「どうして自分は、こんなにできないんだろう…」
周りの社員は何でもそつなくこなして上司からも高評価。
自分だって頑張っているはずなのに、結果が出ない。ミスばかりが目につき、誰かと比べては落ち込む…。
もしかすると、あなたが感じているその「仕事への自信のなさ」は、劣等感という名前の感情かもしれません。
そしてそれは、あなただけが感じていることではありません。
令和5年に行われた厚生労働省による調査によると、仕事で強い不安やストレスを感じている人の割合は82.7%にまで及んでいることが分かっているのです。
また、正社員のうち「仕事の失敗」や「責任」に対して強い不安を感じている方は42.9%もいます。
臨床心理士としてこれまでさまざまな方と向き合ってきた中でも「職場での劣等感」に苦しむ方はとても多いと感じています。
そして、その根っこには、「自分には価値がないのではないか」という思い込みが潜んでいることも多いのです。
劣等感は「なくす」ものではなく、「付き合い方」を変えることで、あなた自身の可能性を取り戻すことができます。
この記事では、臨床心理士の視点から、劣等感が生まれる心理的なメカニズムと、明日からできる具体的な対処法をお伝えします。
引用:令和5年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況|厚生労働省
職場で劣等感を抱く原因

職場で感じる劣等感とは、「自分は他の人より劣っている」と感じる気持ちのことです。
- 「自分は仕事ができない」
- 「周りの人たちと比べて能力が低い」
上記のように考え、気分が落ち込むことですね。
仕事で劣等感を抱くことが多い場合、「環境的な原因」と「個人的な原因」が互いに影響しあっていることが多いです。
- 環境的な原因:劣等感を抱きやすい環境に身を置いている。
- 個人的な原因:劣等感を抱きやすい「考え方」をすることが多い。
上記2つの原因のうちどちらか一方が自分を悩ませているのではなく、それらが絶妙に絡み合って「劣等感」という感情を大きくしていることを覚えておきましょう。
まずは、上記2つの原因について詳しく解説していきますね。
職場で劣等感を抱く環境的な原因
自分が働いている職場がどんな文化を持っているかによって、劣等感を感じる程度が変わってきます。
以下には、社員が劣等感を抱きやすい職場の特徴を3つ記載しました。
- 比較の文化
- 評価主義
- 完璧主義の風潮
それぞれについて、詳しく解説しますね。
比較の文化
職場の同僚と成果やパフォーマンスを比べられることの多い職場では、劣等感を抱きやすくなります。
- 営業成績や月間売上ランキングが社内で共有される
- 上司からの評価や人事面談で、他の同僚の名前が引き合いに出される
- プロジェクトの成果発表や会議で、他人の成功事例が強調される
- 昇進・昇格・表彰などの結果が明確に示される
上に書いたようなことは、会社に勤めているとよくありますよね。
社員の競争意識を刺激し、組織の生産性を高めるためにあえて行われていることも多いです。
しかし、「個人」に焦点を当てると、思うように成果が出ていない場合は劣等感を抱き、自分に価値を感じにくくなってしまうわけですね。
評価主義
人間にも「性格」があるのと同じように、会社にも「性格」があります。
「どれだけ成果を出したか」という結果を重視する性格が際立った会社にいると、劣等感を抱きやすくなってしまうのです。
小学校のクラスメイトで例えると、「テストの点数何点だった?」「マラソンで何位だった?」みたいなことばかりを聞いてくるやつって感じですね(笑)
以下に、評価主義の色が強い会社の特徴を記載しました。
- 成果や数字での評価が中心
- 昇進・昇給が成果に直結している
- チームプレーよりも個人プレーが奨励されやすく、競争が生まれやすい
- 評価面談や査定が頻繁に行われる
- 結果を出せないと居場所がなくなる空気感がある
評価主義の色が強い会社に身を置くと、常に「見られている感覚」になり、劣等感を抱きやすくなってしまうことがあります。
評価方法が曖昧
上記で「評価主義」の会社で劣等感を抱きやすくなることについて記載しましたが、逆に「評価方法が曖昧」な会社でも同様の問題が生じてきます。
とくに、「仕事にはベストを尽くして臨んでいるのに、なぜか評価されない」という悩みを持つ方はこのケースに該当することが多いでしょう。
具体的に数値化できるような評価ではなく、「業務中の立ち振る舞い」を見てなんとなく「この人できそうだな」といった判断で社員の評価を決めてしまう会社では、実際は数字を出していても評価されないことも多いからです。
評価の基準が曖昧であるため、「頑張ってるし結果も出しているのに評価されない」という不満を抱きやすくなってしまうわけですね。
完璧主義の風潮
職場の風潮として、少しの失敗も許さないような「完璧主義」の色が強いと、社員は劣等感を抱きやすくなってしまいます。
ミスは仕事をするうえでもちろん避けたいことですが、ミスをしたときの周囲の反応は職場によって異なります。
- 職場A:ミスをしたことをただ単に責めて追い詰める
- 職場B:励ましつつ、再発予防に向けた取り組みを促す
上記のように、職場によってミスへの反応の仕方が違うのです。
