交流分析の資格にはどんなものがある?【臨床心理士が詳しく解説】

カウンセラーの資格

※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

  • 交流分析の資格に興味があるけど、どのような資格があるのか分からない
  • 交流分析の資格を取る難易度や期間、料金などについて知りたい

本記事では、上記のような疑問にお応えしていきます。

交流分析はコミュニケーションや自己分析に活用できるだけでなく、心理学的な裏づけがしっかりとした専門分野なので、資格を取得するメリットは大きいと言えるでしょう。

ただ、どのような資格が自分に合っているか分からないと、行動できないですよね。

心の専門家である臨床心理士が、知名度のある交流分析の資格を2つ、個人的におすすめな資格を1つ、合計3つご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

交流分析の資格にはどんなものがある?

交流分析の資格としては、大きく分けて以下に示す2つの資格が有名です。

  • NPO法人日本交流分析協会の「交流分析士」
  • 日本交流分析学会の「認定交流分析士」

資格の名称がどちらも「交流分析士」なので紛らわしいのですが、上記2資格は全く別の資格です。

簡単に言うと、NPO法人日本交流分析協会の「交流分析士」はより一般に開かれた資格であるのに対し、日本交流分析学会の「交流分析士」はよりアカデミックな内容で、専門家向けです。

また、その他にも一般に開かれた資格として職業技能専門教育研究機構が認定している「TA(交流分析カウンセラー)」という資格などもあるので、1つ1つご紹介していきますね。

【前提知識】交流分析とは?

この記事を読んでくださっている方は、そもそも交流分析に興味があるからこそ、交流分析の資格について調べているのだと思います。

よって、前提知識は不要かもしれませんが、一応基本をおさえておきましょう!

交流分析はコミュニケーション・性格に関する心理学の一分野

交流分析は、カナダ出身の精神科医であるエリック・バーンにより1957年に提唱された心理学の一分野です。

交流分析は英語で「Transactional Analysis」と呼ばれるのですが、頭文字を取って「TA」と呼ばれることもあるので覚えておきましょう。

フロイトによって提唱された精神分析の考え方を取り入れつつも、人間の自己成長力に最大の信頼を置く「人間性心理学」の考え方もバランスよく取り入れているのが交流分析の特徴です。

基礎理論が洗練されているにも関わらず用語や理論はシンプルで分かりやすく、一般的に活用しやすい実用性の高い心理学として親しまれているのが特徴と言えるでしょう。

交流分析の代表的な理論

交流分析には複数の理論や技法がありますが、大きく分けると以下に示す理論・概念に集約されます。

  • 自我状態モデル
  • 交流・ストローク・時間の構造化
  • 人生脚本
  • 値引き・再定義・共生関係
  • ラケット・スタンプ・ゲーム分析
  • 自律性

とくに代表的なのが「自我状態モデル」であり、人の心の状態を「親の心(Parent)」「大人の心(Adult)」「子どもの心(Child)」に分けて考えるのが特徴です。

交流分析では、「エゴグラム」という分析方法を使って、自分や他者の自我状態を把握してきます。

自我状態モデルやエゴグラムそのものについては、過去の記事も参考にしてみてください。

それではさっそく、交流分析の資格を3つに絞って解説していきます!

