- 就労移行支援の利用を検討しているが、自分に向いているのか分からない
- 現在就労移行支援を利用しており、向いていない気がしている
上記のようなお悩みを持つ方に向けて記事を書きました。
就労移行支援事業所の利用を検討している方にとって、今の大切な時間を無駄にはしたくないですよね。
本記事では、就労支援員かつ臨床心理士である筆者が、就労移行支援の利用に向いていない人がどのような人なのか、また、向いていない場合の対処法などについて解説しています。
記事を読めば、就労移行支援の利用に自分が向いているのかどうかを把握したうえで、次の行動を決定できるでしょう。
就労移行支援の利用に向いてない人の特徴9選
さっそく、就労移行支援の利用に向いていない人がどのような特徴を持っているのか、9つに絞って解説します。
体調やメンタル状態が過度に不安定
就労移行支援の利用を検討している方の多くは、メンタル不調や身体不調が理由で会社を休職または退職している方になるでしょう。
上記のような場合、症状が安定していない状態で就労移行支援に通い始めてしまうと、継続して通うことが難しく、逆に自信を失ってしまったり、自責感が強くなってしまうリスクがあります。
また、就労移行支援を利用できるのは原則「一生に2年」と決まっているので、限られた利用期間を無駄に使ってしまうことにもつながります。
- 症状が回復する
- 就労移行支援の利用を検討する
必ず上記の順番を意識するようにしましょう。
医療機関にかかっている場合は、主治医に相談するのも必須の手順になります。
すでに生活リズムが整っている
就労移行支援に通う大きな目的に、朝から外出し、活動し、夜はきちんと眠るという生活リズムを取り戻すことが挙げられます。
「就労移行支援に行かなくちゃ」と思うようになるので、自然と生活リズムを取り戻せるようになるわけですね。
自分で整った生活リズムを維持できている場合、就労移行支援を利用するメリットは半減してしまいます。
ただ、就労移行支援では働くために必要なスキルやコミュニケーションなどについてプログラムを通して学べるので、生活リズムが整っているからといって、必ずしも利用が適していないと断言することはできないのも実際です。
生活費がすぐに必要
就労移行支援の目的は一般企業への就労(障害者雇用枠を含む)に向けて、働くのに必要なスキルを身につけることにあります。
よって就労移行支援の位置づけは「訓練」であり、給料は基本的に支給されません。
また、就労移行支援の利用中は原則アルバイト禁止であるため、生活費がすぐに必要な方には向いていないでしょう。
失業給付や障害年金、傷病手当などの支給を受けている場合や、最低でも半年〜2年ほどは暮らせるだけの貯金がある方、あるいは家族からの経済的支援を受けられる方向けのサービスと言えます。
「就労継続支援」の場合は障がいのある方が自立して就労を続けるための作業所であるため、給料や工賃が発生します。
お金を稼ぎながら福祉就労をしたい方は、就労継続支援A型、または就労継続支援B型の利用を検討すると良いでしょう。
すぐに就職したい
就労移行支援の利用期間は人によって異なりますが、最低でも3ヶ月、最長で2年利用するのが一般的です。
就労移行支援は働くための準備をする支援機関であるため、通所期間が短すぎると、ほとんどスキルを身につける前に就労することになるため、利用の効果が得られないわけですね。
すぐに就職したいと思っている方は、転職エージェントを活用して就労先を見つけるのに向いています。
また、障害者雇用での就労を検討している方は、障害者雇用に特化した転職エージェントを活用しましょう。
障害者雇用に特化した転職エージェントなら、自身の障がいについての説明や配慮事項の伝え方を教えてもらえたり、就職後も支援をしてもらえたりすることがほとんどなので、メリットが大きいです。
障害者雇用に特化したおすすめ転職エージェントを過去の記事でまとめているので、興味のある方は読んでみてください。
就労に必要なスキルが備わっている
就労移行支援では、障害者雇用を含む一般企業での就労に向けて、以下のようなスキルを身につけられます。
- ビジネスマナー
- コミュニケーションスキル
- PCスキル
- 軽作業を行う力
- ストレスマネジメントスキル
- 体調管理スキル
