心理学の資格一覧【臨床心理士が本気でまとめてみた】

カウンセラーの資格

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臨床心理士の西井です。

心理学や心理カウンセラーの資格に興味がある。でも、どの資格が自分に合っているのか分からない・・!

このような方の指針となることを願って記事を書いてみました。

この記事では、心理学やカウンセラーの資格に興味を持つ方がまずは「全体像」を把握できるように情報を網羅しています。この記事を読むことで、まずは自分に合った資格がどれに該当するかの参考になるのではないかと思います。

公共性の高い資格」「民間の心理カウンセラー資格」「各種心理療法に特化した資格」「職業領域ごとの資格」と資格のカテゴリーを整理しながら解説しているので、どんな資格があるかを知れるだけでなく、情報を整理しながら理解できるようになっています。

また、臨床心理士だからこそ分かる「コラム」でプラスの情報をお伝えしているので、そちらも参考にしていただけると幸いです。

目次

1. 公共性の高い心理学の資格

まずは、数多くある心理学の資格の中でもより公共性の高いものからご紹介していきます。ここでご紹介するのは日本の心理資格の中でもより信頼性や専門性が高いと言われている資格です。

公認心理師(国家資格)

公認心理師は、平成29年(2017年)に全面施行された「公認心理師法」に基づく、国内では初となる心理学を業とする者の国家資格です。公認心理師試験を受け合格し、公認心理師名簿に登録されることで資格取得となります。認定しているのは、文部科学大臣及び厚生労働大臣です。

公認心理師の主な仕事は、厚生労働省のホームページによると以下のように規定されています。

1. 心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析

2. 心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助

3. 心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助

4. 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提示

引用:厚生労働省

公認心理師試験を受けるには、「大学及び大学院にて所定の科目を修めていること」「大学にて所定の科目を修めた後、一定期間実務経験を積んでいること」などをはじめとしたいくつかの条件があります。詳しくは、厚生労働省のホームページをご覧ください。

臨床心理士(民間資格)

臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定している「心理専門職の証」となる資格です。日本臨床心理士資格認定協会によると、臨床心理士は以下のように定義されています。

「臨床心理士」とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の”こころ”の問題にアプローチする”心の専門家”です。

公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会

臨床心理士の主な仕事は、同協会のホームページによると以下のように規定されています。

1. 種々の心理テスト等を用いての心理査定技法や面接査定に精通していること。

2. 一定の水準で臨床心理学的にかかわる面接援助技法を適用して、その的確な対応・処置能力を持っていること。

3.地域の心の健康活動にかかわる人的援助システムのコーディネーティングやコンサルテーションにかかわる能力を保持していること。

4. 自らの援助技法や査定技法を含めた多様な心理臨床実践に関する研究・調査とその発表等についての資質の涵養が要請されること。

公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会

臨床心理士は昭和63年(1988年)に始まった資格であり、これまで日本の心理臨床を牽引してきた資格でもあります。毎年10月、11月に行われる筆記試験・口述面接試験に合格することで取得できるのですが、受験のための条件として、資格認定協会が指定している指定大学院(1種・2種)または専門職大学院を修了している必要があります。

認定心理士(民間資格)

認定心理士は、公益財団法人日本心理学会が認定している心理学の基礎資格です。4年生大学にて心理学に関する所定の単位を取得することにより申請することができるものであり、試験などはありません。

そのまま仕事に直結する資格というわけではありませんが、大学で心理学を専攻していた証として持っておくこともできますし、社会に出てから心理学的な視点で物事を捉える際の自信にもつながると思います。また、臨床心理士や公認心理師を目指す方が、「過程」として取得することもあるようです。

コラム: 臨床心理士と公認心理師の違い

臨床心理士と公認心理師は、まず「国家資格か否か」という点で異なっています。公認心理師は国家資格ですが、実は臨床心理士は民間資格なのです。しかし、公認心理師ができる前は臨床心理士が日本の心理臨床を支えていたのは事実であり、今でも臨床心理士は深く根を降ろしています。

また、公認心理師に関しては心理学的な知識等の普及を目指しているのに対して、臨床心理士は調査・研究を職務に含めているという点での違いも見られます。実際は、これまで臨床心理士であった方が公認心理師も取得しているというケースが多く、ダブル取得者も多いという現状があります。

また、公認心理師の場合は4年生の大学にて心理学に関する所定の単位を修めた後実務経験を積むことで受験資格を得られる経路もありますが、臨床心理士の場合は指定大学院(1種・2種)または専門職大学院を修了することが必須となります。また、公認心理師は一度試験に合格すれば一生保持されますが、臨床心理士の場合は5年ごとに資格の更新が必要であり、研修などを受けてポイントを取得する必要があります。

2. 民間の心理カウンセラー資格

次に、民間の心理カウンセラー資格をご紹介していきます。民間の心理カウンセラー資格は多種多様な団体や企業が認定しており、難易度や取得に必要な期間などに関しても幅があるようです。

メンタルケアカウンセラー

心理学の入門知識およびコミュニケーション向上で求められる基礎能力を有すことを証明

日本学術会議協会学術研究団体メンタルケア学術学会(LCM)

メンタルケアカウンセラーは、日本学術会議協会学術研究団体メンタルケア学術学会(LCM)が認定している資格です。「心理学の基礎知識」や「円滑なコミュニケーションに求められる基礎能力」を学ぶことができるようです。

また、こちらの資格は文部科学省が後援している「こころ検定3級・4級」に対応しています。初心者向けで、期間は3ヶ月ほどで取得できるため、はじめて心理学を学ぶ方の玄関口となっているようです。

<取得方法>

メンタルケアカウンセラーは、メンタルケア学術学会が認定している指定校の教育課程を修了することにより取得することができます。調べてみたところ、歴史ある資格取得・就転職の総合校であるヒューマンアカデミーの通信講座「たのまな」にて「メンタルケアカウンセラー講座」というというものがあり、これを受講修了することで、メンタルケアカウンセラーの資格を取得できるようです。受験資格はとくになく、どなたでも受講・受験することができます。

<こころ検定とは?>

こころ検定とは日本学術会議協会学術研究団体メンタルケア学術学会が実施、文部科学省が後援している心理学の入門検定です。目的として、心理学をより一般の人々に開かれた学問として普及し、心理学を日常生活の中で役立てるというものがあります。

4級・3級・・基礎心理学を中心に心理学の基本を身につける。

2級・1級・・基礎心理学に加え臨床心理学の知識を身につけ、対人援助に役立てるスキルを身につける。

上記のような級に分かれており、4級と3級は「メンタルケアカウンセラー」に対応、2級は後に紹介する「メンタルケア心理士」に対応、1級は「メンタルケア心理専門士」に対応しています。

メンタルケア心理士

医療・福祉・教育・産業・公共サービス等での相談援助および心理カウンセリング、心理療法によるカウンセリング業務従事職やコミュニケーション向上で求められる基礎能力を有すことを証明

日本学術会議協会学術研究団体メンタルケア学術学会(LCM)

メンタルケア心理士は、日本学術会議協会学術研究団体メンタルケア学術学会(LCM)が認定している資格です。「医療・福祉・公共サービス等で心理カウンセラーとして活躍することを想定した公的資格」とのことで、より実践的な色合いの強いものとなっているようです。さきほどご紹介した「メンタルケアカウンセラー」が初級の資格だとすれば、メンタルケア心理士は中級の資格です。