交流分析の資格①:NPO法人日本交流分析協会の「交流分析士」

NPO法人日本交流分析協会は、人々が交流分析を通してより豊かな人生を営めるようになることを目指す心理学教育実践団体です。

交流分析に関する資格を複数発行しているので、以下に詳しく解説していきますね。

交流分析士初級

交流分析士初級は、主に大学生などの学生が交流分析への入門として受講することを想定した資格です。

一般成人でも受けることができ、内容としては交流分析の概要を知ることができます。

<日本交流分析協会交流士初級の概要>

講座受講料26,950円
認定試験料17,600円
認定登録料13,200円
資格更新の有無なし
審査方法20時間の講座受講及び認定試験

交流分析士2級

交流分析士2級では、40時間のワークショップ形式の講座を通じて、交流分析の基礎理論を学ぶことができます。

日本交流分析協会の各支部や、日本交流分析協会の学習拠点である「TAカレッジ」にて講座に参加できる仕組みになっています。

交流分析士2級を取得するには、講座を修了したのち「交流分析士2級認定試験」を受験し、合格する必要があります。

<日本交流分析協会交流士2級の概要>

講座受講料58,850円
認定試験料33,000円
認定登録料22,000円
資格更新の有無なし
審査方法40時間の講座受講及び認定試験

交流分析士1級

交流分析士1級を取得するには、交流分析士2級をすでに持っている必要があります。

交流分析士2級では基礎理論を中心に学ぶのに対し、交流分析士1級では42時間のワークショップ講座を通して応用理論を学ぶのが特徴です。

講座を修了したのち、「交流分析士1級認定試験」に合格することで、資格が付与されます。

<日本交流分析協会交流士1級の概要>

講座受講料65,560円
認定試験料38,500円
認定登録料33,000円
資格更新の有無なし
審査方法42時間の講座受講及び認定試験

交流分析士インストラクター

交流分析士インストラクターは、交流分析士を目指す方への指導を行えることを示す資格です。

交流分析士インストラクターを取得するには、交流分析士1級に合格したのち、無料にて「インストラクター養成講座受講資格試験」に合格する必要があります。

試験合格後、1年半以内に「インストラクター養成講座」を受講し、試験に合格することで資格が得られます。

また、交流分析インストラクターを取得すると「交流分析士2級」の講座を実施できるようになります。

指導経験を積むことで「TAカレッジ」にて講師を担当できるようになる可能性があるのも特徴ですね。

<交流分析士インストラクターの概要>

講座受講料64,900円
認定試験料33,000円
認定登録料33,000円
資格更新の有無なし
審査方法38時間の講座受講及び認定試験
※無料の講座受講資格試験あり

交流分析士准教授・教授

交流分析インストラクターを取得後、交流分析についての学習・実践を継続すれば、「交流分析士准教授」「交流分析士教授」などの資格を取得する道も開けます。

交流分析士准教授になれば、2級に加えて1級の資格取得講座も担当できるようになるだけでなく、インストラクターへの指導も行えるようになります。

  • TA実践研究論文集に投稿
  • 投稿後2年以上経っている

上記が准教授になるための条件であり、教授となると、准教授の資格を取得してから更に3年が経過している必要があります。

<交流分析士准教授の概要>

認定試験料33,000円
認定登録料77,000円
資格更新の有無なし
審査方法論文審査及び論文発表

<交流分析士教授の概要>

認定試験料55,000円
認定登録料110,000円
資格更新の有無なし
審査方法論文審査及び論文発表

TA心理カウンセラー

TA心理カウンセラーは、相談者の心の発達を支援する、カウンセリング色の強い資格です。

「交流分析インストラクター」を取得後1年すると受講資格が得られるので、「TA心理カウンセラー養成講座」を受講し、認定試験に合格することで資格が得られます。

<TA心理カウンセラーの概要>

講座受講料132,000円
認定試験料22,000円
認定登録料33,000円
資格更新の有無なし
審査方法講座受講及び認定試験

TA子育ち支援士

TA子育ち支援士は、交流分析に加えて発達心理学を学び、子どもの発達に寄り添うことを目指す資格です。

交流分析士1級・2級を取得することで「補」資格が得られ、交流分析インストラクターを有していることで正式にTA子育ち支援士の資格を取得することができるようになります。

<TA子育ち支援士の概要>

講座受講料36,300円
認定試験料11,000円
認定登録料17,600円
資格更新の有無なし
審査方法講座受講及び認定試験

引用:資格取得のための資格別費用と内容について|日本交流分析協会

交流分析の資格②:日本交流分析学会の「認定交流分析士」

日本交流分析学会は、交流分析の研究や教育、普及を目的とした学術学会です。

本学会では交流分析の実践資格者の養成・認定を行っており、以下に示す2資格を得ることができます。

  • 日本交流分析学会認定交流分析士
  • 日本交流分析学会認定研修スーパーバイザー

各資格の詳細を、以下に解説していきますね。

日本交流分析学会認定交流分析士

日本交流分析学会認定交流分析士は、交流分析の実践者として同学会から認められていることを示す資格です。

資格の認定条件を以下に記載しました。

  • 日本交流分析学会の正会員として3年以上の所属歴があること
  • 日本交流分析学会およびそれに準ずる学会にて2回以上学会発表を行っていること
  • 交流分析の実践例を5ケース以上担当していること
  • 交流分析による自己分析記録があること
  • 日本交流分析学会認定研修スーパーバイザーによる推薦書があること
  • 日本交流分析学会の研修会・研究会などへの参加が2回以上あること

