労定着支援を受けられる施設
「就労定着支援事業」を行っているのは、多くの場合以下に示す障害福祉サービス事業所です。
- 就労移行支援事業所
- 就労継続支援事業所(A型・B型)
- 自律訓練事業所
- 生活介護事業所
とくにメジャーなのが就労移行支援事業所であり、就労移行支援事業所と就労定着支援事業所を兼ねているケースが良く見られます。
つまり、就労移行支援事業所を卒業後、そのまま同じ事業所の支援員が就労定着支援も行ってくれるわけですね。
令和4年に厚生労働省が行った調査研究によれば、3,196事業所の回答が得られた中、就労定着支援事業の指定を受けている就労移行支援事業所は540か所であったとのことです。
「就労定着支援事業の指定を受けている=就職者をきちんと輩出しており、定着支援にも力を入れている事業所」ということになるので、サービスの質が高い事業所であることが多いです。
引用:地域における就労移行支援及び就労定着支援の動向及び就労定着に関わる支援の実態把握に関する調査研究|厚生労働省
就労定着支援の利用の流れ5ステップ
これから就労定着支援を利用したいと考えている方に向けて、就労定着支援を利用するまでの流れを5ステップに分けて解説しました。
今回は、最もメジャーなパターンである就労移行支援事業所を利用して就職・復職した後に就労定着支援を利用する流れを前提に解説していきたいと思います。
ステップ①:就労移行支援事業所の利用を開始する
就労定着支援を利用するためには、就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)・自立訓練・生活介護等の障害福祉サービスを利用して就職・復職する必要があります。
一般就労を目指す障害福祉サービスは「就労移行支援」なので、就労移行支援事業所を利用するケースがより一般的と言えるでしょう。
就労移行支援事業所を利用するには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 18歳以上65歳未満であること
- 現在就職していないこと
- 医療機関に通っており、精神疾患・発達障害・身体障害・知的障害・難病等の診断を受けていること
- 一般就労(障害者雇用枠を含む)を目指していること
上記の条件を満たしている方は、まずは無料見学・無料体験をいくつかの事業所で行い、自分が通う就労移行支援事業所を決める必要があります。
どこの事業所が合っているか分からないと感じる方に向けて、過去の記事でおすすめの就労移行支援事業所を紹介しているので、参考にしてみてください。
ステップ②:就労移行支援事業所で就職・復職の準備をする
就労移行支援事業所の利用をすれば、以下のようなプログラムを受けて就職・復職準備を進めることができます。
- ビジネスマナーやコミュニケーションに関するプログラム
- パソコン講座
- ストレスに上手に対処するためのプログラム
- 模擬就労
- 職場実習
- 履歴書・職務経歴書の添削、面接対策
- 就職活動のサポート
就労移行支援事業所によって様々な特色があり、職場実習に力を入れている事業所、障害理解に力を入れている事業所、IT・Web関連のスキル獲得に力を入れている事業所などがあります。
過去の記事ではタイプ別におすすめの就労移行支援事業所を解説しているので、参考にしてみてください。
ステップ③:就職(復職)1ヶ月目から「就労定着支援」がスタート
就労移行支援事業所の利用期間は人によって異なりますが、「原則最長2年まで」と期限が決められています。
多くの方は半年から1年ほどで就職・復職されている印象です。
就労移行支援を利用して就職・復職をした場合、1ヶ月目からこれまで通っていた就労移行支援事業所に付随した「就労定着支援(無償)」が始まります。
多くの場合、これまで担当していた就労支援員が、就労定着支援員として引き続きサポートしてくれることが多いです。
ちなみに、筆者は就労支援員として勤務しており、就職・復職を果たされた担当利用者さんの就労定着支援を引き続き行い、サポートさせていただいています。
就職・復職してから4〜5ヶ月ほど経った時点で、担当の就労定着支援員から「7ヶ月目以降の就労定着支援事業もご利用されますか?」と相談させてもらうことがほとんどです。
7ヶ月目以降の「就労定着支援事業」をご希望される場合、支援員の説明に従ってお住まいの地域の役所に申請手続きを行ってもらうことになります。
ステップ④:就職(復職)7ヶ月目から「就労定着支援事業」がスタート
就職・復職7ヶ月目以降の「就労定着支援事業」は、役所に申請手続きを行い、「障害福祉サービス受給者証」が発行されることで正式に利用開始となります。
サービス内容自体はこれまで利用していた就職・復職後1ヶ月〜6ヶ月までの就労移行支援に付随してくる就労定着支援と変わりありません。
- 最低月1回の担当支援員との面談
- 会社関係者との連絡調整