ミスを許さず、成果を出し続けることが当然視される職場では、劣等感を抱きやすくなってしまいます。
職場で劣等感を抱く個人的な原因
次に、職場で劣等感を抱きやすいのはどのような特徴を持った方なのか、「個人的な原因」に目を向けていきます。
心理学的に、以下の特徴を持った方は職場で劣等感を抱きやすいと言えるでしょう。
- 「認知の歪み」の傾向が強い
- 他者を通して自分を見ている
- 仕事で成功体験が少ない
- 自分の「強み」が活かされていない
それぞれについて、詳しく解説していきますね。
「認知の歪み」の傾向が強い
心理学では、自分自身の気分を落ち込ませてしまう「もののとらえ方」のことを「認知の歪み」と呼びます。
同じ出来事でも、人によってとらえ方は違うもの。「ネガティブなとらえ方」をする傾向が強い方ほど、職場でも劣等感を抱きやすくなります。
例えば、「仕事でミスをした」という出来事があったとしましょう。そのときのAさんとBさんの「とらえ方」を以下に記載しました。
- Aさん:「自分はやっぱり仕事ができないんだな。周りと比べて能力が低いんだ」
- Bさん:「やっちゃったな〜。でも早めに気づけて良かった。自分なら対応できる」
いかがでしょうか。
AさんもBさんもミスが良くないことと思っている点では共通していますが、Aさんは「自分は仕事ができない」「能力が低い」と、自分について「ネガティブに」「一般化した」とらえ方をしているのです。
1つのネガティブな出来事を「自分全体の特徴」と考えてしまう認知の歪みは「過度な一般化」と呼ばれ、劣等感や気分の落ち込みなどのネガティブな感情の原因になると考えられています。
他者を通して自分を見ている
職場で劣等感を抱きやすい方は、他者からの評価を通して自分の価値を決めていることがあります。
- 「周りからできない人と思われているのではないか」
- 「本当は自分に愛想を尽かしているのではないか」
- 「もしかしたら自分は嫌われているんじゃないか」
上記のように、他者からの評価を気にしすぎてしまい、自信を失っているケースがとても多いのです。
先ほどご紹介した「認知の歪み」にはいくつかの種類があり、そのうち「心の読みすぎ」という認知の歪みが今ご紹介した他者の心情をネガティブに推測してしまう傾向に該当します。
- 相手がどのように思っているかを気にしすぎてしまう
- 相手が自分について良い印象を抱いていないと勝手に推測してしまう
上記の傾向が強いと感じる方は、「相手がどう感じているかは自分の責任範囲ではない」と割り切り、自分自身の行動にフォーカスしていくことが重要です。
仕事で成功体験が少ない
仕事で劣等感が強い場合、「ネガティブに考える癖」がついてしまっている可能性は非常に高いです。
一方で、実際に職場での失敗体験が多く、成功体験が少ない場合にも、やはり劣等感が強くなってしまうもの。思考を柔軟にしていくための取り組みと同時に、成功体験を積み重ねていく視点が重要となります。
- 仕事上でミスが多く、よく注意を受ける
- 仕事で良いパフォーマンスが発揮できない
- 仕事へのモチベーションが低く、頑張ろうという気持ちにもなれない
上記のような理由で、仕事上で劣等感が強まっているケースもありえるでしょう。
このような場合は「能力が高くない自分」「頑張れない自分」を責めてしまうこともありますが、実は自分を責める必要はありません。
なぜなら、責めることによりさらにモチベーションが下がり、状況が悪化してしまうリスクがあるからですね。
大切なのは、「なぜミスが多いのか」「なぜやる気が出ないのか」という根本的な原因について考えてみて、「どうしたら自分らしくパフォーマンスを発揮できるようになるか」を導き出す視点です。
自分の「強み」が活かされていない
人にはそれぞれの「強み」があります。
強みはポジティブ心理学という分野の中でも長年注目されていて、毎日の生活の中で自分の強みを発揮できている方ほど、幸福感が高いという研究結果もあります。
逆に、仕事で「自分の強み」が発揮されていないと、「自分には能力がないんだ」と劣等感が強まってしまうのです。
「強み」と聞くと「人より秀でた才能」をイメージする方が多いかもしれませんが、実はそうではありません。
「自分の中で」得意だと感じること、自然とできることが「強み」です。
つまり、強みとは個人の中にあるあらゆる能力のうち、「個人内比較」をして上位に来るもの、と言うことができますね。
例として、筆者の「強み」と「弱み」を以下に記載してみました。
<強み>
- 人と丁寧に関わり、信頼関係を構築すること
- 目標を決めて、コツコツ努力すること
- 色々なことに興味を持ち、とりあえずやってみること
<弱み>
- 複数のことを同時にこなすこと(マルチタスク)
- 新しい環境にすぐに順応すること
- 自分の意見をはっきりと簡潔に伝えること
皆さんの「強み」と「弱み」はどのようなものでしょうか?
もしよければ、私と同じように強みと弱みを3つずつ書き出してみてください。
仕事上で「弱み」が顕在化し、強みが活かされていないと感じる方は、①まずは今の職場の中で強みを活かす方法を考えてみる、②今の職場の中で強みを活かすことが困難な場合は、転職をして環境を変えてみる、というステップを踏むのがおすすめです。
劣等感は成長のチャンスにもなり得る!