<取得方法>

メンタルケア心理士は、「こころ検定2級」に合格することで取得することができます。こころ検定2級に合格した後にメンタルケア学術学会に必要書類を提出することで承認されるのですが、その際には以下のいずれかの書類が必要であるようです。

・メンタルケア心理士(R)講座受講修了証

・認定心理士の資格証明証

・産業カウンセラーの資格証明証

・メンタルケア学術学会の「学士・修士受験規定」に基づいた、文部科学省の定める4年性大学心理学部、学科または心理隣接学部、学科卒業者としての証明証

大学で心理学を学んでいるわけではなかったり、産業カウンセラーの資格を持っていない場合は、メンタルケア心理士(R)講座を受講する必要があります。こちらもヒューマンアカデミーの通信講座「たのまな」にて、「メンタルケア心理士講座」を行っているため、まずはこちらを受講してから「こころ検定2級」を受験するとスムーズでしょう。

メンタルケア心理専門士

医療・福祉・教育・産業・公共サービスでの相談援助及び心理カウンセリング、心理療法によるカウンセリング業務従事者やコミュニケーション向上で求められる応用能力を有すことを証明

日本学術会議協会学術研究団体メンタルケア学術学会

メンタルケア心理専門士は、日本学術会議協会学術研究団体メンタルケア学術学会(LCM)が認定している資格です。メンタルケア心理士よりも更に専門分野に特化した内容を問われる上級者向けの資格と言えます。この資格を取得することでメンタルケア学術学会の会員となり、研究や更なるカウンセリングの普及に参加することができるようになります。

<取得方法>

メンタルケア心理専門士は、「こころ検定1級」に合格することで取得することができます。こころ検定1級に合格した後にメンタルケア学術学会に必要書類を提出することで承認されるのですが、その際には以下のいずれかの書類が必要であるようです。

・メンタルケア心理専門士(R)の講座受講修了証

・臨床心理士の資格証明書

・メンタルケア学術学会の「学士・修士受験規定」に基づき審査に合格した心理隣接研究・専攻科修士に関する証明書

大学院で心理学を学んでいるわけではなかったり、臨床心理士を取得していなかったり、心理学の研究に従事した実績があるわけではない場合は、メンタルケア心理専門士(R)講座を受講する必要があります。こちらもヒューマンアカデミーの通信講座「たのまな」にて、「メンタルケア心理専門士講座」を行っているため、まずはこちらを受講してから「こころ検定1級」を受験するとスムーズでしょう。

ケアストレスカウンセラー

ケアストレスカウンセラーは、内閣府認可一般財団法人職業技能振興会によって認定されている資格です。資格の目的としては以下のようなものがあるようです。

・メンタル疾患の疑いがある人への対応
・メンタル疾患予防の啓発
→こころのケアができる人材の育成

内閣府認可一般財団法人職業技能振興会

「メンタル疾患への理解・対応」を柱としている資格であることが読み取れます。また、ケアストレスカウンセラー試験合格者に関しては、「青少年ケアストレスカウンセラー」「高齢者ケアストレスカウンセラー」「企業中間管理職ケアストレスカウンセラー」といったより専門領域に特化した資格を取得することもできるとのことです。

興味深いのが、ケアストレスカウンセラー取得者に向けて実技研修を定期的に開催していること(参加は任意)。資格取得後も、カウンセラーとしての素養を肌で学ぶことができます。

<取得方法>

ケアストレスカウンセラーは、職業技能振興会が行っている資格試験に合格することで取得することができます。受験の条件はとくになく、18歳以上であればどなたでも受験することができます。この資格を受験するために講座などに通うことは必須ではなく独学でも受験可能ですが、受験対策としてヒューマンアカデミーの通信講座「たのまな」にて「ケアストレスカウンセラー通信講座」を行っています。

独学で受験するのが不安な方は、講座に申し込んでみるのも一つかもしれません。

メンタル心理カウンセラー

一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定しているメンタル心理カウンセラーは、以下のような定義になっています。

医療・福祉・教育・産業界などさまざまな場所で求められるカウンセリング能力を備えていることを証明するもの

一般財団法人日本能力開発推進協会

「心理学に関する基礎知識」「カウンセリングに関する基礎知識」「カウンセリング能力に関する職業能力」など、心理カウンセラーとして活躍していくために必要な幅広い知識・技能が問われる資格であるようです。

<取得方法>

メンタル心理カウンセラーは、日本能力開発推進協会(JADP)が指定している教育機関の全カリキュラムを修了することで、受験資格を得ることができます。受験は随時自宅にて行うことができます。指定教育機関として代表的なのが「資格のキャリカレ」。分かりやすいテキストやロールプレイDVDを通して通信講座にて学ぶことができ、実際にカウンセリングの練習をする「カウンセリング実習」も講座に含まれているようです。

上級心理カウンセラー

一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定している上級心理カウンセラーは、メンタル心理カウンセラーよりも更に高度な知識や技術を備えていることを証明する資格です。メンタル心理カウンセラーでは心理学の基礎やカウンセリング全般の基礎を学ぶのに対して、上級心理カウンセラーではカウンセリングの場で用いられている代表的な心理療法を網羅的に学ぶことができるため、幅広い心の問題に対応することに繋がるのではないかと思います。

<取得方法>

メンタル心理カウンセラーと同様、日本能力開発推進協会(JADP)が指定している教育機関の全カリキュラムを修了することで、受験資格を得ることができます(受験は随時自宅にて可能)。資格のキャリカレにて上級心理カウンセラーの取得講座が用意されています。

更に、資格のキャリカレではメンタル総合心理W資格取得講座というものがあり、これを利用することで「メンタル心理カウンセラー」「上級心理カウンセラー」の講座を一度に受けることができ、両者の受験が可能になるとのこと。基礎の上に応用が乗っかるものであるため、個人的にはこちらがおすすめです。

メンタル心理ヘルスカウンセラー

メンタル心理ヘルスカウンセラーは、日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)が認定している資格です。ホームページを見ると、以下のように定義されています。

心理学の基礎知識、様々なストレスから起きる症状、また症状別の治療方法を十分に理解し、カウンセラーとして活動するレベルに至っているとされた方へ認証される資格

日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)

<取得方法>

メンタル心理ヘルスカウンセラーの資格を取得するには、日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)が行っている資格試験に合格する必要があります(在宅にて受験)。受験資格はとくになくどなたでも受験することが可能ですが、諒(りょう)設計アーキテクトラーニングによる資格取得講座を利用することで、1日30分の学習×約6ヶ月間で効率的に学習を進めることができます。

また、諒設計アーキテクトラーニングの講座を利用する場合は「メンタル心理ヘルスカウンセラーW資格講座」となるため、日本インストラクター技術協会(JIA)が認定している「メンタル心理インストラクター」の学習も同時に進めることができます。更に、資格協会指定の「スペシャル講座」というものがあり、これを利用することで試験は免除され、受講修了と同時に「メンタル心理ヘルスカウンセラー」「メンタル心理インストラクター」の両資格を取得することができます。

心理カウンセラーベーシック

心理カウンセラーベーシックは、株式会社エクラ・コフレ17「小高千枝メンタルヘルスケア&マネジメントサロン」が認定している心理カウンセリングの基礎的な資格です。

生涯学習のユーキャンにて4ヶ月の受講をし、試験に合格することで取得することができます。1日30分、週4日程度の学習で無理なく進めることができ、試験も受講期間内であればいつでも自宅で受けることができます。心理カウンセラーになるためのファーストステップとして、まずは心理の基礎を学びたい方に適していると言えそうです。

