AIが搭載された心理カウンセリングアプリ5選【心理士が解説】

心理学

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  • AIを搭載したカウンセリングアプリでメンタルケアや自己理解に役立てたい!
  • AI自体についての概要も知っておきたい!

本記事は、上記のようなお悩みに応える内容となっています。

この記事を書いている2023年現在は、ChatGPTや画像生成AIなどが世の中一般に広まりつつある「転換期」です。

心理カウンセリングは1回5,000円〜10,000円ほどが相場であり、比較的敷居が高いですが、AIを搭載した心理カウンセリングのアプリであれば、安価でいつでもどこでも自身のメンタルヘルスを追求できるので便利ですよね。

AIを搭載した心理カウンセリングアプリを心理士がおすすめしてみたので、興味がある方はぜひ読んでみてください。

記事の前半ではAI(人工知能)そのものについての概要も解説しているので、時代の波に乗ることにも役立てていただけますと幸いです。

AI(人工知能)とは

(画像生成AI「Stable Diffusion」にて画像生成)

AI(人工知能)は「Artificial Intelligence」の頭文字を取った言葉であり、はじめてAIが登場したのは1956年であるとされています。

「人工知能」という言葉の通り、人間が自ら考えるように、過去のデータやインターネット上のデータをもとに、自ら思考し、答えを出していけるのが特徴です。

現在では、医療・農業・金融業など、あらゆる分野でAIが活用されはじめています。

2022年からは文章生成をしてくれる「ChatGPT」や画像生成をしてくれる「Stable Diffusion」などをはじめとしたオープンソース(誰でも使える)AIツールが登場しており、一部の専門家だけでなく、一般人も広くAIにアクセスできる環境が整いつつあります。

AIについての基礎知識

この記事の目的はAIが搭載された心理カウンセリングアプリを紹介することですが、AIについての基礎的な知識を知っておくことは、これからAIを効果的に活用していくために重要なことなのではないでしょうか。

まずは、これからの時代を生き抜くための、AIについての最低限の知識を紹介します。

機械学習

機械学習とは、AIの核をなす技術を示します。

例えば、プログラミングなどは人間が特定の働きをしてくれるプログラムを組み、それに基づいて作動する仕組みになっているのではないかと思います。

対して、機械学習の場合はプログラム自らが情報を集め、自ら学習できる特徴を持っています。

また、人間からのフィードバックをもとにAI自らが学習をするので、データが蓄積していくにつれて情報の精度が増したり、新たな問題を見つけ出したりすることができるようになるわけですね。

ディープラーニング(深層学習)

AIについてインターネットで調べると、ディープラーニング(深層学習)という言葉を必ず目にするのではないでしょうか。

ディープラーニングは機械学習のうちの一分野と言われており、人間の脳の仕組みであるニューラルネットワークを模した学習プログラムであるとされています。

人間の脳のように多層的にデータを分析できるため、より分析の精度が高まり、複雑な問題にも対応できるようになるわけですね。

特化型人工知能(弱いAI) / 汎用型人工知能知能(強いAI)

AIは、特化型人工知能(弱いAI)と、汎用型人工知能(強いAI)に分類されると言われています。

特化型人工知能とは、例えば「文章を生成するAI」「車を操縦するAI」「囲碁やチェスをするAI」などのように、特定のタスクを実行することに特化したAIを示します。

2023年現在に登場しているAIは基本的に特化型人工知能であり、用途が限られることから「弱いAI」とも呼ばれています。

対して、汎用型人工知能は、人間の脳のように自ら考え、あらゆる問題を解決することが可能なAIです。

AGI(Arificial General Intelligence)が正式名称であり、現在進行形で開発が進められており、今後注目を集める可能性があるAIと言えるでしょう。

汎用型人工知能はあらゆる問題に自律的に対応できるため、「強いAI」とも呼ばれています。

2023年現在、AIはどのように使われているか

(画像生成AI「Stable Diffusion」にて画像生成)