「劣等感」は一般的にネガティブな感情と考えられていますよね。
しかし、実は「ネガティブな感情が必ず自分の足を引っ張る」とは限らないのです。
アドラー心理学という分野では、「劣等感は人を成長させる原動力」だとされています。
また、2021年の日本心理学会の研究では、劣等感を感じたあとに努力した人のほうが、自己成長や達成感を感じやすいという結果もあります。
- 仕事でミスをして劣等感→ミスをしない方法を考えて実践する
- 同僚が昇進して劣等感→どうしたらより高いパフォーマンスを発揮できるか考えて実践する
上記のように、劣等感は「行動」をうながします。そして、行動の先には「成長」があるのです。また、あなたの人間性により深い「奥行き」を与えてくれる存在でもあります。
大切なのは、「劣等感を斜めから受け取らない」という視点。
「劣等感を斜めから受け取る」というのは、以下のようなとらえ方のことを示しています。
- 「同僚が昇進した。どうせ自分は、頑張ったってダメなんだ」
- 「会社の評価制度が歪んでいる。この会社にいてもどうせ良いことなんてないな」
上記のようなイメージですね。自分が本当に感じている感情を無視して、自分の能力自体を否定してしまったり、周囲への不満のみを募らせてしまったりするような考え方です。
大切なのは「自分の感情を真正面から受け入れる」ということ。
- 「悔しい!落ち込むなぁ。」
- 「今回の件はかなり応えた・・」
上記のように、ネガティブな感情は思いっきり受け止めてあげて良いのです。
そのうえで、「じゃあ、どうしたら良いだろう?」と考える視点が、「劣等感→成長」という軌道に乗るきっかけになります。
仕事で抱く劣等感を克服する9つの方法

それでは、仕事で抱く劣等感を克服するための具体的な方法を、9つに絞ってご紹介していきます。
- 自己効力感を高める習慣を身につける
- 「思考の癖」を修正する
- 「小さな成功体験」を積み重ねる
- 「振り返り方」を変えてみる
- メンタルケアのスキルを身につける
- 社内評価から距離をとる
- 自分の強みを認識する
- 理想のキャリア像を明確にする
- 今の会社にこだわらない視点をもつ
上記の9つになります。
ポイントは、「劣等感=なくすべきもの」ではない、ということです。
劣等感を抱きながらも、うまく自分の思考や感情をコントロールして成長へと変えていくための方法を解説していきます。
読んでみて「できそうだな」と思ったものから実践してみましょう!
自己肯定感を高める習慣を身につける
「あるがまま」の自分を認められている心の状態のことを「自己肯定感」と呼びます。
- 仕事で評価されたから自己肯定感が高まる
- 良い業績をあげたから自己肯定感が高まる
自己肯定感とは、上記のようなものではありません。
そうではなく、自分が日々ひたむきに生きている姿勢、少しずつ成長をしようとしていることなど、自分の「生き方」そのものを優しい目で眺められている状態が自己肯定感です。
仕事で劣等感を抱いていることも含め、自分を認められる「心の状態」を作っていくのにおすすめなのが、「自分の1日を肯定的に振り返る」習慣をつけること。
具体的には、「スリー・グッド・シングス(良いこと日記)」と呼ばれるポジティブ心理学で幸福感を高めてくれることが立証されているワークを行うのがおすすめです。
- 今日1日で「良かったな」と思ったことを3つ記録する
スリー・グッド・シングスはとても簡単で、上記を毎日続けるだけです。
振り返る際に、「良かった結果」だけでなく頑張った姿勢や自分の感情にも焦点を当てて振り返ることで、自己肯定感に好影響を与えます。
実際、文部科学省が実施した「自己肯定感に関する調査(2019年)」では、
「毎日、自分をふり返る時間をとっている子どもほど、自己肯定感が高い」という結果が出ています。
また、アメリカ心理学会の研究では、「毎日、自分をほめる習慣をもつことで、ストレスに強くなる」という効果も確認されています。
「振り返る」ためのフレームワークとして効果が実証済みのスリー・グッド・シングスはとてもおすすめなので、ご興味のある方は過去の記事も読んでみてください。
「思考の癖」を修正する
劣等感と「思考の癖」には深い関わりがあります。
劣等感を感じること自体は決して悪いことではなく、それをバネにして成長へつなげることもできます。
しかし、ネガティブな方向にばかり考えてしまう「癖」がついてしまうと、以下のような悪循環に陥ってしまうのです。
