シングルタスクに向いている仕事を心理学的に解説します。

転職・キャリア形成

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臨床心理士の西井です!

複数の仕事を同時にこなさなければならず、仕事中はいつも頭が混乱している。

自分の本来の力が出せていないように感じる。

あなたはこのように悩んだことがないですか?

実は、あなたが仕事に自信を持てないのはマルチタスクが性に合わないからかもしれません。マルチタスクが複数の作業を同時に処理するタイプの作業であるのに対し、1つの作業に集中するタイプの作業のことをシングルタスクと呼びます。シングルタスクを意識した働き方ができれば、あなたの仕事における生産性が一気に増す可能性があるのです!

この記事では、シングルタスクやマルチタスクという言葉の正しい意味について解説した上で、シングルタスクが合っている方向けの仕事を紹介させていだだきます。この記事を読むことで、自分に合った働き方を知り、本来の能力を発揮することに一歩近づくのではないかと思います。

1. シングルタスク・マルチタスクの定義

まずは、そもそもシングルタスクとは何か?マルチタスクとは何か?ということについて解説していきます。

シングルタスクの定義

シングルタスクは、一点集中型の作業の仕方を示しています。一度に1つの作業のみに集中し、その作業が終わったら次の作業に取り組むようにすることで注意が分散するのを防ぎ、効率よく作業を進めることができるのです。

マルチタスクの定義

マルチタスクは、同時並行的に複数の作業を行うことを示しています。例えば、電話対応をしながらパソコンに文章を入力したり、情報共有を行いながらメールチェックを行なったりすることが例としてあげられるでしょう。多くのオフィスワークはマルチタスクに該当するのではないかと思います。

実はマルチタスクなんて存在しない!

「私はマルチタスクが得意」などと話しを聞くことがありますが、実は人間の脳は一度に複数の物に注意を向けることができないように出来ています。つまり、マルチタスクは不可能ということ。

でも、職場などでは複数の作業を同時に回すのが得意な人もいますよね。そういった方は、マルチタスクが得意なのではなく、「タスクスイッチング」が得意なのです。

タスクスイッチングとは、作業Aから作業Bへと注意を切り替える力のことを言うのですが、これが素早い人は「マルチタスクが得意」と言われることが多く、苦手な人は「マルチタスクが苦手」と言われることが多いわけですね。

詳しくは過去の記事でもご紹介しているので、よければ読んでみてください♪

 

3つの「注意機能」

脳科学や認知心理学の研究の中で、人には3つの「注意機能」があることが分かっています。

選択的注意

選択性注意とは、色々な情報がある中で自分が探しているものを「見つける」力を示しています。例えば「ウォーリーを探せ」や「間違い探し」などが得意な方は選択的注意の能力が高いといえるでしょう。

注意の持続

注意の持続とは、1つのことに注意を向け続けられる能力を示しています。ずっと本を読んでいられる方や、一度勉強し始めるとすごい集中力で何時間もやり続けられる人は、「注意の持続」能力が高いと言えるでしょう。

注意の転換

注意の転換とは、意識をある物からある物へと切り替える速さのことを示しています。例えばサッカー選手などは、「今誰がボールを持っているのか」「攻撃なのか守備なのか」などと即座に注意を切り替える必要があるので、この力が求められるでしょう。

お気づきかもしれませんが、マルチタスクが得意と言われる人は「注意の転換」の力が強く、シングルタスクが得意と言われる人は「注意の持続」の力が強いと言えます。

そして最も大切なのは、自分の得意な能力を生活の中で活かせるようにすることです。

2. シングルタスクに向いている仕事

シングルタスクに向いている仕事の特徴として、「注意の持続力が活かせる作業」をあげることができます。以下、具体的に解説していきますね!

