心理カウンセラーの民間資格が意味ないと言われる理由【臨床心理士が徹底解説!】

カウンセラーの資格

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  • 心理カウンセラーの民間資格に興味があるけど、「意味ない」という口コミがあって不安

本記事は、上記のようなお悩みがある方に向けて書きました。

国家資格である公認心理師、権威性の高い民間資格である臨床心理士を取得するには大学や大学院に行く必要があるので、時間的・経済的リスクがつきまといますよね。

そこで気になるのが心理カウンセラーの民間資格ですが、「意味ない」という口コミを目にしてしまうと、本当に取得するべきなのか尻込みしてしまうのではないかと思います。

臨床心理士の視点から、なぜ心理カウンセラーの民間資格は意味ないと言われてしまうのか、また実際はきちんと意義がある理由についても解説していきます。

目次

心理カウンセラーの民間資格が意味ないと言われる理由4つ

心理カウンセラーの民間資格が「意味ない」と言われてしまう代表的な理由を、以下に解説しました。

事実を認識したうえで資格取得を検討するのが重要なので、丁寧に解説していきます。

取得しても仕事に結びつかない

心理職が活躍するフィールドとしてすぐに思いつくのが、以下2つの職場です。

  • 精神科や心療内科などの医療機関
  • 学校のスクールカウンセラー

ただ、医療機関での心理職採用や学校のスクールカウンセラー採用はほとんどの場合、募集要綱に「公認心理師または臨床心理士の資格を持っていること」と記載されています。

つまり、心理カウンセラーの民間資格のみで医療機関の心理士や学校のスクールカウンセラーとして働くことはあまり現実的ではありません。

よって、心理カウンセラーの民間資格は「意味ない」と言われてしまうわけですね。

民間資格は社会的知名度が低い

公認心理師や臨床心理士は、ある程度社会的知名度があるので、資格名を名乗った際に「心理の専門家なんだな」と認識してもらえます。

しかし、心理カウンセラーの民間資格の場合は「きっと、心理に興味があって、どこかのスクールで学んだんだな」と認識されるでしょう。

つまり、インパクトや信頼性という意味では、どうしても劣ってしまう部分があるわけですね。

  • 履歴書に資格名を記載した際
  • 個人開業時にホームページに資格名を記載した際

上記の場合でも、臨床心理士や公認心理師が「ベスト」であり、その他の心理カウンセラー民間資格は「ベター」であると言えます。

ただ、資格を持っていないよりも、持っていたほうがプラスに働くことは確かでしょう。

試験の難易度が低い

もちろん、民間資格であっても試験の難易度が高く、高度な知識・スキルの習得が求められる心理カウンセラー資格はあります。

ただ、通信制の心理カウンセラー資格などでは1日30分ほどの学習を2〜3ヶ月行い、インターネット上で試験を受ければ比較的すぐに合格してしまうものも多いです。

心理についての概要を知る」という目的のための受験であればむしろとても良い学びになると思いますが、「心理カウンセラーを仕事にできるか」と言うと、疑問が残るわけですね。

資格がなくても心理カウンセラーを名乗れる

実は、「心理カウンセリング」は「資格独占業務」ではありません。

例えば、医師が医療行為を行う場合、医療行為は医師の独占業務であるため、医師免許を持っている方でなければやってはいけないわけですね。

「心理カウンセラー」という肩書きは誰でも名乗ることができ、心理カウンセリングを無資格で行っても違法にはなりません。

ただ、全く心理についての知識がない中で心理カウンセリングを行うのは倫理的な問題がつきまといますし、個人開業でカウンセリングを行うにしても、全く資格がない状態だと、そもそも利用してもらえないケースが多いです。

心理カウンセラーの民間資格が意味ないはずはない理由5つ

「心理カウンセラーの民間資格が意味ないと言われる理由」を読むと、本当にあまり意味がないのかな、という気持ちになってしまいますよね。

しかし、心理カウンセラーの民間資格を取得するメリットは非常に大きいと個人的には思っています。

その理由を以下に記載したので、読んでみてください。

自分自身のメンタルヘルスに役立つ

心理カウンセラーの民間資格を取得するには、特定のスクールの講座を受講する必要があります。

講座では、以下のような内容を学べることが多いです。

  • 心理学の基礎理論
  • 精神医学の基礎理論
  • 心理療法
  • カウンセリング技法
  • 心理検査の基本

心理学や精神医学を学ぶことは、自分自身の心の問題について学術的な立場から認識し、対応方法を知ることにとても役立ちます。

つまり、信頼性の高い知識をもとに心の問題を把握できるようになるわけですね。

また、心理カウンセラーの勉強では、まずは「自分を知ること」がとても重要視されています。

自分自身の傾向、どんな時にストレスを感じ、どんな時に幸せを感じるのかを知っているからこそ、目の前のクライエントにも冷静に関われるのです。

多くの民間スクールでは「体験的な学び」を重要視しており、自分自身で心理テストやワークを行ってみたり、グループワークに参加してみたりする中で、自己への理解を深めることができます。

