認知行動療法とは?例をもとに分かりやすく解説します!

心理学

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私たちは、日々の生活の中で様々な出来事、気分や感情を経験します。

・仕事でミスをして、落ち込んでしまった

・仕事に自信が持てず、明日も仕事に行くのが不安だ

・家族や友達との関係がうまくいっていなくて悩んでいる

・何をするにも気力が湧かず、毎日を楽しめない

これから紹介していく認知行動療法では、そういった気分や感情を、自らコントロールしていき、毎日を前向きな気持ちで過ごすことを目指していきます。認知行動療法を行ううえで最も大切なのは、「肌で学ぶこと」です。実際にノートに自分の考えを書き込んだり、他の人と会話をしたりなど、インプットとアウトプットを繰り返す中で、学びを深めていきましょう!

1. 認知行動療法を体験してみる

認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy: CBT)は、アメリカ生まれの、新しいタイプの心理療法です。

認知:Cognitive

行動:Behavior

療法:Therapy

それぞれの頭文字をとって、「CBT」と呼ぶことも多いです。今、PCの画面を見ている皆さんにお願いがあります。「CBT!」と大きな声で言ってみましょう!

せーの!CBT!

認知行動療法では、①気分・感情 ②身体反応 ③認知 ④行動 が互いに関連し合っていると考えます。この図式を理解することが、今後CBTを実践していくうえで重要となるので、ぜひ覚えておいてくださいね。

気分・感情

今、声に出して大きな声を出して「CBT!」と言った時、ある人は「ちょっと恥ずかしい気持ち」になり、またある人は「楽しい」気持ちになったのではないかと思います。

この、「ちょっと恥ずかしい気持ち」や「楽しい」気持ちのことを「気分」または「感情」と言います。

身体反応

「CBT!」と声に出して言った時、気分・感情とともに、顔が赤くなったり胸がドキドキしてきた方もいるのではないでしょうか。また、ある人は体の筋肉が緊張し、ある人はリラックスしたままだったかもしれません。こういった反応のことを、「身体反応」と呼びたいと思います。大勢の前で発表する時、手に汗握ったり、手足や声が震えたりする体験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

認知

ここ、とても重要です!「CBT!と声に出して言ってみましょう!」と言われた時、「瞬間的に頭の中でつぶやいていた言葉」に注目してみてください。ある人は、「えー!ちょっと恥ずかしいな」と思ったかもしれませんし、ある人は「なんでこんなことやらせるんだ?何の意味があるの?」と思ったかもしれません。またある人は「それが必要ならやってみよう!」と思ったかもしれませんし、ある人は「今は外にいるからちょっとムリ・・」と思ったかもしれません。

こういった、「心のつぶやき」のことを、CBTでは「認知」と呼びます。また、認知の中でも、「瞬間的に頭の中に浮かぶ考え」のことを「自動思考」と呼びます。自動的に出てくる思考なので、自動思考です。

この概念は、CBTの中でも中心的な概念であり、どんな認知や自動思考を抱くかが、その人の「気分・感情」を決める、と考えます。「幸せは自分の心が決める」と言う名言がありますが、まさにその通りであり、CBT的に言い換えると、「気分・感情(幸せ)は自分の認知(心)が決める」となります。

行動

「CBT!と声に出して言ってみましょう!」と言われた時に、大きな声を出して「CBT!」と言った人もいれば、小さな声で「CBT・・!」と言った人もいるでしょう。また、とくに声には出さなかった人も多いと思います。

この、「大きな声でCBTと言う」「小さな声でCBTと言う」「声には出さない」といった行為のことを「行動」と呼びます。気分・感情と違って、行動は他の人からでも目や耳で確認することができるのが特徴です。

2. ワークシートのご紹介

何か出来事が起きた時の①気分・感情、②身体反応、③認知、④行動をワークシートに書き出すことにより、現在の問題点を客観的に眺めることが出来るようになります。客観的に眺めることで解決策を考え、実行するフェーズへと移っていることが出来るようになります。

気分・感情/ 身体反応/ 認知/ 行動の整理表

上記URLより、ワークシートのダウンロードが可能です。記入例も示してあるので、参考にしながら書いてみてください。

3. 自分で変えられるのは認知と行動だけ

①気分・感情 ②身体反応 ③行動 ④認知 の4項目の中で、「自分の意思で変えられるもの」はどれだと思いますか?