心理カウンセラー

心理カウンセラー」は、一般社団法人日本推進カウンセラー協会が認定している資格です。同協会が実施している学科試験・実技試験(面接含む)に合格することにより取得することができるのですが、受験資格は以下のようになっています。

  1. ハートフルライフカウンセラー学院が実施している「カウンセラー&メンタルトレーナー養成講座」のエキスパートコースもしくはプロフェッショナルコースを修了していること。
  2. 大学の心理学部または、それに隣接する学部を卒業していること。

ハートフルライフカウンセラー学院は歴史ある心理カウンセラー・メンタルトレーナーの資格取得スクールです。座学に関してもかなり本格的な知識を提供していますし、何よりポイントは実践プログラムにあるのではないかと思います。アクティブリスニング(傾聴)やアサーショントレーニングなど、心理カウンセラーの武器となる「コミュニケーション」を実践的に学ぶことができるカリキュラムになっているのです。

また、プロフェッショナルコースを受講することで、今や世界標準の心理療法となっている「認知行動療法」の素養を身につけることができ、「メンタルトレーナー」の受験資格も同時に取得することができます。

日本応用カウンセリング審議会認定カウンセラー

日本応用カウンセリング審議会認定カウンセラーは、日本応用カウンセリング審議会が認定している資格で、筆記審査と面接審査に合格することで取得することができます。

受験資格としては、下記のいずれかになっています。

  1. 日本応用カウンセリング審議会が指定したカリキュラムを修了した方
  2. 大学で心理学などを専攻した方

①の場合は、APC付属心理教育学院によるアドバンスコースもしくはプラクティカルコースの受講を修了することで、受験資格が得られます(プラクティカルコースの場合は実技審査が免除)。

APC付属心理教育学院の母体は心理クリニックであるため、より実践的なカウンセリングを学ぶことができるようです。講義・デモンストレーション・ロールプレイという三形態の学び方を組み合わせることで、現場で使えるカウンセリングスキルを身につけることができます。

プロフェッショナル心理カウンセラー

プロフェッショナル心理カウンセラーは、一般財団法人全国心理業連合会が認定している心理カウンセラーの全国統一認定資格です。熟練度の高い心理カウンセラーや養成スクールの経営者が集まり、「本当に相談者の役に立つカウンセラーとは?」という観点から統一的な心理カウンセラーの養成を開始した経緯があるようです。

プロフェッショナル心理カウンセラーは、全国に11校ほどある認定教育機関のプログラムを受講・修了することで受験資格を得ることができます。これまでに受講したことがある他機関でのプログラムや、社会経験なども履修科目の一部として認められる場合があり、残りの必要科目を履修することができるシステムもあるとのこと。社会経験も考慮されるのは、新しくも納得感がある印象を受けます。

認定臨床心理カウンセラー

認定臨床心理カウンセラーは、NPO法人日本臨床心理カウンセリング協会(JACC)が認定している資格です。日本臨床心理カウンセリング協会のホームページでは、以下のように定義されています。

臨床心理学領域のカウンセリングや心理療法の様々な知識、技術を、社会に有用とされるサービスとして提供できる専門家に対して発行される資格です。


NPO法人日本臨床心理カウンセリング協会(JACC)

認定臨床心理カウンセラーは、実際のカウンセリングにおいて必要とされる技能を重要視しており、資格試験の内容としても「小論文形式の筆記審査」「実際にカウンセリングを行っている映像を直接審査する実技審査」といったように、「実践」を重視していることがうかがえます。受験資格としては、以下のようなものがあります。

  1. 心理学、心理療法の知識、技術を教える教育機関(短期大学、大学、大学院、専門学校、心理カウンセラー養成機関)を修了していること。
  2. 上記と同程度の専門教育や経験を有していること。

また、資格は5年ごとに更新する必要があり、専門家としての質を担保するための工夫もなされています。

コラム: 民間の心理カウンセラー資格はどう活かせる?

僕が把握しているだけの民間心理カウンセラー資格をご紹介してきましたが、実際には他にも多くの資格があるのではないかと思います。民間の心理カウンセラー資格は公認心理師や臨床心理士と比べるとどうしても直接就職に直結する割合が少なくなってしまうかもしれません。しかし、僕は以下のようなメリットがあると考えています。

・まずは自分に活かす

→資格取得を通して学んだ知識や技能は、自分自身や周りの大切な人に活かすことができます。

・心理学習へのコミット

→学習を習慣化するには、「明確な目標」が重要です。「資格取得」は明確な目標であり、学習に効率的にコミットできるのではないかと思います。

・これまでのキャリアにプラスする

→どの職業でも人と関わることはあるもの。例えば「人事×心理カウンセラーの資格」のように、これまでのキャリアと組み合わせることで相乗効果が期待できます。

・独立開業

→心理カウンセリングの独立開業は国家資格を保持していなくても行うことができます。「クライエントに寄り添い、価値を提供する」というゴールが見えていれば、独立開業も可能です。

・臨床心理士や公認心理士でなくても雇用している機関もある

→機関によっては、臨床心理士や公認心理師のような公共性の高い資格でなくても、カウンセラーとして採用している場所もあります。

3. 各種心理療法に特化した心理資格

心理学には多種多様な「心理療法」と呼ばれるものがあります。心理療法とは、言葉によるやりとり等を通して心の問題にアプローチする方法のこと。心理カウンセラー全般の資格ではなく、より専門的な心理療法に特化した資格をご紹介していきます!

認知行動療法の資格

認知行動療法とは、クライエントとカウンセラーが協働関係を築きながら、思考(=ものごとの捉え方)行動にアプローチすることで、気分や感情、日常生活の現実的な問題にアプローチしていく科学的根拠のしっかりある心理療法です。認知行動療法のニーズは非常に高く、専門資格を取得するメリットは大きいと言えるでしょう。

行動療法士

行動療法士は、日本認知・行動療法学会が認定している認知行動療法の専門資格です。日本認知・行動療法学会と言えば、第一線で活躍する認知行動療法の専門家が集まる学会であり、日本の認知・行動療法を牽引していると言っても過言ではない団体です。この団体が認定している資格ですので、専門性の高さは折り紙つきです。行動療法士には、「認定行動療法士」と「専門行動療法士」の2種類があります。

<認定行動療法士>

認定行動療法士は、認知行動療法を臨床で実践できることを証明する資格です。日本認知行動療法学会のホームページによると、認定行動療法士の資格認定を受けるためには以下のような基準をパスする必要があります。

1. 日本認知・行動療法学会の会員歴が1年以上あること。

2.学会が主催する行動療法に関する研修を、延べ6時間以上受けていること。

3. 学会で行動療法に関する研究発表を1回以上行っているか、1編以上公表していること。


一般社団法人日本認知・行動療法学会

<専門行動療法士>

専門行動療法士は更に上位資格であり、認知行動療法以外の専門家に対しても、十分理解が得られるよう専門的に説明をすることができる能力を有していることを証明する資格です。専門行動療法士を取得するためには、以下のような基準を満たしている必要があります。

1. 日本認知・行動療法学会の会員歴が5年以上、あるいは認定行動療法士資格取得後2年以上あること。

2. 学会が主催する行動療法に関する研修を、延べ30時間以上受けていること。

3. 学会で研究発表を1回以上行っていること。

4. 行動療法に関する研究論文を1編以上公表していること。

一般社団法人日本認知・行動療法学会

両資格ともに、学会発表や研究論文の公表が条件に含まれており、専門性の高い資格となっています。すでに臨床心理士や公認心理師を取得している方向けの資格と言えるかもしれません。

