恋愛心理学の用語について臨床心理士が解説してみた。

心理学

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恋愛に活かせる心理学用語が知りたい!

このようなお悩みを持つ方に向けて、臨床心理士が恋愛心理学の用語を解説してみました。

恋愛心理学には「○○効果」という用語がたくさんありますが、僕はそれらをテクニックとして安易に使用することには疑問を覚えます。

恋愛心理学は人の心を操るためにあるのではなく、気になる相手とより親密になっていくため、そして自分が自分に正直になり、適切な行動を取るためにあるのではと思うのです。

この記事では、恋愛心理学の用語について僕自身が本当に大切だと思うものを、出会ってから親密になるまでの「段階」ごとにお伝えしていきたいと思います!

1. 関係性を作る段階

人と人は出会ってすぐに親密な関係になるわけではありません。日々生活を送るなかで、徐々に心と心が触れ合っていき、関係性が作られていくのではないかと思います。ここでは、出会ってから関係性を作っていくうえで大切な心理学の用語をお伝えしていきます。

初頭効果

初頭効果とは、最初に出会った時の印象が、その後の相手への印象として強く残り続けることを示した効果です。つまり、第一印象が良ければその後も良い印象を持たれやすくなり、第一印象が悪ければ、その後も悪い印象を持たれ続けてしまう可能性があるということ。

そこでおすすめなのが、日頃から「清潔感」を意識しておくことです。清潔感がないというだけで、相手にネガティブな印象を与えてしまいます。身なりがその人の全てを決めるわけでは決してありませんが、その人の人となりが身なりに「表れている」と考えることもできます。

また、もう1つが「挨拶」なのではないでしょうか。「笑顔で明るく挨拶をする」ただそれだけのことが、実は一番大切なんです。

単純接触効果

単純接触効果とは、単純に会う回数が多くなるほど、相手に好意を抱きやすくなることを言います。そもそも「関係性」は、コミュニケーションから作られていきます。もし気になる人がいるとすれば、まずはその人と話しをするようにすることが大切です。

話しの内容は、いきなり深い話をしたり、相手を楽しませようと思いすぎる必要はありません。「今日は良い天気ですね」「外は暑いですね」などと、ごく普通の日常会話をするだけで良いのです。その際に大切なのが、やはり笑顔で、優しく相手に接することです

メラビアンの法則

メラビアンの法則とは、アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンによって提唱された印象形成に関する法則です。人が相手に対して与える影響の割合を「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」のそれぞれについて求めたものになるのですが、以下のような割合であると示されています。

○言語情報・・7%

○聴覚情報・・38%

○視覚情報・・55%

いかがでしょうか?実は言語情報(何を伝えるか)は、全体の影響力に対してたったの7%だけなのです。もっと大切なのは、「どんな風に話すか」ということなんです。聞き取りやすい声で話すこと、相手の目を適度に見ること、あいづちを打つことなど、肯定的な態度でコミュニケーションを取ることが、実は最も相手に好印象を与えるわけですね。

返報性の原理

返報性の原理とは、相手から受けた対応に対して、自分も同じように「返したい」と思ってしまう心理のことを言います。返報性の原理にはいくつか種類があります。

①好意の返報性・・自分が相手に好意を持つとき、相手も自分に対して好意を持つことです。

②敵意の返報性・・自分が相手に敵意を持つとき、相手も同じように敵意も持つようになります。

③譲歩の返報性・・自分が相手に譲ってあげたとき、相手も自分に譲りたくなります。

④自己開示の返報性・・心を開いて相手に自分のことを話すと、相手も自分のことを話してくれるようになります。

恋愛において重要なのが、「好意の返報性」と「自己開示の返報性」ですね。もし好きな相手がいるのなら、相手の「いいな」と思うところを積極的に伝え、また「あなたに好意を持っていますよ」ということを態度で示すようにしてみましょう。更に、相手のことを知りたいのであれば、まずは自分から趣味などについて話してみましょう。相手もそれに返してくれるはずです。

認知的不協和理論

認知的不協和理論とは、「人は2つの矛盾した事実に耐えられない」ことを示した理論です。例えば、誰かに「頼みごと」をされた時、「この人のことが嫌い」と思うのは認知的に不協和な状態になります。

・「面倒なことを頼まれた」

・「相手のことが嫌い」

という2つの事実は、「相手のことが嫌いなのに、こんなに面倒なことをしなくてはいけない」という矛盾を作り出してしまいます。では、以下のように考えるとどうでしょう?