- 「いつも自分はダメだなぁ」と思う(極端にネガティブな思考)→状況を改善するための行動を起こさなくなってしまう→さらに状況が悪化する
とくに、仕事で劣等感を抱いているときには、「周囲と比べて自分は能力が低い」と考えてしまいがちです。
大切なのは、自分の思考の癖に「気づいて」「変えていく」こと。
認知行動療法という心理学の分野では、「思考のクセに気づき、それを変えていく」ことで、自己肯定感が高まり、ストレスが減ることが明らかになっています(日本認知・行動療法学会, 2022)。
思考の柔軟性を身につけるうえで最も簡単で効果的なワークは、「コラム法」と呼ばれる実際に臨床現場でも使われている方法です。
以下の質問に答えていくだけで、「柔軟に考える練習」ができます。
- 劣等感を抱いた状況は? 例:同僚が上司に褒められていた
- そのときどんな気持ちだった? 例:劣等感、落ち込み
- そのとき頭の中で考えていたことは? 例:「やっぱり自分は能力が低いんだ」
- 他にどんな考え方ができる? 例:自分も努力を重ねれば、結果はついてくるはず
- 4の結果、どう気持ちが変わった? 例:少し落ち込みが減って気が楽になった
最近では認知行動療法を自分で実践できるアプリも開発されており、心理学的な裏付けのあるコラム法のようなワークを気軽にスマホで実践できるのでとてもおすすめです。
過去の記事では認知行動療法を自分で実践できるおすすめアプリを解説しているので、よければ読んでみてください。
「小さな成功体験」を積み重ねる
劣等感を克服しようとすると、「何か大きなことを成し遂げなければ」と思ってしまいがちですよね。
しかし、有効なのは「小さな成功体験」を積み重ねることです。
アメリカの心理学者アルバート・バンデューラの「自己効力感理論」によると、小さな成功体験の積み重ねが、やる気や自信を高める一番の方法だとされています。
また、文部科学省の「児童の自己肯定感に関する調査(2020年)」では、「毎日、ちいさな目標を達成している子どもほど、自信がある」と感じる割合が高いことがわかっています。
小さな成功は「心の貯金箱」のようなもので、毎日貯金を貯めていくことで、少しずつ自信を持てるようになっていきます。
\ 小さな成功はこうしてたまる! /
- 朝ちゃんと起きて出社した 1枚
- 同僚に笑顔で挨拶した 1枚
- 案件を1つ終わらせた 1枚
- プレゼンの準備ができた 1枚
そして、心の貯金箱は自己満足で良いんです。
「褒められた」「表彰された」などの外部要因が絡んでくるとペースをつかみにくくなってしまうので、「自分の努力」に焦点を当てて「心の貯金」を続けてみてください。
「振り返り方」を変えてみる
仕事でミスをしてしまったときには、「振り返る」ことによって成長へとつなげることができます。
ただ、ここで注意したいのが、「振り返り方」には2種類あるということ。
心理学では、「リフレクション(Reflection)」「ブルーディング(Brooding)」という2つの「振り返り方」があるとされており、どちらの振り返り方をするかによって、気分の落ち込みや生産性に違いが生まれてくると言われています。
- リフレクション:「なんで失敗してしまったのだろう?」「次はどうすれば良いかな?」と前向きに振り返ること。
- ブルーディング:「なんで自分はこんなに能力が低く生まれてきたんだろう?」「世の中は理不尽だ」と後ろ向きに振り返ること。
リフレクションは失敗の原因を分析して次に活かそうとする振り返り方であるのに対して、ブルーディングは「能力」「境遇」などの変えることのできないものに原因を求め、自分を嘆くような振り返り方であることが分かりますね。
上記のうち、うつ病との関連性が高いのは「ブルーディング」であるとされています。
逆に、東京大学とベネッセ教育総合研究所の調査(2021年)によると、「リフレクション」を習慣にしている子どもは、自己肯定感や学習意欲が高くなる、という結果も出ています。
また、ハーバード大学の研究でも、「失敗をふり返る時間をとった人は、学んだことを長く覚えている」ことがわかっています。
仕事で劣等感を感じてしまったときは、ぜひ「リフレクション」をしてみてください。
具体的には、以下の手順で振り返るのがおすすめです。
- 失敗してしまったことを書く(スマホやPCに打ち込むでもOK)
- その失敗の原因を考える
- 再発予防のためのアクションプランを立てる
上記3つだけでOKです!