上記のようなスキルがすでに備わっている方にとって、就労移行支援を利用するメリットは半減してしまうと言えるでしょう。
ただし、最近ではスキル特化型の就労移行支援も増えてきています。
例えば、ITスキルを身につけられる事業所、Webデザイナーになるために必要なスキルを身につけられる事業所などがありますので、この機会に専門スキルを身につけて転職したいと思っている方には非常におすすめです。
おすすめのスキル特化型就労移行支援の一部を以下に記載しました。
- 【atGPジョブトレIT・Web】:Webデザイナーやシステムエンジニア、プログラマーなどを目指せる。
- 【就労移行ITスクール】:未経験からプログラミング、Webデザイン、動画編集、e-スポーツなどの業界に必要なスキルを学べる。
その他のスキル特化型の就労移行支援についても過去のまとめ記事の中で解説しているので、興味がある方は読んでみてください。
自分一人で就職活動を行える
就労移行支援では、就職に向けて必要なスキルを身につけられるとともに、自分に向いている仕事を見つけるための自己分析、履歴書・職務経歴書の添削、面接練習、面接同行なども行ってくれます。
つまり、自分一人で就職活動をするのが不安という方に向いているわけですね。
反対に、自分一人で就職活動を行う自信がある方にとって、メリットは半減してしまうと言えるでしょう。
ただし、自己分析は自分一人で行うよりも支援員と話し合いながらのほうが効率的に行えるので、就職活動を自分で行える自信があるものの、自己分析は誰かと話し合いながら行いたい方にとっては大きなメリットがあります。
キャリアアップや年収アップが転職の目的
就労移行支援で身につけられるのは、基本的なPCスキル、ビジネスマナーなどの「働くうえで必要な基礎スキル」です。
より専門性を高めてキャリアアップや年収アップをしたい方の場合、就労移行支援に通うよりも専門技術を身につけるためのスクールに通うほうが効率的と言えるでしょう。
ただし、未経験からIT関連やプログラマー、Webデザイナーなどに転職したい方の場合、スキル特化型就労移行支援を利用すれば無料もしくは安価で訓練を受けられるため、おすすめ度は非常に高いです。
就職したいと思っていない
就労移行支援は、就労を目指して訓練をするための施設です。
よって、現段階で就労への意欲が高くない場合、時間を無駄に使ってしまう可能性が高いでしょう。
就労移行支援は厚生労働省が母体となっている障害福祉サービスなどで無料または安価で利用できるメリットがありますが、利用期間は原則「一生に2年」と決まっているので、就労意欲がないのに利用してしまうと、貴重な利用期間を無駄にしてしまうことにもなります。
就職したいという目的意識を持って利用するようにしましょう。
在職中である
就労移行支援は、在職中である場合は利用できない障害福祉サービスです。
現在離職中または休職中であり、労働をしていない場合に限り利用申請が通りますので、現在在職中である方は利用ができません。
将来的に会社を退職したり、休職したりした場合に改めて利用を検討しましょう。
就労移行支援が向いている人の特徴5選
就労移行支援の利用が向いていない方について解説してきましたが、逆に就労移行支援の利用が向いている方はどのような方なのでしょうか。
以下に、詳しく解説していきます。
働くうえで何らかの障がいがある
就労移行支援を利用するには、お住まいの地域の役所の障害支援課に利用申請を行い、障害福祉サービスの受給者証を取得する必要があります。
「働くうえで何らかの障がいがあること」が利用の条件であるため、受給者証の発行には医師による診断書が必要な場合がほとんどです。
例えば、就労移行支援の利用に適した病気や障がいには以下のようなものがあります。
- うつ病
- 適応障害
- 発達障害
- 統合失調症
- 身体障害
- 内部障害
- 視覚障害
- 聴覚障害
障害者手帳の取得は必須ではありませんが、病気や障がいによって就労が困難な状況であることを示すために医師による診断書は必要であるわけですね。
現在何らかの病気や障がいによって通院している方、通院を検討している方にとって、就労移行支援は向いていると言えるでしょう。
一人で就職活動する自信がない