認知行動療法師

認知行動療法師は、日本認知・行動療法学会による「認知行動療法を専門的に実施する実力」を認定している資格です。上記でご紹介している「行動療法士」とは異なり、同学会に所属していなくても認定を受けることができます。資格取得の条件としては、以下のようなものがあります。

1. メンタルヘルス支援の専門資格を持つこと。

2. 学会が認定する認知行動療法トレーニング・ガイドラインに基づく研修会等を履修していること。

3. 認知行動療法の実践事例を2例以上報告していること。

4. 1ケースについて学会認定認知行動療法スーパーバイザーからスーパービジョンを受け、その内容をケースレポートとして報告していること。

一般社団法人日本・認知行動療法学会/ 認知行動療法師

「メンタルヘルス支援の専門資格」とは、医師・看護師・公認心理師・作業療法士・社会福祉士・精神保健福祉士・行動療法士・臨床心理士・産業カウンセラーのいずれかを示しています。

上記のような資格を所持している必要はありますが、要件に学会発表や研究論文の公表は含まれておらず、臨床事例の報告や認定スーパーバイザーからスーパービジョンを受けていることとなっています。行動療法士よりは、開けた資格と言えるかもしれません。

認知行動療法士

認知行動療法士は、一般社団法人日本推進カウンセラー協会が認定している資格です。認知行動療法を普及させ、幅広い領域において質の高い専門家を認定することを目的にしているとのこと。協会が行っている学科試験と実技試験(面接含む)に合格することで、資格を取得することができます。

受験資格としては、以下のようなものがあるようです。

1. ハートフルライフカウンセラー学院が実施している認知行動療法士養成講座を修了している者

2. 大学の心理学部または、それに隣接する学部を卒業している者

一般社団法人日本推進カウンセリング協会

大学にて心理学部や隣接する学部を卒業していない場合は、ハートフルライフカウンセラー学院の認知行動療法士養成講座を修了する必要があります。試験に実技試験があることからも分かるように、認知行動療法士養成講座ではロールプレイ等を通して実際のカウンセリングを実践的に学ぶこともできます。カウンセリングの技法を「練習」できるのは、実はとても質の高い学びなのではないかと思うのです。

認知行動療法専門カウンセラー

認知行動療法専門カウンセラーは、内閣府認証特定非営利活動法人日本認知行動カウンセリング協会が認定している資格です。この協会の特徴は、権威ある日本認知・行動療法学会の認定行動療法士が講師を行っている点にあります。

同協会が開講している「認知行動療法専門コース」の全8クラスを受講し、審査に合格することで取得することができます。また、認知行動療法専門コースを受講するためには、公認心理師対策講座を5単位以上修了し、専門会員として認定されている必要がありますので、注意が必要です。

コラム: 認知行動療法はエビデンス(科学的根拠)が豊富な心理療法

認知行動療法は、数ある心理療法の中でも、とくにエビデンス(科学的根拠)を重んじている心理療法です。今後は心理学の領域でも証拠に基づく実践(エビデンス・ベイスト・メディスン)が更に重要視されていくと言われている中、認知行動療法の資格を有していることは大きなメリットとなるでしょう。

ポジティブ心理学の資格

ポジティブ心理学は、1988年に心理学者のマーティン・セリグマン博士が創始した、比較的新しい心理学の一分野です。これまでの心理学が人のネガティブな側面を克服することを目指していたのに対し、ポジティブ心理学は人の心のポジティブな面に目を向け、人生を更に豊かにするための理論を科学的に研究しています。

ポジティブ心理学は精神疾患等をお持ちの方に限らず、広く一般に適用することのできる学問ですので、資格を取得することにより活動の幅がぐっと広がるのではないでしょうか。

ポジティブ心理学実践インストラクター

ポジティブ心理学実践インストラクターは、一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定している資格です。この資格の定義は、同協会のホームページによると以下のようになっています。

ネガティブな気持ちを受け止め、自分のポジティブ感情の増やし方を習得できるポジティブ心理学について精通し、その具体的な思考法について周囲に広めることができるだけの知識を習得したことを証明する資格です。

一般社団法人日本能力開発推進協会(JADP)

資格のキャリカレが提供している「ポジティブ心理学実践インストラクター資格取得講座」を受講・修了し、在宅にて試験を受け合格することによって、日本能力開発推進協会認定のポジティブ心理学実践インストラクターを取得することができます。

JAPAN POSITIVE PSYCHOLOGY INSTITUTE(JPPI)認定 ポジティブ心理学プラクティショナー

JAPAN POSITIVE PSYCHOLOGY INSTITUTE(JPPI)は、ポジティブ心理学のワークショップやイベントを通して世界中の人々を幸せにすることを目指して活動している団体です。この団体が認定している資格である「ポジティブ心理学プラクティショナー」を取得することで、ポジティブ心理学の体系的な知識を知ることができるとともに、自分自身の強みを発見し、それを最大限に伸ばしていく力を養成することができます。

同団体が認定しているポジティブ心理学プラクティショナーは、ヒューマンアカデミーが提供している「ポジティブ心理学資格取得講座」を受講し、修了することで取得することができます。この資格は個人的にとてもおすすめであり、過去にこの資格の記事も書いているので参考にしてみてください。

ヒューマンアカデミーが提供している「ポジティブ心理学資格取得講座」はポジティブ心理学の創始者であるアメリカの心理学者マーティン・セリグマン氏が提供している講座を基にしているので、個人的におすすめ度が高いです。

ポジティブ心理カウンセラー

ポジティブ心理カウンセラーは、一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会が認定している資格です。同協会のホームページによると、ポジティブ心理カウンセラー協会の定義は以下のようになります。

「ポジティブ心理学」や「ポジティブ心理療法」などを活用してクライエントの精神的な苦痛を軽減し、精神的な幸福度を高めるカウンセラー

一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会

この資格を取得するためには同協会の「認定ポジティブ心理カウンセラー資格認定講座」を受ける必要があるのですが、こちらの講座は2日間(9:00〜17:30)で完結します。また、講座終了後は資料やツールの利用権を得ることができるため、具体的にセミナーや個人に向けたポジティブ心理学カウンセリングを行いたい方には有益な講座と言えるかもしれません。

日本ポジティブ心理学協会(JPPA)認定 ポジティブ心理学プラクティショナー

一般社団法人日本ポジティブ心理学協会(JPPA)は、ポジティブ心理学の世界標準である「国際ポジティブ心理学会(IPPA)」の日本支部という位置付けになります。つまり、ポジティブ心理学発祥の地であるペンシルバニア大学大学院のポジティブ心理学修士課程のカリキュラムに基づいているということ。

同協会の「ポジティブ心理学プラクティショナー養成・認定コース」を修了することで、「ポジティブ心理学プラクティショナー」の資格を取得することができます。例えば2022年度のプログラムは以下のようになっています。

Ⅰ. 基礎理論課程(2022年7月〜10月 全14回

Ⅱ. 応用実践課程(2022年11月〜2023年3月 全14回)

Ⅲ. 発展総括課程(2023年4月〜6月 全4回)

一般社団法人日本ポジティブ心理学協会(JPPA)

知識や理論を覚えるだけでなく、ポジティブ心理学を社会の人々に普及していくための実践的な取り組みを「体験」を通して学ぶことができるようになっており、本格的にポジティブ心理学の専門家を目指したい方に合った資格となっています。

コラム: ポジティブ心理学はセミナー講師として活躍したい方とも相性が良い

ポジティブ心理学はすべての人に適用することのできる分野であり、一般企業のセミナーなどにも適していると言えます。例えば、教育関係の仕事に就いている方は道徳教育の一環として取り入れることなどもできると思いますし、一般企業にてセミナーを行っている方などにもおすすめです。適応範囲の広さはポジティブ心理学の強みと言えそうですね!

