就労移行支援が「ひどい」「やめとけ」と言われてしまう理由とは?【就労支援員が実態を解説!】

転職・キャリア形成

※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

  • 就労移行支援は「ひどい」「やめとけ」という書き込みが目立つ
  • 利用を検討しているけど、本当に通って大丈夫なのかな?

就労移行支援は国からの受給を受けながら就労準備を行えるのでメリットが大きいですが、ネガティブな書き込みが多いと不安になってしまいますよね。

本記事では、現場を見てきている就労移行支援員の目線で、就労移行支援が「ひどい」「やめとけ」と言われてしまう理由を解説していきます。

また、記事の後半では質の高い就労移行支援事業所を選ぶポイントについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

就労移行支援が「ひどい」「やめとけ」と言われてしまう理由

結論からお伝えすると、就労移行支援がひどいかどうかは、事業所によって異なります。

つまり、質の高い支援を行っている事業所もあれば、ひどい支援を行っている事業所もあるわけですね。

また、就労移行支援は障害を持つ方が無料または最小限の費用で利用できる制度であると同時に、制度的な課題点もないとは言い切れません。

以下には、なぜ就労移行支援が「ひどい」「やめとけ」と言われてしまうのか、代表的な理由を記載しました。

金儲けと言われる

就労移行支援事業所の利用料のほとんどは国が負担してくれており、利用者さんは無料または1割ほどの負担のみでサービスを利用することができます。

では、就労移行支援事業所はどのようにして収益を得ているのでしょうか。

就労移行支援事業所の利用料のほとんどは、国(行政)が利用者さんに代わって就労移行支援事業所に給付しているわけですね。

利用者さんが増えれば増えるほど就労移行移行支援事業所は多くの額を行政から受け取り、逆に利用者さんが減ったり、欠席をしてしまうと受け取れる金額も減ってしまうのです。

就労移行支援事業所もビジネスであり、上記のような報酬制度がなければ会社を存続させることができず、利用者さんにサービスを提供することもできないのです。

支援員の対応がひどい

就労移行支援は利用者さんに代わって報酬を得ることで事業を存続させているのですが、それ自体は「サービス」である以上仕方がないことです。

  • 飲食店が「美味しい料理」を提供し対価をもらう
  • 宿泊施設が素晴らしいサービスを提供し対価をもらう

上記と同じことなので、決して「ひどい」わけではないですよね。しかし、問題は「やり方」にあります。

「ひどい」と言われている事業所は、利用者さんへのサービスよりも利益を追求した結果、以下のような対応を取ってしまうことがあります。

無理やり出席を促す

就労移行支援事業所の報酬システムとして、利用者さんが出席した場合に収益が発生する仕組みになります。

ただ、利用者さんにとっても「安定した通所」は実績になり、就職に好影響を及ぼすので、必ずしも支援員が出席を促すのは悪いことではありません。

ただ、体調が明らかに悪いのに、無理やり通所を促す場合は利用者さんの権利を無視した対応と言えるでしょう。

就職を急かす

平成30年に就労移行支援の制度が改正され、高い就労実績を上げている事業所ほど、利用者さんが1日利用された際の報酬額が高くなるようになりました。

就労実績のない事業所は事業の存続が困難になることを示しており、利用者さんからすれば、きちんと就労実績を上げていない事業所に通うリスクが減ることになるので、むしろメリットと言えます。

ただ、就労実績を上げるためだけに、利用者さんの将来を考えずにとにかく就職させようとしたり、就職を急かすような対応を行う場合、利用者さんの将来を考えた「良いサービス」とは言えなくなってしまうのです。