シングルタスクに向いている仕事

一般的に良く言われるのが、シングルタスクの方はじっくりとアイデアを練ることを求められる「企画職」に向いているということです。

また、1つの分野を突き詰めていく「研究職」や、納期はあるものの文章を書くことに集中できる「作家」などもシングルタスク・タイプの方に向いているとされています。

ただ、僕としては「一概には言えない」という意見があります。

というのも、例えば企画職一つを取っても企業の中で働く場合は「その他諸々」の業務がある中で企画に関する職務が位置付けられることが多く、結局はマルチタスクになるパターンも多く見受けられます

また、研究職や作家などは誰もが就ける職業ではありません。

ちなみに僕の本職である「心理カウンセラー」もシングルタスクに向いている仕事とされていますが、実際はほとんどの人が病院勤めや企業勤めのカウンセラーであり、事務作業や電話受付なども業務内容に含まれることが多いです。

つまり、職種で選ぶのは必ずしも有効な方法とは言えないのです。

職種ではなく、「作業タイプ」で考える

そこでおすすめなのが、「作業レベルに落とし込んだ時に、どれだけ自分の強みを活かせるのか」という視点です。注目したいのが、仕事で評価を受けるポイントが「雇用タイプ」と「受注タイプ」で異なるということです。

雇用タイプ・・「会社に雇われる」という位置付けであり、いわゆるサラリーマン。この場合、評価対象は「労働時間内にどれだけ会社に貢献したのか」というパフォーマンスになる。

受注タイプ・・雇われるのではなく、特定の作業や成果物のみを代行するというスタイルであり、フリーランスの方に多く見られる働き方。この場合、評価対象は成果物になる。

そして、会社員の場合は会社という環境の中でパフォーマンスを発揮する必要がありますが、フリーランスの場合は成果物さえ期限内に納品できれば、作業環境は自分で選ぶことができます。

さぁ、シングルタスクの方に向いているのはどちらの働き方でしょうか?

シングルタスクの人はフリーランスに向いている

結論、シングルタスクの人はフリーランスという働き方に向いていると言えます。なぜなら、大切なのは期限内に質の高い成果物を納品することであり、自分にとって作業しやすい環境を選ぶことができるからです。

ただし、「マルチタスクが苦手」というだけがシングルタスクの条件ではなく、「マルチタスクが苦手だが、一点集中型の作業はむしろ得意」がシングルタスクの条件です。

集中力と継続力に強みを持つと感じている方には、フリーランスとしての道を模索してみることがおすすめです。

それでは次に、未経験からでもはじめられる、フリーランスとして仕事を受注していけるおすすめの仕事ご紹介します。

Webライティング

文章を書くことと、パソコンで作業することに強い抵抗がない方には「Webライティング」の仕事がおすすめです。

理由としては、「文章を書いた分だけ報酬を受け取ることができるから」です。もちろん実績を積むまでは文字単価が低い仕事しか受注することができないため、Webライティングだけで生計を立てることは困難です。しかし、特別な文才がなくても実績さえ積めば文字単価を上げていくことができるため、「努力が直接的に数字となって現れる」のです。

文章を書くことに集中できれば高い生産性を望めるため、シングルタスクの方にはもってこいの仕事と言えるでしょう。

Webライティングの仕事を受注するためには、クラウドワークスランサーズなどの仕事受注サイトに登録し、応募して実績を積むことがファーストステップとなります。

Webライターに転職する

フリーランスのWebライターとして食べていくには、それなりに努力と時間が必要です。どうしても今の働き方が合わないと感じる方は、Webライティングを行なっている会社に転職するというのも1つだと思います。業務の内容としてはライティングが主となるため、フリーランスほどではないにしても「シングルタスク」を実践しやすい仕事内容であることが多いです。

また、Webライティングの業務を行う中で「SEO(検索エンジンにおいて自分や自社のサイトを上位表示させるための技術)」やマーケティングに関する知識を身につけられることも多く、フリーランスになってからも活かせる知識を得ることができます。

「給料」のほかに、自分の目標達成のために必要な知識が得られるのは大きいですよね。

3. まずは今の職場で「働き方」を変えてみよう!

さきほどシングルタスクの方にはフリーランスが向いているということ、さらにWebライティングがおすすめであることをお伝えしました。

しかし、上記のような仕事をフリーランスとして受注し生計を立てられるようになるには、最低でも1〜3年ほどの時間がかかります。

そこでおすすめなのが、まずは今の職場であなたの脳(=シングルタスクが得意)に合った働き方を実践してみるということです。ここでは、「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」という本で紹介されていることをもとに解説していきます!