学会発表や交流分析を用いたケースの実施が条件となっており、専門家向けの資格であることが分かりますね。

医療機関や教育機関などで、すでに対人援助職として働いている方を想定した資格となっています。

<日本交流分析学会認定交流分析士の概要>

認定審査料10,000円
認定登録料30,000円
資格更新の有無5年ごとの更新
審査方法書類選考

日本交流分析学会認定研修スーパーバイザー

日本交流分析学会認定研修スーパーバイザーは、交流分析の実践者である認定交流分析士を養成できる人材であることを示す資格です。

具体的には、面接方式の実践訓練(=スーパーヴィジョン)を通して指導を行い、交流分析士を育成します。

日本交流分析学会認定研修スーパーバイザーを取得するための条件を、以下に記載しました。

  • 日本交流分析学会認定交流分析士の資格を取得して3年以上経過している
  • 認定交流分析士の資格取得以降、交流分析に関する学会、研修会、研究会にて4回以上学会発表を行っている
  • 交流分析に関する学術論文を2編以上公開していること
  • 交流分析を用いたケースを5例以上行っていること
  • 交流分析による自己分析記録があること

認定交流分析士の資格を取得した後にも学会発表や論文の執筆、交流分析を用いたカウンセリングを継続している必要があり、かなり上級者向けの資格であることが分かりますね。

<日本交流分析学会認定研修スーパーバイザーの概要>

認定審査料10,000円
認定登録料30,000円
資格更新の有無5年ごとの更新
審査方法書類選考および面接

引用:日本交流分析学会

個人的におすすめ:ヒューマンアカデミーの「TA(交流分析)カウンセラー」

本記事では、交流分析の資格として有名な以下の2資格について解説してきました。

  • NPO法人日本交流分析協会の「交流分析士」
  • 日本交流分析学会の「認定交流分析士」

どちらも交流分析の基礎・応用を学べる魅力的な資格ですが、個人的には、より短期間で、経済的な負担をなるべくおさえて、体系的に交流分析の概要を学べる講座もおすすめです。

とくに、自己理解のため、日々の仕事や人間関係で活かすために交流分析を学ぶ場合は、短期間かつリーズナブルな学び方を希望したいところですよね。

そこでおすすめなのが、38年の歴史を持つ資格専門校であるヒューマンアカデミーが開講している「TA(交流分析)カウンセラー養成講座」です。

TA(交流分析)カウンセラー養成講座は、合計4日間のオンライン学習にて講座が完結します。

オンラインとは言っても、講師によるライブ授業であり、他の受講者の顔も見えるので、ワーク等を通じて「肌で学ぶ」ことができるのも魅力ですね。

交流分析の中でも有名な自己分析ツールである「エゴグラム」を用いた自己理解も講座の中で行え、検査の結果を詳細な報告書として閲覧することもできます。

講座を修了すると、「職業技能専門教育研究機構」による「TA(交流分析)カウンセラー」の資格認定証を取得できるので、履歴書等に記載することもできますね。

  • エゴグラムを用いた自己分析
  • 心の癖・心の習慣の理解
  • 人間関係構築のエッセンス
  • 恋愛傾向とインナーチャイルド

例えば、上記のような、交流分析を主軸としながらも、より日常での活用しやすさを追求した独自の講座を展開してくれているのも魅力です。

受講期間は4日間ですが、1日あたりの受講時間は約6時間なので、しっかりと交流分析の考え方や技法を身につけ、自己分析も深まります。

受講料は138,600円(入学金33,000円)であり、分割支払いの場合は月々3,000〜となるので、他の資格と比べるとよりリーズナブルに学べるのではないでしょうか。

「とにかく、まずは交流分析を学んで生活に活かしたい!」と思う方にはおすすめできる講座です。

引用:TA(交流分析)カウンセラー養成講座|ヒューマンアカデミー

交流分析の資格は難易度が高い?