  • 「なんでこんなこともできないの?」
  • 「社会人ならこれくらいできないと」

上記のような言葉が見られる場合は要注意なので、お住まいの市区町村にある役所に相談しましょう。

利用者さん同士のトラブルがある

就労移行支援事業所では、プログラム内のグループワークや模擬就労プログラムなどで他の利用者さんと交流を持つ機会も少なくありません。

ほとんどの事業所では利用者さん同士は一人の大人同士として、そして同じく障害を抱えながらも就労を目指す仲間として、互いを尊重し合いながら関わっています。

しかし、人間関係が密になりすぎてしまうことによって、関係性が悪化してしまい、通所が辛くなってしまうこともあるでしょう。

「適度な距離感」を心がけてコミュニケーションを取るのも重要な視点と言えそうです。

アルバイトが禁止されている

こちらは制度的な面での話になりますが、就労移行支援に通っている間は、原則アルバイトは禁止です。

なぜなら、就労移行支援は自分一人では就労が困難であると見込まれる方へのサービスであり、アルバイトができているということは、自分一人で就労する力があると判断されるからですね。

しかし、無収入の状態でアルバイトができないのは正直つらいと思う方もいるでしょう。

  • 雇用保険の失業手当
  • 傷病手当
  • 障害年金
  • 家族からの支援

上記のような社会制度や家族からの支援を得ながら就労準備を行う視点が重要です。

利用期限が2年しかない

就労移行支援の利用期限は、原則「一生に2年」と決められています。

2年間の間にトレーニングを積んで就労を果たせれば良いですが、その後は就労移行支援を活用できないと思うと、不安になってしまう方もいますよね。

ただし、状況によっては役所に相談のうえ利用期限が延長されることもあります。

雑多なプログラムしかない

一般的に就労移行支援では、長期就労を目指して以下のようなプログラムを受けることができます。

  • ビジネスマナー
  • コミュニケーション
  • PCスキル
  • 模擬就労
  • ストレスマネジメント

どのようなプログラムを受けることができるかは就労移行支援事業所によりまちまちであり、中にはほとんどが「自習」の時間であるケースや、専門的裏づけのないプログラムを提供している事業所もあるのです。

専門家の知見を取り入れながらきちんと作り込まれたプログラムを行っている事業所を選ぶのは重要な視点と言えますね。

就労移行支援はひどくないし、通う価値がある理由

ここまでは就労移行支援が「ひどい」「やめとけ」と言われてしまう理由について解説してきました。

もちろん、すべての就労移行支援がひどい対応を行っているのではなく、「中にはそのような事業所もある」と認識していただけたらと思います。

個人的には、就労移行支援には素晴らしい側面も多々あると思いますので、以下で解説していきます。

利用者さんにとって利益があるよう制度が改正されている

平成30年以前の就労移行支援では、就労実績に関わらずに利用者さんが1日利用した際の基本報酬が決められていました。

その結果、就労実績が低い事業所が増えてしまうという課題があったのです。

しかし、平成30年に行われた「障害福祉サービス等報酬改定」では、以下のような利用者さんにとってメリットのある改定が行われました。

  • 就労後6ヶ月以上就労継続している利用者さんが多ければ多いほど、事業所の報酬額が増え、少ないと報酬額が減る
  • 就労定着支援事業が開始

利用者さんが就労を果たしているだけでなく、きちんと就労継続できている事業所ほど報酬が上がっていくシステムになった結果、質の高い支援を行えている事業所のみが存続するようになったのです。

また、就労後も利用者さんとの定期的な面談や企業担当者との仲介役を担うことで利用者さんが健康的に働き続けることを目指すサービスである「就労定着支援事業」も開始されました。

上記のような制度改定の結果、就労移行支援はより利用者さんに寄り添ったサービスとなっているのです。

引用:平成30年度障害福祉サービス等報酬改定について|厚生労働省

利用者さんを第一に考えている支援員は多い

大手転職サイトであるindeedによると、日本の就労移行支援員の平均給与は「236,040円」とされています。

決して楽な仕事ではないうえに、給料はとても高いわけではないですよね。

では、なぜ「就労支援員になりたい」と思ったのでしょうか。それは、障害を持ちつつも就労を目指す方への支援に興味があるからに他なりません。

就労移行支援員が「お金」以外の部分にやりがいを感じて仕事をしているケースは非常に多く、利用者さんが安定就労をすることを心から願っている支援員も非常に多いです。

引用:日本での就労支援員の平均給与|indeed

お金の不安を解消する制度等についても情報提供してくれる

就労移行支援に通っている間は原則アルバイト禁止ですが、逆に言うと、アルバイトをして疲れた状態で長期就労を果たすためのトレーニングを積むのは効率的と言えるでしょうか?