交流分析の資格

交流分析とは、1950年代に精神科医エリック・バーンによって創始された、パーソナリティやコミュニケーションに関する体系的な理論です。とくに有名なのは「自我状態モデル」であり、人の心の状態を「子どもの自我状態」「大人の自我状態」「親の自我状態」などと分類します。この理論から派生して作られた心理尺度である「エゴグラム」は、広く自己理解に用いられています。

エゴグラムについては過去の記事でもご紹介しているため、ぜひご覧ください。

交流分析士

交流分析士は、NPO法人日本交流分析協会が認定している、交流分析の専門家を養成する資格です。「交流分析士初級」「交流分析士2級」「交流分析士1級」「交流分析士インストラクター」「交流分析士准教授・教授」「TA心理カウンセラー」「TA子育ち支援士」といった複数の資格を認定しており、初級・2級・1級・インストラクター・准教授・教授・TA心理カウンセラーと、徐々に専門性が高くなることを示しています。

例えば、交流分析士2級では基礎理論を学び、1級では応用理論を学び、インストラクター資格を取得すれば2級の講師になれるなど、活躍の場も徐々に広がっていきます。各資格は、講座を修了した後認定試験を受け、合格・資格登録を経て取得することができます。

交流分析に興味があり、自らの専門性と位置付けたい方にはおすすめの資格です。

日本交流分析学会認定交流分析士

日本交流分析学会は、「交流分析の研究・教育・普及を図ることを目的とした学術団体」を示します。1976年より設立された学会であり、会員は精神科医や心理士等が大多数を占めるアカデミックな学会です。

この学会が認定している「日本交流分析学会認定交流分析士」の定義は、以下のようになっています。

理論・技術・倫理の面で、本学会から交流分析の実践者として認定された正会員が取得できる資格です。

日本交流分析学会

こちらの資格を取得するのは敷居が高く、「学会の正会員として3年以上所属していること」「学会発表や研究論文の公表を行っていること」「交流分析を適用したケースを5例以上経験していること」「交流分析の自己分析記録の提出」「学会大会や研修会への参加」「日本交流分析学会認定研修スーパーバイザーによる推薦状の提出」など、かなり専門家向けの資格となっています。

精神分析の資格

精神分析は、オーストリアの精神科医ジクムント・フロイトによって創始された心理療法です。人の心に無意識を課程し、無意識を意識化させたり、自我の力を強めることを治療の目標とします。ここでは、精神分析に関する資格をご紹介していきますね。

認定心理療法士・認定心理療法医

認定心理療法士は、日本精神分析学会が認定している資格であり、「一定の研修を終えて独立して精神分析的精神療法・精神分析的心理療法を行えるもの日本精神分析学会)」としての証明となっています。

日本精神分析学会は60年ほどの歴史のある学会であり、学科員のほとんどは医師と心理士が占めています。認定心理療法士の資格を取得するには、

・学会発表をしていること

・研修会に参加していること

などの条件が設けられています。

精神分析家

精神分析家は、日本精神分析協会が認定している資格です。日本精神分析協会は、ジクムント・フロイトが創設した国際精神分析学会(International Psychoanalycal Association)に加盟しており、精神分析の研究・実践、精神分析家や精神分析的精神療法家の育成などを行っています。

・国際精神分析学会の基準に則った精神分析家になるためのコース

・日本精神分析協会が独自に認定する精神分析的精神療法家になるためのコース

の2種類があり、条件としては以下のようなものがあります。

・医学部卒業または大学院修士課程修了者
・卒業後5年以上の臨床経験を積んでいること
・協会が認定する基礎セミナーを修了していること
・協会が認定する基礎セミナーを修了していること

日本精神分析協会

上記のような条件をパスした上で、更に長期に渡って訓練分析などを受ける必要があり、この協会が認定する精神分析家・精神分析的精神療法家はかなりの「狭き門」となっています。

EMDRの資格

EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing: 眼球運動による脱感作と再処理法)とは、1989年にアメリカの臨床心理学者であるフランシーヌ・シャピロ によって考案された、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマ関連障害への有効性が認められている心理療法です。

クライエントにトラウマ場面を想起してもらい、セラピストが左右に指を動かすのを目で追うことにより、「脱感作」や「記憶の再処理」を行い、トラウマによる症状を弱めていく効果があると言われています。EMDRそのものについては、過去の記事で詳しく解説しているのでぜひご覧ください。

日本EMDR学会認定EMDR臨床家資格

日本EMDR学会は、19961年3月にオーストラリアからGary Fulcher博士をトレーナーとして迎えたことを機に、研修に参加していたメンバーによって発足された学会です。現在では学術学会として、学会大会や研修会、そしてEMDRの専門資格を持つ臨床家の育成・資格認定を行っています。

この学会では、「EMDR臨床家として信頼できる基礎的経験と臨床能力を持っていることを示す資格(日本EMDR学会)」として、日本EMDR学会認定EMDR臨床家資格を認定しています。資格取得の条件には、以下のようなものがあります。

・精神医学や心理学に関する臨床を行うための免許・資格を有していること。

・免許や資格を取得してから最低2年間以上の臨床経験があること。

・学会認定のEMDRトレーニングを修了後、最低50回のEMDRセッションを経験していること。

・EMDRトレーニングを修了後、学会認定のEMDRコンサルタントから20時間以上のコンサルテーションを受けていること。

・学会の認定する継続研修会に12時間以上参加していること。

日本EMDR学会認定EMDRコンサルタント

日本EMDR学会認定EMDRコンサルタントは、上記でご紹介したEMDR臨床家資格の上位資格となっており、EMDRをクライエントに提供することに加え、EMDR臨床家を育成する能力を有していることを示す資格です。資格取得の条件としては、EMRD臨床家資格を取得していることを前提に、「EMDR臨床家資格取得後3年以上の臨床経験」「最低75人のクライエントに対して最低300回以上のセッションを施行」「認定EMDRコンサルタントから20時間以上のコンサルテーションを受けていること」など、より豊富な経験や技能の向上等が求められています。

詳しくは、日本EMDR学会のホームページにてご確認ください。

家族療法の資格

家族療法とは、個人ではなく家族を対象とした心理療法を示します。特徴は、問題を「直線的因果律」ではなく、「円環的因果律」で捉える点にあります。つまり、問題の原因を「誰か1人」に求めるのではなく、家族を「システム」として捉え、家族メンバーが互いに影響し合っている、という考え方をするのです。家族療法は一般的にメジャーではないものの、個人的にはとても重要度が高いのではないかと感じています。

家族心理士

家族心理士は、一般社団法人家族心理士・家族相談士資格認定機構が認定している資格であり、家族を心理的に援助するために必要な知識や技能を有していることを証明するものになります。審査は書類審査と面接審査により行われるのですが、機構のホームページによると、以下のうちいずれかの条件を満たしている必要があります。

1. 家族心理臨床研修センターが実施する「家族心理士研修課程」を修了後、1000時間以上の家族援助の臨床経験

2. 大学院博士前期課程(修士課程)において、家族に関する心理臨床領域における研究により修士号を取得し、かつ1000時間以上の家族援助の臨床経験

3. 臨床心理士、公認心理士、認定カウンセラー(日本カウンセリング学会認定)、シニア産業カウンセラー(一般社団法人日本産業カウンセラー協会認定)等のいずれかの資格を有し、その資格を取得した後、1年以上かつ1000時間以上の家族援助の臨床経験がある

