いじめ後遺症を克服するための方法とは?他者への信頼を回復し、自分らしく生きていくために。

いじめ後遺症

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臨床心理士のにっしーです。いじめ後遺症や否定的な思考に悩んでいる方に向けたカウンセリングを行っています。もしよろしければ、こちらのページもご覧ください。

さて、今回の記事では、いじめ後遺症を克服していくうえでのポイントや、具体的な方法などについてまとめてみたいと思います。過去のいじめが原因となって自分に自信が持てなかったり、人と関係性を築くことに恐怖心を覚え、つい回避してしまい悩んでしまっている方にとって参考になれば幸いです。

1. いじめ後遺症とは

いじめ後遺症とは、過去にいじめを受けた経験がもとになり、人間関係を構築することに恐怖感を感じるようになって人と関わることに消極的になったり、自尊感情が低下してしまったりすることにより長期的な精神的苦痛を伴う状態を示します。

「いじめ後遺症」という正式な診断名があるわけではないのですが、併発しやすい精神疾患として心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ病、パニック症、社交不安症などがあります。

2. いじめ後遺症の中核にあるもの

いじめ後遺症には様々な症状がありますが、基本にあるのは以下の2つと考えられています。

・人間への基本的信頼感(basic trust)の欠如

・自尊心の低下や否定的自己イメージ

まず、いじめを受ける経験をすることで、「他者は自分を攻撃してくるものなんだ。危険なんだ」と脳の深い部分で記憶してしまいます。また、いじめを受けていても周囲の人が助けてくれなかったり、気持ちを分かってくれなかったりしたことにより、「人は自分を助けてくれないんだ」と深く思い込んでしまうこともあります。

自尊心の低下に関しては、他者からいじめられたにも関わらず、「自分に何か悪い部分があるからいじめに遭ったのではないか」「自分が弱いのがいけないのではないか」と考えてしまい、長期的に自分に価値があると思えない状態が続いてしまうのです。

3. いじめ後遺症を克服するための方法

それでは、いじめ後遺症を克服するうえで重要なプロセスをお伝えしたいと思います。

カウンセリングを利用してみる

いじめられて辛かった経験を家族や友人に話すだけでも気持ちが楽になることもあるかもしれません。しかし、距離が近いが故に気持ちを分かってもらえないこともあるのです。

また、家族や友人はトラウマを克服していく為の方法を専門的に学んできたわけではありませんよね。そこでおすすめなのが、専門家に相談するということです。まずは精神科の先生に相談するのがおすすめですが、カウンセリングであれば、より長い時間をとって、じっくりと話を聞いてもらえます。とくに、トラウマやいじめ後遺症を専門にしているカウンセリングがあれば、そこに行ってみるのが良いでしょう。

自助グループに参加してみる

引きこもりやいじめ後遺症をはじめとした思春期臨床に長年携わっている精神科医、斎藤環医師は、「人薬」という言葉を使われています。

人薬とは、人に傷つけられた心は、人によって癒すというもの。とくに、似た苦しみを経験している人同士が集まって話しをする自助グループに参加することで、自分の気持ちを受け入れてもらい、互いに励まし合うことができます。すると、自然と他者への基本的な信頼感が回復していくこともあると言われています。

4. いじめ後遺症のカウンセリングの中でやること

いじめ後遺症を克服するためのカウンセリングでは、具体的にどのようなことを行うのか、具体的に解説していきたいと思います。

カウンセラーと信頼関係を築く

まず、カウンセラーと信頼関係を築くことがとても大切です。カウンセラーは一度で決める必要はなく、色々な相談室に足を運んでみて、最終的に自分に合ったカウンセラーと長期的に継続していくのが良いのではないかと思います。

実際に足を運ぶのに勇気がいる場合は、まずはメッセージ・電話・ビデオ等で相談できるオンラインのカウンセリングを検討してみるのも1つだと思います。

僕も所属しているうららか相談室では、対面相談も受け付けているため、まずはカウンセラーとオンライン上で話してみて、合うと思ったら対面に切り替えるのも1つだと思います。

筆者の相談ページはこちら

今の問題をもとに、いじめの経験がどう影響しているのか考える

カウンセリングの中では、あくまで「今」の問題に焦点を当てていきます。今の生活の中で、どのような時に対人関係を避けてしまうのか、自分を否定していまうのか、具体的にカウンセラーと話し合っていきます。すると、徐々に「今の生活」の中にどのようにいじめられた経験が影を落としているのかが見えてきます。まずは、その関係性を見極めることが重要です。

自分の自動思考やスキーマの特徴に気づいていく

瞬間的に、反射的に頭に浮かぶ思考のことを、認知行動療法の用語で「自動思考」と呼びます。カウンセリングを行う中では、ネガティブな自動思考の内容に焦点を当てていくことを繰り返していきます。何度も自動思考を振り返っていく中で、次第に中核的な信念が見えてきます。このことをスキーマというのですが、否定的な自動思考を作り出すスキーマには以下のようなものがあります。

・自分は無力である。

・自分には価値がない。

・誰も自分を助けてくれない。

・自分は誰からも愛されない。

カウンセラーとの対話の中で否定的なスキーマに気づき、より前向きなものに修正していくことは、いじめ後遺症を克服していくうえでとても重要なプロセスと言えますね。

いじめられてしまった経験に対して、肯定的な意味づけを試みる

いじめられるという苦しくて悔しい経験をしたからこそ、人として成長できたことに焦点を当てていきます。当然、いじめは辛いものであり、あってはならないものですが、一方で、それを経験したからこそ、人としての「深み」を手に入れられることも事実なのではないかと思います。いじめられてしまった経験を、肯定的なものとして自ら意味づけることにより、トラウマを人としての「深み」に替えることができるのです。

自分の「価値観」 に向かって歩いていく

カウンセリングを続ける中で、少しずつ傷ついた自尊心が回復していきます。すると、今度は「自分の人生を充実させたい!」という希望が生まれてくるのです。そこで大切なのが、自分の「価値観」を知るということ。

自分は何を大切に、どのように生きていきたいのか。

それをカウンセラーとの対話の中で見つけていきます。そして、その価値観を実現するための具体的な方法をカウンセラーと一緒に考えていくのです。「トラウマのことなど忘れるほどに今に夢中になっている」これが理想的な姿なのではないかと思います。

5. まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の記事では、いじめ後遺症を克服し、自分らしい人生を歩んでいく為の具体的な方法をご紹介しました。やはり、最も大切なのは、人の中で得た傷は、人の中で癒す、という視点なのではないかと思います。実際、世の中には悪い人もいますが、良い人、信頼をおける人もたくさんいるのではないでしょうか。少しずつ行動を積み重ねていく中で、世界のあらゆるものに「○」をつける作業をカウンセラーと行っていけると良いのではないかと思います。