抑うつや不安に悩まされた時、あなたはどのように問題に対処していますか?問題への対処法の1つとして、私は認知行動療法をおすすめします。今回は、気分を調整していくための第一歩として、「自分の認知を知る」ことについてお話ししていきたいと思います。「そもそも認知行動療法ってどんなもの?」と思った方は、ぜひ過去の記事もご覧ください。
1. 自分の認知の特徴を知ろう!

今回は、自分の認知の特徴を知ることを目標にしていきたいと思います。まずは、「認知」という言葉について、もう一度確認してみましょう。
認知=ものごとの捉え方
例えば、カフェテリアで職場の同僚と会話をしている時、「○○さんって、面白いですよね!」と言われたとします。
あなたは、このように言われたら、どんな認知を抱くでしょうか?
・ある人は、「自分は下に見られていて、ばかにされているんだ!」と思うかもしれません。
・またある人は、「自分は間抜けな人だと思われているんだな・・」と思うかもしれません。
・更に、ある人は「面白いって思われているのかぁ。魅力的ってことだよね!」と思うかもしれません。
認知は、「気分・感情」の原因となります。これは、これから自分の気分をよくしていくうえで根幹となる考え方ですよ!
認知→気分・感情
2. 認知が気分・感情を作るときの例

①出来事:カフェテリアで職場の同僚と会話をしている時、「○○さんって、面白いですよね!」と言われた。
②Aさんの認知:「自分は下に見られていて、馬鹿にされているんだ」
→Aさんの認知の結果、Aさんはどのような感情を抱くと思いますか?考えてみてください。
(答えは、「怒り」の感情です。人は、「不当に扱われている」という認知を抱くと、怒りの感情が湧いてくるのです。)
原因: 「自分は下に見られていて、馬鹿にされているんだ」という認知
結果: 「怒り」という感情
その他の例でも、認知の結果としての感情を考えてみましょう。
Bさんの認知:「自分は間抜けな人だと思われているんだな」
→この認知の結果として、どんな気分・感情が生じると思いますか?
答え:「悲しくなる」「落ち込む」「悔しくなる」など
Cさんの認知:「面白いって思われているのかぁ。魅力的ってことだよね」
→この認知の結果として、どんな気分・感情が生じると思いますか?
答え:「嬉しくなる」「自信が湧いてくる」「胸が踊る」など
いかがでしょうか?どのような認知を抱くかによって、どのような気分・感情が湧いてくるかが変わるのです。一般的に、「嫌な出来事があったから、嫌な気分になる/いい出来事があったから、いい気分になる」と考えられていますが、出来事は、気分・感情を生み出すきっかけに過ぎません。出来事に対して、どのような認知を抱くかが、最終的な気分・感情を決めるのです!
僕の祖父は、若い頃に家庭環境が原因で貧しい生活を余儀なくされていたそうです。そんな祖父は一人上京し、自衛隊に入隊しました。自衛隊の訓練はとても厳しいものであったそうですが、入隊当初、祖父は「ここは素晴らしい!」と胸を踊らせたそうです。なぜなら、食べるものも、寝る場所も確保されている環境だからです。環境は一緒でも、「どのようにそれを捉えるか」によって、幸も不幸も変わってくるのです。
3. 認知の癖を知るための方法

自分の「認知の癖」を知るためには、認知(=ものごとをどのように捉えるか)を紙に書き出すことが有効です。認知の癖を知ることにより、その認知に焦点を当てて認知を修正していくことが出来るようになります。
しかし、いきなり「認知を紙に書き出してください」と言われても、思いつかないという方も多いのではないでしょうか・・?
そこで活躍してくれるのが、棒人間の吹き出しに、認知を書き込む方法です。

この人は、何だか困ったような顔をしていますね。この人を自分に置き換えて、頭の中で何とつぶやいているか考えてみましょう。そこで出てきた考えが、あなたの認知です。棒人間の吹き出しに認知を書き込む練習をしていく中で、少しずつ認知とはどういったものなのか、感覚を掴めてくるのではないかと思います。
上記URLより、棒人間の図を無料でダウンロードし、印刷してご利用いただけます。
4. コラム法をやってみよう!

コラム法は、今自分を悩ませている出来事や感情、認知(自動思考)を専用の用紙に書き出し、否定的な認知を適応的な認知に変えていくための方法です。専門用語では「認知再構成法」と呼ばれており、認知行動療法の中でも中心的な技法となっています。
過去の記事にて、コラム法の書き方について詳しく記載しているので、ぜひご覧になってください。コラム法のワークシートの無料ダウンロードも、記事の中で出来るようになっています。
コラム法を何度も行う中で、少しずつバランスのとれた認知を身につけていけるようになります。ぜひ挑戦してみていただきたいと思います。
5. 生活の中に認知行動療法を取り入れる

認知行動療法は、生活の中に取り入れていくことが重要です。日常生活の中で生じるあらゆる問題に、認知行動療法を使って対処していく中で、少しずつセルフマネジメントの力が備わっていくと考えられているからです。
例えば、先ほどご紹介したコラム法。これは、何か嫌なことがあった時、不安になった時などにその都度行っていくことが重要です。
しかし、紙に自分の考えを記入していくのは、思った以上に根気がいるもの。そこでおすすめなのが、「スマホのメモ機能に、コラム法の項目を事前に打ち込んでおく」という方法です。
コラム法の項目の中でも、特に重要な以下の項目を打ち込んでいきます。
①出来事
②感情(%)
③自動思考
④適応的思考
⑤感情の再評価
事前に打ち込んでおけば、嫌なことがあった時にすぐに書き込むことができます。また、スマホのメモ機能に打ち込んであるので、電車の中などの「スキマ時間」を使って取り組むことができます。
このように、工夫しながら、無理なく認知行動療法を生活の中に取り入れていきましょう♪
スマホにコラム法の項目を打ち込んでおく方法に関しては、過去の記事でも詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください!
6. まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。今回は、認知行動療法を自分で行っていくうえで第一段階となる、「自分の認知を知る」ことの重要性や、そのための方法について解説させていただきました。まだまだ浅い経験ではありますが、認知行動療法を学び、実践する中で、「精神的な問題を解決するのはペンと紙である」という一つの結論が芽生えました。本を読んだり、講義を聞いたりすることももちろん大切ですが、あなたの認知(=ものの捉え方)の中に、問題解決のヒントが隠されて隠されています。ぜひ、紙とペンを持って、自分らしい道を切り開いていただけたら幸いです。
紙に書くことに加え、「人と話すこと」も重要です。人と話すことにより、自分だけの考えに凝り固まることなく、中立的な視点から認知を見直していくことが容易になります。その際、認知行動療法を学んだことのある専門家とのカウンセリングを利用することで、「二人三脚で考えていきながらも、方向性を明確にしていける」という利点があります。この記事を書いている私は、横浜市にて認知行動療法をベースとした心理カウンセリングを行っています。この機会にぜひ、こちらもご検討いただけますと幸いです。