交流分析の資格の場合、どの協会・学会が認定しているかによって資格の難易度が変わります。

最も難易度が高いのは、「日本交流分析学会」による「認定交流分析士」です。

なぜなら、そもそも日本交流分析学会に入会するには医療や教育分野にて専門職として勤務している必要がありますし、資格の認定には研究発表や論文の執筆などのかなりアカデミックな活動が条件となっているからです。

基本的には、医師・看護師・公認心理師・臨床心理士などの専門家向けの資格であると言って良いでしょう。

日本交流分析協会による「交流分析士」では7つの資格を発行しているので、資格のグレードによって難易度が変わってきます。

例えば、「初級」や「2級」までであれば、講座を受講し、試験を受けることができれば、難易度としてはさほど高くありません。

しかし、「交流分析士インストラクター」以上になってくると、かなりの専門性を求められますし、より下位の資格を有していることが受験条件になるので、かかる費用も増えていきます。

大切なのは、「なぜ交流分析を学ぶのか?」という目的になるでしょう。

もし、ネームバリューよりも生活の中で交流分析を活かすことそのものを重視したいのであれば、学びの質が高く、費用も比較的おさえられているヒューマンアカデミーなどの民間資格校による養成講座も、実はおすすめなのです。

交流分析の資格を取得するメリット

交流分析の資格を取得するとどのようなメリットがあるのか、参考までにまとめていきたいと思います。

自分との付き合い方が上手になる

交流分析の中心理論の1つに、「構造分析」と呼ばれるものがあります。

これは、人の自我状態(心の状態)を以下に示す3つの側面に分けて分析する方法です。

  • 親の心(Parent)
  • 大人の心(Adult)
  • 子どの心(Child)

とくに、「エゴグラム」と呼ばれる分析方法を使って自分自身の自我状態についての理解を深めると、自分との付き合い方が上手になることが期待できます。

  • 自分はどんな時に幸せを感じるのか?
  • 自分はどんな時に怒りを感じるのか?
  • 日々の感情に、どうやって向き合うことが多いのか?

上記のような疑問に対して、交流分析の理論的裏づけをもとに自己分析が行えるようになるので、より効果的に自分自身をマネジメントできるようになるでしょう。

他者と信頼関係を築きやすくなる

交流分析の基本的な理念に、「私はOK。あなたもOK。(I am OK. You are OK, too.)」というものがあります。

これは、人は皆それぞれ考える力、能力を持っており、優劣の差はない。誰もが自己成長していく力を持っているのだという考えです。

交流分析を学ぶと、どうしたら他者とより良い関わりを実践し、信頼関係を築いていけるのかを知ることができます。

無意識に行ってしまっている、他者との不和を作り出してしまうコミュニケーションのパターンを分析し、より建設的な交流へと再構成していく力を養えるわけですね。

仕事に活かせる

心理カウンセラーだけでなく、看護師、教員、保育士、介護士など「人と関わる仕事」をされている方に、交流分析の学習はとてもおすすめです。

理由は、交流分析は「使いやすい」うえに「理論的枠組みがしっかりしている」からですね。

交流分析は、”ポップ心理学”ではなく、正真正銘の心理学の一分野であり、理論的枠組みがしっかりとある学問です。

創始者のエリック・バーンによる緻密な理論に加え、今でも世界各国の心理学者が交流分析の研究を行っており、これからも理論が洗練されていくでしょう。

交流分析はシンプルかつ奥深い学問なので、個人的に対人援助職の方は学ぶメリットしかない分野だと思っています。

交流分析の資格まとめ:とにかく早く学んでほしいです!

今回の記事では、交流分析の代表的な資格について詳しく解説しました。

  • 日本交流分析協会の「交流分析士」
  • 日本交流分析学会の「認定交流分析士」
  • 職業技能専門教育研究機構の「TA(交流分析)カウンセラー」

上記3資格の中でも最も権威性が高いのが日本交流分析学会の「認定交流分析士」であり、次に日本交流分析協会の「交流分析士」、職業技能専門教育研究機構の「TA(交流分析)カウンセラー」と続きます。

ただ、僕がこのブログの中で一貫してお伝えしているのが、「本質は学ぶことである」というメッセージなんです。

例えば、「アカデミックな資格は敷居が高いので、交流分析を学ぶのをやめてしまう」というのは、あまりにもったいないと思うんですよね。

交流分析自体は、大型書店の心理学コーナーに行けば書籍で学びを得ることもできます。そして、そこには毎日を豊かにしてくれる素晴らしい学びが詰まっています。ぜひ、学ぶことを諦めないでほしいなと思うのです。

ただ、「体系的に学ぶ」という視点を持ったときには、やはり講座を受講するスタイルの学び方がおすすめです。

そういった意味では、資格専門校であるヒューマンアカデミーで受けられる「TA(交流分析)カウンセラー養成講座はとてもおすすめなので、まずは無料体験をしてみると良いでしょう。