就労移行支援では自分に向いている仕事探しから履歴書・職務経歴書の作成、面接練習、面接同行など、就職までの一連の流れを支援員がトータルでサポートしてくれます。
自分1人で就職活動をする自信がない方にとって、就労移行支援は大きな味方となるでしょう。
とくに、障害者雇用枠での就労を目指す場合、面接では自身の障がいについての説明や配慮事項を伝える必要があります。
自身の障がいについての理解や配慮事項の棚卸しなどは専門スキルを持った支援員と行ったほうが効果的なので、ぜひ利用を検討しましょう。
働くためのスキルを身につけたい
就労経験があるものの、働くスキルの不足から退職や転職を繰り返してしまっていたり、そもそも就労経験がない場合などは、就労移行支援の利用が向いています。
まずは就労移行支援で働くための基礎スキルを踏むことで、就労後に「長く働く」ことができるようになります。
仕事は採用されて働くようになってからが長くて大変なので、スキルを身につけたうえで就労することは長期就労にとってとても重要な視点と言えるでしょう。
体調やメンタル状態が回復している
通所が困難なほどに体調やメンタル状態が悪化している場合は治療が最優先となりますが、回復状態にある場合は、就労移行支援の利用に向いているでしょう。
なぜなら、就労移行支援には週3日〜5日は通う必要があるからです。
週1〜2日からの通所を認めている就労移行支援もありますが、いずれにせよ、週5日勤務に耐えられる体力を身につけるには少しずつ日数を増やすのがおすすめです。
安定して通所できてはじめて就労移行支援の効果が発揮されるので、体調やメンタル状態が回復しているのは非常に重要な要素です。
休職や退職・転職を繰り返している
休職や退職・転職を繰り返している場合、自分自身の中にその理由が眠っているというケースも多いのではないでしょうか。
例えば、以下のような理由が考えられるでしょう。
- 仕事がなかなか覚えられない
- 周囲からの評価を気にしすぎてメンタルが疲弊してしまう
- 人間関係が上手くいかずに調子を崩してしまう
もちろん環境が自分に合わなくて休職・退職・転職をしてしまうケースもありますが、繰り返しているということは、何かしらの「パターン」がある可能性もありますよね。
就労移行支援に通えば、根本的な原因を訓練を通して解消したうえで就職できるので、長期就労へのヒントを得られるのです。
今通っている就労移行支援が向いていないと感じるケース
これから就労移行支援の利用を検討している方もいれば、すでに就労移行支援に通っているものの、自分には合わないと感じている方もいるでしょう。
以下には、すでに就労移行支援に通っていて「合わない」と感じている方がどのように悩んでいることが多いのか、一例を記載しました。
プログラム内容が合わない
自分が目指したい働き方とプログラム内容が合わないと、就労移行支援が自分には合わないと感じてしまいやすくなります。
そこで重要なのが、就労移行支援の3つのタイプを把握することです。
- 総合型就労移行支援:ビジネスマナーやPCスキルなど、働くうえで必要な基本的スキルを身につけられる。
- スキル特化型就労移行支援:プログラミングやWebデザインなどのスキルを身につけられる。
- 障害特化型就労移行支援:うつ病や発達障害など、自身の障がいについて理解と対処策を深められる。
例えば、Webデザイナーへの転職を目指している方が総合型就労移行支援に通っても、そもそもWebデザインに関する専門知識を持っている職員がいない可能性もあり、ミスマッチと言えるでしょう。
逆に、事務職を目指している方であれば、総合型就労移行支援に向いています。
自分がどのような就労を果たしたいのかを決めてから事業所を決めることの重要性が分かりますね。
事業所の雰囲気が合わない
僕はこれまで何箇所かの就労移行支援を見てきているので実感しているのですが、その事業所が持つ「雰囲気」というものが確かにあります。
例えば、とても静かで穏やかな事業所もあれば、元気で活発な印象を受ける事業所もあるのです。
事業所の雰囲気が自分に合わないと、通うのが嫌になってしまうこともありますよね。
大手の就労移行支援であれば複数箇所に事業所展開しているケースも多いので、今とは異なる事業所に移るのも1つでしょう。
また、他の運営会社が行っている就労移行支援に移るという選択肢もあります。