・「面倒なことを頼まれた」

・「自分は相手のことが好き」

これなら、「相手のことが好きだから、この面倒なことをしているんだ」となり、矛盾していないですよね。このように、「相手に頼みごとをする」ということにより、認知的不協和な状態を作り出し、好意を持ってもらえやすくなります。

ミラーリング

ミラーリングとは、相手の話し方や行動を真似ることにより、相手が自分に対して好意を抱きやすくなることを示しています。ちょっとした仕草や言葉などをさりげなく真似ることが重要です。一番取り組みやすいのは、相手の言動を繰り返してみることです。

例)「昨日食べたラーメンがめっちゃ美味しくて」→「めっちゃ美味しかったんだね!」

これは「繰り返し」と呼ばれ、心理カウンセリングの中でもよく用いられている手法です。

ウィンザー効果

ウィンザー効果とは、人は本人が言っていることよりも、第三者が言っていることに対して信憑性が高いと感じることを示しています。例えば、あなた自身が「自分は優しい」と言うよりも、あなたの友達が「○○さんはとっても優しい人だよ」と言っている時の方が説得力があるということです。

そういった意味では日頃から周りの人に優しく接することが大切と言えますし、最初は気になっている人と2人きりで出かけるよりも、お互いの友達などを読んで複数人で遊びに行った方が吉と言えるかもしれないですね。

リフレーミング

リフレーミングとは、思考の枠組みを変えることによって、言葉を言い換えることを示しています。

例)

「心配性」→「慎重に考えられる」

気になっている相手が自分自身に対してネガティブなことを言っていたら、それをリフレーミングしてあげるのも1つかもしれません。例えば、「仕事で失敗しちゃって・・」と相手が悩んでいたら、「失敗するってことは挑戦してるってことだよね」と勇気づけてあげましょう。

2. 一歩踏み出す段階

関係性が出来てきたら、勇気を出して「一歩踏み出す」段階になります。ドキドキする段階ではありますが、ここで自分に正直になれるかが大切です。

自動思考

自動思考とは、認知行動療法という心理療法の中で使われる言葉なのですが、瞬間的・無意識的に頭の中に「パッと」浮かぶ思考を意味しています。

自動思考がネガティブになっていると、なかなか「挑戦」をすることができません。例えば、「デートに誘って相手に拒絶されたらどうしよう・・」などと考えてしまうと、なかなか一歩を踏み出せなくなってしまいますよね。

もし、相手にアプローチすることを妨げてしまうような思考が頭に浮かんで身動きが取れなくなっているのなら、それを少し柔軟に変えてみましょう♪

緊張するけど、大切なのは挑戦すること。何もアクションを起こさないほうが、後で後悔するよ。ここで一歩踏み出せたら自信にもつながる

このように、柔軟に考えることで一歩踏み出しやすくなります!

フットインザドア

フットインザドアとは、最初に小さい要求を伝え、承認を得た上で本命の要求をすると、本命の要求も通りやすくなることを示しています。

デートに誘う際、まずは気軽なデートにしましょう。例えば、ランチに誘ってみるとか、お茶に誘ってみるとかが良いですね♪

まずは小さなデートから。その次は、遊園地や水族館など、ある程度時間を要するデートに誘うようにしてみましょう。

気分一致効果

気分一致効果とは、気分が良い時には目の前の出来事の良い面に注目しやすくなり、気分が悪い時には、目の前の出来事の悪い面に注目しやすくなることを示しています。

なので、例えば気になる相手を食事に誘うなら、相手が好きな食べ物があるお店や、店内の雰囲気が良くて美味しいお店をチョイスするのが良いでしょう。

特に人は食事を楽しんでいる時に気分が良くなるもの。相手がハッピーな時、あなたの良い面に注目してくれやすくなります。

吊り橋効果

吊り橋効果とは、心拍数が高まっている時に近くに異性がいると、「その異性に好意を持っているから心臓がドキドキしているのだ」と勘違いしてしまい、実際に相手に好意を抱いてしまうことです。