多くの方は「AIが流行っているな」とは思いつつも、どのように使われているかまでは知らないことも多いのではないでしょうか。

実は、AIの技術はすでにあらゆる企業が取り入れており、知らぬ間に生活の一部となっているのです。

以下では、2023年現在、AIがどのように使われているのかの一例を「医療業界」「不動産業界」「小売業界」に絞って解説しました。

医療業界

医療業界でAI技術を活用している例として有名なのが、「画像認識」での精度向上です。

例えば「早期胃がん」などは医師であっても陽性あるいは陰性の判断が難しい現状がありました。

AIによる画像認識技術を活用することで、医師による診断の精度向上が期待されています。

不動産業界

引越しなどで新たな物件を選ぶのは、とても骨の折れる作業ですよね。

AI move」というアプリでは、部屋探しをしている方の条件や好みに合わせた物件を自動で探し出してくれます。

不動産屋さんからすれば業務効率化につながり、ユーザーからすれば部屋探しの時間短縮につながるでしょう。

小売業界

大手回転寿司チェーンである「スシロー」などでも、AIは活用されています。

各店舗の売れ筋商品などの膨大なデータをもとに、需要の高い商品をより多くの方に提供できるよう分析するシステムを導入しているのです。

回転寿司は一般人にとっても馴染み深く、自分の生活にAIが浸透していることが分かりますね。

上記以外にも農業、水産業などあらゆる分野でAIが活用されており、すでにAIが日々の生活の中に溶け込んでいることが分かると思います。

トヨタ自動車はAIによる自動操縦車の開発にも着手しており、将来的には「運転」もAIが行うようになるかもしれませんね。

心理学とAIの関係

(画像生成AI「Stable Diffusion」にて画像生成)

心理学の一分野に、人間の記憶や思考などについて研究をする認知心理学がありますが、AIは人間の脳を人工的に再現することをゴールとしているため、認知心理学との関連性が深いとされています。

認知心理学の知見がAIに活用され、AIの開発に伴って分かってきたことが、実は人間の脳についての知見を与えることもあるのです。

元より心理学の中でもとりわけ認知心理学とAIの関連性は深いのですが、近年では精神疾患の診断や心理カウンセリングなどの実用面に関してもAIの導入が進められています。

精神疾患の診断とAI

筑波大学では、7251名を対象としたAIと精神科医の診断の精度を比較した研究を行っています。

研究の手続きを以下に示しました。

  • 7,000名以上の性格や年齢、ストレスの程度や家族関係、仕事状況などのデータをAIに読み込ませて精神疾患の診断を行わせる。
  • 精神科医6名に同様のデータを見せ、診断を行ってもらう。

研究の結果、AIのほうが精神科医よりも高い精度の診断を行う結果が出たそうです。

精神科が精神科医なしで機能することは考えにくいですが、AIが診断の精度を高める役割を果たすようになる確率は高いと言えるでしょう。

心理カウンセリングとAI

心理カウンセリングの本質は、相談者自身が自分が抱えている問題に気づき、自ら問題解決をしていく力と自信を身につけることにあります。

そういった意味では、セラピストのカウンセリングを受けるよりも、AIが搭載されたツールを使って自らについての理解を深め、問題解決にあたったほうが「自分で解決できた」という自信を抱きやすい側面があります。

また、認知行動療法など構造化された心理療法の技法を正しく行うには、人間よりも機械を使ったほうが正確であることも多いです。

更に、生身のカウンセラーの場合は「相性」の問題がつきまといますが、AIツールであればいつでも丁寧な対応をしてくれる安心感があり、機会だからこそ話せることも出てくるわけですね。