正解は、「認知」と「行動」です。

①気分・感情

「今から悲しい気持ちになってください」「楽しくなってください」と言われて、すぐにそれを実行できる人は少ないでしょう。俳優なら別かもしれませんが、彼らもきっと、気分を変えるために認知を活用しているはずです。

②身体反応

「心臓をドキドキさせてください」「顔を赤くしてください」と言われて、すぐにそれを実行することは難しいでしょう。顔にグッと力を入れれば顔を赤くできるかもしれませんが、それには「力を入れる」と言う行動が伴っています。

③認知

認知を変えるのは容易ではないですが、自分の認知を紙に書き出し、新たな認知を検討していくことはできます。そういった意味では、認知も自分の意思で変えていくことができます。

④行動

では、マスクの下で笑顔を作ってみてください。次に、座席から立ってみてください。最後に、着席してください。おそらく全ての方が、これを実行できたのではないでしょうか。行動は、自分の意思で変えることができます。

いかがでしょうか。①気分・感情 ②身体反応 ③行動 ④認知が相互作用していることは確かであるが、自分の意思で変えられるのは「認知」と「行動」だけであることが分かったと思います。自分でコントロールしていける要素である、認知と行動にアプローチしていくのが、認知行動療法なのです。

4. 認知行動療法の効果

認知行動療法は、適応できる問題の範囲が広いと同時に、より短期間で治療的効果が現れやすいと言われています。ここでは、認知行動療法で対応可能な代表的な効果について解説します。

抑うつ・不安の改善

認知行動療法は、うつ病や不安障害に対して治療効果が高いと言われています。現代の医療機関では、うつ病への治療として、薬物療法と併用して、カウンセリング等の中で認知行動療法を行なっている所が増えています。また、認知行動療法を行なった場合、行わなかった場合と比べて再発率が下がるという研究結果もあります。これは、認知行動療法を学ぶことで、自ら問題に対処するスキルが高まるからであると考えられています。

対人関係の改善

「誰にも負けてはならない」と考えて生活している人は、常に他者に対して競争意識を燃やしており、敵対視してしまう傾向が強くなるのではないでしょうか。そうすると、他者と信頼関係を築いていくことは、必ずしも容易ではなくなってしまいます。「比べるなら、過去の自分と比べよう。大切なのは、信頼関係だよね」と思考を柔軟にしていく中で、肩の力が抜けて、対人関係も良好になっていくことがあります。

生活習慣の改善

「頑張らなくちゃ!」と思えば思うほど、「やるべき事」に押しつぶされて、身動きが取れなくなることがありますよね。結果的に、どこから手をつけていいか分からなくなり、朝起きるのも億劫になり、「何もせずに1日が終わってしまった」と自己嫌悪に陥ってしまいます。「出来ていることに注目しよう」「まずは出来ることから始めよう」と柔軟に考え、スモールステップで行動を増やしていく中で、より建設的に、生活習慣を改善していくことが出来ます。

先延ばしをやめる

部屋の掃除、書類の提出、メールの返信 etc… 日々の生活の中で、やらなくていけないことは分かっていても、つい先延ばしをしてしまう経験、あなたにはありませんか?先延ばしにも、認知行動療法は一役買ってくれます。「行動を明確に決めること」、「いつやるか」を明確に決めること、「完璧にやらなくては」という認知を変えることなどを通して、先延ばしせずに、決めたことを早めにやる自分を育てていくことが出来ます。

ここでご紹介したのは、認知行動療法の効果の一例であり、日々の生活の中で、メンタル面を含めた問題解決能力を少しずつ高めていくことが重要となります。

5. まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の講義では、認知行動療法を体験的に理解していただくことを目標に、話を進めさせていただきました。最後に、もう一度おさらいしていきたいと思います。

・認知行動療法では、気分・感情、身体反応、行動、認知がお互いに作用し合っていると考える

・自分で変えられるのは「認知」と「行動」だけなので、「認知」と行動にアプローチしていく

・認知行動療法の適応範囲は広い。嫌な気分からの脱却だけでなく、より前向きに生きていくことが目標

認知行動療法は自分1人でも進めていくことが出来る心理療法ですが、セラピストと信頼関係を築きながら行うことで、より安心して取り組んでいただけると思います。この記事を書いている私は、横浜にて認知行動療法をベースとした心理カウンセリングも行っています。この機会にぜひ、チェックしてみていただけたら幸いです。

横浜市の心理相談室Happy Feeling