4. 「家族相談士」の資格を取得後、家族に関する心理臨床領域について研究し、2年以上1000時間以上の家族援助の臨床経験がある

5. 上記いずれかと同等の資格条件を有する

一般社団法人家族心理士・家族相談士資格認定機構

家族相談士

家族相談士も、家族心理士と同じく一般社団法人家族心理士・家族相談士資格認定機構が認定している資格になります。 家族心理士と比べると、条件としては以下のように項目が少し少なくなっています。より基礎的な資格と位置付けることができるのではないでしょうか。

1. 家族相談士養成講座に登録し、2019年以降に修了を認められた者

2. 家族心理学の領域で、研究実績および臨床経験を有する者

3. 家族相談士資格を失効した者。ただし失効して2年以内で再審査を希望する者

一般社団法人家族心理士・家族相談士資格認定機構

家族心理士の認定審査は書類審査と面接審査のみになりますが、家族相談士の場合は、書類審査・筆記試験・面接試験となります。

家族心理カウンセラー

家族心理カウンセラーは、日本生活環境支援協会(JLESA)が認定している資格です。家族心理カウンセラーは協会のホームページによると、以下のような定義になっています。

夫婦間や親子のかかわりなど、男女のカップルと家族の抱える個々の家庭の問題について正しい知識を持ち、かつアドバイスできる知識を持っていることを証明する資格です。

日本生活環境支援協会(JLESA)

また、夫婦関係や親子関係の問題について、講師としても活躍することが可能となる資格であるようです。

インターネットからのお申し込みによる在宅受験をし、合格することで資格を取得することができます。ただ、内容としては専門的な内容であるため、諒設計アーキテクトラーニングによる資格講座を受講することにより、無理なく体系的に知識を学んでいくことが可能となるようです。更に、「夫婦・家族心理カウンセラーW資格取得講座」を修了することにより、日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)が認定しているより夫婦関係に特化した資格である「夫婦心理カウンセラー」にも同時に対応できるようになっているようです。

家族療法カウンセラー

家族療法カウンセラーは、一般社団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定している、「家族療法に関する専門的知識および技能の程度を審査し、証明する資格」です。

協会指定の認定教育機関である資格のキャリカレによる「家族療法カウンセラー資格取得講座」を受講し、修了することで受験資格を得ることができ、受験は在宅にて行うことができます。

「家族療法カウンセラー資格取得講座」では、わかりやすい教材や映像教材などが充実しており、初学者でも無理なく学習を進め、4ヶ月で資格取得ができる構成になっているようです。

夫婦カウンセラー

夫婦カウンセラーは、一般社団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定している「夫婦間の問題に対し心理的に悩める人、または離婚という問題を社会的観点からもサポートできるようなカウンセラーを育成し、カウンセリング業務に従事する者の有する知識および技能の程度を審査し、証明する日本能力開発推進協会)」資格となっています。

こちらの資格も協会指定の認定教育機関である資格のキャリカレによる「夫婦カウンセラー資格取得講座」の全カリキュラムを修了し、随時行っている在宅での試験に合格することにより取得することができます。

チャイルドカウンセラー

チャイルドカウンセラーは、一般社団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定している資格であり、「不登校や校内暴力、学内でのさまざまな問題行動等の対応に求められる専門的な心理学知識や心理援助技術を備えているカウンセラーであることを証明するもの日本能力開発推進協会)」となります。

こちらの資格に関しても、資格のキャリカレによる「チャイルドカウンセラー資格取得講座」を修了し、随時行っている在宅試験に合格することで取得することができます。また、「チャイルド総合心理W資格取得講座」を受講することにより、チャイルドカウンセラーに加え、同協会が認定している「家族療法カウンセラー」の受験資格も同時に得られるとのことです。

発達心理学の資格

発達心理学とは、人が生まれてから死ぬまで、加齢に伴ってどのようにして心身の発達を遂げていくのかを研究する心理学の一分野です。どのライフステージにいる人にとっても「発達」は自分自身や周囲の人と深く関係しているものであり、それを科学的な視点から眺め、支援できる専門家は大変貴重な存在と言えるでしょう。

臨床発達心理士

臨床発達心理士とは、一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構(JOCDP)によって認定されている資格です。発達の臨床に携わる幅広い分野の専門家に開かれた資格であり、取得することによって「発達的観点」を持った支援が行えるようになります。

活躍の場は多岐に渡り、乳幼児期であれば保健所や保育園・幼稚園など、学齢期であれば特別支援学校や特別支援学校や教育相談など、成人・老年期であれば障害者施設や老人保健施設などと、幅広い領域で活躍することができます。

近年では、民間企業による「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」なども増えているため、そういった施設の中で活躍することもできるでしょう。

臨床発達心理の審査は「一次審査」「二次審査」に分かれており、一次審査は書類審査を中心に行います。ただし、タイプによって必要な審査が分かれており、筆記試験等が課される場合もあります。詳しくは、機構による臨床発達心理士資格認定細則をご覧ください。

二次審査は「口述審査」となります。

幼児心理アドバイザー

幼児心理アドバイザーは、東京カルチャーセンターによる「幼児心理アドバイザー養成通信講座」を受講し、全5回の課題を提出し、修了証の申請を行うことにより取得することができます。この講座を受講・修了することにより、子育てをする際に生じる様々な不安に対して、発達心理学的な視点から対処していくことができるようになると考えられています。

テキスト等は、青山学院大学コミュニティ人間科学部教授の菅野幸恵先生が監修しており、大学や大学院の授業で扱われているような本格的な知見を、専門用語ではない分かりやすい表現により解説されているため、「本格的な内容を分かりやすく」学んでいくことができます。

4. 職域ごとに特化した心理資格

心理カウンセラーが活躍する場を大きく分けると、「医療領域」「教育領域」「産業領域」「福祉領域」の4つになると考えられています。ここでは、各職域に特化した心理資格をご紹介していきたいと思います!

医療領域

医療領域では数多くの心理職が働いています。とくに医療機関における心理職の役割としては、「カウンセリングの提供」「心理査定(心理検査の実施とフィードバック)」が主です。また、医療機関によってはデイケア復職支援(リワーク)などを行っている機関もあり、その場合は運営スタッフの1人として心理職が働いている場合もあります。

公認心理師

国家資格である公認心理師は、医療機関での採用において優遇される傾向にあります。今後は医師の指示のもと保険適用内でのカウンセリングが提供されるようになる動きも出ているようですが、基本的には公認心理士が担っていくことになると思います。

臨床心理士

臨床心理士も公認心理師と同様、医療機関での採用において優遇される傾向にあります。医療機関で心理士として勤務する場合、ウェクスラー式知能検査やMMPI(ミネソタ多面的人格目録)、ロールシャッハテスト、BDI(ベックうつ病尺度)、CES-D抑うつ尺度、バウムテストなどの心理検査を使用できる必要があるとともに、認知行動療法などのカウンセリングスキルを磨いている必要があることも多いです。

精神保健福祉士

精神保健福祉士とは、精神障害や心の問題を抱えてしまった方に対して相談援助や助言、指導等を行う、厚生労働省が認定している国家資格です。公認心理師や臨床心理士がカウンセリングや心理検査等を行うのに対して、精神保健福祉士は社会制度 なども含めた、より多面的な方向からの支援を行う特徴があります。多くの医療機関には、精神保健福祉士が「ケースワーカー」として勤務しています。

