心理カウンセラーの資格を取ったらどんな仕事ができるの?【臨床心理士が詳しく解説!】

カウンセラーの資格

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  • 心理カウンセラーの資格を取ったとして、仕事につながるの?
  • 心理カウンセラーの資格を取ったらどんな仕事に就けるの?

本記事では、上記の疑問に詳しくお答えしていきます。

心の問題を抱える方が増えている今、心理カウンセラーという職業は注目されています。

AIの発達により多くの仕事が自動化されていく中、人の心に寄り添う心理カウンセラーが無くなることはなく、今後更に注目されていく職業と言えるでしょう。

心理カウンセラーの資格に興味があるものの、「本当に仕事になるのか?」と疑問を抱く方も多くいると思います。

本記事では、臨床心理士が心理カウンセラーの仕事事情をリアルにお伝えし、民間資格でも仕事を得る方法などについてもお伝えしていきたいと思います。

心理カウンセラーの仕事内容とは?

心理カウンセラーは、人々の心の問題に寄り添い、問題解決の方法を相談者と一緒に考えていく仕事です。

心理カウンセラーの仕事を細かく記載すると、以下のようになります。

  • 受容と共感・・まずは相談者の話しを受容的・共感的に聴き、信頼関係を構築していきます。
  • アセスメント・・共感するだけが心理カウンセラーの仕事ではなく、話を受容的・共感的に聞きながらも、相談者の心の問題の成り立ちについて冷静に分析していきます。
  • 介入・・心理学や精神医学に裏づけられた心理療法を用いて、相談者の心の問題を解決へと導きます。

上記のような専門スキルを身につけるには、心理学や精神医学をきちんと学び、根拠をもとに目の前の相談者のお悩みにアプローチする必要があるのです。

心理カウンセラーにはどんな資格がある?

心理カウンセラーには多くの資格があり、難易度や目的も異なっています。

以下に心理カウンセラーの資格を3つに分類して記載しているので、参考にしてみてください。

公認心理師

公認心理師は、心理カウンセラーの資格の中では唯一の国家資格です。

公認心理師になるために必要なルートは2通りあるので、以下に記載しました。

  • 大学・大学院にて必要科目を履修して受験資格を得る
  • 大学にて必要科目を履修した後、認定施設にて2年間の実務経験を積んで受験資格を得る

公認心理師を取得するには、大学・大学院に行った後に受験をして合格するか、大学に行った後、認定施設で2年間の実務経験を積んだ後受験をして合格する必要があるわけですね。

簡単に取れる資格ではありませんが、国家資格なので心理系職種への就職活動にも有利です。

臨床心理士

臨床心理士は民間資格ですが、公認心理師が出来る前は国内で最も権威性の高い心理カウンセラーの資格と考えられていました。

今でも公認心理師と並び、社会的信頼の高い資格とされています。

臨床心理士になるには、以下に示す手順を踏む必要があります。

  1. 4年制大学を卒業して学士号を取得
  2. 臨床心理士の第一種指定大学院・第二種指定大学院・専門職大学院を修了して修士号を取得
  3. 臨床心理士資格認定協会による試験に合格

臨床心理士の場合は、大学院への進学が必須条件なので、公認心理師よりも難易度が高いと考える人もいます。

心理系職種への就職活動に関しても、公認心理師と同様に有利です。

民間の心理カウンセラー資格

民間の心理カウンセラー資格は数多くあり、種類や目的も様々です。

中でも有名な2つの心理カウンセラー民間資格を以下に示しました。

  • メンタルケア心理士®︎(メンタルケア学術学会・一般財団法人生涯学習開発財団認定)
  • メンタル心理カウンセラー®︎(一般財団法人JADP日本能力開発推進協会認定)

上記2資格は、民間の心理カウンセラー資格の中でも比較的知名度が高いです。

民間の心理カウンセラー資格を取得するには、資格取得講座を受講した後、試験に合格する必要があります。

民間の心理カウンセラー資格の場合、公認心理師や臨床心理士と比べると、心理系職種への就職のハードルはぐっと上がるでしょう。

ただ、民間の心理カウンセラー資格でも心理系職種に就職する方法はあるので、詳しくは以下の記事を読んでみてください。

心理カウンセラーの資格を活かせる仕事

心理カウンセラーの資格を取得した方は、どのような職場で働いているのでしょうか?