リフレクションを実践すれば、「もっとよくなるきっかけ」になります。
振り返りの力を使って、失敗を自分の成長へとつなげていきましょう。
社内評価とほどよい距離をとる
労働安全衛生研究所の調査(2020年)では、社内評価を気にしすぎる人ほど、ストレスが増えやすく、仕事の満足度が下がる傾向があると報告されています。
社内で自分がどのような立ち位置にいるのか、周囲からどのように思われているかを気にしすぎることは、心理的な不安定さにつながるのです。
ただ、「評価」はつい気になってしまうものですよね。
また、社内評価を認識することで自分の今の立ち位置を明確化し、仕事に打ち込むモチベーションにつながることもあるので、一概に全否定することはできません。
そこでおすすめなのが、「社内評価とほどよい距離をとる」という視点です。
そのためのポイントを以下に記載しました。
- 時間を決める:社内評価を気にする時間を1日に5分だけにするなど。
- 好きなことに集中:運動や読書、友だちと遊ぶ時間を増やすことで心がリフレッシュします。
- 自分の価値を知る:自分の強みついて考えることで、他者評価などの外部要因に左右されない、「自分だけの軸」を確率できるようになります。
社内評価は「頭の片隅に入れておく」程度にとどめ、「とらわれない」視点を持つことが重要です。
他者との相対評価ではなく、自分の中で完結する「絶対評価」ができるようになると、心が楽になるのを実感するでしょう。
メンタルケア習慣を身につける
仕事をしていると劣等感を抱くことがあったり、自分に自信が持てなくなってしまったりと、多くの葛藤やストレスを感じますよね。
感じたストレスをそのままにしておくと、長期的に気分の落ち込みが続いてしまい、結果として人生の大切な時間を後ろ向きな気持ちで過ごすことになってしまいます。
また、メンタルが不安定なときのほうが、そうでないときと比べて仕事のパフォーマンスも落ちてしまうのです。
意識的に心を休める時間や方法を取り入れることで、心の調子を保つことができます。
その証拠に、世界保健機関(WHO)は、定期的なリラックスやストレス解消の習慣が、うつや不安の予防に効果的だと発表しているのです(WHO, 2020)。
とくにおすすめなのが、「ストレスコーピング」の習慣を身につけること。
ストレスコーピングは、ストレスを感じたときに「意識的に」それを低減させるための対処を行うことです。
具体的には、以下2つの手順を実践してみてください。
- ストレスを感じたときの対処法のリスト(ストレスコーピングリスト)を作成する
- 実際にストレスを感じたときに、リストのうちどれかを実践してみる
リストに書き込む内容は、自分の心を元気にしてくれるものであればどんなものでも大丈夫です。
<ストレスコーピングリストの例>
- 深呼吸をする
- ストレッチをする
- 窓の外を眺める
- 同僚と雑談をする
- You Tubeでお笑いを見る
- 好きな音楽を聴く
- 「推し」の動画を見る
- 週末に小旅行へ出かける
- 自然の中を歩く
- 海を見に行く
- 好きなアニメに没頭する など
仕事中でもすぐにできるようなコーピング(例えば深呼吸)や週末でないと出来ないようなコーピング(例えば小旅行に出かける)など、バリエーションを持たせておくのがおすすめです。
筆者も愛用しているAwarefyというメンタルヘルスケアを目的としたアプリには、ストレスコーピングのリストを作成する機能が実装されているのでとてもおすすめです。
スマホで自分のストレスコーピングリストを管理しやすくなるだけでなく、AIによるストレスコーピングの提案や、アプリ内に実装されているメンタルヘルス機能をリストに入れることも可能です。
意識的なストレスへの対処法を身につけることで、「例え落ち込むことがあっても、自分にはそれに対処する力がある」という自信を持てるようになります。
「自分の強み」を認識する
仕事で劣等感を抱いている場合、多くの方は他者と自分の能力を比較しているのではないでしょうか。
しかし、実際は人により「強み」が異なり、自分が持っている強みを伸ばしていくことに集中することで、毎日を前向きに過ごせるようになります。
自分の強みを認識するメリットを以下に記載しました。
- 自分を信じられるようになる(=自信がつく)
- 失敗しても立ち直りやすくなる(=心が柔軟になる)
- チームや友だちとの関係がよくなる(=コミュニケーション力アップ)
アメリカの心理学者マーティン・セリグマンは、「ポジティブ心理学」という分野の中で、「人は自分の強みに気づいて、それを使うと幸せになれる」ということを実証しました。
彼が行った研究では、自分の強みを毎日1つ使ってみた人は、使わなかった人よりも、1か月後に「幸せだ」と感じたという結果が出ています(Seligman et al., 2005)。
<自分の強みを見つけるヒント>
- どんなことで、人に感謝されることが多いですか?
- 「すごいね!」と褒められたことがあるのはどんなことですか?
- どんなことをしているときに夢中になれますか?
上記の質問に答えることで、自分の強みが見えてきます。
他者との比較ではなく、「自分の強みを伸ばすことに集中!」と考えることで劣等感は自ずと減り、本来の力も発揮しやすくなるでしょう。
過去の記事では「自分の強みの見つけ方」についてより詳しく心理学的に解説しているので、ぜひ読んでみてください。
理想のキャリア像を明確にする
「自分は将来こうなりたい!」というイメージをもつことで、毎日仕事で感じる大変さやストレスが「意味のあるもの」になり、前向きに成長できます。
人は「どこに行きたいか(=目標)」がわかっていると、そこに向かって少しずつ動き出す力が湧いてくるのです。
カナダの心理学者ロックとレイサムの研究(2002)では、「具体的な目標を持っている人の方が、努力を続けやすく成果も出やすい」ということが分かっています。
まずは、以下のワークに取り組んでみるのがおすすめです。
<自分の「理想のキャリア像」を考えるワーク>
- 将来仕事を通じてどんなことを実現したいですか?
- 自分がやってみたい仕事のどんなところが素敵だと感じますか?
- その目標に近づくために、今できることはどんなことですか?