コラム: 医療領域の心理職採用は上記3資格が必須であることが多い

僕は臨床心理士の指定大学院を卒業後、医療機関を含め就職活動を行っていましたが、医療機関の心理職採用の場合はほとんどが「臨床心理士の資格取得者もしくは資格所得見込み者」と応募条件に記載がありました。(当時、公認心理師はまだできていなかった)

もちろん医療機関の採用であっても公認心理師や臨床心理士の資格を持っていることが必須ではない場所もあるとは思いますが、基本的には公共性の高い資格が必要であることは覚えておきましょう。精神保健福祉士を持っている場合は医療機関での採用に強いですが、心理職ではなく「ケースワーカー」としての採用であることが多いと思います。

教育領域

教育領域では、「スクールカウンセラー」を中心として、心理職が働いています。また、地域の教育センターなどの教育相談員として心理の専門家が活躍しているパターンなどもあります。

臨床心理士または公認心理師

とくにスクールカウンセラーは、これまで臨床心理士が築いてきた職業領域でもあります。スクールカウンセラーとして勤務する場合は臨床心理士の資格を持っていることが有利に働くことが多いですが、今後は公認心理師も同じく優遇される傾向にあるのではないかと思います。

学校心理士

学校心理士は、一般社団法人学校心理士認定運営機構が認定する民間資格です。名前の通り学校領域を専門分野とする専門家なのですが、相談業務の対象は生徒だけでなく、教師や保護者など、多岐に渡ります。フィールドとしては、以下のようになります。

・幼稚園、保育園

・小学校

・中学校

・高校

・特別支援学校等

学校心理士の資格を取得するための審査には、①提出された書類②筆記試験または面接③ケースレポート(申請時直近5年以内のケース)または研究等の業績があります。試験は、試験Ⅰ(論述式)試験Ⅱ(多枝選択式)試験Ⅲ(面接)試験Ⅳ(講習会後)が行われるのですが、受験者の類型によって必要な試験が異なるため、詳しくは機構のホームページをご覧ください。

学校心理士スーパーバイザー

学校心理士スーパーバイザーは、学校心理士と同じく一般社団法人学校心理士認定運営機構が認定している資格です。学校心理士の上位資格に位置付けられており、

・学校心理士資格申請時のスーパーバイズ

・学校心理士会員へのスーパービジョン

・研修会講師等

が主な業務となります。資格の申請には豊富な実務経験や研究論文の執筆などが必要とされ、より高い専門性が求められる資格です。申請条件の詳細に関しては機構のホームページをご覧ください。

教育カウンセラー

教育カウンセラーは、NPO日本教育カウンセラー協会が認定している資格です。協会のホームページによると、この資格の定義は以下のようになります。

学級経営や授業、特別活動や生徒指導、家庭訪問や三者面談、進路指導や道徳教育、個人教育プランやサイコエジュケーションなどにカウンセリングの発想や技法を駆使し展開できるプロフェッショナル

NPO日本教育カウンセラー協会

教育カウンセラーは、レベルごとに「初級教育カウンセラー」「中級教育カウンセラー」「上級教育カウンセラー」の3つに分かれており、資格取得の要件も資格ごとに異なっています。初級教育カウンセラーを例にとって解説すると、以下のようになります。

1. 教育カウンセラー養成講座(または準ずる講座)を修了している

2. 相談・援助に関係する実践歴が2年以上

3. 認定申請自己評価票の総合点が11ポイント以上

4. 初級教育カウンセラー標準カリキュラムの内容を習熟し、認定試験に合格している

NPO日本教育カウンセラー協会

子供心理カウンセラーとは、子どもの心の発達や成長、家族との関係、社会との関係など、子どもの人格や性格の形成にかかわる知識を有し、適切なアドバイスやカウンセリングを行うための知識を有したことを証明する資格です。

子供心理カウンセラー

子供心理カウンセラーは、日本インストラクター技術協会(JIA) が認定してしている資格であり、定義は以下のようになっています。

子供心理カウンセラーとは、子どもの心の発達や成長、家族との関係、社会との関係など、子どもの人格や性格の形成にかかわる知識を有し、適切なアドバイスやカウンセリングを行うための知識を有したことを証明する資格です。

諒設計アーキテクトラーニング

諒設計アーキテクトラーニングが提供している「子供心理カウンセラーW資格取得講座」を修了することで、子供心理カウンセラーに追加してチャイルド心理カウンセラーの受験資格も得ることができるようです。試験に合格することで、上記2つの資格を取得することができます。

特別支援教育士

特別支援教育士は、一般財団法人特別支援教育士資格認定協会が認定している資格であり、「LD(学習障害)・ADHD(注意欠如・多動症)のアセスメント指導の専門資格」を示します。

特別支援学級や特別支援学校、また普通級において、LDやADHDなどの発達の問題を抱えたお子様に対して適切なアセスメントや指導を行うことが求められます。資格取得には、以下のような基準が設けられています。

①一般社団法人日本LD 学会の正会員であること。

②LD・ADHD等の関連職種に所定の時間以上従事していること

③協会が主催する養成セミナーを受講して、規定のポイントを修得していること

一般財団法人特別支援教育士資格認定協会

コラム: スクールカウンセラー・児童心理司(心理判定員)は職業名

子どもに関する領域の心理職と言えば、「スクールカウンセラー」という名称や、「児童心理司(心理判定員)」という名称が有名ですが、これらは資格の名前ではなく職業の名称になります。

スクールカウンセラーは各都道府県の教育委員会等が採用を行っており、児童心理司(心理判定員)は地方公務員の心理職採用試験に合格する必要があります。特に後者に関しては、「公務員になること」を意味しています。

産業領域の心理資格

産業領域での心理職の役割は、働く人々のメンタルヘルスを守ることです。職場ではパワーハラスメントやオーバーワークなどの深刻な問題が生じることがあるため、心を支える専門家が必要とされています。また、「その人にあった職業選択を促す」ということの重要度も高いと言えます。

キャリアコンサルタント(国家資格)

キャリアコンサルタントは、「労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと」を生業とする国家資格です。認定団体は厚生労働省になります。

キャリアコンサルタントの特徴は、個人の主体的な職業選択を促す点にあります。個人が強みを活かし、自分の価値観に沿った職業選択を行うことができるよう促していくのです。

キャリアコンサルタントの試験を受けるためには、以下のうちいずれかの要件を満たしている必要があります。

1. 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した方

2. 労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する方

3. 技能検定キャリアコンサルティング職種の学会試験又は実技試験に合格した方

日本キャリア開発協会

上記要件を満たした上で受験の申請を行い、学科試験(筆記)実技試験(論述とロールプレイ・面接) に合格することにより、国家資格キャリアコンサルタントを得ることができます。実技試験があるのが大きなポイントとなっておりますが、これについては過去の記事でも解説しているのでご覧ください。

産業カウンセラー

産業カウンセラーは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定している資格です。「職場でカウンセリングを行うカウンセラー」を示しており、働く人のメンタルヘルスに寄り添い、ご本人による自己解決・自己成長を促していくといった役割があります。また、近年ではキャリア開発への援助や職場における人間関係への援助なども積極的に行っています。

産業カウンセラーの試験を受けるためには受験資格があり、その中には産業カウンセラーの養成講座を修了していることや、大学や大学院にて心理学を学んでいること、職業経験があることなどが含まれています。受験資格にはいくつか種類がありますので、協会のホームページをご覧ください。