他者と信頼関係を築きやすくなる

心理カウンセラーの勉強を行う中で最も重要視されるのは、「信頼関係(ラポール)」を目の前の相手と築くことです。

傾聴のトレーニングを重ね、まずは相手が言いたいことを「受容的・共感的」に聴く姿勢を身につけられるわけですね。

心理カウンセラーが学ぶ「他者との関わり方」は、実はプライベートにも良い影響を与えてくれます。

家族や友人などの大切な人と関わる際に応用できるので、安定的な関係を築きやすくなるのです。

コミュニケーション能力が上がる

心理学には、コミュニケーションに関係する理論や技法が数多くあります。

  • NLP(Neuro Linguistic Programing:神経言語プログラミング)

他者とのコミュニケーションを、「神経」「言語」「プログラミング」の側面から見直し、効果的に信頼関係を築く方法を学べる。

  • 交流分析(TA)

アメリカの精神科医であるエリック・バーンによる理論。「親の心」「大人の心」「子ども心」という3つの自我状態からコミュニケーションを分析する「構造分析」などを中心とした理論体系。

  • アサーション

自分と他者の双方を大切にし、相手を尊重しながら自分の主張を行うコミュニケーション技法。ロールプレイを通して適切な自己表現を学ぶ。

とくに上記に示したようなコミュニケーションに関する心理学の理論や技法を学べば、日常生活や仕事の中で技法を応用できるようになるわけですね。

「コミュニケーションを学び、自分に自信をつけたい」と思う方にとって、心理カウンセラーの民間資格を取得するメリットは非常に大きいです。

困っている身近な人の相談に効果的に対応できる

身近な人が心理的な問題を抱えてしまった時、心理カウンセラーの民間資格を持っていれば適切な対応を取れる確率が上がります。

例えば、深く落ち込んでしまっている方を目の当たりにした時、無理に元気づけたり、アドバイスを与えることよりも、まずは気持ちに寄り添い、「傾聴する」という選択ができるようになるわけですね。

また、精神医学についての基礎知識を知っていれば、身近な人が精神疾患に罹ってしまった時に、適切に医療機関の受診を勧めることができるでしょう。

幅広い仕事に役立てられる

心理カウンセラーの資格を取得する際に得る知識やスキルは、「人と関わる」という要素のある仕事であれば幅広い職業に役立てられます。

例えば、学校の先生であれば子どもの本当の気持ちを聞き、受け入れる姿勢が子どもとの信頼関係構築につながりますし、これは子育てであっても重要です。

営業職であっても、お客さんに商品を「ゴリ押し」することよりも、お客さんの話をまずは丁寧に聞き、共感することが相手の心を開き、行動を後押しすることに気づくでしょう。

会社の部下や上司との関わり、マーケティングにおける人の購買行動の分析…etc…

心理カウンセラーが身につけるスキルが活きる状況は多岐に渡ります。

心理学は、応用範囲の広い学問であると言えますね。

【本質】心理カウンセラーの民間資格は知識とスキルを得るために取得する!

この記事で何が言いたいかと言うと、心理カウンセラーの資格はネームバリューのために取得するものではない、ということなんです。

心理カウンセラーになるために必要な知識とスキルを身につけることそのものが大切ということですね。

心理カウンセラーが学ぶことは、「心理カウンセラー」という職業として仕事をしていなくても、あらゆる場面で活かせます。

  • 自分との付き合い方が上手になること
  • 他者との付き合い方が上手になること

上記は、仕事でもプライベートでも、人生を豊かにし、周囲の人々を幸せにするヒントをくれるはずです。

心理カウンセラーの資格取得はこれからの時代に重要な意味を持つ

心理カウンセラーの資格を取得するメリットは、「自分自身の人生が豊かになる」というだけでなく、社会的な観点からも意義があります。

以下には、その理由を記載しました。

心理カウンセリングはAIに奪われない

2022年には文章生成を行うAIである「Chat GPT」や画像生成を行うAIである「Stable Diffusion」など、誰でも使えるAIが世の中に浸透してきました。

AIがこれまで人間が行っていた業務を行うようになり、「人間にしかできない仕事」がより価値を発揮する時代になると言われています。

心理カウンセリングを行うAIも今後登場するという声が上がっていますが、あくまで「カウンセラーのサポート」にとどまるでしょう。

なぜなら、心理カウンセリングの中核である「共感」はAIが苦手とする領域だからです。

オックスフォード大学の論文である「THE FUTURE OF EMPLOYMENT : HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?」によると、心理カウンセラーという職業がAIによってなくなる確率は「0.48%」という結果が出ています。