- ご家族・医療機関・その他機関との連絡調整
上記のような定着支援サービスを引き続き、最長3年間に渡って受けることができます(1年ごとに契約更新手続きを行う必要あり)。
ステップ⑤:就労定着支援事業の期間満了後は「障害者就業・生活支援センター」に引き継がれる
就労定着支援を上限の3年間利用し、期間満了となってしまった場合はもう福祉的なサポートを受けられないかと言うと、そうではありません。
就労定着支援を3年間利用し終わってしまった後は「障害者就業・生活支援センター」にサポートが引き継がれ、引き続き相談援助等を受けることができます。
就労定着支援を利用した方の口コミ
就労定着支援の利用を検討されている方にとって、過去に利用した方の口コミがあると判断しやすいのではないでしょうか。
X(旧:Twitter)での口コミをもとに、就労支援員が就労定着支援のメリットについて解説していきたいと思います。
上記のように、就職・復職をしてからはストレスや疲労、精神疾患によるメンタル面の波などにより業務への負担感が強くなってしまうこともあります。
そのような時に就労定着支援員に相談すれば具体的な対処法を教えてくれますし、自分で会社に伝えづらい場合は間に入って伝えてくれることもあります。
仕事が始まると、つい「もっと頑張らなくては」と自分にエンジンをかけたくなってしまいますよね。
しかし、就労定着支援員は「体調の安定」や「長期就労」を第一に考えており、冷静な立場からアドバイスをしてくれます。
長期就労をしてこそのキャリア構築なので、時に「ストップ」をかけてくれるのも就労定着支援のメリットの一つと言えるでしょう。
上記のように、就労定着支援では今の自分の「できている所」に焦点を当ててフィードバックしてくれることが多く、働き続けるモチベーションにつながります。
その上で今後のポイントについても伝えてくれるので、業務中に意識すると良いことなども明確化することができますね。
とにかく、職場での色々な感情を就労定着支援員に話し、吐き出すだけでも、すっきりとして心が晴れることもあるものです。
どんなことでも気軽に話せる存在は、心の安定に一役買ってくれるでしょう。
仕事でミスをしてしまうことは、誰でもありますよね。
そのような時に、「次回はどうしたら防げるか」を就労定着支援員が一緒に考えてくれます。
一人で悩みを抱えずにすむので、気分が落ち込みすぎてしまうことも予防できそうですね。
「就労定着支援事業」に力を入れているおすすめの就労移行支援事業所
就労定着支援を利用するには、前提として就労移行支援をはじめとした障害福祉サービスを利用して、就職・復職を果たしている必要があります。
そこで問題となるのが、「どの就労移行支援に通うか?」ということではないでしょうか。
結論として、「就労定着支援事業までトータルで行ってくれる事業所」を選ぶのがおすすめです。
上記の口コミにもある通り、最初から定着支援事業を併設している就労移行支援を選ぶことによって、就労後も継続して定着支援を行ってくれるわけですね。
以下には、就労定着支援事業を併設しているおすすめ事業所を4社紹介しているので、事業所選びの参考にしてみてください。
ココルポート
就労移行支援のCocorportは、累計就職者数3,755名、就労定着率87%を誇る、非常に就労実績の高い大手就労移行支援事業所です。
555種類もの豊富なプログラムを揃えており、パソコンスキル、ビジネスマナー、模擬就労などの幅広いプログラムを通して働くための総合力を伸ばしていけるのが特徴の事業所と言えるでしょう。
ココルポートの就労定着支援
ココルポートは就労定着支援にも力を入れており、もちろん就職・復職後7ヶ月目からの「就労定着支援事業」も行っています。
- 生活面
- 体調面
- 就業面
上記3つに対して総合的にアプローチしてくれるのがココルポートの就労定着支援の強みであり、仕事上の悩みだけでなく生活習慣や症状の管理等の「基盤」に対してもしっかり相談に乗ってくれます。
ココルポートで2021年4月から就労定着支援サービスを開始した事業所に関しては就労定着率が90.6%まで向上しているというデータがあり、就労定着支援において非常に高い実績を持つ事業所であることが分かります。
ココルポートの事業所所在地
ココルポートは下記に示す8つの都道府県に事業所を展開しています。
- 東京
- 神奈川
- 千葉
- 埼玉
- 大阪
- 兵庫
- 愛知
- 福岡
公式Webサイトにて確認し、通える範囲に事業所がある方は、ぜひ見学の予約をしてみてください。
ココルポートの公式Webサイトはこちら→仕事復帰を全力サポート | 就労移行支援のCocorport
リタリコワークス
【LITALICOワークス】は、累計就職者数1万人以上、就労定着率88%を誇る国内最大手の就労移行支援事業所です。
4,500ヶ所以上もの企業とインターン契約を行っており、豊富な選択肢の中からインターン先(企業実習先)を選び、就労に向けて実践的な準備を行えるのが大きな強みと言われています。