目標は、すぐに見つからなくても大丈夫です。
「ちょっと気になるな」「こんな人、かっこいいな」と思うことから始めてみましょう。
それが、あなたの未来をつくるヒントになります。
ポイントは、他者からの評価ではなく「自分軸」で将来を考えていくという視点です。
自分の目標が明確になることで、劣等感も自然と感じにくくなるでしょう。
「今の職場」にこだわらない視点を持つ
今の場所がすべてじゃないと考えることで、心がラクになり、自分らしく生きるチャンスが広がります。
「ここにいなきゃダメだ」「今の仕事をやめたら終わりだ」と思いこむと、不安やストレスがどんどんたまってしまいます。
しかし、ほかの道もあるかもしれないと考えるだけで、気持ちが少し軽くなり、新しい選択ができるようになります。
アメリカの心理学者エリック・エリクソンの理論では、人は人生の中でいくつもの役割や仕事を経験して成長するとされています。
また、厚生労働省の調査(令和5年)によると、働く人の約3人に1人は転職経験があるというデータもあります。
つまり、「今の職場にずっといなきゃいけない」わけではなく、違う場所でも自分らしく働ける可能性は十分にあるということです。
<「今の職場」への執着を捨てるための行動>
- 他の仕事や職場について調べてみる
- 今の仕事の中で好きなこと・苦手なことを整理する
「今の職場」だけにこだわらず、「ほかの場所でも自分を活かせるかも」という視点を持つことで、心の安心と成長のチャンスが増えます。
劣等感と向き合う際の3つのポイント

本記事では仕事で抱く劣等感に上手く対処する具体的な方法を解説してきました。
すべての対処法に共通する視点として「劣等感との向き合い方を変えてみる」というものがあります。
劣等感と向き合う際のポイントを以下に記載しました。
- 自分の価値観と社会的評価を分けて考える
- 過去の自分と今の自分を比較する
- 劣等感を前に進むために「活用」する
- 小さな「できた」を積み重ねる
とても大切なポイントなので、それぞれについて解説していきますね。
自分の価値観と社会的評価を分けて考える
仕事をしていると社会的な評価にかけられることが多く、自分の本当の気持ちや大切にしたいことを見失ってしまうことが多いものです。
ジブリ作品「千と千尋の神隠し」でも、ヒロインが仕事をする中で、いつの間にか本当の自分の名前を忘れてしまうシーンがありましたよね。
「自分の価値観」は、自分が何を大切にしたいか、どうありたいかという内側の考えです。
気づかない間に「社会的評価=自分の価値観」になってしまうと、良い評価を得られなかったときに自分の存在そのものに価値がないように感じてしまうことがあるので注意が必要です。
心理学者カール・ロジャーズは、「自分自身の価値を、外からの評価だけで決めると、自己肯定感が下がる」と述べています。また、2023年の東京大学の調査でも、「自己決定感(=自分で選んで行動している感覚)」が高い人ほど、幸福度が高くなる」という結果が出ています。
例えるなら、社会的評価は「天気」のように変わりやすいものです。一方で、自分の価値観は「折りたたみ傘」のようにいつでも持っていられるもの。どんな天気でも、しっかり自分を守ってくれます。
社会的評価と自分の価値観を分けて考えることで、天気(他者評価)に振り回されることなく、しっかり価値観(傘)を持っておけるようになるのです。
過去の自分と今の自分を比べる
職場で劣等感を抱いているときには、「他者」と「自分」を比べていることが多いのではないでしょうか。
そして、「人と比べるのは良くない」と頭の中では分かっていても、成果を出している同僚を見るとつい比べてしまうものですよね。
そこでおすすめなのが、「過去の自分」という名の「人」と、今の自分を比べることです。
過去の自分と今の自分を比べると、以前はできなかったことができるようになっていることに気づき、自信を取り戻すきっかけになるのです。
ただ、「比べ方」は重要です。
人は1年間でたくさんのことを経験し、考え方や行動が少しずつ変わっていきます。心理学ではこれを「発達」といいます。
たとえば、アメリカの心理学者カーネギー・メロンの研究では、「過去の自分と比べて成長したと感じた人ほど、自信があり前向きだった」という結果が出ています(Ross & Wilson, 2002)。
しかし、以下のような比べ方には要注意です。
- 昔よりできなくなったことを考える
- すごかった過去ばかり思い出す
上記の「過去の自分との比べ方」をすると、今の自分を必要以上に卑下してしまうことにつながってしまいます。
大切なのは、「今の自分ができていること」や「ちょっとでも前に進んでいること」に目を向けることです。
つまり、「前向きに過去の自分と比べる」ということが大切なわけですね。
劣等感を前に進むために「活用」する
劣等感を「なくすもの」と考えるのではなく、「活用するもの」と考えてみましょう。
「自分はまだまだだ」と思う気持ちは、悪いことではありません。上手に使えば、「もっとがんばろう」と前に進む力になるのです。
心理学者アルフレッド・アドラーは、「劣等感は、成長のスタート地点になることがある」と述べています。
自分が描いている「理想の自分」と「現実の自分」にギャップを感じるのは短期的に見るとストレスですが、長期的に見ると成長の起爆剤になっていることがあるわけですね。
また、「劣等感を活用しよう」と考えるようになると、必要以上に自分を卑下することが少なくなります。
「なんで自分はこんなにダメなんだ?」という視点から、「どうしたらもっと良くなれるかな?」という視点にシフトできるようになるわけですね。
「劣等感と一緒に、前へ進もう」
上記のスローガンを胸にしまっておき、明日を迎えたいものです。
小さな「できた」を楽しむ
どんなに小さな「できた」でもOKです!できたと思うことを思い出し、心の中でガッツポーズする時間を楽しみましょう。
実は、その「できた」が客観的に見て本当にすごいことなのかどうかは重要じゃないんです。
「小さな”できた”を感じとる感性」を育てることそのものが、人生を豊かにしてくれます。
また、カナダの心理学者アルバート・バンデューラの研究では、「小さな成功体験を重ねると、人はあきらめずに頑張れるようになる」と言われています(Bandura, 1997)。
つまり、自己満足の「できた!」を積み重ねていくことは、結果として客観的事実としての「実績」にもつながっていくわけですね。
ただ、実績や社会的評価はあくまで「副産物」と考え、深追いしないようにしましょう。
スポットライトを当てたいのは、「今この瞬間の自分」が、自分の小さな成長を喜んでいるときの感情です。
仕事の劣等感に関するQ&A
最後に、職場で感じる劣等感に関するよくある質問と、質問に対する臨床心理士としての回答をまとめました。
明日からのお仕事に、少しでも役立てていただけたらと思います。
劣等感とコンプレックスの違いは何ですか?