なくなる確率が低い職業」に分類されており、今後も需要が維持される、または増えていく職業であることが分かりますね。

心理カウンセリングとAIの関係については過去の記事でも解説しているので、ご興味がある方は読んでみてください。

心理的なケアを求めている方は多い

データから見ても、個人的な印象から見ても、心理的なケアを求めている方はとても多いです。

<データ面>

厚生労働省が令和4年に行った「第13回地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」の参考資料によると、精神疾患の罹患者数は以下のように増えています。

  • 平成14年:258.4万人
  • 平成29年:419.3万人

15年の間に1.6倍も精神疾患の罹患者数が増加しているのが分かります。

<個人的な印象>

僕は「うららか相談室」というオンラインカウンセリングに心理カウンセラーとして所属しているのですが、相談件数はとても増えています。

とくに、新型コロナウイルスの影響でオンラインが普及し、心理カウンセリングの敷居が以前よりも低くなったことが理由の1つとして挙げられるのではないかと思っています。

上記のように、心理的なケアを求めている方はとても多く、心理学や精神医学の知識をきちんと持った方の需要は、今後さらに増していくでしょう。

引用:「第13回地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」参考資料|厚生労働省

心理カウンセラーの民間資格を活かせる仕事

医療機関の心理職や学校のスクールカウンセラーは、募集要項に臨床心理士または公認心理師と書かれていることがほとんどで、民間資格だと難しい側面があります。

ただ、「人と関わる」要素が強い仕事であれば、心理カウンセラーの資格を活かせます。

以下には、心理カウンセラーの民間資格を活かせる仕事の一例を記載しました。

  • 学校や幼稚園・保育園などの教員
  • 企業の管理職
  • 総務や人事など
  • 営業職
  • 接客業
  • 介護職
  • コンサルタント
  • 電話オペレーター

上記のように、心理カウンセラーが時間をかけて身につけた知識や、共感的に他者の話を聞こうとする姿勢は、人と関わる仕事であれば必ず活かすことができるわけですね。

心理カウンセラーの資格を取得する方法

心理カウンセラーが素晴らしい職業であることは、理解していただけたのではないでしょうか。

では、心理カウンセラーの資格はどのように取得すれば良いのでしょうか。以下に詳しく解説していきます。

臨床心理士・公認心理師の場合

臨床心理士は、大学の学士号を有していることを条件として、「第一種指定大学院」「第二種指定大学院」または「専門職大学院」へと進学し、修士課程を修了することで受験資格が得られます。

臨床心理士を取得するには、大学院へ行くことが必須になるわけですね。

公認心理師は、4年制大学で心理学の必要科目を履修した後、大学院で必要科目を履修するか、認定施設で2年間の実務を行うことが受験資格になります。

心理カウンセラーの民間資格を取得する場合

心理カウンセラーの民間資格を取得する場合は、民間企業が行っている心理カウンセラー養成講座を受講・修了することが受験資格になっていることが多いです。

心理カウンセラーの民間資格についての詳しい情報は過去の記事でも解説しているので、ご興味がある方は読んでみてください。

心理カウンセラーの民間資格取得講座を選ぶポイント

心理カウンセラーの民間資格は数多くあり、きちんと質の高い学びを得られる資格取得講座を選ぶのが重要です。

以下には、心理カウンセラーの資格取得講座を選ぶ際のポイントを解説したので、参考にしてみてください。

体験的に学べる通学タイプの講座を選ぶ

心理カウンセラーの知識・スキルを基礎から応用までしっかり身につけたい場合は、通信の資格ではなく、通学タイプの講座を選ぶのがおすすめです。

なぜなら、心理カウンセラーの場合は知識以上に、カウンセリングに向き合う姿勢や自己理解、実際のカウンセリング技法の習得が重要であるからですね。

通学タイプの講座なら、講師による生の講義を聞きながら、グループワークなどを通して体験的に学びを深めることができます。

「コミュニケーション」がカウンセラーの武器となるのですが、コミュニケーションを学ぶには、実際に他者と交流するのが一番です。

特定のスキルが身につく講座を選ぶ

臨床心理士や公認心理師は、臨床心理学や精神医学などの学問を広く学ぶ傾向にあります。

広く学ぶことはもちろん重要なのですが、民間資格である場合、特定の領域について深く学び、尖らせたほうが仕事に活かしやすくなるでしょう。

  • NLP(神経言語プログラミング)を深く学び、コンサルティングに活かす
  • ポジティブ心理学を深く学び、社内研修を開催する
  • マインドフルネス を深く学び、事業展開する