手順書を作る

複数の「やること」が並立していても、注意の切り替えが得意な人(タスクスイッチングが得意な人)は優先順位を素早くつけて、効率よく作業を進めることができます。

しかし、注意の切り替えが苦手な人は情報同士が干渉し合ってしまい、脳疲労ばかりが蓄積して生産性が落ちてしまいます。

そこでおすすめなのが、「仕事の手順書」を作ること。仕事の手順書の作り方は、以下のようになります。

「やること」を思い出し、言葉にする。

1つ1つの「やること」の手順を細分化し、言葉にする。

手順に沿って1つ1つこなしていく。

仮に急な業務が横入りしてきたとしても、手順書を見れば「どこまでやったのか」が一目瞭然であるため、すぐに元の作業に「頭」を戻すことができます。

予定に「余白」を作る

せっかく手順書を作っていても、会社の中で働いている限りは、電話が鳴ったり、上司から新たな仕事を頼まれたりして手順書通りに進まないことも多いですよね。

そこでおすすめなのが、予めスケジュールに余白を持たせておくということ。急な予定が入ることありきでスケジュールを立てているため、急な業務が舞い込んできても全体の均衡を崩すことなく仕事を進めることができます。

作業環境について上司に相談してみる

もし、今の職場で「個室」や「個別席」で作業することができるなら、思い切って1人になれる環境を希望してみましょう。ダメ元で聞いてみるだけでも価値はあるのではないかと思います。

また、「17:00〜18:00までの1時間だけ」などと限定的な時間を伝えると、承諾してもらえる率が高くなるのではないかと思います。

「儀式」を取り入れる

シングルタスクの強みを活かすには、外部の環境だけてなく脳内環境が整っている必要があります。

例え個室で作業できたとしても、精神的に落ち着かない状態になっているのならいつもの集中力を発揮できません。そこでおすすめなのが、「儀式」を取り入れること。

例えば、「トイレに行って帰ってきたら企画書の作成を行う」「窓の外を眺めたら、記録の作成に着手する」といったように、儀式を通して自分の行動にラベリングをしてあげると、スムーズに集中状態に入りやすくなるのではないかと思います。

参考: 要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑/ サンクチュアリ出版

4. シングルタスクに向いた仕事をするなら就労移行支援事業所の利用がおすすめ

今の職場の中でストレスを抱え、精神科や心療内科に通っている方の場合は就労移行支援事業所を活用してみるのがおすすめです。

就労移行支援とは病気や障がいにより働くことに不安を持つ方が「働くための訓練」をする厚生労働省が一般企業に業務委託をしている福祉サービスを示します。

役所に申請する必要がありますが、利用料のほとんどを国が負担してくれるので、無料または安価で就労に必要な訓練を受けられます。

とくに、マルチタスクが苦手で悩む方には「スキル特化型就労移行支援」がおすすめです。

スキル特化型の就労移行支援ではプログラミングやWeb制作、Webデザインなどの「手に職」をつけられるタイプのスキルを無料または安価で身につけられるので、将来的にフリーランスを目指したい方にマッチしているのです。

就労移行支援事業所を紹介するまとめ記事の中で、おすすめのスキル特化型就労移行支援もご紹介しているので、興味がある方はぜひ読んでみてください。

5. まとめ

以上、今回の記事では「シングルタスクの人に向いている仕事」についてかなり具体的に解説させていただきました。最後に臨床心理士としてお伝えしたいことがあります。それは自分に合った働き方をできるか否かは「精神的健康度」にも大きく影響するということです。

シングルタスクの人がマルチタスク的な仕事に就くことは、ホッキョクグマが南米で生活するようなものです。とても過酷で、精神状態も悪化してしまいますよね・・。

また、シングルタスクの方には、「フロー状態」という強い味方がいます!フロー状態はポジティブ心理学の中で出てくる概念なのですが、作業に没頭し、生産性が圧倒的に高まっている状態を示しています。また、フローを経験している人はそうでない人に比べて幸福感を感じやすいとも言われています。詳しくは過去の記事を読んでみてください。

一度きりの人生、自分の傾向に合った仕事をして、今よりもっと輝いてもらえたら嬉しいです!