よって、AIがカウンセリングをする未来は想像できると言えるのです。

ただ、生身のカウンセラーだからこそ演出できる雰囲気や温かさなどもあるので、AIツールがカウンセラーに取って代わるわけではないでしょう。

実際は、AIツールを効果的に活用しつつ、対面のカウンセリングを行うのが現実的です。

あるいは、まずはAIツールを使って自ら問題解決に臨み、それでも改善が見られない時に専門家の力を借りるという選択肢も考えられるでしょう。

AIが搭載された心理カウンセリングアプリ5選

メンタルケアを目的としたアプリ、とりわけ認知行動療法をベースとしたアプリはこれまでも登場していますが、新たにAIを搭載したアプリも登場し始めています。

元来のメンタルケアアプリとの大きな違いは、アプリに悩みを相談すればするほど、AIがユーザーについての理解を深め、ユーザーに応じた対応を行ってくれるようになる点が挙げられるでしょう。

以下には、臨床心理士である私が実際に使ってみて、有益と感じたアプリを 5つ記載しました。

SELF MIND

(画像引用:SELF MIND

最初に紹介したいのが、SELF株式会社が開発したアプリである「SELF MIND」です。

SELF MINDの特徴は、「AIとの会話を用いたカウンセリング」を目的としていること。

日々AIと会話を行う中で、AIが重要と判断した情報を自動で保存してくれます。

そして、重要情報が保存されるだけでなく、AIが自律的にユーザーのことを学習し、ユーザーの問題に応じた会話を展開していくのが優れた点と言えるでしょう。

最初はユーザーの悩みや情報をAIに伝えることや、AIからセルフケアに関する情報を提示してもらうことから始まりますが、会話が進んでいくと「あなたはこういうことで悩んでいるのではないですか?」と洞察的な展開をしてくれるようになるわけですね。

これは、AIが搭載されたカウンセリングアプリならではの特徴と言えます。

僕が使ってみた中では最も「AIの特徴を反映した心理カウンセリングアプリだな」と感じました。

※2023年現在はiosのみに対応しており、Androidは対応していないので注意が必要です。

<料金>

アプリに登録後、一定期間は無料でサービスを受けることができます。
その後は有料プランへの案内が表示され、新規登録を促される仕組みになっています。
新規登録後、7日間は無料で解約が可能であり、7日後からは月額500円になります。

SELF

(画像引用:SELF

「SELF」も、実際に使ってみて使い心地がとても良かったです。

上記で紹介した「SELF MIND」と同様、AIロボとの会話が増えれば増えるほど、ユーザーに合わせて会話やフィードバックされる情報が適正化されていきます。

SELFならではの特徴としては、「初期型ロボ」「インテリロボ」「古瀬あい」「安藤ユウ」などの7種類の個性が異なるAIロボの中から、自分と相性の良いAIロボを選択できる点にあるでしょう。