「長期的に働く準備をするためのトレーニング期間」と割り切り、就労移行支援での訓練に集中するのは「将来への先行投資」と考えることもできますよね。

ただ、生活の不安はつきまとってしまうものです。

就労移行支援事業所に通うことで、傷病手当の申請方法や障害年金の受給、失業手当の申請などについても支援員がアドバイスをしてくれます。

一人で悩まず、ともに考えてくれるという意味でも就労移行支援にはメリットがあるのです。

利用者さんの関係性に気を配る事業所は多い

就労移行支援には就労を目指す利用者さんが集まるので、人間関係上の問題が生じるリスクも念頭に入れている事業所が多いです。

自分自身も就労支援員としてプログラムを提供してきた中で、プログラム開始時には必ず「ルール」をお伝えすることを意識してきました。

例えば、相手の発言を否定せず肯定的な態度で関わること、個人情報のやりとりは控えていただくことなどですね。

何か問題が生じた時には支援員に相談することで、解決方法を一緒に考えてくれます。

「利用期限2年」の目的は時間を無駄にしないため

就労移行支援の利用期限は「一生に2年」と決まっていますが、これには理由があります。

「就労を果たす」という目的を達成するためには、期限が決まっていたほうが効率的に計画を立てやすくなるからですね。

何か目標を達成したいと思った時、「そのうちやろう」と思うよりも、「〜日までにやろう」と決めたほうが効率的に行動できるのは、イメージできるのではないでしょうか。

利用期限があるのは、効率的に就労に向けた準備ができるようにするためなのです。

専門的なプログラムを提供する事業所は増えている

もちろん雑多なプログラムを提供してしまう事業所も存在するのかもしれませんが、「就労実績が維持できない事業所は存続できない」という宿命が就労移行支援事業所には課されています。

プログラム内容は利用者さんの就労定着に直結するので、きちんと専門的裏づけのあるプログラムを提供している事業所は多いです。

とくに、以下の2つは心理学的な裏づけのあるアプローチなので覚えておくと良いでしょう。

  • 集団認知行動療法:自分の思考(=もののとらえ方)に気付き、より柔軟な思考を獲得することを目指す。
  • SST(ソーシャルスキルトレーニング):対人関係において自分の気持ちや希望を適切な形で表現し、信頼関係を築くスキルを学べる。

柔軟な思考」「適切な自己表現」は長期就労にとってとても大切な要素であり、上記のような専門的理論を取り入れたプログラムを提供している事業所は質が高いと言えそうです。

結論:就労移行支援がひどいかどうかは事業所による

ここまでの話をまとめると、就労移行支援事業所には残念ながら「ひどい」と言われてしまう所はあるものの、質の高いサービスをきちんと提供している事業所も数多くあると言えるでしょう。

