認知行動療法のセルフヘルプ本おすすめ6選【臨床心理士が解説】

心理学

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臨床心理士の西井です!

今回は、認知行動療法のセルフヘルプ本の中でとくにおすすめなものを、実際に認知行動療法を提供している立場である僕から、6冊紹介していきたいと思います。

気分が落ち込んでいたり、体力がなくなっている状態の時には、本を読むこと自体がおっくうになってしまうこともありますよね。

そこでおすすめなのが、ページ数の多くないものから挑戦していくことです。これも、スモールステップという認知行動療法の大切な考え方!

この記事では、前半は元気のない時でも読みやすいものを紹介し、後半は元気が出てきてしっかり認知行動療法を行いたい時におすすめの本をご紹介しています。

1. 認知行動療法のセルフヘルプ本とは?

認知行動療法のセルフヘルプ本とは、認知行動療法の理論をもとに、「自分自身でケアを行うこと」を目的として書かれた本のことを言います。

特徴は、単なる読み物ではなく「書き込むスペース」が設けられていること。自分で書きこむからこそ、気分の改善を図ることができるんです。

本を読み進めながら体験学習していけるのが、セルフヘルプ本の特徴と言えますね!

2. 認知行動療法とセルフヘルプ本は相性が良い

そもそも認知行動療法では、セラピストが相談者様を「癒す」のではなく、相談者様自身に心の問題に対処するスキルを身につけていただくことを重要視しています。「認知行動療法はうつ病の再発率を下げる」というエビデンスもありますが、その理由はここにあります。

セルフヘルプ本は自分自身で行うものであるため、実は認知行動療法を習得していくうえでとても効率の良いやり方なのです。

3. 認知行動のセルフヘルプ本おすすめ6選

それでは、認知行動療法のセルフヘルプ本の中でおすすめのものを6冊ご紹介していきます!まずは心の元気がない時でも読みやすそうなものからご紹介し、次に、しっかり習得したい方に向けた本をご紹介していきますね♪

心の元気・体力がない時に負担なく読めるセルフヘルプ本

まずは、心の元気・体力がない時でも負荷なく読めるものからご紹介していきます!

心が晴れるノート

日本の認知行動療法の第一人者と言われている精神科医、大野裕先生による1冊です。まずは今の問題を明確にすることからはじめ、「ものごとのとらえ方」「問題解決技法」「対人関係」そして思考の中核にある概念である「スキーマ」の修正など、バランス良く認知行動療法の自習を行えるようになっています。内容の濃さの割に文章が平易で読みやすく、ページ数もさほど多くないので負担なく進められるのではないかと思います。

マンガでやさしくわかる認知行動療法

僕は高校生の頃に原付バイクの免許の学習をする時、マンガを読み進めながら学べるタイプの学習本を買ったのですが、それがとても良かったのを覚えています。

マンガでわかる〇〇」という本がたくさん出ていますが、これから学習をはじめる方にはとても効率的な入り方なのではないかと思います。

マンガでやさしくわかる認知行動療法」はストーリー仕立てになっており、活用場面をイメージしながら「どうやって不安や気分の落ち込みに対処するのか」を知れるのではないかと思います。

状況整理シート」などのツールも紹介されているので、実用性の面でも◎です。

心がスッと軽くなるノート

認知行動療法のセルフヘルプ本と言うと、必ずと言って良いほど「コラム法」という、自分の「もののとらえ方」に気づき、それを修正していく技法が紹介されています。

もちろんこの本の中でも瞬間的に頭に浮かぶ思考である「自動思考」のことを「心のつぶやき」と称して紹介されていますが、紹介されている技法が幅広く、そしてキャッチーだなと感じました。

例えば、呼吸法などの身体からアプローチする技法も紹介されています。怒りをコントロールする少しユーモラスな技法や、心と上手に距離を取る技法なども紹介されており、僕はとても好きです。