つまり、デートに誘うなら遊園地がおすすめです。遊園地にはジェットコースターやおばけ屋敷などの心拍数が上がるアトラクションがたくさんありますからね。

ピークエンドの法則

ピークエンドの法則とは、過去の記憶に対して、その出来事の絶頂期(ピーク)と、それがどう終わったかだけで、その記憶の良し悪しの判断を下す傾向のことを言います。

例えば、デートに出掛けたのであれば、相手はそのデートの中で最も心に残っている場面と、デートが終わって別れる時の記憶によって相手への印象を評価するということ。

「最も心に残っている場面」は受け取る人によって違うのでコントロールしにくいですが、デートの終わりに相手に笑顔で感謝を述べることは出来ますよね!

今日はとっても楽しかった。本当にありがとう!

と、笑顔で相手に伝えてあげましょう♪

3. 親密になる段階

デートを重ねた2人には、だいぶ関係性も築かれてきているのではないでしょうか。ここでもう一歩深い関係へと移行するためには、以下にご紹介する心理学用語が役に立ちます。

自己開示

自己開示とは、自分自身のことについて相手に開示することを言います。そして、自己開示にはレベルがあります。出会って初期の頃は、趣味であったり、出身地であったりといった日常会話レベルの自己開示が適しています。しかし、より深い関係になるためには、自己開示も深みのあるものが良いと思います。

とくに、自分のコンプレックスを相手に話してみることが大切です。ポジティブな側面だけでなく、自分が悩んでいることや気にしていることなどを勇気を出して気になる相手に話してみましょう。

人間とは「合わせ鏡」のようなもの。コンプレックスのような大切なことを話してくれた相手には、自分も相手に内面を見せても良いのではないかと思うのです。こうして、表面的な関係から親密な関係へと変化していきます。

受容・共感・自己一致

受容・共感・自己一致とは、カウンセリングの創始者と言われているカール・ロジャースが提唱した、「カウンセラーに求められる3つの基本的態度」を示しています。

受容・・相手をあるがままに受け入れ、肯定的な態度を取ること。

共感・・相手の感情や想いを、あたかも自分が経験しているかのように感じ取り、それを伝えること。

自己一致・・自分自身に対して素直な心持ちでいること。

こちらは、カウンセラーだけでなく、大切な人と信頼関係を維持するうえでも非常に重要な態度です。お付き合いをはじめてからも、2 人の関係性は続きます。時には双方の期待にズレが生じ、関係が悪化してしまうこともありますよね。そんな時には、相手のことをあるがままに受け入れ、相手の気持ちを想像し、そして自分自身の気持ちを相手を尊重しながら率直に伝えてみましょう。

補足ですが、自分の気持ちを率直に伝える際は「Iメッセージ」がおすすめです。これは、自分の気持ちを「私」を主語にして伝えること。逆に「あなた」を主語にする場合は「Youメッセージ」となります。

あなたはいつもラインを返すのが遅い!」(Youメッセージ)

私はラインがなかなか返ってこないと、寂しい気持ちになるんだ」(Iメッセージ)

Youメッセージで自分の気持ちを伝えると、相手は強制をされているような気持ちになり、相手に反論をしたり距離を置いたりしたくなる心理が働きます。

逆に「Iメッセージ」は相手に強制を感じさせず、不思議と相手の気持ちに応えたくなってしまうのです。ぜひ、大切な人に自分の気持ちを伝える際は「Iメッセージ」を意識してみてくださいね♪

4. まとめ

いかがでしたか?今回は、恋愛をする際に役に立つ心理学用語を、出会ってから親密になるまでの段階ごとに分けて解説してみました。この記事に書いてある情報は、1つ1つを単体で実践すればよいというものではなく、段階を経て関係性を築いていく中で適度に用いるのが良いのではないかと感じます。

そして、最も大切なのは相手を尊重するということです。それさえ意識できていれば、テクニックを意識しなくても、今回ご紹介した内容を自然に実践している状態になるのかもしれないなと思いました。

この記事を読んでいるあなたが、素敵な相手と関係を築かれることを祈っています。