「劣等感」と「コンプレックス」はよく似ていますが、両者の違いは「一時的か慢性的か」にあります。
「劣等感」は、自分が他の人より劣っていると現在進行系で感じている気持ち、「コンプレックス」はその劣等感にとらわれすぎて、心の中で大きな問題になってしまった状態を示しています。
そういった意味では、本来この記事のテーマは「仕事のコンプレックス」と言うほうが合致しているのかもしれないですね。
- 劣等感:自分は他の人よりも劣っていると思う気持ち(一時的な不安や落ちこみ)
- コンプレックス:劣等感にとらわれすぎて、自分に自信が持てなくなる状態(長く続く心の負担)
アドラー心理学では、「劣等感は誰もが持つ自然な感情だが、それにとらわれてしまうと“コンプレックス”になり、人との関係や生き方に悪い影響が出る」とされています。
仕事に自信が持てない状態が慢性的に続いている(=コンプレックスになっている)と感じる方におすすめなのは、自分の「思考」と「行動」を少しずつ変えていくことです。
そのためにおすすめなのが、まさに「思考」「行動」の2つにアプローチしていく認知行動療法の実践です。
認知行動療法はアプリ1つで学び、実践ができるので、ぜひ活用してみてください。
過去の記事では認知行動療法をもとにしたおすすめアプリについて解説しているので、こちらも読んでみるのがおすすめです。
同期や後輩の活躍に嫉妬してしまいます
同期や後輩が活躍していると、つい嫉妬してしまうこともありますよね。
それは自然なこととも言えるでしょう。
嫉妬の気持ちは「自己評価」と「他人との比較」から生まれます。
人は、自分と他人をくらべてしまうときに「嫉妬」しやすくなるわけですね。
とくに、自分と似た立場の人(同期や後輩など)が注目されていると、「自分はまだ何もできていない」と感じやすくなります。
ある心理学の研究(Smith & Kim, 2007)では、嫉妬は「自分と似た人への比較」から強くなるとわかっています。つまり、「自分よりすごい人」よりも、「自分と同じくらいだと思っていた人」が活躍すると、より嫉妬しやすいのです。
しかし心理学者アルフレッド・アドラーは「課題の分離」という概念を提唱しています。「課題の分離」とは、人にはそれぞれの課題があり、自分自身の課題に集中することが、良い人間関係を生み、心のバランスも保たれるという考え方です。
仕事で同僚に嫉妬してしまったときには、「課題の分離」という言葉を思い出し、「自分がどのポイントに嫉妬しているのか」「どうなれば、自分の心は満足するのか」を考えてみましょう。
そのうえで、「自分の課題」に向き合うことに集中する視点が重要です。
上司から評価されず、自信が持てません
自分の頑張りに対して上司から評価されないと、それが不満や自信喪失につながってしまうことがありますよね。
ただ、たとえ上司から評価されなくても、自分の価値がなくなるわけではないと認識することが重要です。
- 「上司から評価されない=自分に価値がない」ではない
とくに、人の評価は、主観(すき・きらい)やタイミングに左右されやすいです。
上司の評価には、その人の「考え方」「気分」「見ている範囲」などが大きく関係しています。
よって、たとえ努力していてもすぐには気づかれないこともあるわけですね。
ある研究(London, 2003)によると、職場での評価は「能力」だけでなく「上司との相性」や「人間関係」などにも影響されるとされています。
大切なのは、「人に気づかれなくても、自分の努力や価値は消えない」という視点を持つことです。
「今日はミスせずにやれた」「昨日よりスムーズにできた」など、小さな成功を自分で認めることで、心のなかに「じぶん評価」を育てていくのが有効です。
たとえ見てくれる人がいなくても、あなたの花は今日も美しく咲いています。
自分だけが浮いている気がして心許ないです
職場で自分だけが「浮いている」と感じる場合、以下のような思考が頭をよぎっていることが多いのではないでしょうか?
