「皆は働いているのに、自分だけが仕事もしないでダラダラしている」
「このままダメ人間になっていくのだろうか?」
現在無職のあなたは、上記のように考え、罪悪感を強めていませんか?
本記事は、そのようなお悩みを持った方に向けて書きました。
無職になると、罪悪感が強くなってしまったり、自分に自信が持てなくなってしまったりすることがありますよね。
実は、無職になると罪悪感や自分を否定してしまう気持ちが強くなってしまう理由は、心理学的なメカニズムによって説明できるんです。
本記事では、無職の際に感じる罪悪感の理由や、自信を取り戻して自分らしく毎日を進めるためのアプローチについても専門的な観点から解説します。
無職によって自分に自信がなくなっているものの、自分らしく目標を追いかけられるようになりたい方は、ぜひ読んでみてください!
無職になると罪悪感が強くなる理由は「社会的比較」にあり
心理学の社会的比較理論によれば、人には他者との比較によって自己評価をより正確に行おうとする傾向があります。
つまり、無職の時には真面目に働いている他者と自分を社会的に比較した結果、自己評価が下がり、罪悪感も感じてしまいやすくなるわけですね。
さらに、自己評価の低下は、自己効力感の喪失と関連しています。自己効力感とは、「自分は目標を達成する能力を持っている」という信念を示します。無職の時には仕事や役割を持っていないので自己効力感が低下し、その結果、より全体的な自分自身への解釈である自己肯定感までも低くなってしまうのです。
ここまでをまとめると、以下のようになるでしょう。
- 無職になる→社会的比較によって自己評価が下がる→自己効力感の低下→自己肯定感の低下
前提として、社会的比較をするからこそ、罪悪感を感じたり、自己肯定感が低下することを覚えておきましょう。
自己肯定感と自己効力感の違い
自己肯定感と自己効力感は、似たような概念ですが異なる意味を持っています。
自己肯定感(Self-Esteem)
自己肯定感とは、自分自身の「ありのまま」を肯定し、自己価値を認める感覚です。
自己肯定感が高い人は、自分自身を受け入れ、自己価値に自信を持っています。
無職の際に生じる自己肯定感の低下は、仕事や役割の喪失による自己評価の低下から生じることがあります。
自己効力感(Self-Efficasy)
自己効力感とは、自分が目標を達成する能力を持っているという信念です。自己効力感が高い人は、困難に立ち向かい、目標を達成する自信を持っています。無職の際には、仕事や役割の喪失によって自分自身が目標を達成する能力を持っていると思えにくくなってしまうわけですね。
自己肯定感と自己効力感は、互いに関連していますが、自己肯定感は自分自身に対する全体的な肯定的評価に焦点を当て、自己効力感は目標達成に限定した能力への自信と言えるでしょう。
- 自己効力感の低下→自己肯定感の低下
- 自己効力感の回復→自己肯定感の回復
上記の構図を、よく覚えておいてくださいね。
無職による罪悪感や自己肯定感の低下を乗り越える方法
ここまでは、無職の際に罪悪感を感じやすくなる理由や、自己肯定感が低下してしまう理由を解説してきました。
では、どのようにして罪悪感や自己肯定感の低下を乗り越え、自分らしく生きていけるようになるのでしょうか?