支援員や他利用者と合わない
就労移行支援では、1人の利用者さんに対して1人の担当支援員がつくことが多いです。
担当支援員以外の支援員とコミュニケーションを取ることはもちろんありますが、就労に向けてより密に話し合いを行い、サポートしてくれるのは担当支援員になります。
担当支援員との相性が合えば良いですが、相性が合わなかったり、自分が求めているスキルを支援員が持ち合わせていなかったりする場合にはやりにくさを感じてしまうことも正直あるでしょう。
上記のような問題が生じた時には事業所の責任者等に相談して担当支援員を変更してもらうか、それが気まずいと感じる場合は事業所自体を変えてしまうのも1つです。
ただ、これまで人間関係で悩むことが多かった方の場合、自分が苦手と感じる相手とどのように関わるかを学べる機会と、少し前向きに考えてみる選択肢もあるでしょう。
就労移行支援に向いていないときの代替案
就労移行支援に向いていない人はどのような人なのか、利用をやめた方がよいケースはどのようなケースなのか、ご理解いただけたのではないでしょうか。
以下では、就労移行支援の利用が向いていない方におすすめの代替案について詳しく解説しました。
転職エージェントを活用する
就労移行支援の利用が向いていない場合、自分で就職活動を行う必要があります。
そこで、転職エージェントを活用すれば、担当エージェントに相談をしたり、書類作成や就職後のサポートを受けられたりといったメリットがあるので非常におすすめです。
障害者雇用での就職を考えている方はとくに、障害者雇用特化型の転職エージェントを活用すると良いでしょう。
障害者雇用特化型転職エージェントを活用すれば、職場に伝える配慮事項について話し合いながら整理をしたり、企業と交渉をして働きやすい環境調整を行ってくれたりといったメリットがあるのです。
障害者雇用特化型転職エージェントに興味がある方は、過去におすすめのエージェントをまとめた記事を書いているので参考にしてみてください。
他の就労移行支援事業所を検討する
今現在通っている就労移行支援事業所が自分に合っていないと感じる場合、他の就労移行支援事業所に変更するのも1つでしょう。
事業所変更を行う場合は、他の事業所の見学・体験を行い次に通う事業所を決めた後、今通っている事業所の責任者に事業所変更をしようと思っていることを伝えると良いでしょう。
自分の未来のために最善の選択を考えた結果であると伝えるのが重要です。
他社の就労移行支援を探す場合は見学・体験を行いプログラム内容と自分の目標のマッチ度や雰囲気などをしっかり確認したうえで利用を決定するのがおすすめです。
過去の記事でおすすめの就労移行支援事業所をまとめているので、事業所選びの参考にしてみてください。
就労継続支援を利用する
就労継続支援は、就労移行支援と同様に障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスなのですが、以下のような点で異なっています。
- 障害者雇用を含む一般企業への就労が困難である方が利用の対象
- 訓練ではなく「作業」がメインであり、給料や工賃が発生する
障害福祉サービスでありながら、福祉的な就労を通して実際に働くという経験を積み重ねることができるのです。
一般企業への就職が難しいと感じており、給料や工賃をもらいながら実際に作業を通して自立を目指したいと考えている方は、就労継続支援の利用を検討してみると良いでしょう。
医療リワークや職リハリワークを利用する
現在休職中であり、復職を目指している方の場合は就労移行支援に限らず、医療リワークや職リハリワークを利用するという選択肢もあります。
それぞれの概要を、以下に記載しました。
- 医療リワーク:精神科や心療内科などの医療機関が運営しているリワークであり、復職に向けて生活リズムの改善やストレスへの対処スキルなどを学べる。
- 職リハリワーク:各都道府県に1箇所配置されている「地域障がい者職業センター」が運営しているリワークであり、復職に向けた準備に加え、雇用主や主治医との連携を行ってくれる。
医療リワークは診療報酬の対象となるため健康保険が適用され、通常3割負担、「自立支援医療」に申請している場合は1割負担での利用が可能です。