- 「自分は周囲と比べて、全然仕事ができていないのではないか・・?」
- 「こんなに能力が低いのは、自分だけなのではないか・・?」
社会心理学の「社会的比較理論」によると、人は周囲の人々を見て自分の行動を決定する傾向があると分かっています。
例えば、天気が悪い日には周囲の人が傘をさしているかを見て、自分の行動を決定することがありますよね。
つまり、周囲を参照することは人間に備わった「必要な能力」と言えます。
ただ、必要以上に自分の能力を低く見積もってしまう「ヒューマンエラー」もあるので、注意が必要です。
とくに、不安を感じやすい方は実際よりも自分の能力を低く見積もり、自分を取り巻く状況を脅威に感じてしまいやすい傾向があると言われています。
例として、あなたが足がつく深さのプールに入っていることをイメージしてみてください。
実際は足がつくので、その状況を過度に恐れる必要はありません。また、実際あなたは「泳げる」としたらいかがでしょうか。
- 足がつく深さなので過度に恐れる必要はない
- 仮にプールがもっと深かったとしても、あなたは泳ぐことができる
上記のような「安心要素」があるにも関わらず、「もし上手く泳げなかったらどうしよう・・」「足がつってしまったらどうしよう・・」と悪い方向にばかり考えてしまうわけですね。
これは、問題の本質はあなたの「能力」にあるのではなく、必要以上に悪くとらえてしまう「思考」にあると言えるのです。
「ネガティブな思考」を変えていくのに個人的におすすめしているのが、「アプリの活用」です。
過去の記事では、思考の柔軟性を高めていく心理療法である「認知行動療法」をもとにしたアプリについて解説しているので、チェックしてみていただけると嬉しいです。
優秀なチームメンバーに囲まれて自信喪失しています
周囲に優秀な人が多いと、「やっぱり自分には能力がないのかな・・」と自信を失ってしまうことがありますよね。
「社会的比較理論」という心理学の考え方によると、人には無意識に他人と自分を相対的に比較してしまう習性のようなものがあるとわかっています。
つまり、他者と比較すること自体は人間に必要な本能とも言えるわけですね。
例えば、「社内評価を見て現状の自分の課題点を把握して次につなげる」といった比較の仕方ならOKです。
ただ、「自分はダメだ…」「良いところなんて何もない…」といったように、自分をただ単に傷つけてしまうだけの比較の仕方には注意が必要です。
周りがすごく見えるときほど自分の「よさ」や「役割」に目を向けることが大切。「自分の強みは何だっけ?」と一度立ち止まって考えてみましょう。
会社は「オーケストラ」のようなものです。バイオリンの音がきれいでも、それだけでは音楽になりませんよね。
ピアノやフルート、トライアングル、指揮者がそろってこそ、素敵なハーモニーになります。
「自分はどの楽器だろう?」「どんな音を出せるだろう?」と考えると、自分だけの音(個性)を大切にしたくなりますね。
周りの人が優秀に見えても、あなたにはあなたにしかない価値があります。自分の「今できること」「自分だから気づけること」を、少しずつ認めていくことが、自信を取り戻すカギになるはずです。
「仕事ができない」と言われてひどく落ち込んでいます
ちょっと個人的な意見になってしまうのですが、筆者は「仕事ができる」「仕事ができない」という言葉自体があまり好きではありません。
これまで心理学を学んできた中で、人の「能力」は色々な要素が混ざり合って形成されていることを知りました。
例えば、能力の指標の1つである「IQ」を測る「知能検査」にはいくつもの「科目」のようなものがあります。そして、その知能もまた、「能力」を形成する1つの項目にすぎません。
例えば、勉強は苦手でも絵を描くのが上手な人、運動が得意な人、友達をつくるのが上手な人などがいますよね。その逆もあると思います。
仕事上でも、事務作業は苦手だけど営業が得意な人、またその逆などもあるでしょう。
このように、人の能力はいくつもの要素が複雑に混ざり合って形成されているにも関わらず、「仕事ができる」「仕事ができない」と「0-100思考」で安易に言ってしまうのは、あまりにも浅はかだと思ってしまうのです。
よって、「仕事ができない」と他者に直接言えてしまう方には「思考の深さ」「コミュニケーション能力」に課題があると感じてしまうのです。
もし「仕事ができない」と言われてしまっても、あまり正面から受け取る必要はないでしょう。
そのうえで、「自分の強み」をどのようにして伸ばしていくかを考えていくのがおすすめです。
過去の記事では自分の強みの見つけ方について解説しているので、もしご興味があれば読んでみてください。
まとめ:職場の劣等感は「敵」ではなく「味方」にもなる

本記事では、職場で感じる劣等感への対処法を臨床心理士の視点で解説してきました。
最後にお伝えしたいのは、やはり「劣等感」を持つことは悪いことばかりではないということです。
心理学の世界では、「劣等感は成長の原動力」といわれています。
アドラーという心理学者は、「人は誰でも劣等感を持っているが、それを乗りこえようとする力がある」と考えました。
この気持ちがあるからこそ、「もっとがんばろう」「少しでもよくなりたい」と思えるわけですね。
つまり、劣等感は敵ではなく、自分を高めてくれる「応援団」のようなものなのです。
もし、あなたが明日職場で劣等感を抱いてしまったら、「この感情は、自分の成長の種なんだ」とぜひ思ってみてください。
ときに劣等感を抱きながらも、一緒に毎日を乗り切りましょう!