以下には、心理カウンセラーの資格を活かせる仕事を記載しました。

医療機関

心理カウンセラーの就職先として最もオーソドックスなのが、精神科や心療内科など医療機関への就職です。

精神科や心療内科で働く心理カウンセラーは、以下のような業務を行っています。

  • 心理検査
  • 患者さんへの心理カウンセリング
  • デイケアやリワークの運営

とくに、医療機関で働く心理カウンセラーは医師からの要請により知能検査や性格検査などの心理検査を担当することが多いです。

心理検査の内容をもとに、精神科医が治療の方向性や診断名を決めているわけですね。

上記のように、医療機関で働く心理カウンセラーは高い専門性を求められ、ほとんどが公認心理師または臨床心理士を採用しています。

学校

学校で心理カウンセラーが働く場合は、「スクールカウンセラー」として働くことになります。

スクールカウンセラーの業務内容を以下に示しました。

  • 生徒や保護者との心理カウンセリング
  • 教師へのコンサルテーション(助言)
  • 心理的なアプローチに関する普及活動(研修など)

学校ではいじめや不登校などの問題が深刻化しており、周囲の教師・学校関係者を巻き込みながら、問題解決を図るコミュニケーション能力が求められます。

また、近年では発達障害を持つ生徒への対応も重要視されています。

スクールカウンセラーの採用も、公認心理師または臨床心理士がほとんどです。

福祉施設

福祉施設では、障害を持つ方のサポートを他職種が協力し合いながら行っています。

心理カウンセラーが活躍するフィールドとしては、以下に示す3つの福祉施設が代表的です。

  • 就労移行支援事業所・・一般就労を目指す障害をお持ちの方に向けて、心理的ケアのスキルを提供したり、就職活動のサポートをしたりする。
  • 放課後等デイサービス・・発達障害をお持ちの小学生以上のお子様を対象に療育を行う。
  • 児童発達支援・・発達障害をお持ちの未就学のお子様を対象に療育を行う。

上記3施設では心理カウンセリングの知識を活かすことができ、それでいて、無資格であっても就労支援員・児童指導員として就職することができます。

臨床心理士や公認心理師の資格取得が難しく、民間の心理カウンセラー資格で就職したい方には強くおすすめできる就職先なので、覚えておきましょう。

会社内のカウンセラー

会社内で従業員のメンタルヘルスをサポートするのが会社内のカウンセラーの仕事です。

過重労働やパワーハラスメントなど、会社内はメンタルヘルスに関する問題が生じやすい環境ですよね。

社員1人1人の悩みに寄り添うだけでなく、「組織の働く環境を良くする」という視点を持つことが重要です。

会社内のカウンセラーを目指す場合、募集要項に「臨床心理士または公認心理師」と書かれていることもありますが、「やり方次第」という考え方もできるでしょう。

心理カウンセラーの民間資格を取得後、まずは一般社員として入社し、徐々にメンタルヘルスに関する業務を創出していく、というやり方もあるのです。

児童相談所

児童相談所では、児童虐待への対応やお子様の一時保護、心理検査の実施などが主な業務です。

児童相談所で働く心理職には「児童心理司」という名称がついており、児童心理司は公務員の心理職です。

つまり、児童心理司になるには公務員試験に合格する必要があるわけですね。

試験には心理学に関する専門的な知識だけでなく一般教養も多く出題され、倍率も非常に高いです。

児童心理司になるのは難易度が高いですが、給料は高い傾向にあります。

個人開業

個人開業をしている心理カウンセラーも、少数ながらいます。

個人開業をする場合は確かな心理カウンセリングのスキルが必要であるだけでなく、相談者に来ていただくためのマーケティングの知識なども重要になってくるでしょう。

すべては「相談者に必要としてもらえるか」にかかっているので、給料は心理カウンセラーによって差があるでしょう。

個人開業で成功している心理カウンセラーの中には、年収1,000万円ほどである方もいます。

心理カウンセラーの給料事情

参考までに、職域ごとに心理カウンセラーの平均年収をまとめてみました。

職域平均年収
医療機関300〜400万円
学校(スクールカウンセラー)300〜500万円
福祉施設(就労移行支援事業所・放課後等デイサービスなど)300〜400万円
会社内のカウンセラー200〜500万円以上
児童相談所(児童心理司)500〜600万円以上
個人開業0円〜1,000万円以上

医療機関、学校のスクールカウンセラー、福祉施設の平均年収は、だいたいどこの職場であっても平均年収が300〜500万円ほどに落ち着くことが多いです。

会社内のカウンセラーとして勤務する場合、大企業であれば、年収が500万円を超えることもあるようです。

児童相談所の児童心理司は、安定して年収が500万円を超えることが多いですね。

個人開業の場合は、開業が成功するか否かによって異なります。

民間の心理カウンセラー資格で仕事を得るなら「尖る」ことが重要!