とくに障害者雇用枠・大手企業への就職を検討されている方にとって非常にメリットの大きい事業所なので、一度見学に足を運んでみると良いでしょう。
リタリコワークスの就労定着支援
リタリコワークスでも、就職・復職後6ヶ月以降も受けられる「就労定着支援事業」を行っています。
リタリコワークスの就労定着支援事業では、以下のようなサポートを行ってくれます。
- 課題解決のためのアドバイス
- 勤務先での合理的配慮や適切な環境づくりにアプローチ
- 医療機関や福祉機関との連携
最低月1回行われるご本人との面談を通した支援はもちろん、職場に合理的配慮を伝えること、医療機関やその他の福祉施設との連携も行ってくれるので、周囲の環境も含めたトータルなサポートを実現してくれるのが特徴です。
リタリコワークスの事業所所在地
リタリコワークスは、以下に示す日本全国22もの都道府県に展開しています。
- 北海道
- 宮城
- 東京
- 神奈川
- 埼玉
- 千葉
- 群馬
- 栃木
- 愛知
- 静岡
- 三重
- 大阪
- 兵庫
- 奈良
- 京都
- 滋賀
- 岡山
- 広島
- 福岡
- 宮崎
- 熊本
- 沖縄
1つの都道府県の中に複数の事業所が展開しており、例えば東京だけでも18事業所展開しています。
きっとお住まいの地域にもリタリコワークスがあると思いますので、詳しくは公式Webサイトにて確認してみてください。
リタリコワークスの公式Webサイトはこちら→そのひとりの「働きたい」にこたえる。【LITALICOワークス】
パーソルチャレンジ・ミラトレ
パーソルチャレンジ・ミラトレは、有名な転職エージェントである「doda」を運営しているパーソルグループの特例子会社「パーソルダイバーズ株式会社」が運営している就労移行支援事業所です。
パーソルダイバース株式会社では実際に障害者雇用を行ってきていることから、長年培ってきた障害者雇用のノウハウをもとに、実践的な「模擬職場トレーニング」がプログラムの中に組み込まれています。
とくに、障害者雇用の事務職を目指している方には非常におすすめの就労移行支援事業所なので、ぜひ一度見学に足を運んでみましょう。
ミラトレの就労定着支援
ミラトレでは就労定着支援事業を行っており、他の事業所の就労定着支援と同様、面談を通した個別サポート・企業との連携・通院先や福祉施設との連携など、トータルでサポートしてくれます。
さらに、ミラトレの就労定着支援員はジョブコーチや社会福祉士などの専門資格を有している方が担当することになっており、定着支援員の専門性が高い傾向にあります。
安心して利用できる事業所と言えるでしょう。
ミラトレの事業所所在地
ミラトレは、以下に示す7都道府県にて事業所を展開しています。
- 東京
- 神奈川
- 千葉
- 埼玉
- 愛知
- 大阪
- 兵庫
公式Webサイトにて詳細な事業所の最寄駅等を確認し、通える範囲に事業所があった方は、ぜひ見学に足を運んでみてください。
ミラトレの公式Webサイトはこちら→働く未来をあきらめない就労移行支援【パーソルチャレンジ・ミラトレ】
atGPジョブトレ
【atGPジョブトレ】は、各障害に特化した支援を行っているおすすめ事業所です。
具体的には、以下のコースに分かれています。
自身の障害特性についての理解を深めたうえで就労できるので、より長期就労へとつながりやすくなると考えられています。
また、同じ障害を持った仲間と就労に向けた準備を行える安心感も、人気の理由です。
atGPジョブトレの就労定着支援
atGPジョブトレでは就労定着支援事業を行っており、以下に示すサポートを受けることができます。
- 定期面談
- 就職先企業への定期訪問
- 定期アンケート
- OBOG会
定期面談や就職先企業への訪問は他の事業所でも行われていますが、「定期アンケート」や「OBOG会」は独自性の高いサービスと言えるでしょう。
定期アンケートでは、定期的にアンケートに答えることにより、体調の変化や職場でのストレスをより早期に、客観的に気づくことができます。
また、就職後も自分が通っていた事業所で仲間と合う機会が得られるOBOG会が「心の拠り所」となり、安心して長期就労を目指すことができます。
atGPジョブトレの事業所所在地
atGPジョブトレは東京・名古屋・関西を中心に、以下の5ヶ所に事業所を展開しています。
- 秋葉原
- 大手町
- お茶の水
- 横浜
- 名古屋
- 大阪
通える範囲に事業所がある方は、ぜひ一度見学に足を運んでみてください。
atGPジョブトレの公式Webサイトはこちら→職場定着率91%!障害別専門支援の就労移行支援サービス【atGPジョブトレ】
就労定着支援に関するよくある質問
最後に、就労定着支援の利用を検討されている方のよくある質問をまとめてみました。
参考にしていただけますと幸いです。
私は就労定着支援を受けられますか?