つまり、「どの就労移行支援事業所を選ぶか」が重要であるわけですね。

これは、実は世の中にある多くのサービスと同じなのではないでしょうか。

  • 自分自身の「通う目的」が明確にあり、目的に沿った事業所を選ぶ
  • 見学や体験を通して、事業所の雰囲気を見定めたうえで選ぶ

上記2点が、とくに重要な視点となります。

「ひどい」「やめとけ」と言われる就労移行支援事業所を避けるポイント

「ひどい」「やめとけ」と言われてしまう事業所を避け、自分の目的に近づける質の高い事業所を選ぶには、いくつかのポイントがあります。

以下に記載するので、ぜひ参考にしてみてください。

大手の就労移行支援事業所を選ぶ

大手の就労移行支援を選ぶメリットを以下に記載しました。

  • 就労実績が高い
  • サービス内容が洗練されている
  • 取引先企業が多い

大手の就労移行支援事業所は就労実績が高いというより、就労実績が高いからこそ、大手になっていると言えるのです。

サービス内容が優れているからこそ、多くの利用者さんが通っているわけですね。

これは、料理が美味しい飲食店に多くのお客さんが訪れるのと一緒です。

また、大手就労移行支援事業所は社会的信頼も厚く、大企業を含めた多くの就職先や実習先との繋がりがあります。

実習先や就職活動をする際の選択肢が広くなるので、結果として自分とマッチした就労先と出会える確率が高くなります。

過去の記事では大手就労移行支援を中心におすすめの事業所を紹介しているので、参考にしてみてください。

複数の事業所で見学・体験を行う

体調に異変が現れた時、複数の医療機関を受診してより信頼性の高い情報を得る取り組みに「セカンドオピニオン」がありますね。

同様に、就労移行支援事業所を選ぶ際にも複数の事業所で見学・体験を行い、総合的に判断したうえで通う事業所を選べば、失敗してしまうリスクを低減できます。

見学・体験時のチェックポイントを以下に記載しました。

<見学・体験時のチェックポイント>

  • 支援員が気持ちの良い挨拶をしてくれるか
  • すでに通っている利用者さんへの支援員の対応
  • 利用者さんの表情
  • 事業所の清潔感
  • 質問に対して丁寧に受け答えしてくれるか

自身が通う就労移行支援事業所を選ぶ際は、複数の事業所の見学・体験をして慎重に決めるのがおすすめです。

見学で聞いた内容と体験時のギャップがない

就労移行支援事業所では「見学」「体験」を無料で行っているのですが、両者には以下のような違いがあります。

  • 見学:事業所を見学して雰囲気を確かめ、担当者から事業所についての案内を聞ける。
  • 体験:実際に事業所のプログラムに参加し、体験的に自分に合っているか確かめられる。

見学では担当者から事業所の利点などについて案内されることが多いですが、実際に体験をしてみて言われていたこととギャップが少ないと感じた場合、サービスの質が高いと判断できます。

資格を持っている支援員が多い

就労移行支援員は、無資格であっても採用されることが多いです。

資格を持っているから支援員のスキルが高い、持っていないからスキルが低いとは一概に言えないのですが、障害や支援についてきちんと学んできているかどうかの違いはどうしても出てしまいます。

<支援員が持っている資格の例>

  • 社会福祉士
  • 精神保険福祉士
  • 作業療法士
  • 看護師
  • 臨床心理士/公認心理師

就労移行支援では上記のような資格を持っている方が多いので、見学時に対応してくれたスタッフさんに有資格者がどれくらい在籍しているのか聞いてみるのも1つでしょう。

医療機関から紹介された就労移行支援事業所である

就労移行支援事業所によっては、医療機関との連携を行っていることもあります。

通院同行」と言って、利用者さんが通院をする際に支援員も同席し、情報共有等を行ってくれるケースがあるのです。

もし現在医療機関を受診されている場合、主治医の先生に就労移行支援事業所を探していることを伝え、おすすめの事業所はないか聞いてみるのも良いでしょう。

医師から紹介された就労移行支援事業所は、医療機関からの信頼が厚いことを示しており、質の高い支援を行っているケースが多いです。

医師が、自分の患者さんを「任せられる」と判断しているということですからね。

まとめ:「ひどい」就労移行支援を避けるには事業所選びが重要!

本記事では、就労移行支援事業所が「ひどい」「やめとけ」と言われてしまう理由や、実際は質の高いサービスを提供している事業所も多いことなどについて解説してきました。

結論として、質の高い就労移行支援事業所を「選ぶ」ことが重要であると言えるでしょう。

見学や体験を積極的に行い、「目で見て」事業所選びを行うのが何より大切です。

過去の記事では就労支援員が厳選したおすすめの就労移行支援事業所をまとめているので、併せてチェックしてみるのがおすすめです。

東京に絞って就労移行支援事業所を探している方はこちら。

横浜に絞って就労移行支援事業所を探している方はこちら。