民間の心理カウンセラー資格であっても福祉施設や会社内の心理カウンセラーであれば融通が効きやすく、心理カウンセラーとしての第一歩を踏み出しやすい特徴があります。

その際に重要なのが、「尖る」ということです。

「尖る」とはどういう意味かと言うと、特定の分野に習熟し、スキルとして使える状態にしておくということです。

例えば、以下に示す例であれば、どちらのカウンセラーが魅力的に感じますか?

  • 「心理カウンセリングを学び、資格を持っています」
  • 「心理カウンセリングの中でも交流分析に精通していて、研修を行うことができます」

きっと、後者のほうが魅力的に映るのではないでしょうか。

実は、臨床心理士や公認心理師のほとんどは臨床心理学や精神医学について一通り「幅広く」学ぶものの、在学中に特定の心理療法を深く学ぶことは少ないです。

心理カウンセラーの民間資格の場合、「特定のスキルに習熟すること」によって必要とされる存在になることができるのです。

以下には、数多くある心理学の分野の中でも信頼性・需要ともに高い分野を2つ紹介しています。

NLP(Neuro Linguistic Progaming:神経言語プログラミング)

NLPとはNeuro Linguistic Programing(神経言語プログラミング)の頭文字を取った言葉であり、コミュニケーションや目標達成をサポートする心理学の一分野です。

1970年代のアメリカ・カリフォルニア大学にて、言語学教授のジョン・グリンダー、当時学生であったリチャード・バンドラーによって創始されました。

  • フリッツ・パールズ:ゲシュタルト心理学を心理療法に応用した第一人者。
  • ミルトン・エリクソン:催眠療法の権威。
  • バージニア・サティア:家族療法の創始者。

当時圧倒的な治療成果を上げていた3人の天才セラピストが自然と用いていたコミュニケーション技法を分析し、個人がそれを再現できるよう構造化されたのがNLPです。

NLPはビジネス、教育、家族関係などあらゆる領域に活用することができ、とても実践的なスキルなので、これから心理カウンセラーとしてきちんと「介入」ができるようになりたいと考える方にとくにおすすめなスキルです。

NLPの資格について過去の記事で詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてください。

TA(交流分析)

TA(交流分析)は、カナダ出身の精神科医であるエリック・バーンによって創始された、コミュニケーションやパーソナリティ(性格)に関する心理学の一分野です。

TA(交流分析)にはいくつかの主要理論があるのですが、中でも個人の性格やコミュニケーションのパターンを分析する「構造分析」が有名です。

エゴグラムと呼ばれる分析手法を用いて、以下に示す「心の状態」のバランスを把握していきます。

  • 批判的な親(Critical Parent:CP)
  • 養護的な親(Nurturing Parent:NP)
  • 成人(Adult:A)
  • 自由な子ども(Free Child:FC)
  • 従順な子ども(Adapted Child:AC)

上記の自我状態(心の状態)のうちどの側面が多く出てていて、どの側面があまり表出されていないかを分析する中で、相談者とともにバランスの取れたあり方を模索していきます。

また、どの自我状態を使って他者とコミュニケーションを取っていることが多いかを分析する中で、コミュニケーションにおける課題点を心理学的に理解し、改善させていくこともできるのです。

理論が洗練されている交流分析は奥深く、実用的な学問でもあるので、これから心理学を学ぼうとしている方にはとてもおすすめです。

交流分析の資格についても過去の記事で解説しているので、読んでみてください。

まとめ:心理カウンセラーの資格は「活かす」もの!

今回の記事では、心理カウンセラーの資格は仕事につながるのか、どのような仕事に就けるのか、ということについて解説してきました。

記事の内容をまとめると、以下のようになります。

  • 学校や病院に就職するなら、臨床心理士や公認心理師の取得が必須
  • 福祉施設や会社内の心理カウンセラーなら、民間資格を活かして働ける

心理カウンセラーの資格を取得したからと言って、すぐに仕事につながるという保証はありません。

しかし、資格取得の過程の中で得た知識・スキルは必ず仕事に活かすことができるでしょう。

心理カウンセリングの真髄は「他者との関わり」にあり、他者との関わりについての体系的な学びを仕事に活かせないはずはないのです。

すぐに仕事につながらなかったとしても、心理カウンセラーの資格を取得することは、必ず自身のキャリアにとって前向きな意味を与えるでしょう。