AIロボとの会話が増えるにつれて、徐々に「シンクロ」と呼ばれるレベルが増えていく設定になっています。

レベルが一定に達すると、新たなAIロボとの会話が可能になるわけですね。

個人的な感想として、初期型AIロボの会話がとても自然で、それでいてメンタルケアに必要な情報も適度に伝えてくれる印象を持ちました。

<料金>

基本的にはすべての機能を無料で使うことができます。

7種類のAIロボも、シンクロレベルを高めれば次第に使えるようになるわけですね。

ただし、AIロボのうち「古瀬あい」に関しては、無課金の場合は会話内容を3日間しか記憶できないシステムになっています。

月額または週に1回の課金をすることで、より自然で広がりのある会話を楽しめるようになります。

また、イケメンAIロボである「安藤ユウ」に関しても、たまに会話内容がはちゃめちゃになってしまい、それを防ぐために課金するシステムが導入されています。

他のAIロボに関しても途中で広告の紹介が入ったりすることはありますが、基本的には無料でも十分に効果を実感できるアプリです。

emol

(画像引用:emol

emolは、AIキャラクターである「ロク」との会話を通して自分の気持ちを整理することができるアプリです。

メンタルケアに重要な情報も提供してくれるので、とても満足度が高かったです。

会話はセッションに応じて行われるのですが、無料で使えるセッションには以下のようなものがあります。

  • Session1: 心の疲れをチェック

5つの質問に答えることで、現在の心の疲れ度合いをチェックできます。

  • Session2: 心の疲れのケアの方法

朝・昼・夜、それぞれの時間に合わせた心の疲れをケアする具体的な方法を提示してくれます。

  • Session3: 一緒にマインドフルネス

動画を視聴しながら、マインドフルネス(呼吸瞑想)の練習ができます。

また、「感情記録チャット」という機能があり、現在の自分の気分と、その時の状況などをAIとの会話を通して記録できます。

使ってみての個人的な感想として、現時点では「メンタルケアに有益な情報の提示」が主な機能である印象を受けました。

こちらが問いかけた内容に関する返答としては、今後AIが学習を進めることで精度が高まる可能性もあるでしょう。

提示してくれる情報は非常に有益なものが多かったので、心理カウンセリングで自分に向き合うというより、メンタルケアのスキルを増やしたい方にとくに有益である印象を受けました。

<料金>

emolの中には様々なセッションが用意されているのですが、なかには500円ほどの課金が必要であるセッションもあります。

無料セッションだけでも充実度は高いですが、「敏感な人のためのプログラム」「睡眠の悩みをケアする」などの有益な課金制プログラムもあるので、興味がある方は課金してみるのも一つでしょう。

muute

(画像引用:muute

muuteは、近年「書く瞑想」として注目を集めている手法である「ジャーナリング」を主軸としたアプリです。

ジャーナリングは、自分が「今この瞬間」に思っていることや感じていることを深く考えずに書き込んでいく手法で、気持ちを整理したり、自己への理解を深めるうえで有用であるとされています。

muuteでは、自由記述タイプのジャーナリングに加えて、質問に答えるようにして自己理解を深める「ガイドジャーナリング」なども搭載されています。

muuteを使って毎日ジャーナリングを続けていくと、AIが思考や感情を分析し、気づきを促すためのフィードバックをくれます。

ジャーナリングを行うだけでなく、AIがフィードバックをくれるでより自己理解が高まるのが、muuteならではの特徴と言えそうですね。

続けていくことで、「自分では気づかなかった自分」について理解を深めることができるようになるでしょう。

<料金>

アプリに登録後2週間は無料で使うことができます。

2週間以降は利用料金がかかり、

年間プラン:5,000円(417円/月)

月額プラン:500円

上記2パターンに分かれています。

ChatGPT

(画像引用:OpenAI

OpenAI社が2022年11月に公開し、爆発的にヒットした文章生成AIであるChatGPTも心理カウンセリングとして活用できる可能性を秘めています。

ChatGPTに今悩んでいることを入力すると、共感的なフレーズや今の悩みに対する解決策などを提示してくれるのです。

  • 文章が紋切り型な感じがして、人に共感してもらった時のような感覚は得られにくい
  • より精度の高い文章を生成してもらうには、こちらが質問をする際の文章を工夫する必要がある

上記のような課題点はありますが、ChatGPTはインターネット上の膨大な情報をもとに文章を生成しているので、セラピー的な要素よりも、情報提供をしてくれる媒体として優秀と言えるでしょう。

心理カウンセラーというよりも、メンタルケアに関する情報提供者としての役割を担ってくれるのではないかと個人的には感じています。

<料金>

ChatGPTはOpenAI社がオープンソースとして公開している文章生成型AIツールです。

よって、OpenAIの公式サイトよりユーザー登録を行えば、無料で利用できます。

まとめ

実際にAIが搭載されたアプリを使ってみての感想として、現時点ではメンタルケアに関しての知識の提供や、定型的なプログラムに基づいたケアが主であったことが挙げられます。

ただ、AIの特徴からして、データが蓄積されればされるほど情報の精度が上がる可能性は十分にあるでしょう。

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