特定の分野について深く学んで「尖る」ことができれば、上記のように資格を活用する道も拓けます。

  • 「私は心理学を学んできました」
  • 「私は○○心理学を深く学び専門資格を持っています」

上記のように、1つの分野に特化したスキルを持っている方が、社会的信頼性は高くなるわけですね。

「得意技」を持っていることが、民間資格の心理カウンセラーが仕事を創り出す突破口となるでしょう。

社会人におすすめの心理学の学び方については、過去の記事でも解説しているので読んでみてください。

今の仕事で使える講座を選ぶ

個人的におすすめなのが、まずは今の職場の中で「心理カウンセラー的な立場」になることです。

社内の人間関係や取引先へのアプローチの仕方など、心理カウンセラーの知識が活かせる状況はたくさんあるでしょう。

学んだ知識を今の職場の中で実践すれば、それは「生きた知識」になるのです。自分のカウンセリングスキルも高まっていきますね。

まずは今の仕事の中で活かせそうな心理学を学べる資格取得講座を選ぶのがおすすめです。

心理カウンセラーの資格を取得すると得られるスキル

心理カウンセラーの資格は数多くありますが、どのような資格であっても得られるベーシックなスキルを以下に記載します。

心理カウンセラーが身につけるベーシックスキルは、場所を選ばずに活用できるでしょう。

傾聴力

傾聴とは、単に話しを「聞く」だけでなく、相手の気持ちに共感しながら、価値判断をせずに「聴く」コミュニケーションの取り方を示します。

テクニックというよりは、「姿勢」に近いですね。

カウンセリングの神様と呼ばれるカール・ロジャースによると、カウンセラーは以下に示す3つの態度を重視すべきであるとされています。

  • 共感的理解
  • 無条件の肯定的配慮
  • 自己一致

相手の気持ちをあたかも自分のことのように想像し、無条件に相手を受け入れ、カウンセラー自身も自分の気持ちや思いに素直になるという姿勢が保たれていれば、クライエントは自然と自己成長と遂げていくと考えたのです。

心理カウンセラーの基本的態度なので、このようなあり方が「習慣化」していくでしょう。

「見立て」のスキル

心理カウンセラーの専門性として最も重要な要素の1つに「見立て」があります。

見立てとは、目の前にいる方の心の問題がどのようにして生じており、維持されており、どのように介入していけば良いかの方向性を決める作業です。

見立ては個人的憶測ではなく、心理学的・精神医学的な知識に基づいて行われる必要があり、心理カウンセラーの資格を取得する中で得た知識が役に立つでしょう。

また、資格取得後も学び続ける姿勢が重要になります。

「介入」のスキル

見立てに基づいて、実際に目の前の方に「前向きな変化」が生じるよう働きかけるのが「介入」です。

心理学にはさまざまな心理療法やアプローチの仕方があり、有効な介入スキルを持っていることが重要となります。

個人的には、科学的根拠に基づいて行われており、対象となる問題も幅広いので以下のアプローチを学んでおくのがおすすめです。

  • 認知行動療法:思考や行動の柔軟性を高め、相談者自らが問題対処スキルを高められるように働きかけるアプローチ。
  • NLP(神経・言語プログラミング):「五感」を上手く活用し、コミュニケーションや対人関係、目標達成、セルフマネジメントなどを効果的に行うスキルを身につけられるよう働きかけるアプローチ。

心理学の学び方については過去の記事でも解説しているので、読んでみてください。

まとめ:心理カウンセラーの民間資格には意味がある!「一生もののスキル」が身につきます

今回の記事では、心理カウンセラーの民間資格を取っても意味ないと言われてしまう理由や、実際はきちんと意味がある理由について解説しました。

医療機関の心理職や学校のスクールカウンセラーとして勤務する場合は公認心理師や臨床心理士が必要となりますが、心理カウンセラーの民間資格を取得する場合は以下のようなメリットがあります。

  • 自分自身のメンタルヘルスに役立つ
  • 身近な相手に効果的に寄り添ってあげられる
  • コミュニケーション能力が高まる
  • 他者と信頼関係を築きやすくなる
  • 人と関わる仕事であれば、幅広い職種で活かすことができる

心理カウンセラーの資格に興味を持たれる方は、人の心理について興味があったり、自分が心の問題を抱えたからこそ、心理の側面から誰かの役に立ちたいと思っていたりする方が多いのではないのでしょうか。

とても尊いお気持ちなのではないかと思うのです。ぜひ心理カウンセラーの学びを深め、想いを形にしていただけると嬉しいです。