しっかり認知行動療法を行いたい方におすすめのセルフヘルプ本

ここからは、しっかりと認知行動療法をセルフで行いたい方に向けた本をご紹介していきます。ページ数は多いですが、ぜひ一度は手に取っていただきたい良書です。

フィーリングgoodハンドブック

認知行動療法の中核にある「思考が気分を決める」という考え方や、瞬間的に頭に浮かぶ思考である「自動思考」、嫌な気分のもとになっている思考の傾向である「認知の歪み」などの概念を打ち立てたのがアーロン・ベックという精神科医なのですが、この本の著者であるデビット・バーンズ先生はアーロン・ベック先生のもとで学んでいた方です。

僕としては、この本は鬱や不安のセルフヘルプ本の集大成なのではないかと思っています。実際に書き込みながら読み進めていく中で、自尊心を取り戻していくことができます。また、対人関係のコツ先延ばしの解消法不安との付き合い方など、本当に網羅されています。

分厚い本ですが、この本があなたの「お守り」になってくれると思います。

嫌な気分よさようなら

先ほどご紹介した「フィーリングgoodハンドブック」が出版される前、デビット・バーンズ先生の第一作目として出版されたのが「嫌な気分よさようなら」です。アメリカではベストセラーとなっているみたいです。

この本はコンパクト版も出版されているため、まずはそちらから試してみるのもおすすめです。

ゴールは「メンタル」ではない!?新たな認知行動療法、ACTのおすすめ本

認知行動療法には「流れ」のようなものがあり、過去の理論を継承しつつ、新たな技法も次々に開発されています。

「第三の波」と呼ばれ、今注目されているのがACT(Acceptance&Commitment Therapy: アクセプタンス&コミットメントセラピー)です。

詳しくは過去の記事を読んでみていただけると嬉しいです♪

ACTとは、簡単に説明すると「感情をコントロールしようとするのをやめ、自分にとって大切なことに向かうことに集中する」という考えです。

代表的な本を1冊ご紹介しておきますね!

幸せになりたいなら、幸せになろうとしてはいけない

この本は、ACTの第一人者の1人であるラス・ハリスによるものです。まずは、「価値判断することなく、今この瞬間を観察する」というマインドフルネスを実践しながらネガティブな感情を容認し、自分にとって1番大切な価値に向かって「行動」を起こすことの大切さについて体系的に紹介されています。

4. 認知行動療法をセルフで行うなら、「心のスキルアップトレーニング」もおすすめ!

今回の記事では認知行動療法のセルフヘルプ本をご紹介していますが、「webサイトで学ぶ」という手もあります。おすすめなのは「こころのスキルアップトレーニング」というサイトです。

このサイトでは認知行動療法について知識を学ぶことができるとともに、具体的なストレスへの対処法を練習することができるようになっています。なんと、このサイトの監修をしているのは精神科医で日本の認知行動療法の第一人者である大野裕先生。メールマガジンに登録することで、1週間に1回、金曜に大野先生からの心の健康などについてのアドバイスを受け取ることもできます。

このサイトを有効活用することで、セルフで行う認知行動療法はほとんどカバーできてしまうのではないかと思います。

有料会員に登録すると、30日会員の場合は220円365日会員の場合は1,650円で全てのサービスを利用できるようになります。

5. カウンセリングを受けた方が良いケースも

今回はセルフで行う認知行動療法について解説していますが、「カウンセリングを受けた方が良い」というケースもあります。理由は、抑うつや不安についてのお悩みであったとしても、人によってその背景にある「問題の成り立ち」や「維持要因」が異なるからです。

専門家による認知行動療法のカウンセリングでは、相談者様のお悩みを詳しく伺ったうえで問題の見極めや計画を一緒に立て、個別のケースに合った支援を行うことになります。まずはセルフで行ってみて、それでも問題の改善が見られない場合はカウンセリングを受けてみることも重要です。

過去の記事では東京や横浜で認知行動療法のカウンセリングを行っている施設をご紹介しているため、こちらもご覧いただけると嬉しいです。

6. まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。スポーツや芸術でも「練習」が重要であるように、心の柔軟性を高めるうえでも「練習」が重要と言えます。今は心理学的な知識に書店やインターネットなどを通して気軽にアクセスできるようになりましたが、更に重要なのが実際に練習して身につけるというプロセスなのです。今回ご紹介したような認知行動療法のセルフヘルプ本であれば効率的に「心のスキル」を高めていけるのではないかと思います。これからも一緒に、柔軟な心を育てていきましょうね。