就労定着支援(事業)のサービスを受けるには、以下に示す障害福祉サービスを利用して就職・復職を果たしている必要があります。
- 就労移行支援
- 自立訓練
- 就労継続支援(A型・B型)
- 生活介護
また、最もオーソドックスなパターンが就労移行支援を利用して就職・復職した後就労定着支援を利用するパターンです。
「就労移行支援の利用申請に通る=就労定着支援の条件を満たしている」と言って差し支えないので、まずは自分に合った就労移行支援事業所を探すのがおすすめです。
過去の記事で就労移行支援の概要についてまとめているので、よろしければ参考にしてみてください。
就労定着支援の利用料金はどのくらいですか?
就労定着支援(事業)の利用料金は就労移行支援と同様、9割を国が負担、1割を利用者さんが負担する仕組みになっています。
また、生活保護の受給状況や前年度の世帯収入などによって月々の自己負担上限額が変わってくるので、下記の表を参考にしてみてください。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(世帯収入が概ね300万円以下) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(世帯収入が概ね670万円以下) | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
また、自己負担額が設定されているのは就職・復職後7ヶ月目からの「就労定着支援事業」であり、就労移行支援を利用すると自動的についてくる就職・復職後1ヶ月目〜6ヶ月目までの「就労定着支援」では料金がかかりません。
上記の金額は、あくまで「7ヶ月以降も就労定着支援を利用する場合」であることを念頭に入れておきましょう。
さらに言うと、就労定着支援(事業)を利用しても最初の1年間は前年度の収入が300万円以下であることが多いため、多くの場合「無料」になります。
復職する場合でも就労定着支援を受けられますか?
現在企業に所属しており、休職中である方が就労移行支援を利用して復職準備をする方も一定数いらっしゃいます。
前提として、復職の場合でも「リワーク」として就労移行支援を利用している方はたくさんいるので覚えておきましょう。
この点については過去の記事でも解説しているので参考にしてみてください。
そして、もちろん復職の方でも就労定着支援を受けることができます。
就労定着支援を利用中に転職したらどうなりますか?
現在勤めている会社を退職した場合、原則として就労定着支援の利用資格を失効することになります。
ただし、就労移行支援などの障害福祉サービスを利用して就職・復職した後1回目の転職であり、1ヶ月以内に新しい会社に入社する場合は引き続き就労定着支援サービスを受けることができます。
就労後3年6ヶ月を超えてしまったら完全にサポートが終わってしまいますか?
就労移行支援を利用して就職した後6ヶ月の就労定着支援、7ヶ月目から最長3年間利用できる「就労定着支援事業」の利用期間を合計すると、3年6ヶ月になります。
3年6ヶ月経過してしまった後は完全に福祉的サポートを失ってしまうかと言うとそうではなく、「障害者就業・生活支援センター」に支援が引き継がれることになります。
就労移行支援事業所を利用した後、別の事業所の就労定着支援を利用することはできますか?
自分が利用した就労移行支援事業所とは違う施設の就労定着支援を利用することはもちろん可能です。
しかし、就労移行支援で自分のことをよく知ってくれている支援員が引き続き就労定着支援でもサポートしてくれるメリットはとても大きいです。
そういった意味では、最初に就労移行支援事業所を選ぶ時点で、サービスの質が高く、就労定着支援事業を行っている事業所を選ぶのが重要と言えるでしょう。
まとめ
今回の記事では、就労定着支援が「いつから」開始するサービスなのか明確にお伝えしました。
- 障害福祉サービスを利用すると自動的についてくる「就労定着支援」
→就職・復職後1ヶ月目から利用開始。
- 障害福祉サービスの枠組みの中で行われる「就労定着支援事業」
→就職・復職後7ヶ月目から利用開始。
上記が問いに対する答えになります。
就労移行支援や就労定着支援は障害をお持ちの方が「長期就労」を目指すために非常に有効なサービスであり、金銭面に関しては国の補助を受けられるのも大きなポイントですね。
ぜひ、ご自身に合った就労移行支援事業所・就労定着支援事業所を見つけ、充実した仕事生活の一歩を踏み出してもらえたら嬉しいです。