なぜ不安になるのか?理由の分からない漠然とした不安の正体とは。【臨床心理士が解説】

心理学

※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

こんにちは。臨床心理士の西井です。

はっきりとした理由がないのに、なぜかとても不安になってしまう。

皆さんは、上記のようなお悩みをお持ちではないですか?

実は、この理由の分からない不安にはちゃんとメカニズムがあるんです。今回の記事では、「今とても不安。でも、明確な理由があるわけではないし、どうしたら良いのかわからない」という方に向けて、概要や対処法をお伝えしたいと思います。

この記事を読むことで、不安への適切な対処法を知り、生活の中で実践することができるようになるでしょう。

1. なぜ不安になるのか?

まずは、不安になってしまう理由を、脳科学・心理学の2つの立場から解説していきたいと思います。

脳科学的な不安のメカニズム

脳科学では、「ノルアドレナリン」という脳内物質が分泌されることにより不安が生じると考えられています。人類がまだ原始人だった頃、危険生物に襲われてしまった時にはこのノルアドレナリンが分泌されることで不安が強くなり、「闘う」もしくは「逃げる」という行動を起こせたのだと言われています。

つまり、人は危険性を感じることでノルアドレナリンを分泌させ、不安になる、ということですね。「自分を守るための機能」と考えることもできます。

心理学的な不安のメカニズム

心理学では、「思考」が不安を作り出していると考えます。とくに、未来に対して「何か悪いことが起こるのではないか」とネガティブな予測を行うことにより、不安という気分が生じると考えるのです。例えばうつ病や不安障害への効果が高いと言われている認知行動療法では、思考を柔軟にしていくことで不安な気持ちを自ら軽減されることを目指していくわけです。認知行動療法については過去の記事で解説しているためご覧ください。

2. 理由のはっきりしない不安の正体は「浮動性不安」

理由のはっきりしない漠然とした不安には実は名前がついており、「浮動性不安」と呼ばれています。浮動性不安とは、なんとなくモヤモヤとした気持ちがずっと続いている状態を示しています。

不安には2種類ある

不安には、理由のはっきりしている一過性のものと、理由がはっきりせず、長期的に感じ続けてしまうものの2通りがあります。例えば、明日の試験で良い点数を取ることができるか不安に思う場合は前者にあたりますし、理由は分からないけど、漠然と不安になっている、という場合は後者にあたります。

なぜ浮動性不安は起きるの?

浮動性不安が起こる背景として、将来の不確定要素が多すぎて、頭がキャパオーバーになってしまっているというものがあります。将来に対して不安な要素や未確定な要素がたくさんあるため、理由は分からないものの、「なんとなく不安」につながってしまうわけですね。

3. 浮動性不安への対処法

ここでは、浮動性不安への対処法についてお話ししてみたいと思います。

明確な目標と期日を決める

浮動性不安は、先行きが見えないことや将来の不確定要素が多すぎることにより生じるものであるため、明確な目標と期日を決めることで落ち着く可能性があります。例えば、仕事のことや将来の方向性などで悩んでいるのなら、まずはどちらに転んでも良いような目標を1つ立て、それを達成する期日を明確に決めてみるのはいかがでしょうか。すると、自分のやるべきことが明確になるので、不安を感じにくくなるかもしれません。

行動する

次に大切なのが、行動することです。そもそも不安とは危険な状態から回避するために生じる本能であるため、その不安をなくすためには、行動をして解決に近づくことが有効なわけですね。頭の中で考えている限りは不安はどんどん大きくなってしまいますので、まずは小さな行動でも良いので、とにかく動くことが大切です。

運動する

これも「行動」の一つに入りますが、個人的におすすめなのはなんだかんだ言って「運動」です。運動中は交感神経が優位になりますが、運動が終わるとその分副交感神経が優位になります。するとリラックス状態に入りやすくなるのです。今一生懸命取り組んでいること(スキルの獲得や仕事など)があるのなら、まず運動をしてからそれらに取り組むことで、心を安定させた状態で作業にあたりやすくなるのではないかと思います。

4. この不安は病気なの?

あまりにも不安が強いと、「自分は病気なのではないか?」と気になってしまう方もいるのではないでしょうか。不安が強すぎたり長期に渡って持続していて生活に支障が出ている場合などは医療機関で「不安障害」と診断されることがありますが、常に明確な理由のない不安に襲われている場合は、「全般性不安障害」という診断を下されることもあります。あまりにも不安で苦しくて生活に支障が出ているという方は、一度医療機関で診てもらうのも1つかもしれません。

5. まとめ

いかがでしたでしょうか?今回の記事では、「なぜ不安になるのか?」ということについて解説させていただきました。とくに、明確な理由がないのに不安になる「浮動性不安」の場合は、脳がキャパオーバーになってしまっているのが原因の一つとして考えられます。まずはしっかり休息を取り、1つ1つ行動を通して問題を解決していくことが何より重要と言えます。

心理学を学ぶことにより、自分自身のメンタルヘルスにも役立てることができます。心理学の学び方については過去の記事でもお伝えしているため、よろしければ読んでみていただけると嬉しいです。