職リハリワークは労働保険が適用されるサービスであり、無料で利用できます。
医療リワークには看護師や心理士、精神保健福祉士などの専門職がスタッフであることが多いというメリット、職リハリワークには利用料が無料であり、所属企業や主治医との連携を取ってくれるというメリットがあるので、就労移行支援以外の選択肢として検討してみるのも1つでしょう。
職業訓練を活用する
職業訓練とは、「熱心に職業訓練を受け、より安定した就職を目指して休職活動を行う方のための制度」のことを言います。
以下の2種類があるので、それぞれの概要を記載しました。
- 公共職業訓練(ハロートレーニング):失業給付を受けている方が対象
- 求職者支援訓練:失業給付を受けられない方が対象
職業訓練には多種多様な種類がありますので、やりたい仕事が明確にあるものの、専門スキルを持っていない方は積極的に利用を検討してみましょう。
一部訓練は有料のものもありますが、基本的には無料で受講でき、公共職業訓練の場合は失業給付期間の延長、求職者支援訓練の場合は職業訓練受講手当などが支給されるケースがあります。
公共職業訓練や求職者支援訓練がご自身に合うと感じる場合、ハローワークの窓口にてまずは相談してみましょう。
自分に向いている就労移行支援事業所を選ぶポイント
就労移行支援が向いていないというケースはもちろんありますが、就労移行支援事業所は数多くあるので、慎重に検討を行えば、自分に合った事業所と出会える可能性は十分にあります。
また、無料または安価で利用でき、豊富なプログラムが用意されているのが就労移行支援なので、やはり利用するメリットは大きいのです。
以下には、自分に向いている就労移行支援所を選ぶ際のポイントについて解説しました。
複数の事業所で見学・体験をする
就労移行支援は、事業所によって雰囲気や支援員の質、プログラムの内容や充実度など様々です。
1つの事業所だけを見て利用を決定してしまうよりも、複数の事業所の見学・体験を行った後、自分に合った事業所を選択するようにすれば、ミスマッチのリスクを防げます。
複数の事業所のメリット・デメリットを冷静に考えたうえで利用を決定しましょう。
通う目的を明確にする
就労移行支援を選ぶ際に重要なのが、最初に「通う目的」を明確に決めることです。
例えば、以下のような目的が考えられるでしょう。
- 就職をする前に、PCスキルやビジネスマナーなど基本的な働くスキルを身につけたい
- 自分に合った仕事がどのような仕事なのか支援員に相談して、適職に就きたい
- 生活リズムを安定化させて、日中の活動量を増やしたい
- IT関連の専門知識を身につけて、IT業界に転職したい
通う目的が決まれば、あとは各事業所が持っている特徴と照らし合わせ、自分の目的を叶えられる可能性が最も高い事業所を選ぶだけです。
通いやすい事業所を選ぶ
就労移行支援を選ぶ際に実は重要度が高いのが、「通いやすさ」です。
あまりに自宅から就労移行支援が遠いと、通所するだけで疲労感が強くなってしまい、通所すること自体が苦痛になってしまうわけですね。
逆に、就労移行支援が自宅から近すぎると朝電車に乗って通勤するリハビリを兼ねることができず、入社後のギャップが大きくなってしまうのです。
目安として、自宅から1時間以内の場所にあり、電車やバスを使って通う必要のある事業所を選べば通勤の練習にもなり一石二鳥です。
交通費補助や昼食補助の有無を確かめる
就労移行支援では給料や工賃が発生せず、アルバイトも原則禁止です。
就労後の長期就労を目指すには大切な時間と言えますが、お金の不安はどうしても生じてしまいますよね。
就労移行支援によっては交通費補助や昼食補助を行っている事業所があるので、お金の不安を少しでも軽減させたい方は補助を行っている事業所を選びましょう。
例えば、ココルポートは交通費補助・昼食補助どちらも行っており、プログラム内容も非常に充実しているのでおすすめです。
毎日の昼食代や交通費が浮くのは、かなりメリットが大きいですよね。
就労移行支援が向いていないことに関するQ &A
最後に、就労移行支援が向いていないのではないかと考えてこの記事をクリックしてくださった方に向けて、よくある質問と回答をまとめたのでぜひ参考にしてみてください。
人と関わるのが苦手な場合、就労移行支援事業所に向いていないのでしょうか?