以下には、心理学の理論を交えつつ、無職時に罪悪感や自己肯定感の低下を乗り越える方法を解説しました。
自分独自の価値観を見つけ、行動する
無職の際に自分が無価値であると思ってしまうのは、社会的比較を行ってしまうからです。
- 世の中の人々は働いている
- 同年代の人は出世していっている
上記のように考えた結果、自分が無価値であるように感じてしまうわけですね。
それなら、一度「社会的比較」を捨ててしまえば良いのです。
また、社会的比較からくるモチベーションによって行動を起こしたとしても、そのモチベーションは長くは続かないでしょう。
教育心理学の中には、「内発的動機づけ」「外発的動機づけ」という言葉があります。
- 内発的動機づけ・・自分の内側にある興味や欲求によって行動が駆り立てられること。
- 外発的動機づけ・・外部から得られる報酬をたよりに行動が駆り立てられること。
そして、「自己決定理論」によると、人は自分で決めた行動のほうがモチベーションが長続きし、行動を駆り立てられやすくなると言われています。
無職である今を、自分の価値観を見つめ直すチャンスと捉え、「本当は何がしたいのかな?」と自分に問いかけてみましょう。
価値観に沿った未来を描き、その未来に近づくための行動は長続きしやすいので、次第に「自分は目標に向かって効果的に行動を起こせる」という自己効力感が回復していきます。
そして、自己効力感の回復にともなって、自己肯定感も回復していくわけですね。
つまり、ポイントは社会的比較ではなく、自分の価値観に基づいた行動を選択することと言えます。
無職の罪悪感から回復するその他のアプローチ
本記事で言いたいことの趣旨は、以下のようになります。
- 無職時の罪悪感や自己肯定感の低下は他者との比較によって生じるので、視点を「他者比較から自分の価値観」へと移すのが重要。
- 自分の価値観によって目標を自ら決め、決めた目標に向かって努力することが、自己効力感を回復させ、自己肯定感を向上させる。
他にも、無職の際に罪悪感を感じてしまった時には以下のような心理学的アプローチもあるので、解説していきますね。
認知行動療法
認知行動療法とは、カウンセリングやワークを通して自己否定的な思考パターンを認識し、それを論理的に検証し、より現実的で柔軟な思考へと変えていく心理療法の一種です。
「仕事をしていない=自分には価値がない」と考えるのも、実は自分自身が勝手に決めた「前提」であるわけですね。
そして、その前提は、他者から言われてきたことなどが自分の中で習慣化して形成された場合もあります。
認知行動療法を主軸としたカウンセリングでは、このような自分自身の「ものの捉え方」について理解を深め、もっと自分らしく生きていくうえで役に立つ考えをカウンセラーと共に再考していくことができます。
認知行動療法については過去の記事でも詳しく解説しているので、読んでみてください。
社会的サポートの活用
無職の際に自己肯定感を回復させるためには、社会的サポートを受けることも重要です。家族や友人、専門家などの支援を受けることで、自己肯定感を強化し、罪悪感を軽減することができます。
また、他者への共感や社会的連帯感を高めることも有効です。他人の経験やストーリーを聞くことで、無職の際に感じる孤独感や罪悪感を軽減することができるのです。
無職の背景に精神疾患やメンタル不調があることも
仕事のストレスによりうつ病や適応障害などを発症してしまい、再び働くことができない状態に陥ってしまうケースもあるでしょう。
そのような場合、まずは無理に働こうとするのではなく、医療機関を受診し、適切な治療を受け、しっかり休養を取る必要があります。
メンタルの状態が安定し、体力が戻ってきた際には、厚生労働省が民間企業に業務を委託することで成り立っている支援機関である「就労移行支援事業所」を活用してみるのがおすすめです。
就労移行支援事業所は、精神障がいや身体障がい、発達障がいなどを持つ方が就職を目指して訓練を受けられる施設です。
国が利用料を支給してくれるサービスなので、無料または、比較的安価での利用が可能なのも特徴です。
精神的な問題や自身の障がいなどが理由で働くことが難しく、まずは仕事をするための準備から始めたい方は、就労移行支援事業所を活用しましょう。
おすすめの就労移行支援事業所を過去の記事で解説しているので、興味がある方はぜひ読んでみてください。
まとめ
無職になると、自己肯定感の低下や罪悪感を感じることがありますが、心理学的な理論とアプローチを用いることで、これらの感情に向き合い、克服することができます。
まずは「社会的比較をしているからこそ罪悪感を感じている自分」に気付き、そのうえで自分軸で決めた目標に向かっていくことが重要と言えますね。
また、社会的サポートや他者への共感が、自己肯定感を取り戻すきっかけを作ってくれることもあります。
とくに不調が原因で現在離職中の方は、後半で紹介した就労移行支援事業所の活用なども視野に入れながら、「自分らしい」毎日に少しずつ近づけていきましょう。