上記受験資格を満たしたうえで、学科試験および実技試験に合格することにより、資格を取得することができます。

認定ハラスメント相談員

認定ハラスメント相談員は、一般財団法人日本ハラスメントカウンセラー協会が認定している資格です。この協会が実施している「認定ハラスメント相談員Ⅰ種試験」に合格することにより、取得することができます。

また、同協会ではハラスメントに関する研修の開催やハラスメントマネージャーの認定なども行っています。

EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)

EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)は、NPO法人EAPメンタルヘルスカウンセリング協会(EMCA)が認定している資格です。この資格は、「メンタル不調の予防や早期発見、メンタル不調を抱える方へのメンタルヘルスカウンセリングを提供すること」などに特徴を持ち、復職支援やコンサルテーションなども行っています。

EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)を取得するためには、「リカレントメンタルスクール」による「メンタルヘルスカウンセラー養成講座」を受講・修了する必要があります。そのうえで、1次試験(学科)2次試験(論述・面接)に合格し、メンタルヘルスカウンセリング協会への入会をもって資格取得となります。

経営心理士

経営心理士は、一般社団法人日本経営心理士協会が認定している資格です。今回ご紹介している他の産業領域における心理資格とは質的に異なっており、経営心理士の場合は心理学的な考え方を応用することにより、組織を拡大させたり、売り上げを向上させたりすることを目指しています。メンタルヘルスというよりは、どちらかというとマーケティングの発想に近い資格と言えそうです。

経営心理士の資格は、協会が提供している「経営心理士講座」を受講・修了し、A4枚のレポート提出を持って資格取得となります。また、選ぶコースによって取得できる資格が異なり、「組織心理士」「顧客心理士」「ビジネスコミュニケーション心理士」「経営心理士」の4種類があります。

心理学をビジネスに応用したい方におすすめの講座と言えるでしょう。

福祉領域

福祉領域は、まだまだ心理職が入っていく余地のある現場であると考えられています。福祉と一口に言っても、高齢者福祉や障害者福祉など、あらゆる分野があります。幅広い分野であるだけに、資格を取得することで活かせる領域も広いと言えるかもしれません。

福祉心理士

福祉心理士は、日本福祉心理学会が認定を行っている資格です。福祉サービスを利用する人のアセスメントを行ったり、福祉サービスを利用している人の家族や、その施設で働いている職員に向けて相談業務等を行うことがその役割となっています。

福祉心理士を取得する際は学科試験や実技試験は設けられておらず、書類審査による認定を受けることになります。認定条件としては複数のパターンがあり、学会の会員であることに加え、教育機関にて所定の単位を取得していること、実務経験があることなどが加味されるようになっているようです。詳しくは、学会ホームページに掲載されている手引き等をご覧ください。

福祉心理カウンセラー

福祉心理カウンセラーは、日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)が認定をしている資格であり、定義としては以下のようになっています。

福祉に関する知識、また心理学の基礎知識、様々なストレスから起きる症状を理解しており、カウンセラーとして活動するレベルに至っているとされた方へ認定される資格です。

日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)

在宅による受験で合格した場合に資格取得となり、受験資格等はとくにありません。ただし、諒設計アーキテクトラーニングによる「福祉心理カウンセラーW資格取得講座」を受講・修了することにより、最短2ヶ月で分かりやすい教材による無理のない学習が可能になるとともに、日本インストラクター技術協会(JIA)による「福祉心理アドバイザー」の受験資格も同時に得ることができるようになるようです。

コラム: 対人援助職としてのキャリアは就労支援からスタートするのもおすすめ

心理カウンセラーは人を相手にし、支援する仕事であるため、「対人援助職」という位置付けになります。今回ご紹介したように、対人援助職にはあらゆる職域がありますが、とくに医療領域や教育領域においては公認心理師や臨床心理士が優遇される傾向はどうしても強くなってしまいます。

福祉領域の中の1つである「就労移行支援事業所」は近年数を増やしているのですが、資格がなくても採用を行っている事業所も多い傾向にあります。就労移行支援では、現在休職中や離職中の方に寄り添いながら適宜相談援助なども行い、「働くこと」という人にとって重要な要素と向き合うことができます。対人援助職の入口として、おすすめの現場の1つと言えるかもしれません。

5. インターネット・オンライン関連の心理資格

最後にご紹介したいのが、近年利用者数が激増している「インターネット・オンライン」関連の心理資格です。インターネットの発達や新型コロナウイルス等の影響によりオンラインによるカウンセリングが明るみに出ることになりました。ここでは、代表的な資格をご紹介していきます。

インターネットカウンセラー

インターネットカウンセラーは、株式会社Nimbus Creationが商標登録をしているお仕事の名称になります。メールやチャットなどを使い、カウンセリングの専門知識をもとに現在悩んでいる方々をサポートするのが主なお仕事にお内容になります。

株式会社Nimbus Creationが開講しているインターネットカウンセラー養成講座を受講・修了することにより、プロのインターネットカウンセラーとして活動していくための知識やスキルを身につけることができます。

SNSカウンセラー

SNSカウンセラーは、一般社団法人全国SNSカウンセリング協議会が認定している資格であり、若者が日常的に使用しているLINEなどのコミュニケーションツールを使用し、若者が相談しやすい方法により心に寄り添うことができる人材を確保することを目的とした資格です。

メンタルヘルスに関する資格を保持している人が、全国SNSカウンセリング協議会が認定している養成講座を受講し、修了することによって認定を受けることができます。

オンライン心理カウンセラー

オンライン心理カウンセラーは、一般社団法人日本オンライン資格推進機構(JOCP)が認定している資格です。資格が出来た経緯としては新型コロナウイルスにより家庭内の問題やうつ病の発症者数が増え、在宅でのカウンセリングの必要性が高まったことにあるようです。

資格を取得するためには、オンライン資格推進機構が認定している講座である「Smart資格」の中に含まれている「オンライン心理カウンセラー資格」を受講し、講座の中で試験を受ける必要があります。Smart資格は今注目を集めている資格取得サービスであり、スマートフォン1つで受講から受験まで完結してしまう手軽さが魅力です。

コラム: コロナの影響でオンラインカウンセリングが急成長。そして今後も。

新型コロナウイルスの影響により、オンラインカウンセリングへのニーズが急増しています。また、この記事を書いている私は臨床心理士としてオンラインによる心理カウンセリングを行っているのですが、コロナウイルスが落ち着いた後でも、オンラインカウンセリングのニーズはなくならないのではないかと感じています。

というのも、「誰かに相談したくても、カウンセリングルームや医療機関に足を運ぶことに難しさを感じている方」や、「医療機関やカウンセリングに足を運ぶほどでなないが、日々思い悩んでいる方」のニーズが、コロナの影響で「浮き彫りになった」と考えることもできるからです。コロナの前からニーズはすでにあったわけですね。今後も発展していく可能性がある領域と考えています。

6. まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の記事では、心理学に関する資格の一覧をまとめさせていただきました。ご自身に合った資格を探す際の参照枠として、「辞書」のようなイメージで、時々このページに戻ってきていただけると嬉しいなと思います。この記事を書く中で気づいたことがあります。それは、色々な資格があるものの、「心理学は繋がっているんだ」ということ。個人的には学びを継続することが最も大切なのではないかと感じており、そのためには、ご自身が継続しやすい、「興味があるな!」と思う分野を深めていただくことがおすすめです。