就労移行支援では他の利用者さんとプログラムを通してコミュニケーションを取ることが多く、人と関わることに苦手意識を持っている方は向いていないと感じることも多いでしょう。
しかし、人と関わることに苦手意識を感じているからこそ、就労移行支援でコミュニケーションを学ぶ価値があるというのが僕の意見です。
なぜなら、障害者雇用を含む一般企業での就労の場合、他者と関わらずに働くことはほとんどないからです。
就労を前に他者とのコミュニケーションに慣れておくことには大きなメリットがあると言えるでしょう。
しかし、無理に社交的になる必要はありません。集団の中で自分が無理せず、他者とコミュニケーションを必要最低限取る方法を学ぶのも大切な視点です。
支援員と相談しながら、少しずつコミュニケーションへの自信を育めるとベストですね。
特定のスキルだけを身につけたいです。
総合型の就労移行支援では、働くために必要なPCの基礎スキルや基本的なビジネスコミュニケーションなどを幅広く学べます。
しかし、特定の知識のみを身につけたい場合は上記のような訓練内容が不要と感じてしまうこともあるでしょう。
そのような場合は、スキル特化型の就労移行支援の利用がおすすめです。
とくにプログラミングやWebデザイン、Web制作などのスキルを学べるスキル特化型就労移行支援が多いので、興味がある方は見学に行ってみましょう。
「atGPジョブトレIT・Web」や「就労移行ITスクール」などがスキル特化型就労移行支援として有名です。
就労移行支援にはどのような人が通っていますか?
就労移行支援には様々な年齢・性別・経験を持った方が通っています。
ただし、共通項として以下のような方が挙げられるでしょう。
- 何らかの障がいにより企業で働くことに不安を感じている
- 一般企業(障害者雇用を含む)への就労を希望している
- 一人で就職活動を行うことに不安を感じている
また、就労移行支援の対象年齢は18歳から64歳までの方なので、覚えておきましょう。
一般企業での就労経験があるものの仕事上のストレスなどにより休職や退職をされている方、高校や大学を卒業後、働く準備をするために利用する方など、利用の背景は様々です。
ただし、「現在就労していない状態にある」というのは皆共通しています。
今通っている就労移行支援から別の就労移行支援に変えることはできますか?
今通っている就労移行支援が合わないと感じる場合、他の就労移行支援事業所へと変更することが可能です。
就労移行支援を変更する場合は、まずは現在通っている就労移行支援の責任者等に退所の希望を伝えると良いでしょう。
就労移行支援サービスは役所の申請を受けて利用できるものであるため、事業所の変更をする際は、サービス受給者証を発行した役所に相談する必要があります。
また、相談支援事業所を利用して就労移行支援の利用申請時に相談支援専門員からサービス利用計画を書いてもらっている場合、専門員に再度新しい事業所での利用計画案を作成してもらう必要もあります。
受給者証を発行してもらった役所にお問い合わせすれば手続きの流れを案内してくれますので、まずは相談してみましょう。
新たな事業所選びをする際は、以下の就労移行支援事業所のまとめ記事も参考にしてみてください。
まとめ:就労移行支援に向いていないかどうかは相談して決めるのがおすすめ
今回の記事では、就労移行支援の利用が向いていないのではないかと悩む方に向けて、向いていない方の特徴や代替案などについて解説しました。
就労移行支援と一口に言っても事業所によってサービス内容や雰囲気が大きく異なりますので、まずは見学・体験に行き、実際に目で見て決断するのが一番です。
ほぼすべての就労移行支援では無料で見学・体験を受けつけているので、気軽に職員に今のお悩みを相談することができます。
一人で悩んでしまうよりも、多くの方から意見を聞き、情報を集めたほうが自分にとっての正解にたどりつきやすくなりますので、まずは見学・体験を検討してみましょう。